家族で家事をシェアする動線・収納がキーワード

家族のあり方は時代とともにどんどん変わっていくもの。最近では、夫婦ともフルタイムで仕事をする共働き家族が増えてきたのに伴い、住まいには家事のしやすい工夫が求められているようです。

 

そんな現代の人気の間取りのキーワードともいえるのが、家族みんなで家事ができる収納と動線。「収納は、大きな納戸をドンと１つ設けるのではなく、物を使う場所の近くに収納場所を設けるスタイルが増えてきています」と、みゆう設計室の中川由紀子さん。

 

家事動線を考慮して、中に入れるウォークイン型、中を通り抜けられるウォーク”スルー”型の収納も増えているよう。特に人気の「ファミリークローゼット」「シューズクローゼット」「パントリー」について、中川さんの設計事例を参考に解説していきます。

家族動線を意識した人気の収納アイデア３選

ファミリークローゼット

ファミリークローゼットとは、文字どおり家族みんなで共用するクローゼットのこと。

 

「取り込んだ洗濯物を収納するときに１ヶ所で済むうえ、浴室の近くに設けると、入浴後の着替えにも便利です」と中川さん。

 

「洗濯機・室内物干しの近くに設けるとさらに便利。広さに余裕があれば、取り込んだ洗濯物をたたむための台があると、ますます家事がラクになりますね」

 

ファミリークローゼットの設置例

 

洗濯機まわりに干す・たたむスペースを設けた洗面室。その隣にファミリークローゼットを設けることで、一連の洗濯動線を短縮しました。新築当初はお子さまが服を選びやすいよう棚に平置き、2年後にはそれぞれの取りやすい高さでハンガー掛けに、と出し入れしやすい工夫も。（設計／みゆう設計室、洗面室撮影／アサンテ・フォト）

シューズクローゼット

シューズクローゼットは、靴や傘だけでなく、レインコートやベビーカー、さらにアウトドア用品などもしまえる大型の玄関収納。屋外に物置を設ける必要がなく、室内で管理できます。

 

特に収納室の中に入れるウォークイン型が人気ですが「さらに“通り抜けられる”ウォークスルー型にすると、靴の脱ぎ履きも収納スペースの中ですることになるので、いつもすっきりと片付いた玄関を保つことができます」（中川さん）。

 

シューズクローゼット（ウォークスルー型）の設置例

玄関ドアを開けて左手に入ったところに、ベビーカーを開いたまま置ける大型収納を設置。そこで靴を脱いで収納し、右手に通り抜けて洗面台へ。帰宅してすぐに手洗い・うがいができます。（設計／みゆう設計室、撮影／アサンテ・フォト）

パントリー

パントリー（食品庫）は、食料品をまとめ買いする家庭におすすめの収納アイデア。キッチンとつなぐのはもちろん、車庫とつなぐことで買い物帰りの動線も便利になります。

 

「どこに何があるか一目でわかるオープン収納にするか、何でも隠せるクローズド収納にするかが、プランニングでの大きなポイント」と中川さん。「たとえば親子で家事をシェアしたいなら、オープン収納がおすすめです」

 

パントリー（オープンタイプ）の設置例

キッチンから間仕切りなしでつながるオープンなパントリー。ストック品を一目で探しやすくなります。車庫からパントリーに直接つながる間取りで、買い物帰りの動線も便利。（設計／みゆう設計室）

 

パントリー（クローズドタイプ）の設置例

スライドドアを設けたクローズドタイプのパントリー。中に小さなデスクを設け、パソコン作業なども可能にしています。高さを変えられる可動棚が便利。（設計／みゆう設計室）

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リラックスのためのスペースも必要

家事効率がアップする機能的な空間も大切ですが、「家事の合間にリラックスできる空間を設けると、暮らしはさらに豊かになります」と中川さん。

 

「リビングとは別に、ちょっとコーヒーを飲んだり、本を読んだりするための居場所があることで、家族が程よい距離感で過ごせます」

 

 

 

ヌックの設置例

庭を眺められる窓際に小さな心地よい空間、ヌック（こじんまりとした隠れ家のようなスペース）を設置。リビングとダイニングは引き戸を開ければ一体に、そしてダイニングは階段を通して個室ともつながる空間となっています。（設計／みゆう設計室、撮影／アサンテ・フォト）

家づくりの先輩たちの家には間取りアイデアが満載

ほかにも、リビング横の畳コーナー、書斎コーナーなど、人気の間取りアイデアはさまざま。家づくり情報サイト、建築家やハウスメーカー・工務店などのホームページを見ると、家を建てた先輩たちの事例がたくさん掲載されているので、間取りアイデアをたくさん見てみましょう。気になるアイデアがあったら、保存しておくのがおすすめです。

 

人気の間取りアイデアはたくさん。あれもこれも取り入れたくなりますが、アイデアの継ぎはぎではなく、自分たちのライフスタイルの中になじませることが大切。そのためには、設計の打ち合わせの際に「こんな間取りにしたい」より「こんな暮らしがしたい」というイメージを伝えましょう。

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