京都市は京都府の中央に位置し、古くからさまざまな文化の中心として栄えてきました。市の周囲をぐるりと山に囲まれた特有の地形である、”盆地”の街でもあります。
観光都市としてのイメージを持っている方も多いかもしれません。しかし、京都市には大型ショッピングモールが各所に点在し、バスなどの交通網も整備されているため、実は住んでいて非常に利便性の高い街です。
京都市での子育てが8年目に突入する私が、住民の目線で京都市の魅力について紹介します。
京都市で子育て中
わが家が京都市を子育ての地として選んだのはなぜでしょうか。まずは街の概要から見ていきましょう。
京都市の概要
京都市は、縦に長い京都府のほぼ中心に位置しています。府庁の所在地でもあり、府内最高の人口数を誇る政令指定都市です。その歴史は古く、794年に平安京として建設されて以来、実に1,200年以上にわたり、多くの人々が暮らしてきました。
市の総面積は827.83平方キロメートル、総人口は143万5,781人です。(2025年1月現在)
世界中から観光客が訪れる金閣寺がある北区、五山送り火の大文字山がある左京区、観光地として定番の嵐山がまたがる右京区・西京区など、11の個性豊かな行政区から成り立っています。
市内には2,000以上の寺社仏閣があり、季節を問わず観光客が絶えません。そのため、バスの路線はすみずみまで行き渡っています。京阪バス・京都市営バス・JRバス・京都バスなど、数多くのバス会社が行き交います。
地下鉄を中心とした電車の利便性も高いです。新幹線が停車する「京都駅」をはじめ、京都市内を十字に行き交う京都市営地下鉄や大阪から滋賀までをカバーする京阪電車、北部へのアクセスが便利なJRなどが利用できます。
車移動については、京都府を縦断する京都縦貫自動車道や新名神高速道路、名神高速道路も利用できるため、気軽にどの方角へも足を延ばせます。
わが家が子育て環境に京都市を選んだワケ
夫婦共々、学生時代から京都市に住みはじめ、結婚後もそのまま京都市に住み続けることを選択しました。生まれ育った街より京都市での子育てを選んだ理由は主に以下の5つです。
子育ての地として選んだ理由(1)郊外にも街にも出やすい交通の利便性
概要で紹介した通り、京都市は公共の交通機関だけでも非常に交通の利便性が高いです。車を所有していなかった学生時代も、バスだけでほぼすべての移動がカバーできていました。
子育ての地として選んだ理由(2)ショッピングモールが多く、市外に出る必要がほとんどない
現在、あらかたの買い物やサービスは京都市内で完結できるので、レジャー目的以外で市外へ出ることは滅多にありません。私が京都市に住みはじめてからショッピングモールの開業やリニューアルも、続々と行われました。
京都駅の南側に位置する「イオンモールkyoto」や向日市との境界に位置する「イオンモール京都桂川」。おしゃれなファミリー層で賑わう左京区の「洛北阪急スクエア」など、ショッピングから食事まで完結でき、一日滞在できるようなショッピングモールが市内に点在しています。
子育ての地として選んだ理由(3)自転車での移動が楽
京都市は平坦な街なので基本的に日常動く範囲は自転車での移動が可能です。北区や伏見区など、少し山に近いエリアは多少の坂があるものの、全体的にとても平らです。
私は、子どもが生まれて電動アシスト機能付き自転車を手に入れてからは、行動範囲が広がりました。わが家は平日の日中に車を使うことはできませんが、自転車があれば困ることは少ないです。
子育ての地として選んだ理由(4)豊かな自然が各所にあり、四季を身近に感じられる
京都市は三方を山に囲まれている土地です。鴨川・桂川のような大きな川があるので、自然を身近に感じられます。「京都御苑」や「京都府立植物園」など、街中にも緑を楽しめる場所が多く、住んでいて四季を感じる機会が非常に多いです。
少し中心地を離れた行政区では、住宅地の中にもまだまだ田んぼや畑が残っています。畑の直売所で買った美味しい採れたてお野菜はわが家の食卓に欠かせません。子どもと一緒に畑を訪れるのは、非常に楽しい時間です。
子育ての地として選んだ理由(5)自分たちが生まれ育った街より住みやすいと感じていたから
このような理由から夫婦共に「京都市は住みやすい」と感じていたため、京都市で子育てすることを選びました。
現在住んでいる家は京都市の中心ではなく、むしろ外れの方なのですが、徒歩圏内にコンビニやスーパー、ドラッグストアなどがそろっています。雨の日でも抱っこ紐の赤ちゃんを連れて行ける範囲内で、ほぼ生活が完結できる現在の生活環境は、非常にありがたいです。
実際どう?京都市の子育て
ここからは、実際に京都市内で夫と2人の子どもたちと4人で暮らしている経験も交えて、京都市の子育ての様子を紹介します。
数字で見る京都市の子育て事情
京都市のデータから、子育て事情を見てみましょう。
京都市の子どもは何人?年少人口(0~14歳)について
2024年10月時点で、京都市に在住する年少人口(0~14歳)は推計約14万人でした。2021年の発表では15万人だったので、減少傾向にあることがわかります。
京都市に保育施設はいくつある?
京都市には、2024年12月末の時点で419の保育施設があります。
・市営・民営保育園:209箇所
・認定こども園:83箇所
・小規模保育事業所:120箇所
・その他(事業所内保育など):7箇所
待機児童も京都市内は0人です。これは2024年6月時点で「11年連続ゼロ達成」と発表されました。
京都市に幼稚園はいくつある?
2025年1月時点で、京都市には110の幼稚園があります。その内、15の幼稚園が公立(市立)の幼稚園です。
京都市では4年保育が主流になってきていて、私の周りでも3歳になる年から幼稚園に通い出す子が増えています。その他、親子登園クラスの開設など、幼稚園でも積極的に子育て支援を提供してくれています。
京都市の子育て支援情報
「京都市こどもはぐくみプラン」の基本理念として、「こどもまんなかのまち・京都」を掲げている京都市では、実際に子育てをしている私が魅力に感じた、子育て支援の情報を紹介します。
京都市の子育て支援情報(1)2人目以降保育園完全無償化(2025年4月開始)
2025年4月以降、第二子以降の認可保育施設の保育料の完全無償化が決定しました。
0歳児を認可保育施設に入れようと思うと、所得の平均でも月5万円ほど掛かります。それが同時在園や所得に関係なく全額無償化になるため、かなり手厚い子育て支援といえます。
京都市の子育て支援情報(2)乳幼児から利用できる児童館の充実
実家から離れた土地で子育てをする私に欠かせないのが「児童館」です。京都市内には児童館と呼ばれる子育て支援施設が91ヶ所あり、いずれも運営費用の大部分は京都市からの補助金で賄われています。
京都市にはいわゆる支援センターがなく、代わりにあるのが、学童保育と乳幼児の遊び場としての機能を兼ね備えた児童館です。平日の日中の児童館では乳幼児親子向けのクラブや催しが多数あり、乳児から通える親子の居場所になっています。
京都市の子育て支援情報(3)ファミリーサポートや一時預かり(一時保育)・ショートステイの拡充
保育園を単発的に利用できるのが「一時預かり(一時保育)制度」です。現在、京都市内で一時預かりを実施している保育園は、受け入れを停止している園を除いても50ヶ所あります。(2025年3月現在)
わが家の第二子は近所の保育園の一時預かりを利用できたため、リフレッシュする時間を楽しめました。一時預かりを実施している保育園は時期によって変動があるため、京都市のホームページで最新情報をご確認ください。
地域の方に低い利用料で子どもを預けられるファミリーサポート事業や、ショートステイができる施設も充実しています。
京都市の子育て支援情報(4)学童クラブが各学区にある
児童館は、平日の午後になると小学生の預かり保育、「学童クラブ」の事業所になります。各学区に1つずつあり、いずれも小学校の近く、あるいは敷地内に併設されているため、安心して通わせられています。
民間の学童クラブもどんどん増えているので、子どもの個性や発達に寄り添って、学童クラブの選択ができるのも心強いポイントですね。
京都市の子育て支援情報(5) 産前産後ヘルパー派遣事業
「京都市スマイルママ・ホッと事業」の育児支援ヘルパー派遣事業は、京都市が提供する出産後のお母さんを対象にした支援サービスで、自宅までヘルパーさんを派遣してもらえます。
【対象】
・概ね1歳の以下の子どもがいる以下の家庭
・母親の体調不良などで家事や育児など、日常生活に支障をきたしている家庭
・第三子以降、多胎児を出産された家庭
【受けられるサポート】
・家事全般(掃除・洗濯・買い物・食事作りなど)
・育児に関わること(育児のアドバイス、授乳や食事・入浴の介助、おむつ交換、きょうだいの世話など)
【料金】(2025年3月現在)
・30分400円で1回2時間まで
・非課税世帯は無償
(いずれも回数制限あり)
このサービスを私の友人が第三子を出産した後に利用しており、ヘルパーさんについて詳しく教えてもらいました。友人の家では、平日の日中にヘルパーさんに来てもらって、約1 週間分の食事の作り置きをお願いしたそうです。作ってくれるお料理は家庭の味で、どれも美味しく、料理のレシピを教えてもらうなどの時間も楽しかったようです。
出産後に困難が予想される方は事前に確認して、いつでも利用できるようにしておくと安心ですね。詳細については京都市公式サイト等で最新情報をご確認ください。
京都市での子育て体験談
京都市で子育てをする魅力
私が実際に京都市で子育てをしていて感じた魅力は、3つあります。
京都市で子育てをする魅力その(1)盛んなご近所付き合い・お年寄りが子どもに優しい
実際に家族で京都市に住んでいて感じるのは、ご近所付き合いが盛んであるということです。これは住んでいる場所の土地柄もあるとは思うのですが、自治会活動はもちろん、近所にはわが家の子どもたちにちょっとした差し入れをくださる方がとても多いです。
地域で子どもを見守り育てていくという、あたたかい空気を感じます。
京都市で子育てをする魅力その(2)地域の人が主宰する乳幼児向けイベント・子育てサロン
私の地住んでいる地域では2ヶ月に1度、地域の民生委員さんや児童委員さんが主宰する乳幼児向けのイベントがあります。子育て中の方とだけではない、地域の方々との出会いの場としても賑わっていました。
京都市で子育てをする魅力その(3)豊かな自然が各所にあり、外遊びに困らない
京都市はすぐ近くに豊かな自然があるため、外遊びの行き先を選ぶことができます。
河原や公園で体を動かしながら生き物を追いかけ、夏は浅瀬の清流で水遊びを楽しみながら、子どもたちと京都市の自然を満喫しています。
京都市で感じる子育て世帯を取り巻く、あたたかい空気
京都市で子育てをしていると、子育て世代を取り巻くあたたかい雰囲気や、優しく見守ってくれているのを感じます。東京生まれの父は、わが家の子育てを見て「昔の下町みたいな街だなあ」と、表現していたのが印象的です。
京都市の子育て環境
ここからは実際に感じる京都市の子育て環境を伝えます。後半では実際に私がよく行っているおすすめスポットを紹介します。
保育園も幼稚園も数が多い
京都市には現在 419の保育施設と110の幼稚園があります。実際に、わが家が子どもの入園前に最終候補として見学した幼稚園は5ヶ所もありました。
施設の数が多いため、幼稚園や保育園を各家庭で主体的に選べるので、子どもに寄り添った決定ができるという意味でも大きな魅力だと感じました。
放課後の児童館は学童クラブ登録していない児童も一緒に過ごせる
京都市の学童クラブはベースが児童館なので、学童クラブに登録していない子どもも「自由来館」という形で遊びに行けます。自由来館は無料なので、私が忙しいときやきょうだいが体調不良のときなどは、「児童館に行っておいで」と、子どもを送り出しています。
さまざまな事情を抱えるご家庭が多い中、小学校以外にも子どもの居場所を確保してもらえるのは本当に心強いです。
京都市の子育て世代におすすめのお出かけスポット
ここからは、私が実際によく行く、子育て世代におすすめのお出かけスポットをご紹介します。
京都市の子連れおすすめスポット(1)嵐山東公園
嵐山東公園は、観光客を見かけることの多い嵐山を駅から少し南西に下った先にある、広大な芝生が目印の公園です。秋にはたくさんのドングリが落ちていて、子どもたちを喜ばせてくれますし、春はお花見の穴場スポットでもあります。せせらぎのような小さな小川が公園を縦断している、地域の憩の場になっています。
施設名:嵐山東公園
所在地:京都府京都市西京区嵐山東海道町17嵐山
アクセス:阪急嵐山駅または松尾駅から徒歩5分
京都市の子連れおすすめスポット(2)宝が池子どもの楽園
左京区にある「宝が池公園」は、ボートに乗れる大きな池が有名です。
公園の東側にはたくさんの遊具がそろった「子どもの楽園」というエリアがあり、広い芝生と併せて、子どもとの遊びにおすすめのスポットです。設置されている遊具のバリエーションが豊かなので、よちよち歩きの頃から小学生まで、思いっきり体を動かして楽しめます。
天気のいい日なら丸1日過ごせるくらいのボリュームがあるので、わが家もお弁当を持参して何度も遊びに行っています。
施設名:宝が池子どもの楽園
所在地:京都府京都市左京区上高野流田町8
アクセス:叡山電鉄「宝ケ池」駅より徒歩約5分、京都市営地下鉄烏丸線「国際会館」駅5番出口より徒歩約15分、京都市バス・京都バス「宝ケ池」下車、徒歩約3分
開園時間:9:00〜16:30
休園日:年末年始
京都市の子連れおすすめスポット(3)鴨川公園運動場
京都市の中心部を流れる鴨川は、橋が架かるような大きな川ですが、夏になると水遊びをするたくさんの家族連れで賑わいます。
中でも特におすすめなのが、北区にある「鴨川公園運動場」です。駐車場とトイレを備えたこちらの公園は、目の前に賀茂川(鴨川)が流れていて、かなりの遠浅で流れも穏やかです。日除のテントとお昼ごはんを持って行けば、一日中川遊びを楽しめます。
施設名:京都府立鴨川公園運動場(柊野)
所在地:京都市北区上賀茂中嶋河原地内
アクセス:京都バス「高橋」下車
京都市の子連れおすすめスポット(4)イオンモール京都桂川
最後におすすめするのは、2014年に開業したイオンモール京都桂川です。店舗数は200以上という大型イオンモールで、イオンシネマも併設されています。
「もくいくひろば」「かつらがわぱあく」という無料で子どもたちが遊べるスペースが設置されていて、買い物に飽きた子どもたちが羽を伸ばせる嬉しい場所です。子どもと一緒に、あらゆる買い物を一度に済ませられるショッピングモールなので、ぜひ行ってみてくださいね。
施設名:イオンモール京都桂川
所在地:京都府京都市南区久世高田町376−1
アクセス:JR京都線「桂川」駅直結、阪急京都線「洛西口」徒歩5分
営業時間:
専門店:10:00〜21:00
イオンスタイル(食品):8:00〜23:00
イオンスタイル:9:00〜23:00
イオンシネマ:9:00〜24:00
レストラン街:11:00〜22:00
定休日:年中無休
京都市の住まい事情
京都市での子育てを検討する際に気になる家賃相場はどうなっているでしょうか。
まずはファミリー向けの2LDK・3K・3DKで、近隣地域の家賃相場を比較してみましょう。京都市から近く、大阪の中心部にもアクセスがしやすい京都府長岡京市は11.34万円でした。京都市から南西に位置する京都府宇治市は9.85万円で、山科区よりさらに西に進んだ滋賀県大津市が7.89万円です。長岡京市よりさらに大阪寄りの大阪府高槻市は12.58万円でした。
続いて京都市内の家賃相場ですが、行政区によってかなり差があります。
京都市内で1番家賃相場が高いのが新幹線の京都駅がある下京区で19.10万円でした。逆に1番家賃相場が低いのが山科区で10.39万円です。京都駅から南東にあり、高速道路へのアクセスしやすい伏見区は11.12万円でした。通勤通学がある場合は、交通の便や車の所有も含めて物件を探したいですね。
近隣地区と比較してみても、京都市下京区の家賃相場は、高いことがわかります。下京区や中京区などの中心地は商業地区のイメージもあるので、そもそも居住用の物件が少ないというのも、家賃相場が高くなる理由の1つでしょう。
京都市内では行政区によって相場が10万円近く変わります。そのため、家族に必要な条件を洗い出しながら、ぴったりの物件を探してみてください。
京都市の子育て世帯におすすめエリア
続いて、京都市内で子育て世帯におすすめのエリアについて紹介します。
子育て世帯におすすめの京都市のエリア(1)右京区
山間部の京北地区も含んだ大きな右京区は、豊かな自然が魅力です。阪急電鉄の駅やバスの利便性は高いですが、比較的安価で駐車場を借りられるので、車を所有したい子育て世帯におすすめです。
2008年に移転オープンした右京区役所には大きな右京中央図書館が併設されていて、大人から子どもまで、多くの人が集まっています。
子育て世帯におすすめの京都市のエリア(2)左京区
多くの大学がある左京区は、若者が集まるおしゃれな街でもあります。街全体が比較的新しいため、道路や歩道が広く、整備も行き届いています。鴨川や点在する公園も子育て世帯には嬉しいポイントです。
中心部から少し離れて、のんびりと子育てしたい方におすすめのエリアです。
都会と田舎が融合された街、京都市は子育て世代にぴったり
京都市は都会的な雰囲気もありながら、自然にも気軽に足を運べる“都会と田舎のいいとこ取り”ができる街です。「京都人はよそ者に冷たい」というイメージを持たれることもあるようですが、実際にはそんなことはありません。暮らしてみると、温かい交流に心が和む場面がたくさんあります。
京都市に住んでみると、実は京都出身ではないパパママも多く、留学生を含めたたくさんの学生さんが行き交い、それもまた心地よく感じる要素のひとつなのかもしれません。
私は京都市で子育てをしている中で、行政が手厚い子育て支援を急速で進めてくれていることを肌身で感じています。街の便利さと、自然の中で過ごすゆったりとした気持ちの両方を与えてくれる京都市で、あなたも子育てをしてみませんか?