屋外スペースでありながら、居室とゆるやかにつながり、ガーデニングや子どもの遊び場と、さまざまな用途に活用できるのがデッキの魅力です。

一戸建て住宅の2階にデッキを設ける場合、どういったことに注意すればよいのでしょうか? 数多くの住宅建築を手がける一級建築士の佐川旭さんに、具体例を交えてお話を伺いました。
無料で住まいの窓口に相談する注文住宅を探す施工会社を探す

写真提供:株式会社佐川旭建築研究所

一戸建ての2階部分に設置するデッキには、スカイデッキバルコニーデッキハイデッキなどさまざまな呼び方があります。下に車を駐車するスペースを設ける場合は、カーポートデッキと呼ばれることもあります。

 

デッキは、構造や材質などによって以下のような種類があります。

 

設置方法としては、建物の壁に接してつくられる「壁付け型」や、建物と接することなくつくられる「独立型」などがあります。

 

壁付け型は、建物の壁でデッキを支えることができるため、比較的安定した構造です。それに対して独立型は、デッキのみで支えることになるため、柱などをより太く、頑丈にするなど、建材や工法を選ぶ必要があります。

 

また、壁付け型は2階の居室から出入りしますが、独立型は外から出入りする階段などを付ける必要があります。そのため、一般的な住宅の場合は、デッキは壁付け型が主流です。

 

土地や建物の形状的に壁付け型ではつくれない場合や、用途の問題で母屋とつなげたくない場合(たとえば、音や振動が響くような作業スペースとしてデッキを使いたいというケースなど)には、独立型デッキが適しています。

 

材質としては、いわゆる「ウッドデッキ」と呼ばれる、床材や柵などに木を使ったデッキのほか、樹脂製のデッキなどもあります。

 

木製デッキは、肌触りが優しいため、子どもの遊び場やくつろぎスペースとして使う場合などに適しています。

 

一方、樹脂製のデッキは、木製より腐りにくく、メンテナンスの手間があまりかからないので、機能性重視で選ばれるケースが多いようです。ただし、夏場は熱をためるので、素足で歩くと熱さが気になります。

構造部分に鉄骨を使うことも

 

床材や柵などは木製でも、デッキを支える柱など構造部分には鉄骨を使うこともあります。

 

木は見栄えも良く、サイズや形状などに合わせて自由に加工しやすいといったメリットがあるものの、風雨や紫外線にさらされることにより、表面の腐敗や劣化が出てくるので、こまめなメンテナンスが必要になります。

 

その点、鉄骨は木に比べると手入れの手間は少なくてすみます。また、頑丈なので強度を確保したい場合にも向いています。

デッキ

 

2階にデッキをつくるメリットのひとつは、活用できるスペースが増えることです。

 

よくあるのが、1階に車やバイクのための屋根付き駐車場、または納戸などをつくり、その上の2階部分にデッキをつくるパターンです。

 

2階の居室を拡張したようなイメージで、子どもの遊び場や家族のくつろぎの場として使うこともできます。

 

また、日当たりの良さもメリットです。周囲の建物の高さなどから、1階では日当たりのよいスペースを確保できなくても、2階のデッキの日当たりが良ければ、物干し場やガーデニングなどにも活用できます。

無料で住まいの窓口に相談する 注文住宅を探す 施工会社を探す

デッキ

 

2階にデッキをつくるデメリットとしては、1階部分の日当たりが悪くなることです。

 

1階が駐車場や納戸などであれば、日当たりはあまり気にしなくていいかもしれませんが、すぐ下にリビングなどがあるところにデッキをつくるのは避けたほうがいいでしょう。

 

特に、最初はデッキが付いていなかった住宅に、後からデッキを増築する場合などは、1階の使い方なども含めて慎重に検討する必要があります。

 

また、防犯上の注意も必要です。2階にデッキをつくることで、外部から侵入されやすくなる可能性があります。

 

特に、すぐ近くに物置や室外機など足場になるようなものがあると、侵入経路になってしまいます。そうした可能性も考慮して、防犯対策をしておきましょう。

 

さらに、デッキは屋外にあるので紫外線や風雨などの影響を受けます。特にウッドデッキの場合は、腐食を防ぐためのメンテナンスが必要になります。

 

3年から5年に1回は防腐剤を塗るなど、定期的に手入れを行わなければいけないことも把握しておきましょう。

デッキ

 

費用は、デッキのサイズや使用する部材によって異なります。ウッドデッキの場合は、柱などの構造材を木にするか鉄骨にするかで費用が大きく変わってきます。

 

たとえば、車約1台分、10平米程度のデッキをつくる場合、木の構造材であれば100万円程度から、鉄骨であれば150万円程度からが目安となります。

 

木の柱は、太さや木の種類によっても費用が変わります。例外もありますが、基本的に太く丈夫な木ほど高価になります。デッキの広さによって使用する木材が太くなるので、鉄骨よりも費用がかかる場合があります。

無料で住まいの窓口に相談する 注文住宅を探す 施工会社を探す

デッキ

 

まずは、デッキをどのように使いたいのか、用途を決めておきましょう。家族がくつろぐスペースとして使うのであれば、リビングなどが隣接するような間取りがいいでしょう。

 

次に、用途に合わせた強度を確保することも大切です。たとえば、デッキの大部分を使ってガーデニングをする場合は大量の土などを入れる必要があるので、その重量を支えられるような強度にしておく必要があります。

 

また、広さにも注意が必要です。特に、最初からデッキ付きの住宅をつくるのではなく、後からデッキを増築する場合、10平米以上の増築であれば、審査機関もしくは自治体に確認申請をする必要があります。

デッキ

 

2階のデッキは、部屋の中と屋外の“中間”のようなスペースとして、さまざまな使い方ができます。

 

ただし、用途によって、つくり方や予算などが変わってくるので、しっかりとイメージを持ったうえで、建築会社や工務店などに相談しましょう。

無料で住まいの窓口に相談する 注文住宅を探す 施工会社を探す

更新日: / 公開日:2021.02.12