家族の希望を反映した間取りがつくれる注文住宅。自由にできることが多いだけに、住んでみて初めて分かる「失敗」も少なくないようです。
ここでは、一戸建ての間取りを例にとり、ありがちな間取りの失敗、未然に防ぐためのポイントなどについて、コラボハウス愛媛の清家修吾さんに教えてもらいました。
注文住宅を建てる際はもちろん、新築・中古の一戸建てを購入するときの間取りチェックでも参考になるヒントがいっぱいです。
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一戸建て間取りのありがち失敗例(1)収納
収納が足りない
部屋を広くしようとして陥りがちなのが、収納スペースが足りなくなるという失敗です。
たとえば以下の間取りでは、1階の収納スペースが極端に少ないという問題があります(❶)。
扇風機や電気ストーブなどの季節物や、掃除機のように日常的に使うものなど、家族が共通で使うものを収納する場所がありません。
結果、面倒な思いをして2階に持って上がるか、1階の部屋に物があふれるという状態になってしまいます。

この場合は、1階北西の部屋のクローゼットを90㎝縮めて、その分を廊下側から使える収納に回すか、この部屋そのものを小さくして収納を増やす方法があります。
さらに、洗面室にも収納スペースがありません(❷)。奥行きはなくてもいいので、タオルや下着などがすぐ手に取れる場所に収納をつくると暮らしやすくなります。
収納が使いづらい
希望どおりの収納スペースがあるけれど、名前だけで実際には使いづらいという失敗も。
以下の間取りでは、玄関に「シューズクローク」がありますが(❸)、実際には靴は少ししか収納できないうえに、奥行きがありすぎて無駄なスペースだらけです。

この場合は、シューズクロークの図面上の右手の壁にある棚を、上に持ってくることで収納量が倍くらいになります。
靴が丸見えになるのを防ぐには、引き込み戸を設けて、図面右の洗濯機の後ろの壁に引き込まれるようにすることができます。
〈「収納」の失敗を防ぐポイント〉
収納は容量だけでなく、「どこにつくるか」も大事。大きな収納を1ヶ所につくるより、必要な奥行きの収納をあちこちに点在させて、使う場所と収納する場所を近づけたほうが使いやすくなります。
また、取って付けたような「名ばかりスペース」をつくらないために、欲しい収納があるかどうかだけでなく、そこに何をどれくらい収納できるのかを具体的に考えることが大事です。
中に人が入るウォークインタイプの収納は、最低でも1坪以上の広さがあるかチェックしましょう。
一戸建て間取りのありがち失敗例(2)部屋の広さ
広さが足りない
その部屋を実際にどのように使うのか、しっかりイメージできていないときに陥りがちなのが、広さが足りないという失敗です。
たとえば以下の間取りの場合、ゲストルームがありますが、これも先述の「名ばかりスペース」。
ベッドのほかには通路だけで、ゲストは荷物を置く場所もなく、実際にゲストルームとして使うには狭すぎます(❹)。布団を敷いて使うにしても、その布団を収納する場所が確保されていません。

この場合、下がオープンな吊り押入れ(全面収納にするのではなく上側3分の1程度を吊るしたような形にした収納。
下側にスペースが生まれるので部屋全体が広く見える効果がある)をつくって布団を収納するのも手かもしれません。
広さのバランスが悪い
狭すぎる空間がある一方、無駄に広いスペースがある、というバランスの悪さの問題も。
以下の間取りは、全体的にゆったりとした広さがあり、洗面台も2ボウル分の広さが確保されているにもかかわらず、浴室前の脱衣スペースだけが狭すぎます(❺)。

この場合、シューズクロークの奥行きを90㎝縮めて洗面所を広くし、浴室の出入り口を南側に設けると、狭さは解消されます。
また、❻のスペースが無駄に広いので、ここを見直し、洗面所スペースの広さを確保するのもひとつの方法です。
〈「広さ」の失敗を防ぐポイント〉
その空間に必要なものが置けるかだけでなく、そこでどのような動きをするのかまで、よく考えることが大切です。
たとえば脱衣所は、服を脱いだり体を拭いたりする場所なので、人が立って入れるスペースだけでは不十分。体を動かしただけで、壁にぶつかってしまいます。
極端に狭いスペースができないよう、無駄に広いスペースがあれば見直す必要があります。
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一戸建て間取りのありがち失敗例(3)外から室内が見える
南の窓が道路と近すぎる
特に都市部などの狭小地で起こりやすい「外から室内が見えてしまう」といった問題にも、間取りや家の配置が影響している場合があります。
以下の間取りの場合、リビングのある南の窓(❼)が敷地境界線に近すぎるのが問題。
通りからの視線を遮るために高さ2.2mの塀を立てるとすると、室内に取り込みたい光まで遮ってしまいますが、かといって塀の高さを1.8mほどに抑えるとすると、場合によっては室内が丸見えになってしまいます。

この場合、45cmでいいので建物を北側(図面上の右方向)に移動させることで、高い塀を立てても室内に光を取り込みつつ、外からの視線を遮ることができるようになります。
または、間取りを大きく変えることになりますが、南側にコの字形の中庭を設け、中庭に向かう面だけに窓を広く取るといった方法もあります。
〈「外から室内が見える」失敗を防ぐポイント〉
敷地境界線から家の南側の壁までの距離が十分にあるかチェックしましょう。塀を高くするだけでは、視線を防げても、家の中が暗くなるなど別の問題が出てきます。
一戸建て間取りのありがち失敗例(4)階段
階段下のスペースがうまく使えない
階段をつくるとき、その下を収納スペースなどとして使うことがありますが、どう使うかをよく考えずに設計することにより、うまく活用できなくなってしまうケースもあります。
たとえば以下の間取りの場合、階段の下にテレビ台を置くようになっていますが(❽)、テレビの位置がソファの目の前だとすると、階段下には高さ80cmのスペースしか空いていません(一般的な1段20cmの階段として計算した場合)。
この状態では40インチ以上のテレビを置くことは難しくなります。

階段下を使う場合は、高さに注意が必要です。
テレビ台を北側ぎりぎり(図面上の上方向)に移動させることで、80インチまでのテレビが置けるようになりますが、ダイニングテーブルとソファの間隔が狭くなるので、この点も検討する必要が出てきます。
〈「階段」の失敗を防ぐポイント〉
階段の失敗を防ぐためにチェックしたいのが、階段下の高さのほか、動線を含めた位置や、光を取り込めるかどうか。
たとえばテレビの前を横切らないと階段に行けないような間取りにしないこと、また家の中央に階段を設ける場合はどこから採光するかもよく検討しましょう。
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一戸建て間取りのありがち失敗例(5)生活動線
家事動線が無駄に長い
毎日の生活に大きく影響するのが、キッチンや水回りの家事動線に関わる失敗です。
以下の間取りは、キッチンと洗面所・浴室がまとまっているように見えますが、実際キッチン(❾)から洗面所・浴室の水回りへ移動するには、ダイニングを通って廊下に出て、Uターンする必要があります。
少しの距離ですが、毎日の家事に少しずつ無駄な時間をとられてしまう間取りです。

この場合、玄関とキッチンの間の壁に引き戸を1枚付けることで動線の悪さは解決。
キッチン・水回り間が近くなるうえに、玄関との距離も縮まり、買い物帰りの荷物を運び入れたり、外出前の家族と声をかけ合ったりしやすくなります。
〈「生活動線」の失敗を防ぐポイント〉
快適な家事動線をつくるために、キッチンと水回りはなるべく近くにまとめましょう。
特に洗濯は、濡れて重くなった洗濯物を運ぶ作業が大変なので、洗濯機と物干しを同じフロアに設置できると効率的。難しい場合は、乾燥機の導入を考えるのもアイデアです。
土地探し段階からプロに相談するのも一つの手
間取りには「これが正解」というものがなく、ベストな間取りは敷地状況や家族構成、ライフスタイルなどによって人それぞれ違います。
こんな空間が欲しいという希望があるなら、土地探しの段階からプロに相談し、希望がかなう土地かどうかを見てもらいましょう。
間取りイラスト提供:清家修吾
無料で住まいの窓口に相談する 注文住宅を探す 新築一戸建てを探す 間取り変更可能な新築一戸建てを探す更新日: / 公開日:2019.12.11










