注文住宅の資金計画を立てるうえでは、税金などの諸費用もきちんと頭に入れておく必要があります。

新築住宅の取得にはさまざまな税金が発生するので、どのような費用がどのくらいかかるのか、あらかじめ内容と金額を把握しておくと、資金計画の安全性が増します。

今回は、注文住宅を建てるときに発生する税金の種類と、それぞれが課税される時期、住宅の取得時に利用できる軽減措置について解説します。

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新築住宅を購入した際にかかる主な税金は次の5種類です。

 

新築住宅でかかる税金

税金の種類

課税の時期

不動産取得税

土地・建物の取得後に一度だけ発生する

登録免許税・印紙税

登記手続き、契約時に一度だけ発生する

固定資産税

土地・建物の保有に応じて毎年発生する

都市計画税

土地・建物の保有に応じて毎年発生する

消費税

建物の取得、その他各種サービスに対して発生する

 

不動産を取得したときに発生する税金であり、土地と建物のそれぞれに課税されます。

 

地方税であるため都道府県によって手続きに違いがありますが、基本的には取得後20~60日以内に、不動産を取得した旨の申告手続きが必要です。

 

ただし、不動産を取得してから一定期間(30~60日以内など)に登記をした場合は、原則として申告は不要となります。

 

申告あるいは登記を終えると、早ければ数ヶ月後、一般的には6ヶ月~1年後程度に納税通知書が送られてくるため、その案内に沿って納付します。

 

なお、一定の要件を満たす住宅および住宅用土地を取得した場合には、申告することにより税額が軽減されることがあります。

 

登録免許税は、不動産の移転登記などを行う際に発生する税金です。注文住宅の場合は、土地の「移転登記」と建物の「保存登記」のそれぞれに課税されます。

 

さらに、住宅ローンを利用する場合は、金融機関への「抵当権設定登記」も必要であり、その分の登録免許税も発生するので注意が必要です。

 

ただし、これら登録免許税についても、一定の要件を満たす住宅および住宅用土地を取得した場合には軽減措置が適用されます。

 

また、印紙税は住宅会社との工事請負契約書や、住宅ローン取扱金融機関との金銭消費貸借契約書を交わす際に発生します。このうち、工事請負契約書の印紙税は軽減措置が取られています。

 

固定資産税は、毎年1月1日時点に不動産を所有している人に対して課税される税金で、土地・建物のそれぞれに課税されます。

 

毎年5月ごろに課税通知書が送付されます。納税は一括納付のほか、年4回の分納も可能です。

 

市街化区域に土地や建物を持っている場合に固定資産税と同様に課税される税金であり、課税・納税の時期と仕組みは固定資産税と同じです。

 

地方税であるため、自治体によって税率が異なったり、独自の軽減措置が設けられていたりするケースもあります。

 

消費税は建物の建築や購入、外構の工事、引越し、土地購入時の仲介手数料といったサービス全般に対して発生します。

 

日常の買い物の際に支払っている消費税と同様に、通常は消費税のみを分けて考えることはなく、それぞれの対価と併せて支払います。

 

これまで見てきたように、住宅に関する税金には一定の軽減措置が設けられているものもあります。ここでは、各税金の計算方法・税率と、軽減措置の内容を紹介します。

 

住宅の不動産取得税は、土地と建物それぞれで計算され、その合計金額を納付します。

 

計算方法は「固定資産税評価額×税率」となり、税率は本則4%ですが、2027(令和9)年3月31日までに取得したものについては3%に軽減されます。

 

さらに土地については、「固定資産税評価額を1/2」として取り扱える軽減措置が設けられています。

 

なお、新築住宅に関しては上記に加え、一定の要件を満たすことで以下のような軽減措置が適用されます。

 

不動産取得税の軽減措置(新築)

 

軽減内容

要件

土地  

いずれか高い金額が軽減される

・4万5,000円

・土地1平米あたりの固定資産税評価額×1/2×住宅の課税床面積(200平米まで)の2倍×3%

・不動産取得税の軽減要件を満たす住宅用の家屋が建てられていること

建物

・通常の住宅

固定資産税評価額から1,200万円の控除

・認定長期優良住宅等

固定資産税評価額から1,300万円の控除

・別荘以外の居住用家屋であること

・床面積が50平米以上240平米以下であること

ここでは、一例として以下のようなケースで土地の不動産取得税を計算してみましょう。

 

土地の不動産取得税計算例

■取得する土地の条件

・固定資産税評価額:1,200万円

・敷地面積:120平米

・住宅の床面積:100平米

 

■税額の計算

1.1,200万円×1/2×3%=18万円

2.(1,200万円÷120平米)×1/2×100平米×2×3%=30万円

  30万円>4.5万円 → 30万円(減額される金額)

3.18万円-30万円≦0円(土地の税額)

まずは土地の固定資産税評価額の1/2に3%の税率をかけます。その後、土地の軽減額を計算し、当初の算出税額から差し引きます。

 

この事例では軽減された結果がマイナスになったため、土地にかかる不動産取得税はゼロになります。このように、住宅における土地の不動産取得税は、軽減措置によってゼロになるケースもあります。

 

登録免許税については、基本的に固定資産税評価額の0.4%~2.0%で計算されますが、住宅の場合は以下の軽減措置が適用されます。

 

登録免許税の税率

登記の種類

本則税率

軽減後の税率

一般住宅

特定長期優良住宅

認定低炭素住宅

所有権移転登記

(土地)

2.0%

1.5%(※1)

所有権保存登記

(建物)

0.4%

0.15%(※2)

0.1%(※2)

0.1%(※2)

抵当権設定登記

0.4%

0.1%(※2)

※1:2026(令和8)年3月31日までに登記を受ける場合

※2:2027(令和9)年3月31日までに住宅用家屋を取得し、登記を受ける場合

 

また、印紙税については、不動産の譲渡および建設工事の請負に関する契約書において、以下の軽減措置が適用されます。

 

印紙税の税額

契約金額

通常の税額

軽減後の税額

500万円超1,000万円以下

1万円

5,000円

1,000万円超5,000万円以下

2万円

1万円

5,000万円超1億円以下

6万円

3万円

1億円超5億円以下

10万円

6万円

※軽減措置は2027(令和9)年3月31日まで

 

固定資産税の税額は、土地・建物それぞれについて「固定資産税評価額×1.4%」で算出します。

 

建物については建築後の経過年数に応じて評価額も減少していきますが、土地については3年に一度の周期で評価額が見直されますので、地価の変動に応じて税額が上がることもあります。

 

固定資産税に関しても、土地・建物のそれぞれに軽減措置が設けられていますが、建物の措置は適用期間が決められているので注意が必要です。

 

固定資産税(土地)の軽減措置

 

軽減率

小規模住宅用地

(200平米までの部分)

評価額×1/6

一般住宅用地

(200平米を超える部分)

評価額×1/3

 

固定資産税(建物)の軽減措置

 

新築住宅

3年間(3階建て以上の耐火・準耐火建築物は5年間)に限り税額の1/2が減額されます。また、認定長期優良住宅については、5年間(3階建て以上の耐火・準耐火建築物は7年間)に限り税額の1/2が減額されます。

 

※2026(令和8)年3月31日までの新築で、床面積50平米以上280平米以下に限る

 

都市計画税は土地・建物それぞれについて「固定資産税評価額×0.3%」で計算します。ただし、0.3%はあくまで上限であり、自治体によってはより低い税率を適用する場合もあります。

 

都市計画税にも軽減措置が設けられていますが、固定資産税とは異なり「土地のみ」の適用となっている点が特徴です。

 

都市計画税(土地)の軽減措置

 

軽減率

小規模住宅用地

(200平米までの部分)

評価額×1/3

一般住宅用地

(200平米を超える部分)

評価額×2/3

 

消費税については、前述のとおり建物の建築や外構の工事費用・引越し費用・土地購入にかかる仲介手数料などのサービス全般に対して課税されます。

 

なお、土地の購入はその性質上「消費するものではないことから、消費税の性質になじまない」ため、消費税は課税されないことになっています。

 

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住宅の購入時には、これまでに紹介した優遇措置に加えて、減税につながるいくつかの制度が設けられています。

 

ここでは、代表的な優遇制度を3つピックアップして紹介します。

 

「住宅ローン減税」とは、以下の条件を満たすことで年末時点のローン残高の0.7%が、毎年の所得税等から税額控除される制度のことです。

 

新築住宅の場合、控除期間は最大13年間となり、節税効果の高い優遇制度として知られています。

 

利用条件

1.以下の住宅のいずれかに該当すること

・認定長期優良住宅

・認定低炭素住宅

・ZEH(ゼッチ)水準省エネ住宅

・省エネ基準適合住宅

 

2.住宅ローンの返済期間が10年以上であること

 

3.申請者自身が居住する住宅であり、かつ引き渡しまたは工事完了から6ヶ月以内に入居すること

 

4.建物の床面積が50平米以上であること(※)、かつ居住用の割合が1/2以上であること

 

5.合計所得金額が2,000万円以下であること(※)

 

※ 2024年中に建築確認を受けているなど一定の要件を満たせば40平米以上に緩和。ただし、合計所得金額は1,000万円以下に限定

 

環境に配慮したZEH住宅、長期優良住宅、低炭素住宅は、前述した住宅ローン減税のほかにも、さまざまな優遇措置を受けることができます。

 

たとえば、代表的な住宅ローン商品である全期間固定金利の「フラット35」を利用する場合、省エネ性に優れた住宅ではより有利な金利で借りられる「フラット35S」を利用することが可能です。

 

また、これらの省エネ性を持つ住宅を新築する際には、国が取り扱う各種補助金を利用することもできます。

 

さらに、先ほど紹介したように、「固定資産税の減額期間延長」「登録免許税・不動産取得税の軽減」の優遇措置が反映されるなど、さまざまな場面で有利な条件が適用されます。

 

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基本的に父母や祖父母から住宅資金の援助を受ける際には、親族間であっても「贈与」と見なされるため、贈与税が課税されます。

 

しかし、2026年12月31日までは、特例として自分の住まいとして使うための金銭の贈与については「500万円までは非課税」とされています。さらに、省エネ等住宅を建てる場合には非課税額の上限が「1,000万円まで拡大」されます。

 

これを「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」といい、両親などから援助を受ける際には大きな減税効果をもたらします。

 

なお、この特例の適用を受けるためには、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、税務署に申告書を提出する必要があるので注意が必要です。

 

家づくりにおいては、住宅を建てる費用ばかりに意識が向いてしまいがちですが、今回紹介した税金についてもきちんと目を向けておくことが大切です。

 

中でも、固定資産税や都市計画税は毎年発生するため、ランニングコストに無理がないかを確認しておく必要もあります。

 

しかし、土地の広さや家の大きさ、建てるエリアなどで課税額は変わってくるため、仕組みを正しく理解するのは難しい面もあるでしょう。

 

資金計画について分からないことがある場合は、LIFULL HOME’Sの「住まいの窓口」に相談してみるのもひとつの方法です。

 

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注文住宅取得時にはどんな税金がかかる?

 

不動産取得税、登録免許税、印紙税、固定資産税、都市計画税、消費税などがかかります。それぞれ課税の対象が異なるため、「どのようなものに課税されるのか」「どのタイミングで課税されるのか」を適切に把握しておくことが大切です。

注文住宅にかかる税金の優遇措置にはどんなものがある?

 

住宅の取得時には不動産取得税、登録免許税、印紙税、固定資産税、都市計画税のそれぞれにおいて軽減措置が設けられています。「住宅であれば一律で適用されるもの」「一定の要件を満たす必要があるもの」「地域によって異なるもの」などさまざまあるため、軽減措置の内容も押さえておくとよいでしょう。

 

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