住まいの老朽化の対策として、住宅を建替える方法があります。建替えは既存住宅の解体が前提となっており、新築住宅の建築とは異なる手続きや費用が発生します。ここでは、住宅の建替えの流れをはじめ、解体前に実施される事前調査や注意点について解説します。
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住宅の建替えとは、既存の建物の基礎となる柱や梁を取り壊し、更地にした状態で新たに建物を建築することです。建替えと似た言葉に、リフォームやリノベーションがありますが、これらの場合は基礎部分である柱や梁を残したまま工事を行います。

  • 老朽化している場合はリフォームよりもコストがかからない
  • 土地代がかからない
  • 補助金が活用できる

家の梁や柱が老朽化している場合は、建替えの方が適しているでしょう。部分的なリフォームやリノベーションを行っても、別の箇所に問題が生じ、再び改修しなければならない可能性もあります。その場合、建替えの方が、結果的に費用を抑えられることもあります。

 

また、もともと所有している土地で家を建替える場合は、土地代がかかりません。ライフラインについても、建替えの場合は既存の上水道を一部再利用することができ、下水道整備の際に負担しなければならない下水道受益者負担金も不要になります。

 

ほかにも、自治体によっては、建替えの補助金や助成金を活用できる場合もあります。たとえば、家屋やブロック塀の解体費用は、多くの自治体で補助金の対象となっています。自治体によって名称や受給条件・上限額などが異なりますので、各自治体のホームページや窓口で事前に調べておきましょう。

 

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住宅の建替えは、一般的に下記の流れで実施されます。

  1. 家を建替える計画を立てる
  2. 建替えを依頼する工務店・ハウスメーカーを選ぶ
  3. プランの作成・打ち合わせをする、見積りを取る
  4. 住宅ローンの仮審査を申し込む

  5. 建築請負契約を結ぶ

  6. プランを詳細に確認する
  7. 建築確認申請書の提出・ローンの本審査に申し込む
  8. 仮住まいに引越しをする
  9. 解体工事を行う
  10. 地盤調査を行う
  11. 建替え工事を行う
  12. 引き渡し・登記手続き・引越しを行う

住宅を建替える場合は、事前にしっかりと計画を立てておくことが必要です。建替えの目的や予算、完成時期などをあらかじめ明確にしておきましょう。住宅ローンの検討や適用できる給付金など、活用できる制度のリサーチも重要です。

 

ある程度計画が固まると、依頼先のハウスメーカーや工務店選びに入ります。業者ごとにそれぞれの特色があるので、メリット・デメリットなどを比較検討することが大切です。

 

依頼先が決まったら、具体的なプランを策定します。設計や間取り、仕様などを決める段階です。打ち合わせをしながら、見積りを取り、大まかな費用を確認しましょう。これらは、次に建築会社と締結する建物請負契約の決め手にもなります。

 

建物請負契約は、依頼した建築会社が仕事を完成することを約束し、注文者が完成に対し報酬を支払うことを約束する契約です。契約を結ぶ際には、サービスやお金に関する点をよく確認しましょう。サービス面では、工期や工事の保証、引き渡し後のアフターケアなど、費用面では代金の内訳や支払い、違約金やローンの特約、遅延損害金、見積の総額などがポイントです。

 

契約を締結したら、最終的な図面や仕様を決定します。ここでは、床や壁紙などの内装や、照明など細かな部分も決める必要があります。実際の生活を想定し、設計プランを立てましょう。

 

具体的なプランが固まったら、建築確認申請書を自治体か民間の検査機関へ提出します。これは、新しく建てる家が、建築基準法に則っているかの審査を依頼するものです。審査では、建蔽率や容積率のほかに、採光や換気などの環境、省エネ基準を満たしているかといった点がチェックされます。建築確認の審査に通れば、住宅ローンの本審査に申し込むことが可能となります。

 

審査終了後は、いよいよ工事がはじまります。解体工事が始まる前に、仮住まいへの引越しを済ませておきましょう。工事間際になって慌てないよう、余裕を持って準備することが大切です。

 

解体工事の期間は、木造2階建ての場合で1〜2週間、鉄筋・鉄骨コンクリートで3週間〜1ヶ月が目安です。振動や音で迷惑をかける場合があるので、近隣の住宅には事前に挨拶しておくといいでしょう。

 

解体後、家を新たに建てるときには、地盤調査を行います。新たに家を建てるために十分な地盤であるかを確認するものです。地盤調査で特に問題が見つからなければ、建替え工事が始まります。進捗状況を細かく確認しながら、様子を見守りましょう。

 

住宅の完成後の引き渡しには、住宅ローンの融資実行や工事費用の残金支払い、不動産登記などの各種手続きが発生するため、多くの準備が必要です。これらの手続きはハウスメーカーや金融機関、司法書士が代行してくれることが多くなっています。引き渡しを受け、引越しが完了すると、ようやく新しい住まいでの生活がスタートします。

建替えを考えている場合は、次の点に注意しながら計画を進めましょう。

建物を新たに建てる場合、「接道義務」について確認しておく必要があります。これは、消防活動や災害時の避難経路を確保するために「建築基準法」で決められているルールで、「幅4m以上の道路に、土地が2m以上接していなければならない」というものです。もし、この条件に当てはまらない場合は、建替え時に土地と道路の境界線をセットバック(後退)させる必要があります。場合によっては、建替えによって、新しい住宅が既存の住宅よりも小さくなる可能性もあるでしょう。

地盤調査は、法律によって義務づけられています。調査を受けなければ、解体工事に着工することができません。また特に地盤が軟弱だと判断された場合は、地盤の改良工事が必要になります。

建替えの場合は、建物の解体費用をはじめ、建物滅失登記の費用、仮住まいの費用など、新築とは異なる費用が発生します。見積りの段階で、あらかじめ予想できる費用を洗い出しておくことが大切です。

建替えの場合、元の建物を解体し、新たな建物を建てるまでの期間を過ごす、仮住まい先が必要です。解体から引き渡しまでの目安は、およそ半年から1年間です。そのため、ハウスメーカーとの契約を締結する前の段階から、仮住まい先を探しておきましょう。

建替え工事は、揺れや音、ホコリなどが発生します。周辺住民の生活に影響を及ぼす可能性もあるため、事前に挨拶しておくと安心です。

水道や電気、ガスといったライフラインについても、解体前に対応が必要です。水道は工事で使用するため停止する必要はありませんが、ガスや電気は、きちんと停止しておかなければ、事故につながる場合もあります。ハウスメーカーや施工を請け負う担当者と確認しながら、対応を進めましょう。

必須ではありませんが、家族を守ってきた家への感謝や工事の無事といった願いを込め、お祓いをお願いするのも良いでしょう。こうした儀式は宗教や地域によって方法が異なりますので、それぞれに合った方法を検討しましょう。

 

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建替えた方がいい場合は?

建物全体が老朽化している場合は、リフォームやリノベーションよりも、建替えが望ましいことが多いです。詳しくは「建替えとは?」をご覧ください。

建替えのスケジュールは?

建替えには、建築会社の選定、プランの確認、仮住まいや引越しの準備、各種手続きなど、段階ごとに準備が必要です。詳しくは「建替えの大まかな流れは?」をご覧ください。

建替えできない土地はある?

新たに建物を建てる土地は、幅4m以上の道路に2m以上接していなければなりません。詳しくは「建替える時に注意するポイント」をご覧ください。

建替えだけにかかる費用の種類は?

建替えには、解体費や登記簿など、新築時とは異なる費用が発生します。詳しくは「建替える時に注意するポイント」をご覧ください。

 

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