今、「フラットな住環境で家事が楽」「おしゃれなイメージがある」など、さまざまな理由で平屋の人気が高まっています。
でも、平屋はなじみのある2階建てなどと違って、どのような間取りがいいのかあまりイメージがわかないという人もいるのではないでしょうか。
今回は、数多くの住宅建築を手がける一級建築士の佐川旭さんに、注文住宅で平屋を建てる際の間取りの考え方や注意点について教えてもらいました。
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今、平屋が人気の理由とは?

平屋とは、1階部分のみの建物のことです。現在、日本の一戸建て住宅といえば2階建て以上が主流ですが、最近では平屋の人気も高まっています。
その理由の一つは、階段がないことです。階段や段差がないということは車いすで生活する人や高齢者にも生活しやすく、バリアフリー住宅にも適しています。
近年、住宅の耐震性への意識が高まったことも平屋の人気に影響していると考えられます。建物が低いということはその分全体が軽く、安定した形になるため、2階建て以上の住宅に比べると地震に強いといえます。
加えて「平屋はおしゃれ」というイメージも広まりつつあります。平屋は柱や壁など構造上の制約が2階建て以上の住宅よりもゆるやかです。
そのため、設計の自由度が高く、開放感のある高い天井や庭に面した大きなガラス戸などを取り入れて、おしゃれな住宅づくりを楽しめる面があります。
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平屋のメリット・デメリットは?
これまでに挙げた人気の理由に加えて、平屋で家を建てるメリットとしては以下のようなことがあります。
- 上下階(縦の動線)の移動がないことで、生活しやすい空間設計が可能
- 家族全員が同じフロアで生活することになるため、家族間でコミュニケーションが取りやすい
- メンテナンスが必要になった場合、2階以上は足場を組んで作業する必要があるため費用が高くなるが、平屋であればその部分の費用を抑えられる
一方、平屋のデメリットもあります。
- 2階建て以上の住宅に比べて、広い敷地面積が必要になる
- 基礎工事や外壁工事は、坪あたりの単価が2階建て以上の住宅よりも平屋の方が高くなる
- 平屋の中心部分は光が届かず、暗くなりがち
- 川の近くや低い土地など、水害の危険がある立地の場合は、垂直避難ができないので不向き
- 2階以上に比べて外からの侵入がしやすくなるので防犯対策を考えておく必要がある
採光や防犯上の問題については、間取りや建て方などによって回避できることもあるので、実際に平屋を建てる場合はこうしたデメリットを把握したうえで、検討を進めることが大切です。
理想的な平屋の間取りとは?
平屋の理想的な間取りの一例が以下の図です。平屋の場合、採光を考えることが特に重要です。

(株式会社佐川旭建築研究所提供資料より作成)
2階建て以上であれば、各階の日当たりの良い方角に、それぞれ部屋を設けることもできますが、平屋の場合は1階部分しかないので、日当たりの良いスペースも限られてきます。
そこで、こちらの間取りでは、特に光が届きにくい中央部分に中庭を設けました。中庭は家族がくつろいだり、洗濯物を干したりするスペースとして活用できるでしょう。
こうした室内と屋外の中間となるスペースは子どもの遊び場にも適しています。特に広い平屋を建てる場合は、より光や風が入りにくくなるので、中庭やテラス、天窓をつけるなどの手法を検討しましょう。
また、平屋は階段がない分、部屋から部屋への移動経路が複雑になってしまうケースがあります。
この間取りでは廊下をしっかりと取り、洗面所とは別に玄関の近くに手洗いコーナーを設けたり、トイレはそれぞれの寝室からアクセスしやすいところに配置したりと、シンプルで使いやすい動線になるように設計しています。
平屋の場合は、ある程度の敷地面積を確保する必要があります。
たとえば、夫婦と子ども2人の4人家族が暮らすには、延床面積32坪(105.7平米)程度が最低限の広さの目安です。2階建てであれば、使う土地の面積としてはその半分の16坪ですみますが、平屋の場合は、使う土地の面積は2倍必要ということになります。
また、上の図で紹介したように、採光や通風などのために中庭をつくったり、建物をコの字型にしたりすることを考えると、40坪(132.2平米)以上が理想です。
これは建物のみの面積であり、敷地面積としてはやはり建物を建てる面積の2倍程度は必要となります。たとえば、建物の床面積が50坪であれば、実際に取得するべき土地の広さは100坪以上が目安となります。
ただし、人数の少ない世帯であれば、より小さなスペースで平屋を建てることも可能です。たとえば、子どものいない夫婦2人だけで、家具や持ち物も少ないという場合は、土地の広さが25坪程度でも平屋で生活できるでしょう。
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理想的な平屋の間取りを考えるうえでの注意点とは?
フラットな空間で家族とコミュニケーションを取りやすいのが平屋の良さですが、その一方で、プライベートな空間をどのように確保するかも考えておく必要があります。
寝室など落ち着いて過ごしたいスペースには、他の部屋の話し声や生活音、キッチンやトイレなどから生じるにおいが伝わらないような配置を考えましょう。
また、平屋は2階建てに比べて、外部から侵入されやすいという防犯上の心配もあります。道路や周辺の家から家の中が見えないように注意しましょう。
たとえば、大きなガラス戸など、広い開口部は中庭に面した位置につくるようにするのも有効です。二重サッシや防犯ガラスの使用、防犯センサーの設置など、防犯性を高める対策もしておきましょう。
まとめ
平屋の間取りを考える際には、平屋特有のメリット・デメリットを理解しておくことが大切です。
理想的な間取りは、家族構成や敷地の広さなどによっても変わってくるので、条件を整理したうえで、どのような間取りが考えられるか、専門家に相談してみましょう。
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更新日: / 公開日:2020.11.27









