1級建築士の蔦田頼主です。今回は、住まいにおいて大事な“寝室”について、家づくりのアイデアを紹介いたします。これから注文住宅を建てようと検討している方などの参考になればうれしいです。

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寝室づくりで気をつけること

 

まずは寝室の配置ですが極力、リビングなどの人の集まる空間からは離したほうがいいです。家族形態にも寄りますが、寝室で静かに休みたいときにリビングから近い場所にあると、きちんとした防音対策を取らなければ音が漏れてしまうことが多いです。

 

家全体をあまり広く取れないなど仕方のない場合もありますが、せっかく一戸建てを建てるのであれば、家族団らんの空間とプライバシー性の高い寝室は分けることをおすすめしています。

 

どうしても、寝室と団らんの空間が隣り合ってしまう場合は、壁に遮音材を入れるなどして、音が漏れないように工夫をしましょう。また、部屋と部屋の間には収納を設けるなどして、できるだけ寝室と団らんの空間に距離を取るようにしましょう。

 

2階建ての住宅の場合は、寝室の上下階にリビングや子ども部屋が重なるのも避けたほうがいいです。足音はとても(特に下の階に)響きやすいので、音を気にする人に対しては、必ずアドバイスしています。

 

居室には、外気を取り入れるために給気扇が設置されます。その際、ベッドの近くに給気扇が設置されてしまうと、冬などの寒い日には足元や頭が寒く感じることがあります。

 

給気扇を壁の上のほうに設置しても、冷たい空気のほうが重いため、あまり対策にはなりません。寝室は計画の段階でベッドの向きや大きさも検討し、そのうえで給気扇の位置を決めるようにしましょう。

 

また、下階にキッチンやトイレ、浴室などがある場合は、その換気扇の位置が、寝室の給気扇の真下にこないように計画しましょう。キッチンやトイレのにおい、浴室の湿気が寝室に入ってきてしまうと、良質な睡眠を妨げる原因になることがあります。

 

ベッドを搬入する際、寝室までの搬入経路が確保できていないと、廊下や内壁によってマットレスやフレームが入らなくなってしまう場合があります。

 

そうなってしまうと、本当は設置したかった家具が置けないという事態が生じてしまうため、ほかの部屋も同様ですが、寝室もあらかじめ置きたい家具の想定をしておきましょう。

 

ベランダをつくる主なメリットとしては、次のような点が挙げられます。

メリット

  • ベランダに出るための掃き出し窓からいざというときに家具が搬入できること
  • 物干しスペースとして利用した場合、そのまま寝室に衣服を取り込めること
  • エアコン室外機の置き場所になること

一方、デメリットは次のとおりです。

デメリット

  • 泥棒などの侵入経路になりやすいこと
  • 大きい窓により、しっかりとした断熱計画が必要になること
  • 窓に結露が生じやすいこと
  • 部屋の家具レイアウトに制限が生じやすくなる(出入り口窓の前には家具が置きづらい)こと

このように寝室につくるベランダは一長一短です。どちらのほうが絶対にいいという話ではありません。

 

物を干しやすい寝室にしたいのか、なるべく窓を少なくした静かな寝室にしたいのかなど、あくまでどういう寝室をつくりたいのかをベースに考えましょう。

 

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理想の寝室をつくるうえでのアイデア

動線計画を考慮する

 

まずは、一日のライフスタイルを思い描いてみてください。

 

たとえば、洗濯物をベランダに干す。ベランダから取り込んだ洗濯物はそのまま寝室で畳んだ後、収納にしまう。休日には布団を外干しするなど。

 

こんなライフスタイルであれば、寝室からベランダに直接出られるようにしておき、洗面所からもベランダに直接出入りできるようにしておけば、洗濯物を直接干したり、取り込んだりすることができます。

収納計画をしっかりと立てる

 

寝室は“着替える”行為と連動した空間でもあります。洋服用の収納やウォークインクローゼットなど、自分の衣服がしっかりしまえる空間が必要になります。

 

この収納スペースがしっかり取れていないと、せっかく整理整頓したいと思っている寝室に衣服があふれてしまったり、部屋の中に市販のハンガーバーを設置しなくてはならなくなったりするなどの不具合が生じてしまいます。

 

また収納は、衣服以外にも、住む人のライフスタイルによって適宜設けられていると使いやすいです。

 

私が過去に担当させていただいたお客さんで、寝る前と朝は必ず本を読むという方がいました。書斎を設ける余裕はなかったので、寝室を書斎代わりにして、あらかじめ本がたくさんしまえるような作り付けの棚を設置しました。

 

後から本棚を買ってくるよりも、作り付けの棚だと地震でも倒れる心配がなく、部屋のインテリアに配慮したデザインの棚をつくることができました。

 

本棚以外にも、たとえばショーケースやパソコン作業用のスペース、化粧品置き場など個人のライフスタイルによって、必要な収納を適宜設置するといいでしょう。

窓を極力減らしてみる

 

家全体にも同じことがいえますが、寝室に設置する窓はなんとなくではなく、きちんと意味を持たせて設置することをおすすめします。窓にもさまざまな種類があり、窓によって特徴があります。

 

もし、光を取り入れることの優先順位が低く、インテリアにこだわりたいのであれば、思い切って窓を極力減らしてみるのもひとつの方法です。

 

窓が少なければその分壁が増えて、アクセントウォールや間接照明など、寝室のインテリアデザインに幅を持たせることができます。

 

また、窓が少なくても適切な場所に窓が配置されていれば、換気や自然光を効果的にとりつつ、防犯やプライバシーに配慮した落ち着いた寝室をつくることができます。

 

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狭小住宅の場合…寝室をつくるうえでのアイデア

 

狭小住宅の寝室(4~6畳前後)であれば、寝室の外にクローゼットを設置するのもひとつの手です。

 

私が以前担当した、床面積が1階と2階を合わせて25坪前後の狭小住宅では、どうしても寝室の面積が4畳しか取れませんでした。

 

クローゼットを設けると、ベッドでクローゼットの入り口をふさいでしまい、使い勝手の悪い寝室になってしまうため、ライフスタイルを十分にヒアリングしてから、思い切って寝室の外に家族共用のウォークインクローゼット兼着替え場所を設置しました。

 

これにより寝室のベッドは少し大きいものを置くことができ、家族で着替えの時間がかぶることもほぼないとのことでした。

 

洗濯物も、いちいち寝室に入らなくていいので、干した後そのままハンガーに掛けることができ、糸くずが寝室に入ることも少なく、掃除も楽だと喜んでもらえました。

寝室

 

寝室には寝ることのほかに、洗濯物をたたむ・しまう、着替える、くつろぐなど、意外と多くの役割があります。

 

そのため、寝室の使い勝手はリビングと同じくらい、ライフスタイルの質を左右することもあります。繊細な人であれば、小さな外の物音やカーテンの隙間からの光、窓付近の温度変化なども気になる要素になります。

 

関心のない人であれば、家づくりにおいて後回しになってしまうケースもある寝室ですが、ぜひ一度、自身の理想を整理して、こだわってみてはいかがでしょうか。

 

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