注文住宅には自由に間取りを決められたり、好みの内装を選べたりと、さまざまなメリットがあります。しかし、自由度が高いからこそ、購入の予算については慎重に検討しなければなりません。この記事では、注文住宅の予算を決めるうえで、押さえておくべき知識を紹介します。平均的な相場や費用の内訳、予算オーバーしてしまったときの対処法について詳しく見ていきましょう。
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注文住宅の予算はどれくらい? 全国平均から見た相場の目安

設備や間取りを自分で決められる注文住宅は、まず予算の相場をつかんだうえで計画を立てることが重要となります。ここでは、注文住宅にはどのくらいの費用が平均的にかけられているのか、データを見ていきましょう。
データで見る注文住宅の平均予算と年収倍率
国土交通省が行った2019(令和元)年度の住宅市場動向調査によれば、土地の購入資金を除いた注文住宅の建築資金は、全国平均で3,235万円とされています。さらに、土地の購入資金を加えると全国平均では4,615万円、東京・名古屋・大阪の三大都市圏では5,085万円です。
また、住宅金融支援機構が行ったフラット35利用者調査では、注文住宅の「年収倍率」に関するデータも明らかにされています。年収倍率とは、住宅の取得資金を世帯年収で割った数字であり、年収の何倍の費用がかけられているかを示す目安です。
2018年度の購入資金の全国平均は、注文住宅(建物のみ)で世帯年収の6.5倍、土地付き注文住宅では7.2倍となっています。土地ごと購入する場合には、都市部と地方で差が生まれるものの、全国平均から相場を理解したうえで予算の目安を決めることが大切です。
注文住宅を探す 無料で住まいの窓口に相談する正しい手順をつかんでおこう! 注文住宅の予算の決め方とルール

購入予算を決めるうえでは、おおまかな相場を知るとともに、家庭の実情に合わせて慎重に判断していくことが大切です。ここでは、予算を決める手順と年収ごとの目安について解説していきます。
手順1:住宅の購入に充てる自己資金の額を決める
住宅の価格は「購入時にかかる金額(諸経費・頭金)」と「購入後にかかる金額(住宅ローン・住宅維持費)」の合計で決まります。そのため、まずは住宅にかけられる自己資金を明確にするところから始めましょう。
自己資金を決めるうえでは、貯蓄額のうち、手元にいくらのお金を残しておくかを判断する必要があります。新たに入居するためには、引越しや入居費用のほか、登記費用や税金といったさまざまなコストがかかるのです。
そのため、貯蓄をすべて購入資金に充てるのではなく、購入に関する初期費用や生活のための予備費を確保しておくことが重要です。
手順2:住宅ローンの借入金額を決める
融資額を決めるためには、金利をもとに総支払金額を計算したうえで、毎月の返済額を明らかにしておくことが大切です。安定したローン返済を続けるためにも、無理のない計画を立てる必要があります。
LIFULL HOME’Sの住宅ローンシミュレーターでは、年収や毎月の返済額に合わせて、手軽に住宅ローンの返済シミュレーションを行うことができます。無理なく月々のローン返済を行える上限額は、一般的に年収の25%を12ヶ月で割ったものとされているため、返済可能金額を高く設定し過ぎないように注意しましょう。
年収の25%を返済に充てる想定で、ローンの金利を1.3%、返済期間を35年と定めて計算すると以下の表のようになります。過度な借り入れを防ぐためにも、事前にきちんと試算しておくことが重要です。
| 年収 | 毎月の返済額 | 借入限度額 |
|---|---|---|
| 400万円 | 8万3,000円 | 2,799万円 |
| 500万円 | 10万4,000円 | 3,508万円 |
| 600万円 | 12万5,000円 | 4,216万円 |
| 800万円 | 16万6,000円 | 5,599万円 |
| 1,000万円 | 20万8,000円 | 7,016万円 |
手順3:住宅の購入資金限度額を計算する
自己資金と住宅ローンの借入金額を設定したら、そこから購入資金を決定することができます。ただ、注文住宅を建てる場合、土地も購入するケースでは資金のすべてを建物に充てることはできません。
土地の購入や借入資金を計算したうえで、最終的に建物にかけられる予算を割り出す必要があるため、注意しましょう。
注文住宅を探す 住宅ローンについて調べる注文住宅の費用の内訳とは?
注文住宅のメリットは、自分で内装や設備を決められる点にあるものの、同時に予算の割り振りもある程度は自分で決定する必要があります。ここでは、注文住宅の費用の内訳について確認しておきましょう。
注文住宅を建てるまでに必要な費用
注文住宅を建てるうえで、まず目を向けておかなければならないのは土地に関する費用です。すでに土地を所有している場合でも、地盤や整備の状態によっては改良の費用がかかる場合もあるので注意しておきましょう。
建築のための費用については、大きく分けて「本体工事費」と「別途工事費」の2つがあります。本体の工事費は「建築坪単価」とも呼ばれており、建物の基礎や外装・内装、設備、人件費などが含まれ、建築費用の4分の3程度を占めるのが一般的です。
別途工事費は空調や給排水の工事、カーテンレールの取り付け、外まわりの工事にかかる費用を指します。また、地域によっては上棟式などを行う場合もあり、諸費用としてあらかじめ計算しておく必要があります。
注文住宅を探す 注文住宅の価格・相場講座事前に押さえておけば安心! 予算オーバーしてしまった場合の対処法

事前にきちんと予算を決めていても、要望を組み込んでいくうちに金額がオーバーしてしまうこともあります。予算オーバーしてしまった場合の対処法について見ていきましょう。
予算を最優先にして少しずつ削っていくことが大切
すべての理想をかなえようとすると、どうしても予算を超えてしまうケースがあります。その場合には予算を最優先にして、優先順位の低いものから削ることが必要です。
予算を圧迫してしまいやすいポイントのひとつとしては、複雑な間取りが挙げられます。設備コストや工事の手間賃などを考慮したうえで、間取りはできるだけシンプルなものに変えることで金額を抑えることができます。
また、仕上げ材のグレードを下げることも、予算を削るポイントとなります。水回りの仕上げ材を統一したり、壁の素材をシンプルにしたりすることで、材料の仕入れにかかるコストを削減できるのです。
注文住宅カタログを探す 注文住宅の事例を探す予算の決め方を把握してステキなマイホームを建てよう
- 土地付き注文住宅の購入費用は全国平均で4,615万円
- 土地付き注文住宅における購入費用の年収倍率は全国平均で7.2倍
- 自己資金と月々の返済限度額を明確にしたうえで購入費用を決めることが大切
- 注文住宅を建てるまでには土地代、本体工事費、別途工事費、諸費用がかかる
- 予算オーバーした場合には、間取りや仕上げ材を見直し、優先順位の低い部分を削っていくことが重要
更新日: / 公開日:2020.08.27









