一戸建てを購入するとなると、土地や条件にもよりますが、ほとんどのケースで数千万円の費用が必要となります。金銭的な理由から、なかなか一戸建ての購入に踏み出せない人もいるかもしれませんが、工夫次第ではローコストでマイホームを建てることも可能です。
そして、ローコストで住宅を実現するうえでは、平屋も有力な選択肢の一つとなります。この記事では、平屋の特徴を解説したうえで、ローコストで理想的な住まいを実現させるコツを紹介します。
無料で住まいの窓口に相談する平屋住宅の住宅カタログを探す
平屋のメリット・デメリットを確認しておこう

もともと、日本に平屋は多く存在していました。しかし、戦後から昭和の終わりにかけて都市部の人口が増えるにつれて、限られたスペースを有効活用する住宅のニーズが高まってきたのです。
その結果、マンションや団地といった高層の集合住宅が増えて、平屋の数が減ったという背景があります。現在でも、物件の数そのものは決して多くありませんが、機能性の高さや、平屋ならではのメリットが注目されているのも確かです。
平屋のメリット
平屋には、以下のような特長があります。
メリット
- 広々とした開放的な空間
- コミュニケーションが活発になりやすい
- 移動しやすい平坦な間取り
- バリアフリー性の高さ
- 建築や補修時に大がかりな足場が必要ない
- 水回りの設備が1ヶ所で済む
■広々とした開放的な空間
平屋は2階建て以上と比べて天井高をしっかりと確保できるため、広々とした開放的な空間をつくれます。またすべての生活スペースが同じフロアにあるため、家族の様子が見えやすく、コミュニケーションが取りやすいというのが魅力の一つです。
■移動しやすい平坦な間取り
掃除や洗濯の際に、階段を上り下りする必要がなく、家事の手間や負担を軽減できます。たとえば、2階建てにありがちな1階の洗濯機を使用してから2階のベランダに干して、また1階のクローゼットに収納するといった面倒な移動がありません。
■バリアフリー性の高さ
平屋は生活に必要なすべての設備がワンフロアに収まっているため、高齢になっても住みやすいのが魅力です。階段から転落するリスクがないため、高齢者や小さな子どもと同居していても安心です。
■建築や補修時に大がかりな足場が必要ない
2階以上の外壁の修繕には、大がかりな足場を使用するため、どうしても施工コストがかかってしまいます。それに対して、平屋の場合は地上から直接作業を行えるため、メンテナンスコストを抑えやすい面があります。
■水回りの設備が1ヶ所で済む
平屋は浴室やトイレがそれぞれ1ヶ所で済むため、工事費用のコストダウンができます。配管もまとめやすいため、設備費用だけでなく施工コストも抑えることが可能です。
平屋のデメリット
平屋には、コンパクトな間取りなので効率の良い暮らしができるというメリットがある一方で、いくつかデメリットもあります。
デメリット
- プライバシーの確保に工夫が必要
- 日当たりを確保しにくい
- 部屋数を確保しにくい
- 設備や間取りの柔軟性に欠ける
■プライバシーの確保に工夫が必要
アパートやマンションの2階以上に住む場合と比較して、平屋は外からの視線が入りやすいというデメリットがあります。塀や防犯カメラの設置などで、プライバシーの確保を図り、防犯上のリスクを減らす工夫が必要です。
■日当たりを確保しにくい
周辺に2階建て以上の建物が集まっていると、日当たりが悪くなるという問題が生じます。中庭をつくって採光と風通しを確保したり、天窓を設置したりするのが効果的な解決方法です。
■部屋数を確保しにくい
縦に居住スペースを拡大できる2階建て以上と比べて、平屋は部屋数を確保しにくいという特徴があります。都市部などで十分な敷地面積が確保できず、なおかつ部屋数を多く必要とする場合には、2階建てや3階建ての方が理想の間取りを実現しやすいでしょう。
■設備や間取りの柔軟性に欠ける
ローコストで平屋を建てる場合、費用の分配において優先されるのは住宅の耐震性や安全面です。そのため、費用の問題からキッチンやトイレのグレードの向上が難しい、部屋を自由に区切れないなど、設計プランに制限が生まれる可能性もあります。
ローコストで平屋を建てるために押さえておきたいポイント

ローコストで一戸建てを建てる場合、大事なポイントとなるのは、できる限り材料費を節約することです。しかし、コストを削減するからといって、安全性や快適さまで損なわれてしまえば元も子もありません。
そこで、品質を落とさずにコストを抑える方法として意識しておきたいのが、「標準仕様を中心にセレクトする」という点です。標準仕様は一括購入できる建材や効率化された工法を用いて、ローコストながら安定した品質を保てるところに強みがあります。
そのため、施工会社の規格プランや標準仕様といった、シンプルな建築方法を選択するといいでしょう。そのうえで、加えたい設備があれば、その部分だけオプションで補うという方法もあります。
また、基本的な建築費は「坪単価×延床面積+その他の費用(別途工事費・諸経費)」で計算されるので、当然ながらコンパクトなつくりの方がコストは安くなります。
ローコスト住宅講座 無料で住まいの窓口に相談する 平屋住宅の住宅カタログを探す
本体価格を1,000万円程度に抑えられる超ローコスト住宅とは

超ローコスト住宅とは、コスト削減と工法の効率化によって、建築費をギリギリ(1,000万円程度)まで抑えた住宅のことです。注文住宅の平均的な建築費は3,000万円以上とされているため、1,000万円程度であればかなり安い水準といえます。
具体的な特徴としては、以下のような点が挙げられます。
特徴
- 本体価格1,000万円程度、坪単価30万円以下
- 間取りや設備は規格化されている
- 建材や設備の一括購入で調達コストを抑えている
- 打ち合わせの回数や工期を短くして人件費を削減している
- 広さは20坪程度とコンパクト
建築会社の規格プランや標準仕様を選択したうえで、20坪ほどの広さであれば、本体価格を1,000万円程度に抑えた超ローコストの平屋を建設できます。20坪であったとしても、2LDKは確保できるため、夫婦2人あるいは子どもを含めた3人で生活する分には問題がないでしょう。
限られた敷地面積で居住スペースを広げるには、ロフトを設けたり、間取りを調整して廊下を減らしたりするといった方法もあります。
ローコストで平屋を建てる際の注意点

価格を抑えて平屋を建てることは可能ではあるものの、注意点があります。まず、法令上の理由から、そもそも平屋を建てるのが難しい土地があります。
建ぺい率の確認
建物を建てる際には、建築基準法で「建ぺい率」による制限がかかります。建ぺい率とは「敷地面積(土地の面積)に対する建築面積(建物を真上から見たときの面積)の割合」のことです。
たとえば、敷地面積が100平米で、建ぺい率が50%の場合、建てられる住宅の建築面積は50平米までとなります。周辺の環境との兼ね合いや火災の延焼を防ぐ目的から、敷地を目いっぱいに使って建物を建てることはできず、定められた建ぺい率を守る必要があるのです。
2階建て以上であれば、多少建ぺい率が低くても、縦に空間をのばせるので居住空間の確保はしやすいです。それに対して、平屋は1階部分の面積がそのまま延床面積になるため、建ぺい率が特に重要となります。
そのため、平屋を建てたい土地が見つかった場合は、敷地の面積だけでなく必ず建ぺい率もセットで調べましょう。各自治体のホームページでは、その土地の建ぺい率が公表されているため、チェックは比較的簡単です。
コストダウンすべきでないポイント
効果的な節約を行うことで、ローコストでの平屋の建設は可能になりますが、コストダウンすべきでない箇所もあります。
■外構工事
プライバシーの確保が重要になる平屋の場合、フェンスや門扉などの工事には、しっかりとコストをかけるべきです。雨や風の影響を受ける部分は、室内よりも劣化が早いため、丈夫で機能性の高い資材を選ぶことをおすすめします。
■耐震性・断熱性
マンションの高層階などと比較して、平屋は地震が起きた際の揺れが小さい傾向がありますが、安全に関わるため耐震対策は入念に行う必要があります。また、住まいの断熱性に関するポイントも、なるべく優先的にコストを割くことが大切です。
断熱性が不十分な場合、室内の冷暖房の効率が悪くなり、結果的に月々の光熱費が上がってしまいます。また、断熱がうまくいっていないと外壁と内壁の間に湿気がこもりやすくなるため、建材が早く傷んでしまう原因にもなるのです。
■水回りの設備
コストに余裕があるなら、キッチンやトイレなど、毎日使用する水回りの設備に関しては、できる限り費用をかけるといいでしょう。特にキッチンは、頻繁に料理をする人の意見を大切にして、できるだけ理想を実現させたいところです。
無料で住まいの窓口に相談する 平屋住宅の住宅カタログを探す
平屋の施工会社選びで意識しておきたいポイント

2階建てと比べると、平屋の総数は決して多くありません。そのため、すべての施工会社が平屋の設計や建築のノウハウを持っているわけではない点に注意が必要です。
依頼先を選ぶ際には、最初から1社に絞るのではなく、平屋の施工実績がある複数の会社に見積もりを依頼してから検討を始めましょう。LIFULL HOME’Sには、平屋の施工事例をまとめた「平屋の住宅カタログ」があります。
平屋を建てたいエリアを選択すると、施工事例や施工会社を調べることができます。気になる物件や施工会社があれば、資料やカタログを取り寄せることも可能なので、ぜひ活用してみてください。
まとめ

- 平屋には効率の良い暮らしができるというメリットがある一方で、周辺の環境によっては、日当たりやプライバシーを確保するのが難しいのがデメリット
- 資材を統一して、シンプルな建築方法を選択すると、コストを抑えられる
- 20坪の広さで工夫をこらせば、建築費1,000万円程度の超ローコスト住宅の建築も可能
- ローコストで平屋を建てる場合、建ぺい率の確認と、将来的なメンテナンスコストの試算が必要
- 平屋の総数は多くないため、建築のノウハウや実績のある施工会社を選ぶことが大切
無料で住まいの窓口に相談する 平屋住宅の住宅カタログを探す
更新日: / 公開日:2022.10.03










