まっさらな土地に新築の家を建てる際、竣工の前や最中に工事の無事や建築物の安全を願って行う儀式のことを「上棟式」「地鎮祭」といいます。儀式と聞くと、どこか古めかしいイメージを持つかもしれませんが近代化のすすむ現代の日本でも続いている風習です。
古来より日本では、国土が狭いうえに農耕民族であったため、土地の縄張り争いが至るところで行われてきました。しかし本来、土地というのは神様のものであり、私たち人間が土地を借りて田植えをしたり、家を建てたりしているという考えが古くから伝えられています。よって、土地に家を建てる前には神様の許しを得て、その土地で起こった出来事を浄化するという意味合いで行うのが「地鎮祭」なのです。
「上棟式」とは、家の土台となる棟木を取り付けたあとに、竣工後の安全を願って行われる儀式です。地鎮祭でいう「神様をねぎらうお祭り」というよりは、建築職人の労をねぎらい、工事関係者へのご挨拶という側面が強いもので、地鎮祭よりは地域によって意識が薄い場合もあるようです。では、実際に何が行われるのか、費用はどの位かかるのかについて解説していきます。
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地鎮祭の流れとかかる費用
地鎮祭の流れ
近くの神社にいる神主さんに依頼をして行います。一般的な地鎮祭の流れは、以下のように進行します。
- 清め祓い…儀式の初めに参列者とお供え物を祓い清める。「神様が君臨する前に失礼のないように」という意味で、神主によって「おお~ん」という雄叫びが上げられる
- お供え物の献上…神前のお供えに、御神酒と水を差しだす
- 祝詞…家を建てることを土地の神様に告げ、工事の安全を願うことばを申しあげる
- 四方祓い…神主が敷地中央、四隅を米・御神酒・塩・白紙で清める
- 地鎮…祭壇の横に盛られた砂山で行う儀式
- 玉串拝礼…参列者が一人ずつ祭壇の前に立ち、玉串を捧げる
- お供え物の撤収…神主がお供え物をお下げする
- 昇神…神様が元の座にお戻りいただくための祭儀。神主が「おお~」と2度目の雄叫びを上げる
- 御神酒の乾杯…施主の挨拶のあと、神主の音頭で乾杯
地鎮祭の費用
気になる地鎮祭の費用についてですが、「初穂料」を神主に式を行ってくれた謝礼として支払います。金額は2~3万円に加え、お供え物の費用を合わせると5万円前後が一般的です。式が終わったあと、「玉串料」あるいは「初穂料」と書いたのし袋を渡します。また、神主が車で来る場合は白封筒に「お車代」として5千~1万円程度を包んで渡します。なお、ご祝儀は上棟式を行う場合、通常は上棟式の時に支払うため、地鎮祭では必要ありません。費用は神社や地域の風習によって上下するため、直接神社に問合わせるのが確実でしょう。

地鎮祭の費用は?
上棟式の流れとかかる費用
上棟式の流れ
家を建てた大工の棟梁を中心としてすすめる儀式。一般的に、上棟式は午後の3時ごろからと決まっており、以下のように進行します。
- 棟梁が幣串・破魔矢を棟木の最も高い場所に南向きで飾る
(式典後も幣串・破魔矢は、その家を解体するまではずさずにそのままにしておく) - 建物の周りに酒・塩・米をまいて「上棟の儀」を行う
(地域によっては施主が棟木に上がって餅や硬貨をまくところも) - 施主による挨拶のあと乾杯、宴会へ
- 工事に携わる職人の紹介
- 施主から職人へのご祝儀を渡す
- 手締めでお開き
上棟式の費用
上棟式は地鎮祭のように神主を呼ばないため、主に職人が進行役であることがほとんどです。現在の上棟式では職人をもてなすという意味合いが強いことから、必要なものは施主側で準備する必要があります。式典で用意するものは、上棟の儀でまく塩・洗米・酒一升、山の幸や海の幸などの神饌物に1~2万円。そして、職人をもてなすつまみや酒肴に2~3万円、棟梁へのご祝儀に2~3万円、他の大工さんには5千~1万円位が目安です。その他一人につき5千円程度の引出物を渡す場合もありますが、省略して祝儀だけを渡すケースが多いようです。どの程度のお料理やお酒が必要かは、地域によってさまざまですので事前に施工会社に相談し、「参加する人数」や「式の段取り」について確認しておきましょう。

上棟式の流れとかかる費用は?
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上棟式の式次第は地鎮祭とさほど変わりません。本来は祭りの最中に棟木を取り付けることが特長でしたが、近年では簡略化され、すでに取り付けられた棟木に破魔矢という魔よけの矢を飾るのが主流になってきています。また、神主ではなく職人に儀式が任せられることが一般的となり、中には式典自体をやらなかったり、自分たちの手で済ませたりする人もいるようです。
一般的に、工事着手前は施工会社が近所の住民に挨拶回りをします。地鎮祭を行わないとしても、あなたが直接ご近所さんへ「これから工事が始まりご迷惑をかける旨の挨拶」に行くようにしましょう。
信仰のない人にとっては、地鎮祭や上棟式などの儀式は意味のないものだと感じるかもしれません。もし仮に、行わないからといって職人さんたちが仕事の手を抜くことはないでしょうが、家づくりに携わる職人さんたちというのは、常に危険と隣り合わせの仕事をしていることから縁起を担ぐ人が多いといいます。
工事の無事を祝う儀式を取り行うことで、工事関係者があらためて身をひきしめられるいい機会になるのかもしれません。

上棟式・地鎮祭は後世に残していきたい伝統的な式典
新築の家を建てるときの地鎮祭と上棟式のまとめ
地鎮祭
- 土地に家を建てる前には神様の許しを得て、その土地で起こった出来事を地元の神社の神主に依頼して浄化する儀式を「地鎮祭」という
- 地鎮祭の費用は神主への謝礼が2~3万円(別途お車代で5千~1万円)、お供え物の費用が2~3万円で計5万円前後
上棟式
- 家の土台となる棟木を取り付けたあとに、竣工後の安全を願って行われる儀式。大工の棟梁など工事関係者へのご挨拶の意味が強い
- 実施する場合には、施工会社に相談して参加人数や段取りを確認
- 上棟式の費用は上棟の儀でまく塩・洗米・酒一升、山の幸や海の幸などの神饌物に1~2万円。塩・洗米・酒一升、山の幸や海の幸などの神饌物に1~2万円。そして、職人をもてなすつまみや酒肴に2~3万円、棟梁へのご祝儀に2~3万円、他の大工さんへのご祝儀は5千~1万円位が目安
更新日: / 公開日:2016.08.02









