地震大国の日本。諸外国に比べて建物の構造等には地震災害を想定した厳しい規制が敷かれています。しかし堅固な建物を建築するだけで安心とは言い切れず、その建物の土台となる土地の地質や状態などをしっかりと調べておくことも非常に重要です。
そこで今回は、地震に強い土地、安心な土地を見極めるための大切なポイントを説明します。
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地震が起きた時の家屋の倒壊レベルには、その地震の距離や深さが関連してきます。よく「直下型だったので特に倒壊が激しかった」という言われ方をします。確かに直下型は突き上げるように地面を押し上げるのでその衝撃によって建物にダメージがかかり、さらに揺れが加わることによって壊滅的な被害につながります。

 

その一方で地震からの距離や深さが同じエリアで起こった地震でもダメージに大きく違いが出るケースがあります。その原因は地盤の「固さの違い」です。地盤の固さと地震の関係を理解し、さらには地震に強いエリアで家を建てるための土地探しが重要になります。

 

阪神淡路大震災時の建物

阪神淡路大震災時の建物

地盤とは地面からおよそ100メートルの深さまでの範囲を指します。建物や工作物の建築に係る範囲の深さまでのことです。この地盤部分の固さの違いによって地震で受けるダメージに大きな差が出ます。

 

諸外国の都市部に比べると日本の都市部ではいずれも緩い地盤で形成されているため、大地震が到来した際のダメージの大きさが懸念されています。もともと水田や川、沼が多く、古来より存在する地面ではなく、新しく地面として形成された場所が多いのが日本の地盤の特徴です。

 

砂場や庭の土で作った山よりも、岩やがけの一部を削りながら山を作ったほうが固いのと同じです。岩のように固い太古の時代からある地盤の上と、もともとは池・河口・田畑であった場所で宅地造成した地盤とでは、揺れへの影響がとても大きく違います。

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日本は全国的に地盤の緩い場所が多いことで有名です。地方の山岳部などを除き、平野部、都市部など人の集まる場所に新たに街を作っているので、そのほとんどが埋め立てや新規の造成によるものです。新規といってもここ数十年だけの話ではなく、江戸時代やそれ以前にも長い年月かけて行われてきました。江戸時代からの埋め立て地であってもそれより以前からある地盤の固さとは比べ物にならないほど緩いとみられています。

 

さらに狭い国土で有効的に土地を活用していくためにさまざまな場所で埋め立てや造成が行われています。マイホームのために土地を探す場合には、もともとその土地の地盤がどのように形成されていったのかを知ることで、建築する場合の基礎工事や家の設計への対処が変わってきます。

 

自分でも調べることができる方法は次のようになります。

  1. 古い地図を調べてみる
  2. 地名から当時の様子を調べる
  3. 行政が提供しているハザードマップなどで調べる

古い地図ではかつてその場所がどのような地形だったかを知る手掛かりになります。よく液状化という言葉を耳にします。地震の際に都市部で多く起こる現象ですが、この液状化も水分を多く含んだ埋立地などで起こります。日本の都市部、東京や大阪はまさにこのような地盤が多く潜んでいます。

 

もともと運河、河口、潟、入江だった場所は東京では現在の皇居周辺、大阪では大坂城付近まで存在していました。それらはみな古い地図で確認することができます。現状では想像できない場所や「こんな内陸地にまで水があったのか」と思うような辺りまで水色に塗られています。

 

古い時代の地形を調べるためには国土地理院のページ(※1)が役に立ちます。明治時代から以降の旧図や航空写真、そして一部ではありますが江戸時代以前の古い地図も公開されています。また国土地理院では保管しているこのような地図や資料から、地盤が緩く液状化しやすい土地と地震の関係を調べたレポート(※2)も掲載されています。古い地図を読み取って、実際に起きた地震での被害と照らし合わせた例が分かりやすく解説されているので、とても参考になります。

 

※1 「地図・空中写真・地理調査」国土地理院
※2 「古い地図・写真からみる液状化の状況」国土地理院

 

古い地図を参照してみましょう

古い地図を参照してみましょう

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国土地理院の地図で確認できないエリアでは、地名などからその経緯をたどっていくことも可能です。昔から地名にはその土地にちなんだ名前が付けられています。水に関係するエリアでは「江、亀、沢、浦、浜、洲」などが使われていることも多いです。ただし現在の地名が水に関連する文字を使っていなくても、町名変更して過去の名前と変わっている可能性もあります。古い地図や現在の地名だけではわからない場合は、法務局に備わっている旧土地台帳を参考にすることもできます。

 

旧土地台帳とは現在の登記簿が税務上の台帳と登記簿の2本立てで管理されていた時のものです。現在は登記に一本化されたので閉鎖されていますが、法務局で誰でも無料で閲覧することができます。現在宅地である土地が戦前はため池だったとか、町名変更しており古い時代では水に関連する文字を使った町名であったかどうかなどが確認できます。

 

また旧土地台帳付属地図と言って、現在の公図のもととなった地図も閲覧できます。一部の地域では戦災で焼失していたり、あまりにも現状との不一致がみられるエリアでは閲覧ができなかったりしますが、可能な場合はこの古い地図も参考になるときがあります。

 

和紙に筆で書かれた地図をカラーコピーで保管している法務局が殆どですが、古い地図の手入れでは和紙を上から貼り足していたので、水色に塗られた運河やため池の上が埋め立てられ、宅地になっていっている様子が確認できることがあります。

じっくり調べる事が時間的に難しい方や、専門的な地図を調べることが億劫な方はまず行政の提供するハザードマップなどをチェックしましょう。調べたい町の地震や地盤についての詳細、液化情報などがあるのかどうかは国土交通省の「わがまちハザードマップ」(※3)で検索することができます。どんな情報がどのように公開されているかを知ることが可能です。インターネットで公開している行政もあれば、庁舎で閲覧ができる場合もあります。

 

また、不動産の現地調査に行く際には、スマートフォン対応の情報アプリも役に立ちます。さまざまなアプリがありますが、おおよそこれまでにご紹介した、古い地図や行政のハザードマップの情報が集約されており、現地でその場所の情報を確認できるというものです。洪水、地震、がけ崩れなどもパーセンテージで危険度が表示されます。堅固な土地であっても崖くずれや付近からの地すべりなどの心配もあるので、現地で大まかな情報が得られるのはとても便利です。

 

※3 「わがまちハザードマップ」国土交通省

 

家族で確認しておきましょう

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とはいっても、仕事や子供の学校の関係でどうしてもこの場所に家を持ちたい、或いは先祖から引き継いだ土地に家を建てたいなど、地盤の緩い場所だとわかっていても家を建てる場合もあるでしょう。そのようなケースではしっかりとした基礎工事が必要となります。地盤改良工事ともよばれ、緩い土地を堅固にすることが不可欠です。ただし工事費やどのような方法で改良していくかは、事前にその地盤の質を詳細に調べなければなりません。請け負う工事会社も調査してみなくてはわからないのが地盤です。

 

また地盤調査には実に多くの方式があります。どの方法でどのような結果が得られるのか、また費用はどれくらいかかるかなどがまだ一般的に認知されていないため、専門家のいる地盤調査の会社に事前に相談することをおすすめします。

●まとめ●
・地震に大きくダメージを受ける土地は地盤の緩い土地である
・日本では特に都市部で地盤の緩い土地が多い
・古い地図や地名、そして行政が提供するハザードマップなどを活用する
・緩い地盤に家を建てる場合は専門的な地質調査と地盤改良を依頼する

 

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更新日: / 公開日:2017.12.20