キッチンは、住まいの利便性を決める重要な箇所です。しかし、キッチンの設備には幅広い選択肢があるため、自分に合ったものを選ぶのは難しいと感じるケースも少なくありません。

そこで、今回は新築時のキッチンを選ぶうえで意識したいポイントを種類や収納スペース、サイズ、間取り、素材などに絞って具体的に解説していきます。
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新築時のキッチン選びで後悔

 

キッチンは、見た目の良さとともに実用性の高さを追求する必要があり、人によって使い勝手が良いと感じる条件が大きく異なる箇所でもあります。

 

そのため、設計時に綿密な計画を立てておかなければ、実際に家を建ててから後悔してしまうケースもあるのです。

 

ここでは、新築のキッチンで後悔してしまうケースについて具体的に見ていきましょう。

 

間取りに関する後悔として挙げられる代表的な例は「リビングが狭くなってしまった」というものです。

 

広いキッチンに憧れてスペースにゆとりを持たせたところ、リビングが狭くなって住み心地が悪くなってしまうケースがあるのです。

 

また、対面型のキッチンを選択したことで「キッチンのプライバシーが確保できない」といった点に不便さを感じてしまうケースもあります。

 

対面型キッチンは、リビング側からキッチンが丸見えになってしまうため、来客時などに手元を見られたくない場合に後悔してしまうことがあるのです。

 

キッチンの使い勝手については「シンクを大きくしたら作業スペースが狭くなってしまった」というものが挙げられます。

 

また、作業動線を考慮していなかったために「冷蔵庫の配置場所に困った」「電気容量やコンセントが不足してしまった」といったケースもあります。

 

冷蔵庫の扉の向きが逆方向になってしまったり、必要な家電を設置しきれなかったりと、使い勝手に関して後悔してしまうポイントは意外と多いものです。

 

いずれの場合においても、実際に利用する際のイメージをしっかりと持てていなかったために起きてしまった事例だといえます。

 

キッチンの利便性は、収納スペースの使いやすさによって大きく左右されます。

 

収納スペースについては「容量が少ない」「設置場所が高くて使いにくい」などが不満を感じてしまいやすいポイントです。

 

また、収納スペースを割いてビルトイン食洗機を導入したものの、実際にはあまり利用しなかったというケースもあります。収納スペースが足りないと感じられる場面は多いため、導入は慎重に検討することが大切です。

 

新築時には多くの設備を整える必要があるため、コストを下げることに意識が向いていくのが一般的です。

 

しかし、費用を抑えようとするあまり、キッチン全体が安っぽい印象になってしまったり、必要な設備を妥協してしまったりするケースもあります。

 

特に、普段から料理をする人にとって、キッチンは住宅のなかでも特に使用頻度の高い設備です。それだけに、コストを削減しすぎると、後悔してしまう場合もあるといえます。

キッチン

 

キッチン選びで失敗しないためには、細かなポイントを押さえながら選び方のコツを理解していくことが大切です。ここでは「種類」「収納」の観点から、キッチン選びのポイントを紹介していきます。

キッチン

 

新築のキッチンを考えるうえで、まず目を向けておきたいのは種類に関するポイントです。キッチンには大きく分けて「対面型」と「非対面型」の2種類があり、それぞれに異なる特徴があります。

 

・対面型キッチン

 

対面型キッチンは、キッチンとダイニングの間に作業台を設置するつくりが特徴であり、仕切りを設けない分、開放感のある空間を生み出せる点が大きなメリットです。

 

一方、キッチンのプライバシーが損なわれる点や、広いスペースを確保する必要がある点はデメリットとなります。

 

・非対面型キッチン

 

非対面型キッチンは壁に向かって作業台を設置するつくりであり、対面型よりも省スペースになる点がメリットです。

 

また、独立型のものであれば、来客時にもキッチンが見えない、ニオイや汚れが広がりにくいなどの安心感もあります。

 

一方、対面型と比べてダイニング側の人とコミュニケーションを図りにくいため、子どもの様子を確認しながら調理ができないといったデメリットもあります。

 

まずは、これらの大きな分類の違いについて理解しておきましょう。さらに、キッチンは調理台やシンクなどの配置によって、細かな種類に分けられます。

 

ここでは、主な5つのタイプの特徴について表で見てみましょう。

 

 

特徴

メリット

デメリット

アイランド型

・対面型のみ

・作業台が壁から独立している

・開放感がある

・複数人での調理がしやすい

・広々とした動線

・スペースを圧迫しやすい

・油や水が飛び散りやすい

・キッチンの上部に収納スペースを設けられない

ペニンシュラ型

・対面型のみ

・作業台の左右一方が壁に接している

・アイランドキッチンよりも省スペース

・吊戸棚の使用が可

・アイランドキッチンほどの開放感はない

I型

・対面と非対面、どちらも対応

・シンクとコンロ、調理台が一直線(I字)に配置

・もっとも省スペース

・工事コストが安い

・壁に向かって設置された場合にはコミュニケーションを図りにくい

L型

・対面と非対面、どちらも対応

・シンクとコンロ、調理台がL字型に配置

・I型よりも動線が短くなる

・角がデッドスペースになることも

・家電や戸棚などの設置場所に迷いやすい

II型

・対面と非対面、どちらも対応

・シンクとコンロ、調理スペースが2列に配置

・もっとも作業スペースを広くとれる

・設置コストがかかる

・キッチン以外のスペースを圧迫することも

 

どのタイプが適しているかは、住まい全体の間取りや使う人によって異なります。そのため、種類ごとの特徴を押さえたうえで、自分に合ったものを選ぶようにしましょう。

 

収納スペースの考え方は、キッチンの種類によって異なります。たとえば、アイランド型以外のキッチンであれば、上部に吊戸棚を設けることで収納力の向上が期待できます。

 

また、対面型のキッチンでは、背面収納の有効活用がカギです。キッチンの背面部分を収納にあてることで、使い勝手が向上するとともに、インテリアとしての印象も大きく向上するのです。

 

収納スペースについて考えておきたいもうひとつのポイントは、食洗機の有無です。ビルトイン食洗機を設置する場合、収納場所を圧迫してしまうこととなるため、スペース全体にゆとりがあるかどうかを考慮しましょう。

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サイズと間取り

 

キッチンの使い勝手を決めるうえでは、適切なサイズのものを選ぶことが重要となります。ここでは「サイズの選び方」と「間取りの決め方」について見ていきましょう。

 

適したキッチンのサイズは、利用する人によって大きく異なる部分です。「横幅」「奥行き」「ワークトップ(天板)の高さ」の3点を判断基準にして検討してみましょう。

 

・横幅

 

キッチンの横幅はミリ(mm)単位で表示されるのが一般的であり、シンクとコンロ、作業スペースを合わせて1,650~3,000mmが標準的なサイズです。

 

注文住宅のキッチンは2,550mmのものが一般的であるため、まずはそれを基準に考えるといいでしょう。

 

横幅が広いほど作業スペースにゆとりが生まれるものの、動線が長くなるため作業効率は低くなります。そのため、現在使っているキッチンと比較して、作業についての具体的なイメージを持っておくことが大切です。

 

・奥行き

 

奥行きについては、65cmが一般的なサイズであるものの、55~60cmサイズのコンパクトな製品もあります。

 

身長が低い人にとっては、奥行きがあっても手が届かず、スペースを圧迫してしまうことになるため、コンパクトタイプのほうが適しているケースも少なくありません。

 

・ワークトップの高さ

 

ワークトップの高さについても、利用者の身長が目安となります。一般的に適した高さは、「身長÷2+5cm」とされているので、製品を選ぶ際の基準にしておきましょう。

 

例:身長160cmの場合

160cm÷2+5cm=85cm

 

スムーズに作業を行える環境をつくるためには、コンロとシンク、冷蔵庫を結んだ「ワークトライアングル」を意識しておきましょう。

 

具体的な目安としては、3点を結んだ辺の合計が600cm以内であれば、移動距離が短く十分な作業効率が確保できるとされています。

 

また、家電を置く場所にはコンセントが必要となるため、コンセントの位置や高さも考慮しながらキッチンのレイアウトを考えましょう。

ワークトップ

 

ワークトップの素材にはさまざまな種類があります。キッチンの見た目を左右するだけでなく、機能面にも影響が生まれるポイントとなるため、素材ごとの特徴をきちんと押さえておきましょう。

 

ステンレスは古くからワークトップの主流とされており、耐久性と耐熱性、耐水性において優れた特徴を備えています。また、設置コストも安く、掃除がしやすいといった点も魅力です。

 

材質上細かなキズがつきやすい面はあるものの、加工技術が進んでいることから、強度の高い製品も生み出されています。

 

見た目が美しく高級感のある人工大理石も、ワークトップとして人気の高い素材です。耐水性と耐久性に優れており、衝撃などで割れないように加工された製品も増えています。

 

ただ、使用されている素材によって耐熱性には違いがあるため、事前に耐熱温度を確かめておくことが大切です。

 

タイルの魅力は、自由に好きなデザインのものを組み合わせられる点にあります。耐水性や耐久性、耐熱性にも優れており、デザインと機能性の両立が可能な素材です。

 

ただ、タイルは目地が黒ずみやすいため、掃除や手入れをこまめに行う必要があります。

 

天然石のワークトップは、人工のものにはない質感や高級感、同一のものが存在しない希少性を楽しめる点が魅力です。

 

ただ、主に輸入品が使われるのが一般的であり、重量があるため運搬費や施工費がかさみやすい点は注意が必要となります。

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キッチン回りにはさまざまなオプションが存在しており、どれを選択するかによって使い勝手が大きく変わります。ここでは、人気のあるキッチンオプションをいくつか紹介していきます。

タッチレス水栓

 

タッチレス水栓とは、センサー部分に手をかざすだけで自動的に水が出てくる水栓のことです。不要時には自然的に水が止まるため、日々の作業が楽になるだけでなく、節水効果も期待できる便利なオプションです。

 

また、タッチレス水栓と似ている設備にハンズフリー水栓があります。こちらは吐水口自体にセンサーがつけられているため、下に手や食器をかざすだけで自動的に水が出てくる仕組みです。

 

水栓については、後付けできる製品が多いため、実際に生活をしてみてから検討するのもひとつの手です。

 

コンロのタイプは、基本的にガス用とIH用のどちらかから選ぶ必要があります。しかし、なかにはどちらも併用できるタイプの製品もあるのです。

 

このタイプのコンロを選べば、「煮炊きはIH」「炒め物はガスコンロ」と使い分けることも可能であるため、調理の幅が広がりやすくなる点が魅力です。

 

ホーロー製レンジフードは、表面に油が染み込みにくく、丈夫でキズがつきにくい点が魅力です。また、取り外しが簡単であり、水拭きや水洗いも可能なので、メンテナンスの負担も軽くなります。

 

そのため、油ものの調理が多い人にとっては、便利で使いやすい設備だといえます。

 

キッチンを選ぶ際には「種類」「収納」「サイズ」「間取り」「素材」の順に考えていくとスムーズです。それぞれのポイントを押さえながら、自分に合ったものを検討していきましょう。

 

ただ、キッチンに求める条件は、住まいの間取りや使う人によって大きく変わるものでもあります。ある程度の見当がついたら、ショールームに行って、実際のサイズ感や素材感を確かめるようにしましょう。

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更新日: / 公開日:2019.08.08