注文住宅のキッチンは、日常生活で何度も利用する欠かせない場所の1つです。そのため、住んでから「こうしておけばよかった…」と後悔することが多い設備でもあります。
今回の記事では、30件以上注文住宅を取材し、現在は一戸建てに住む筆者(LIFULL HOME'S 編集部員)が、インタビューを通してキッチン選びで見落としがちなポイントについてまとめました。前半では基本的なキッチンの選び方を、後半ではキッチンを決める際に見落としがちな後悔ポイントについて解説します。
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注文住宅のキッチンを決める流れ

注文住宅は、最初にハウスメーカーに間取りの作成と見積もりを依頼し、その内容と予算が合致すれば契約を進める流れになります。間取り作成の段階でキッチンのレイアウトがおおむね決定するため、早めにキッチンの方向性を決めておくとスムーズに間取り作成が進められます。
また、土地の形状や広さ、選ぶハウスメーカーによっても選択可能なレイアウトは変わります。ハウスメーカーが扱う注文住宅には、完全自由設計(フルオーダー)、自由設計(セミオーダー)、規格住宅という分類があり、設計の自由度によって選べるキッチンの仕様も異なります。ハウスメーカーを決める際は、選べるレイアウトやキッチンメーカーの種類をあらかじめ確認しておきましょう。
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注文住宅キッチンの種類
注文住宅のキッチンで最初に決めるのはレイアウトです。ここでは、代表的なレイアウトの種類をご紹介します。家の広さやどんな暮らしを送りたいかを考えながら、自分たちの暮らしに合うレイアウトを検討していきましょう。
ペニンシュラキッチン(対面キッチン)

キッチンの片方が壁側に接していて、リビング・ダイニングに向かって調理をするキッチンのことをペニンシュラキッチンといいます。近年人気のあるタイプです。
メリット
- 家族とコミュニケーションをとりやすい:家族やゲストと会話をしたり一体感を感じたりすることができるため、孤独を感じにくい
- 開放感がある:キッチンとリビング・ダイニングが一体となっているため広々とした印象になる
デメリット
- 調理中の匂いや煙が気になる:遮るものがないためリビング・ダイニングに匂いや煙が広がりやすい
- 生活感が出る:キッチンは毎日使用するため、収納方法や片づけの頻度によっては生活感が出やすい
こんな人におすすめ
- 家族とコミュニケーションをとりながら家事をしたい人
- リビング・ダイニングとつながったキッチンを好む人
アイランドキッチン(対面キッチン)

壁に接していない、小島のようなスタイルのキッチンです。対面キッチンの一種であるためペニンシュラキッチンと同様のメリット・デメリットがありますが、アイランドキッチンならではのメリット・デメリットも紹介します。
メリット
- 家族とコミュニケーションをとりやすい:家族やゲストと会話をしたり、一体感を感じることができるため孤独を感じにくい
- 開放感がある:キッチンとリビング・ダイニングが一体となっているため広々とした印象になる
- デザイン性が高い:カスタマイズしやすくおしゃれなキッチンが多い
- 作業効率がよい:四方からキッチンにアクセスできるため出入りしやすく複数人での作業がしやすい
デメリット
- 調理中の匂いや煙が気になる:遮るものがないためリビング・ダイニングに匂いや煙が広がりやすい
- 生活感が出やすい:キッチンは毎日使用する場所であるため、収納方法や片づけの頻度によっては生活感が出やすい
- 収納が少ない:四方が壁に接していないため収納スペースを確保しにくい
- 価格が高い:一般的なペニンシュラキッチンや壁付けキッチンに比べて本体価格が高い傾向に。高価な理由は、すべての面を化粧板で仕上げたり、換気扇を天井から吊り下げたりするなど、アイランドキッチン特有の仕様による
こんな人におすすめ
- 広いスペースが確保でき、開放的なキッチンを好む人
- 複数人での料理やパーティーを楽しむことが好きな人
壁付けキッチン
正面が壁に接しているキッチンのことを壁付けキッチンといいます。
賃貸住宅に多く見られるスタイルですが、注文住宅の場合は海外風のデザインの住まいにも多い印象です。
メリット
- 限られた広さを有効活用できる:キッチンの背面は自由にレイアウトができ、キッチンカウンターを設置するII型と呼ばれているキッチンにすることも、ダイニングにすることもできる
- キッチンのデザイン性が際立つ:リビングからキッチン全体が見えるため、おしゃれなデザインにすることで洗練された雰囲気を演出できる
デメリット
- コミュニケーションがとりにくい:壁に向かって作業をするため家族と会話しにくく孤独を感じてしまうこともある
- キッチンが丸見え:調理中の様子やキッチンが見えてしまうため、常に掃除や整理整頓が必要
こんな人におすすめ
- リビング・ダイニング・キッチンの広さがあまり確保できない人
- 効率的な動線を求めている人
- 調理に集中したい人
独立型キッチン
対面キッチンや壁付けキッチンがオープン型なのに対し、クローズドキッチンとも呼ばれるのが独立型キッチンです。リビング・ダイニングから独立して、壁で囲まれている、または、ドアが設置されている個室のようなキッチンになります。
メリット
- 生活感が出にくい:料理の匂いや煙が広がりにくく、キッチンの洗い物などが視界に入らないため、リビング・ダイニングが整然とした印象になる
- 料理に集中できる:話しかけられることや視線を気にすることが少なくなるため調理に没頭できる
デメリット
- 孤独感を感じる:リビングにいる家族の雰囲気を感じにくく、コミュニケーションがとりにくい
- 作業効率が悪くなりやすい:配膳や片づけの動線が長くなったり、十分な広さを確保しないと複数人での作業がしにくくなったりする
こんな人におすすめ
- キッチンと他の生活空間を分けたい人
- 静かで集中できる環境で料理がしたい人
ここを押さえておけば失敗しない!? 注文住宅キッチンの「見落としがちな後悔ポイント」10選

レイアウトの次は細かい内容を決めていきます。決めることが多い注文住宅でキッチンづくりを後悔しないよう、最低限押さえておきたいポイントをご紹介します。
1.キッチンの天板の高さ
一般的には、身長÷2+5cmの高さにするとよいとされていますが、夫婦のどちらの背に合わせるのかでも変わります。身長に対して天板が低いと腰痛などの不調にもつながるので、忘れずに確認しましょう。
2.フルフラットor腰壁タイプ

腰壁タイプのキッチン
対面キッチンの場合、フルフラットと腰壁タイプから選ぶことができます。
手元を隠さずリビングからフラットに見えるフルフラットタイプは、デザイン性が高くスッキリとしているため、見映えがいいのが特徴です。ただし、見映えだけで決めてしまうと後悔することも。フルフラットは、洗い物や調理台が見えてしまったり、水跳ねや油跳ねが気になったりするため、生活スタイルを考えて決めることが重要です。
3.レンジフードのデザイン・大きさ・高さ
意外と見落としがちなのがレンジフード。機能面も大事ですが、キッチンやリビングのデザインに合わせてレンジフードを選ぶと全体的にデザインがまとまります。
高身長の人は、頭がレンジフードにあたってしまうことがあるため、レンジフードの高さを必ずチェックしましょう。ただし、レンジフードの位置が高すぎると、換気力に影響が出る可能性があるため、注意してください。
4.IHクッキングヒーターorガスコンロ
IHクッキングヒーターは、安全性の観点から小さい子どもがいたりペットを飼っていたりする家庭で選ばれることが多く、掃除がしやすいのも特徴の一つです。
一方、ガスコンロは、IHよりも火力が強いことが多く、火入れの調整がしやすいのが特徴です。本格的な料理を作りたいなどのこだわりがあれば、ガスコンロのほうが使いやすい可能性があります。
また、3口コンロの配置は、一般的に三角形が多いですが、鍋と鍋が干渉してしまうといった声もあり、3口横並びを採用する人も増えているようです。
キッチンの広さや調理スタイルを加味してコンロと配置方法を選択しましょう。
5.水栓の種類・浄水器一体型水栓
水栓の種類は、使い勝手やデザイン性、コストを考慮して選ぶとよいでしょう。浄水器一体型水栓を選ぶ家庭も増えているようですが、浄水器をつけない代わりにウォーターサーバーを置く家庭もあります。その際は、ウォーターサーバーの置き場所も考慮しましょう
6.通路幅
キッチンとカップボード・キッチンカウンターの間に通路がある場合は、通路幅の指定も忘れないようにしましょう。
通路幅が狭いと、キッチンとカップボードの扉が干渉したり、複数人での作業がしにくくなったり、すれ違いが難しくなったりすることがあります。
逆に、キッチンではなくリビングを広くしたいといった場合は、通路幅を広くしすぎないように調整が必要です。
7.ゴミ箱の置き場所
地域のゴミの分別方法を確認し、キッチンで使うゴミ箱の配置場所を決めておきましょう。ゴミ箱の高さや開き方によっても置ける場所が限られるため、どんなゴミ箱を置きたいかを考えておくのも失敗しないためのポイントです。生ゴミであればキッチンのシンクの下に設置すると使い勝手がいいといった声もあり、使い勝手の良さも考慮するとよいでしょう。
8.セカンド冷蔵庫(冷凍庫)の置き場所
共働き夫婦や大型スーパーの利用が増えている昨今、一度に買う量が増えてセカンド冷蔵庫(冷凍庫)を置く家庭が増えています。
はじめは夫婦二人で暮らしていても、家族が増えたり子どもが成長したりすることで必要な食材が多くなっていくことがあります。後から「置きたいけどスペースがない!」とならないように、必要であれば考えておきましょう。
9.コンセントの位置・数
キッチン、カップボードの両方にコンセントをつける家庭が多いですが、検討の際には調理家電の数や用途によって位置や数を考えておくことが大事です。
賃貸住宅から持ち家に引越しをしたり、家族が増えたりすると調理家電を増やしたくなることがありますので、コンセントの数は多めに考えておくと安心です。
10.掃除のしやすさ
天板やレンジフード、床やシンクなどを選ぶ際に、掃除のしやすさを考えることも重要です。日々の生活のストレス軽減にもつながります。
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参考にしたい! おしゃれなキッチン実例
キッチンの選び方は人それぞれです。ここでは、実際に注文住宅を建てた人が、どのような要望で、どのようなキッチンを選んだのかをご紹介します。
※住宅購入の無料相談窓口「住まいの窓口」に相談して、ハウスメーカーを選び、注文住宅を建てた人の実例です。
グレーで統一したフルフラットな対面キッチン

リビングとデザインを合わせてグレーで統一。子どもを見守りながらキッチンに立ちたいといった奥さまの要望を反映しています。

半独立型のキッチン

釣りが趣味のご夫婦は、釣ってきた魚の運びやすさや臭い対策、調理のしやすさを考慮してキッチンのレイアウトを決めました。キッチン側の壁にはマグネットパネルを採用し、収納を工夫しています。

壁付けキッチン&キッチンカウンター


夫婦でキッチンに立つことが多いため、二人で作業がしやすい壁付けキッチンを選択。高身長のご主人に合わせてレンジフードを高めにしています。
足元が冷えやすいキッチンですが、床暖房を入れて冬でも快適に過ごせるようにしたのだそう。
水回りを近くに配置し家事動線を工夫したキッチン


カップボードの横に扉があり、洗面所・浴室・ファミリークローゼットにつながっています。朝ごはんを作りながら、洗面所で身支度・洗濯をするなど、家事を効率的にこなせるそうです。
また、パントリーと冷蔵庫をキッチンの奥に配置することで生活感を抑えています。

趣味の調理器具が置けるように工夫したキッチン


コーヒーを淹れるのが趣味だというご主人が、調理器具の置き場所を考えながら決めたキッチン。調理器具とキッチンのカラーを合わせたことで、統一感のある洗練されたキッチンになりました。

腰壁タイプの生活感を隠したキッチン


腰壁があることで手元が隠れ、急な来客でも受け入れやすいキッチンです。フルフラットタイプの場合、天板や水栓のデザインにこだわることで予算が増えてしまうこともありますが、見た目を気にせず使いやすさを重視して選ぶことができました。

まとめ
注文住宅のキッチンは、家づくりにおいて重要なポイントになります。キッチンのレイアウトや設備の選択は、日々の生活の快適さに大きく影響します。
キッチンの基本を押さえて、見落としがちな後悔ポイントにも注意を払い、後悔のないキッチン作りを心掛けましょう。
また、ハウスメーカーを十分に比較し、自分たちのライフスタイルに合った最適なキッチンを選ぶことができる会社を選びましょう。
しっかりとした準備をして検討を重ね、毎日の生活が豊かになる理想のキッチンを手に入れてください。
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