働き方の多様化や新型コロナウイルスの影響などでテレワークが普及し、住まいに求める条件も変わりつつあります。特に、間取り考えるうえでは“在宅勤務がしやすいかどうか”が重要な要素となってきています。
今回は、マイホーム購入の専門家である草野芳史さんにお話を伺い、これから新しく住み替えをする人のために、在宅勤務に適した間取りについて解説します。
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在宅勤務で浮上した住まいの課題とは?

以前は家にいる時間が少なくて気にならなかったことでも、在宅勤務が増えると住まいの課題が見えてきます。
特に、仕事に集中する環境をいかに整えるかについては、在宅勤務をする人の多くが頭を悩ませている問題です。
住まいでの在宅勤務における問題点としては、主に以下のようなケースが考えられます。
問題点
- 仕事をする作業スペースがない
- オンライン会議を行う場所がない
- 仕事の資料を保管しておく場所がない
- パソコンやプリンターなどの機材を置く場所がない
- 子どもやペットがいて仕事に集中できない
- 防音設備がなく、外からの雑音で仕事やオンライン会議がしづらい
在宅勤務に適した間取りの条件とは?

在宅勤務に適した間取りの条件は、仕事の内容などによっても異なります。ここでは広さと設備、環境の3つのポイントについて、間取りの条件を整理してみました。
在宅勤務に必要な広さ
まずは、在宅勤務に必要な広さですが、ノートパソコンひとつで場所を選ばず作業できる場合は、カウンターテーブルがあればリビングでも対応できます。
しかし、A3サイズのプリンターを使ったり、仕事の資料が多かったりする場合は、最低でも3畳程度の広さが必要になるでしょう。
また、テレワークではあまりないかもしれませんが、来客対応のスペースが欲しい場合は、最低でも4畳半以上は確保したいところです。
在宅勤務に必要な設備
会社の設備を一式自宅にそろえるのは難しいかもしれませんが、それでも在宅勤務を問題なく遂行するためには、必要最低限の設備を整える必要があります。
在宅勤務に必要な設備は、以下のとおりです。
在宅勤務に必要な設備
- コンセント
- 仕事部屋のネット環境や照明
- 快適な室内環境を整えるためのエアコンや空調設備
- 防音効果の高い防音材や吸音材
- 文具や資料などを収納できる引き出しや棚(個人情報を取り扱う場合は鍵付きのもの)
集中しやすい場所の条件
これから住み替えなどで間取りを考える際は、リビングなどの共有スペースで仕事をするのではなく、在宅勤務用に個室を設けるのがおすすめです。
特に、仕事に集中したいという人は、できればLDKや子ども部屋から離れた場所に仕事用の個室を設けるようにし、方角は光が差し込みすぎない北側がいいでしょう。
もし、近所に交通量の多い道路や店舗などの騒音が出やすい施設がある場合は、個室の場所はなるべく遠い位置に配置するのがおすすめです。
注文住宅を探す 注文住宅カタログを探す在宅勤務におすすめの間取り

快適に在宅勤務をするためには、オンとオフの切り替えも大切なポイントです。
仕事部屋をLDKや寝室から離れた位置にしたり、休憩場所をどこにするのか意識したりしながら間取りを考えましょう。逆に、家事や育児をしやすくしたいという場合は、LDKの近くで作業できるように工夫するのがおすすめです。
また、意外に見落としがちなのが日当たり条件です。日当たりや眺望がいいと、仕事に集中できないことがあります。明るすぎると目が疲れてしまったり、オンライン会議の際にカメラ映りが悪くなったりすることも想定されます。
それでは、シチュエーション別の在宅勤務におすすめの間取りについて紹介します。
夫婦で在宅勤務をする場合の3LDKの間取り
夫婦で在宅勤務をする場合は、それぞれの仕事スペースを確保する必要があります。
プリンターなどの機材が共有できるかどうかで場所を決めたり、オンライン会議の頻度や有無によってスペースを分けるか検討したりするようにしましょう。

上記は、3LDKの一戸建ての間取り例です。
1階の洋室と2階のLDKの一角には、テレワークに適したカウンターテーブルを設置します。夫婦がそれぞれ別に仕事をすることができ、子どものスタディコーナーとして兼用することもできます。
オンライン会議や個人情報を扱う場合は1階の居室が適していますが、2階のダイニングのカウンターテーブルであれば家事もしやすいので、使い分けができます。
もし、広さに余裕がなく、子ども部屋などで部屋が埋まってしまう場合は、オンライン会議を行う際は寝室の一角のスペースを使ったり、リビングに据え置き型のテレワーク用のブースを設置したりといった方法があります。
1人で在宅勤務をする場合の間取り
家族の中で1人だけ在宅勤務をする人がいる場合で、たとえば家事や育児をするのであれば、LDKや来客対応のしやすい玄関付近に仕事部屋を設けるのがおすすめです。

上記は、1階のリビング横にガラス戸で間仕切りをした洋室を設けている間取り図です。玄関からもリビングからも近く、さらにバルコニーも設けられているので息抜きもできます。
仕事をしているときは間仕切りをすれば集中しやすく、テレワーク以外にもくつろげる空間として活用できます。リビング横であれば多目的スペースとして利用できるので、ライフスタイルの変化にも対応しやすいでしょう。
1人分のスペースであればあまり広さは必要ありませんが、静かな場所で集中しやすい環境を望む場合は、リビング以外のスペースにカウンターテーブルを設けたり、専用の居室を設けたりするといいでしょう。
在宅勤務の間取りや環境で注意したいこと

在宅勤務の間取りは、業種や仕事の内容などによって適した環境が異なるため、家での仕事がどのようなスタイルになるのか、しっかりと整理しておくことが大切です。
床材や壁などに防音性能の高い設備を取り入れて音漏れ対策をしたり、セキュリティ対策のために鍵付きのキャビネットの設置を検討したり、といったケースもあるでしょう。
また、音だけでなく振動にも注意が必要です。キャスター付きの椅子は、階下に振動が伝わることがあるため、ほかの家族が不快に感じることもあるかもしれません。
リビングの真上に仕事部屋を配置しないなど、在宅ワークをする人以外のことも考慮して間取りを考えましょう。
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