親世帯と子世帯が共に暮らす二世帯住宅ですが、いざ建てるとなると費用負担や住宅ローンの組み方など、資金計画で頭を悩ませることもあるでしょう。
注文住宅はゼロから設計ができますが、その分費用については住む人同士が話し合いをしながら、慎重に決めていく必要があります。
今回は、二世帯住宅の資金計画で失敗しないために、資金計画を立てる際のポイントと注意点、二世帯住宅ならではの住宅ローンの種類や減税制度について紹介します。
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二世帯住宅にかかる費用の目安は?

二世帯住宅というと、一般的な住宅よりも費用が高くなる傾向にありますが、費用の目安は住宅の間取りタイプによって異なります。
二世帯住宅には、寝室などの居室を除いてほとんどの生活空間を二世帯が共有する「完全同居型」と、玄関やリビングなどの一部を共有する「部分共有型」、すべての生活空間を分離した「完全分離型」の3つのタイプがあります。
完全同居型は、単世帯用住宅と費用差が少ないため、二世帯住宅の間取りタイプのなかでは一番コストを抑えられます。
間取りのタイプ別費用目安(木造2階建て、延床面積30〜40坪の注文住宅の場合)は、以下のようになります。
間取りのタイプ別費用目安
- 完全同居型…坪単価目安65万~100万円程度。建築費目安1,950万円~
- 部分共有型…坪単価目安80万~130万円程度。建築費目安2,400万円~
- 完全分離型…坪単価目安85万~150万円程度。建築費目安2,550万円~
部分共有型は、どの部分を共有するのかによって費用に差がありますが、単世帯用の住宅よりも2割以上、完全分離型は二世帯分の設備が必要になるため3割以上の建築費がかかるでしょう。
資金計画を立てる際はどのような間取りを選択するべきか、二世帯でしっかりと話し合うことが大切です。
二世帯住宅で資金計画を立てるときのポイント

二世帯住宅の資金計画を立てる際は、親世帯と子世代がそれぞれどのように資金を出し合うか相談する必要があります。
LIFULL HOME’Sが二世帯同居もしくは三世帯同居している人を対象に実施した2017年の調査では「ほぼ親世帯が出した」との回答が3割以上、続いて2割台で「ほぼ子世帯が出した」「半分ずつくらい出した」という結果となりました。
それぞれの家庭によって、親子世帯で負担する割合は異なると考えられますが、まずは以下の点について意識しながら資金計画を立ててみましょう。
共有部分と独立させる部分を家族で話し合う
二世帯で暮らすとなると、生活リズムの違いやプライバシーへの配慮などが重要なポイントとなります。
仮に、部分共有型などで共有部分を設ける場合は、費用に大きく影響します。どの部分を共有にするのか、家族でよく話し合うようにしましょう。
たとえば、玄関を2つにする場合は、設備価格と施工費で100万~200万円プラス、浴室や洗面所を2つにすると最低でも150万円以上はかかるでしょう。
LDKを増やす場合はコストがもっとも高くなり、システムキッチンの設備価格と施工費だけでも150万〜200万円プラス、さらに建具や内装、給排水設備、照明などの費用も発生します。
お互いの生活リズムに配慮しつつも、どのような間取りであれば予算内で建てることができるのか、シミュレーションや見積もりなどを踏まえて検討しましょう。
万が一のときの住宅ローンの対処法について決めておく
二世帯住宅の資金計画で特に注意したいのが、住宅ローンを組むケースです。二世帯住宅ならではの住宅ローンとしては、親子で返済していく「リレーローン」や「ペアローン」があります。
万が一、親が死亡した場合に、残債をどうするか、相続について他の兄弟姉妹と話し合いはできているかなど、トラブルになりがちなポイントがあります。
二世帯住宅の資金計画は家族でしっかりと話し合い、お互いが納得できる方法を見つけることが重要です。
二世帯住宅の住宅カタログを探す 住まいの窓口に資金計画を相談するリレーローン・ペアローンを組む場合の二世帯住宅の資金計画について

二世帯住宅を購入する際にリレーローンもしくはペアローンを組む場合は、どんな点を意識すればよいのでしょうか。ここでは住宅ローンの仕組みや資金計画におけるポイントを紹介します。
リレーローンとは
リレーローンとは、その名のとおり最初は親がローンを返済し、一定の年齢になったら子がリレー形式でローンを引き継ぐ仕組みの住宅ローンです。
親から子へ引き継ぐことで長期間ローンを組むことができるため、月々の返済額は無理のない金額に抑えることができます。また、親子の収入を合算ができるため、借入可能額にも余裕を持てることが特徴です。
リレーローンの返済計画のポイントは、所有権登記の持分割合です。持分割合とは、1つの不動産を共有で持つときに、それぞれの所有権の割合を表すものです。親と子それぞれの持分割合は、リレーローン返済の負担額と同じ比率で登記するのがベストです。
たとえば、4,000万円の住宅で親子の持分割合を1:3とした場合、親が1,000万円、子が3,000万円を負担することになります。もし、仮に親が1,500万円を負担すると、500万円が子への贈与とみなされて贈与税がかかってしまいます。
リレーローンの持分割合は自由に設定できますが、贈与税の発生しない範囲で設定しましょう。
ペアローンとは
二世帯住宅で住宅ローンを組む場合の選択肢として、リレーローンのほかにペアローンがあります。
ペアローンは、親と子が別々にローンを契約し、2人分の借入額で住宅を購入できるものです。予算の枠が広がり、金利や借入額、返済期間はお互いが自由に設定できます。
ペアローンの資金計画における注意点は、2本のローンを組むため、住宅ローンの手数料がそれぞれのローンにかかる点です。
また、親が高齢の場合は審査に通らない可能性もありますので、借入先の条件や手数料を確認し、シミュレーションをしながら検討するようにしましょう。
二世帯住宅が受けられる税制優遇について

住宅を購入する際は、不動産取得税と固定資産税の軽減措置を受けることができます。これらは単世帯でも適用されますが、二世帯住宅は控除額が「二世帯当たり」で計算されるメリットがあります。
・不動産取得税(家屋)の軽減措置
床面積50平米以上240平米以下の住宅を新築した場合、1世帯当たり評価額から1,200万円の控除、長期優良住宅の場合は1世帯当たり評価額から1,300万円の控除
・固定資産税(家屋)の軽減措置
家屋を新築後、3年度分の固定資産税が1世帯当たり120平米相応分まで2分の1に減額、長期優良住宅の場合は5年度分に減額が拡充
二世帯で計算することによって、家屋に対する不動産取得税は評価額から2,400万円まで控除が可能となり、固定資産税は軽減対象の床面積が240平米まで広がります。
ただし、自治体によって二世帯住宅の要件や内容が異なることがありますので、事前に確認するようにしましょう。
二世帯住宅の住宅カタログを探す 住まいの窓口に資金計画を相談する二世帯住宅の資金計画で失敗しないための注意点

二世帯住宅は土地代や建物代、各種税金、手数料といった費用を二世帯で支払うことになるため、一世帯当たりの住宅購入費を抑えやすいというメリットがあります。
しかし、資金計画を考える際は、実際の生活をイメージし、生活費の分担方法や維持管理にかかるメンテナンス費用の負担についても決めておくことが大切です。
また、万が一、同居を解消することになった場合の住宅ローンの返済についても、しっかりと話し合うようにしましょう。
親が亡くなった際には、兄弟姉妹がいる場合はトラブルになる可能性があるため、どのような形で不動産を相続するのか、家族全員で話し合っておくと安心です。
まとめ
二世帯住宅の資金計画は、親世帯と子世帯が話し合いをし、お互いが納得できるプランを立てることが重要です。
住宅購入費や維持管理費をどのように負担するのか、住宅ローンはどのように組むのか、どんな間取りが二世帯にとって快適に過ごせるのかなど、家族全員でしっかりとシミュレーションをしながら進めていきましょう。
二世帯住宅の住宅カタログを探す 住まいの窓口に資金計画を相談する更新日: / 公開日:2021.12.24










