2階建てや3階建てなどの高さがある住宅を建てる場合、一部の空間を吹き抜けにして、室内に開放感を持たせるのもひとつのアイデアです。

異なる階層をつなげる吹き抜けは、採光性や通風性を高めるテクニックでもあり、主に広い空間を確保したいリビングなどで用いられるのが一般的です。

しかし、住まいのつくりによっては、リビングではなくキッチンに吹き抜けを設けたいと考える場合もあるでしょう。今回はキッチンに吹き抜けを設ける際の注意点について解説します。
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キッチン

吹き抜けとは、2階やそれ以上の階数にわたって床や天井を設けず、縦方向に空間をつなげる構造のことを指します。ここではまず、吹き抜けの基本的な特徴について、メリットとデメリットの両面から見ていきましょう。

吹き抜けには以下のようなメリットがあります。

メリット

  • 開放感が生まれる
  • 自然換気がしやすい
  • 天窓を採用すれば室内全体が明るくなる
  • 上下の空間につながりが生まれるため、コミュニケーションを図りやすい

吹き抜けの魅力は、やはり室内に生まれる開放感にあります。縦に大きな空間を確保することで、実際の床面積よりも広く見える効果があるとともに、採光性や通気性などの性能も向上します。

 

吹き抜け部分に天窓を採用すれば、部屋の隅々まで日光が届き、照明をつけなくても明るさを確保することが可能です。また、上下の空間につながりが生まれるので、家族同士でコミュニケーションを図る機会が増えるのもメリットといえます。

一方、吹き抜けには以下のようなデメリットもあります。

デメリット

  • 確保できる床面積は狭くなる
  • 1階部分の音が響きやすい
  • 天井高がある分、掃除が大変
  • 冷暖房効率が下がってしまう

吹き抜けにした部分は床面積が削られてしまうため、十分な広さを確保できない敷地では、部屋数を減らしたり、収納スペースを小さくしたりするなどの工夫をしなければならない場合もあります。

 

また、1階部分の音が上階まで抜けてしまうので、吹き抜け付近の部屋は生活音が気になってしまうといった問題も起こります。

 

それ以外のデメリットとしては、天井高があることによる掃除の難しさが挙げられます。専用の清掃用品を用意したり、必要に応じて清掃会社などに依頼したりしなければならないケースもあるので、施工時にメンテナンスの計画を立てておく必要があります。

 

また、吹き抜けにしたエリアは大空間になるため、冷暖房効率が下がってしまうのも難点です。吹き抜けを導入するのであれば、これらのデメリットをきちんと理解したうえで、具体的な対策方法を考えていくことが大切です。

吹き抜けのキッチン

料理のニオイが広がってしまうため、一般的にキッチンは、吹き抜けに不向きなエリアとされています。しかし、設計段階で工夫をすれば、決して実現不可能ではありません。

 

たとえば、吹き抜けのあるキッチンを実現するためのアイデアとしては、以下のような方法が考えられます。

アイデア

  • 吹き抜け部分に換気用窓を設置する
  • 半個室のようなレイアウトにする
  • セパレートキッチンにしてコンロは壁側に設置する
  • 吹き抜け部分から2階の寝室を離す

ニオイ対策の基本となるのは、換気用窓の設置です。換気性能の高いつくりにして、効率的にニオイの排出を行えるようにルートを確保することで、家全体に料理のニオイが広がるのを防ぐ必要があります。

 

また「キッチンを半個室にする」「セパレートキッチンにしてコンロは壁側に設置する」などの方法もあります。料理のニオイが発生するのは主に火元となるコンロ側なので、そちらを壁にくっつけることで、ある程度空気が室内に広がらないようにできるのです。

 

そのうえで、2階の室内配置にも工夫できるポイントがあります。吹き抜け付近のスペースは、どうしても1階部分の空気の影響を受けてしまうので、トイレや廊下などを配置するようにして、居室や寝室はできるだけ遠ざけるのがコツです。

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吹き抜け

吹き抜けを導入するデメリットのうち、寒さや冷暖房効率に関するポイントは住まいのつくり次第で、ある程度解消することが可能です。ここでは、寒さ対策の具体的な方法について見ていきましょう。

具体的な寒さ対策としては、住まい全体を高気密・高断熱化して住宅性能を高めるのが基本となります。

 

高気密とは、住まいにおいて外部との隙間を少なくして、室外との空気の出入りを低減した状態であり、高断熱とは適切な断熱材の使用によって、室外の空気の影響を軽減できている状態のことです。

 

どちらも室温を一定に保つ役割を持っているため、高気密・高断熱住宅であれば、大胆に吹き抜けを採用しても、寒さに強い快適な住環境が保たれやすくなります。

全館空調システムとは、すべての居室や廊下、浴室といった建物内の冷暖房を一元的に管理し、24時間換気を行う仕組みのことです。

 

全館空調システムを採用すると、部屋間や上下階間の温度差はほとんどなくなるため、吹き抜けを導入しても寒さが気になる心配はありません。

吹き抜け

吹き抜けをどこに設けるかによって、住まいのイメージや住み心地には違いが生まれます。キッチン以外の選択肢にも改めて目を向けながら、最適なエリアを見つけてみましょう。

リビングの吹き抜け

吹き抜けを設ける場所としてリビングは、もっとも一般的なスペースであり、広々とした空間を確保できる開放感が大きな魅力です。

 

また、リビングは家の中心にあたるため、上階との一体感が生まれることで、家族間でのコミュニケーションを図りやすくなるのもメリットといえます。

 

ただ、吹き抜けの面積によっては、冷暖房効率が悪くなってしまうので、シーリングファンなどを取り付けて空気の循環を手助けする必要もあります。

ダイニングの吹き抜け

ダイニングも家族が集まる機会が多いエリアであり、吹き抜けにして開放感を持たせると、快適な一家団らんのスペースをつくれます。

 

ただ、キッチンと同じく料理のニオイが広がってしまう可能性はあるため、導入は何らかの換気対策とセットで行うほうがいいでしょう。

玄関の吹き抜け

玄関は住まいの顔ともいえるスペースであり、吹き抜けにすることで家全体に開放感のあるイメージを持たせられるのが特徴です。

 

玄関はどうしても狭く圧迫感のあるスペースになりやすいため、高さを設けて広さを演出すると、大きな効果が期待できます。

 

ただ、室内では特に、外気の影響を受けやすいエリアでもあるので、吹き抜けの導入時にはエアコンなどの設置を検討することも大切です。

階段の吹き抜け

室内スペースを大きく圧迫せずに階層同士の一体感を持たせたいときには、階段部分を吹き抜けにしてみるのもひとつの方法です。

 

間取りの配置によっては、大きな窓を設けることで室内の採光性を高めたり、縦方向にゆるやかなつながりを持たせたりできます。

和室の吹き抜け

意外に思われるかもしれませんが、吹き抜けは洋室だけでなく和室にも合う構造です。

 

畳の部屋には独特の香りやぬくもりがあるため、「リビングを和室にしたい」といったアイデアを実現するうえで、日当たりを確保するために吹き抜けにするケースもあります。

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相談窓口

注文住宅を建てるときには、決めるべき項目が多くなるため、プランを考える段階でつまずいてしまうことも少なくありません。

 

特に、吹き抜けなどの特殊なつくりを導入する場合は、自分では気付かなかった注意点や工夫できるポイントがあるかもしれないので、専門家にアドバイスをもらってみるのも有効です。

 

LIFULL HOME’Sの「住まいの窓口」では、ハウジングアドバイザーから、専門的な視点でアドバイスをもらえます。また、理想を叶えるための条件整理を手伝ってもらったり、プランや予算から適した施工会社を紹介してもらったりすることも可能です。

 

すべてのサービスが無料で何度も利用できるので、家づくりのプランに迷ってしまったときには、ぜひ活用してみてください。

 

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  • 吹き抜けは空間に開放感を生み出し、日当たりや通気性を高めるメリットもある
  • 冷暖房効率が下がってしまうので、何らかの対策は必要
  • キッチンに吹き抜けを設けるなら、料理のニオイが広がらないような対策が必要
  • 換気窓の導入や配置の工夫をすればキッチン吹き抜けの導入も可能
  • 吹き抜けの設置場所は、リビングや玄関、階段、和室などさまざまなスペースも検討してみよう
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更新日: / 公開日:2022.04.08