みなさんの周りに育休を取得している男性はいますか?
男性で育休を取得する人は増えてはいますが、まだまだ少ないのが現状です。育休を取得しづらい雰囲気だったり、収入面で不安があったり、制度がよく分かっていなかったりと、育休を取得する人が少ない理由はいくつもあります。
周りに育休を取得している男性が少ないため、漠然と”育休を取得したら今後どうなるか分からない”といった心理的な不安が大きいことが、育休を取得する男性が少ない一番の要因かもしれません。そんな状況の中で、私は悩み抜いた末に育休を取得しました。しかも期間は1年間。
男性が取得する育休の中ではかなり長い期間です。周りに男性で1年間も育休を取得している人はいなかったので、取る前はどうなることやらと心配していました。しかし、現在は1年間の育休期間を完了し、無事に職場に復帰しています。
今回の記事では、そんな私の体験談を紹介します。男性の育休取得に興味のある方に読んでもらえたらうれしいです。
男性の育休とは
「育休を取りたいけど会社が許可してくれるかな」と心配している男性は多いですが、育休は会社の制度ではなく、”育児・介護休業法”という国の法律によって定められた国民の権利です。社員から申請があった場合、企業側はこれを拒否することはできない旨も、条文にはっきりと明記されています。
「そうはいっても、育休を取ったらみんなに迷惑かけるし、なんて言われるか分からないよ」という人もいますよね。育休取得を考える人のほとんどが同じことで悩んだ経験があるでしょう。まずは制度を正しく理解し、さまざまな人の体験談を聞くことが大切です。そのうえでどうするか夫婦で話し合って決めるのがよいと思います。
男性の育休制度の概要
育児休業制度を簡単にまとめると、子どもが1歳(条件により最長2歳)に達するまでの間、育児休業を取得できる制度です。
育休というと女性が取得するものと考えている人も多いですが、男性も取得できます。私の周りには「え?奥さんが働くの?」というように、夫婦が両方同時に育休を取得できることを知らない人もいるくらいでした。
育休を取得するタイミングや期間は、取得する本人が選択できます。そのため、さまざまパターンが存在します。
・ 子が生まれて1週間だけ取得する人
・ 妻が里帰りから戻ってきたときから1ヶ月取る人
・ 数ヶ月を2回に分けて取る人
・ 半年間取る人
・ 1年間フルで取る人
いろいろな選択肢がありますが、育児の面を考慮すると、ある程度長めに取った方が個人的には良いのかなと感じます。1ヶ月未満の期間では、子育てを”体験した”の域を出ることは難しいです。本当に育児や家事を自分ごととして考えるには、少なくとも数ヶ月は必要でしょう。
制度上は育休を半年以上取っても何の問題もありません。家族のために思い切って会社の上司に相談してみるのもおすすめです。
低い日本の男性育休取得率
国が男性の育休取得を推進していることもあり、男性の育休取得についての理解は広がってきてはいますが、実際に取得している人はまだまだ少ないのが現状です。
厚生労働省の資料(男性の育児休業の取得状況と 取得促進のための取組について-2019年7月3日)によると、2018年の育休取得率は女性の約82%に対して、男性の取得率は約6%。
10年前に比べれば急激に増えてきてはいますが、まだまだ十分とはいえません。さらにいえば、男性の育休取得日数は、5日未満が56.9%、8割以上が1ヶ月未満となっています。
育休取得率が増えているのは間違いないですが、半数以上が5日未満ということではあまり有効であるとはいえません。5日未満なら有給で消化できますからね。
私の知人も出産後に1週間だけ休んだ人がいましたが、育児をした感覚さえなかったそうです。やはり育児を自分ごととして捉えるためにはある程度、長期間の育休取得が重要なのだなと思います。
育休中の収入源と税金
育休を長期間取得するとなると、心配になるのが収入ですよね。日本の場合は、育児休業給付金として最初の6ヶ月は1ヶ月あたり賃金の67%、7ヶ月目以降は50%の支給があります。もちろん、夫婦ともにもらえます。いくつか条件があるのですが、1つの条件として”一定期間雇用保険に加入していること”です。
自営業の場合は受け取れませんが、サラリーマンであれば受給できる場合がほとんどです。細かい話をすると、育児休業給付金は非課税所得・社会保険料免除となり税金が免除されるので、手取りとしてはもう少しもらえます。
私の場合は、最初の6ヶ月は手取り換算すると今までの月収の80%はもらえていました。これだけもらえれば安心ですよね。注意点としてはボーナス賞与に関しては、基本的にはゼロになる点です。ここはどうしようもないので、そういうものだと思って諦めるしかありません。
もう1つの注意点は、住民税の支払いです。
育児休業給付金は非課税なのですが、住民税は前年度の収入によって決定されるので、前年度で確定された住民税を育休中に支払う必要があります。まとまった金額を一括で収める必要があるため、注意が必要です。
ただし、住民税に関しては、翌年の住民税が安くなるのでトータルとしては納める税金は安くなります。何月からどれくらい育休に入ったかで変わってきますが、私の場合は翌年の住民税は半額以下でした。あまり注目されていませんが、保育園の保育料も安くなります。
認可保育園の保育料は世帯所得によって決まります。夫婦ともに育休を取っている世帯はその分保育料が安いです。わが家も月数万円安くなっていて助かりました。このように育休中の収入に関しては、育児休業給付金や税優遇措置によってある程度保護されています。
男性育休の体験談
ここからは、私が実際に育休を取得したときの話をしたいと思います。男性で長期間の育休を取る人は私の周りにはいませんでした。そのため、さまざまな問題にぶつかりました。
育休を取得したきっかけ
私は以前より子どもができたら育休を取ろうと考えていました。その瞬間しかない子どもとの貴重な時間を一緒に過ごしたいと考えていたからです。何より出産後の妻の負担を軽減し、私自身も主体的に育児に取り組みたいと考えていたからです。そのためには育休を取ることがベストでした。
法律として育児休業の制度があるにもかかわらず、男性の育休取得が進んでいない日本社会は少しねじれているなと思います。自分が育休を取ることで会社や社会の1つの例となり、少しでも育休の取りやすい社会になればいいなという気持ちもささやかながらありました。
育休を取得するまでの苦労
そうはいっても男性育休が浸透していない現在の状況では、なかなか1年間という長期間の育休を取得したいと言い出せる雰囲気ではありませんでした。とはいえ、言うのが遅くなればなるほど社内の調整も難しくなるため、思い切って上司に相談しました。かなり緊張したのを覚えています。
出産安定期に入る前のことだったので、まだ流産の可能性もある中で、妻の妊娠報告とともに育休の相談をしました。相談したとき、上司はかなり困惑した表情でしたが、少し話したあと、了承してくれました。
チームから一人抜けるわけですから、上司としてはかなり複雑な思いだったでしょう。100%歓迎してくれている感じではありませんでしたが、嫌がらせなどもなく、無事に育休を取得させてくれた上司には感謝しています。
そのほか、育休に関して苦労した点としては、会社内の育休についての資料が分かりづらかった点があります。育休取得に関する資料は女性向けに作成されていたために、男性が利用しようとすると当てはまらない内容がいくつかあったのです。
そのため人事に個別に問合せをしたり、ハローワークで制度について改めて確認したりしましたが、この確認作業が非常に大変でした。こういう作業をしているときに「まだまだ男性育休は社会に浸透していないのだな」と実感します。
育休関連の書類をすべて提出し終わったあとも、本当にこれで大丈夫か確約がとれないまま育休に入りました。かなり不安でしたが、最後は「ここまで来たら、なるようにしかならないな」と腹をくくるしかありません。結果としては書類の不備もなく、問題なく育休に入ることができました。
育休生活
こうして育休生活に入ったわけですが、妻も私も初めてのことだらけで、てんやわんや。分からないことばかりでしたが、毎日がとても充実していました。
赤ちゃんは24時間定期的におむつを替えたり、ミルクをあげたりする必要があるので、妻と交互に睡眠を取って対応していました。もし、これをワンオペでやるとなったら本当に大変だなと思います。
仕事をしていたとしたら、仕事の過渡期には、ストレスで子どもの泣き声に対してイライラしていたかもしれません。育休を取ったからこそ、ある程度心の余裕を持って育児に対応できたのだと思います。家族と過ごす時間も増えて、より仲良くなれました。
「夫婦ずっと一緒にいたら逆に仲悪くならない?」と会社の年配の方にいわれたときは、そんな考え方の人もいるのかと驚きましたが、わが家の場合は以前より仲が深まりました。家事や育児も慣れてきた育休期間後半は余裕も出てきて、空き時間に勉強をするなど、充実した毎日を過ごせたのです。
1年間の育休を終えて
育休を終えて感じたことは、「育休を1年間取得して本当に良かったな」ということです。人生100年時代の現代において、貴重な1年間を過ごせました。2人目が生まれたら、ぜひ次も育休を取得したいです。
たしかに金銭面でみるとマイナスな面もあるのですが、子どもの0歳という貴重な瞬間にたくさんの時間と愛情をかけてともに過ごせたことは本当に幸せでした。また、会社から離れたことで自分のキャリアを見つめ直せたことも良かったことの1つです。
必ずしも昇進だけが人生の成功ではなく、幸せの基準というものを考え直すきっかけとなりました。ちなみに現在は妻も私も職場に復帰しており、共働きです。 育児や家事については、特に役割を決めずにできる方が主体的に行動しています。こういったことも育休を取ったからこそできるようになったことなのかなと思います。
子育てをするのにおすすめの住まい
子育てをするうえで、そこまで広い家は必要ありませんが、あると良い設備はあります。また、今後を考えると、より柔軟性のある住まいの方がおすすめです。
家事をしやすい住まい
育休中に私も家事を行っていましたが、できるだけ家事の負担が減るような設備があると重宝します。例えば宅配ボックスはあると便利です。おむつなど大きな荷物は買い物に行くよりも通販で購入する方が運搬面で楽なので、よく利用します。
苦労して寝かしつけた子どもが宅配のチャイムの音で起きて泣いてしまうと、心が折れます。そういうときに宅配ボックス配達指定にして注文しておくと、チャイムもならず自分で好きなときに取りに行けるので便利です。
ゴミ出しも24時間OKのところだと、子どもが寝たときなど時間を気にせず出しに行けるので便利ですね。あとは食洗機やディスポーザーがついていると時短になるので非常におすすめです。
子どもの成長に合わせて変更できる住まい
子どもの成長に合わせて部屋のレイアウトを変更できる”可動間仕切り”もおすすめです。子どもが小さいときは、目の届くようにオープンなレイアウトにしておき、子どもが大きくなったら子ども部屋として仕切りをする使い方ができます。
可動間仕切りはテレワーク時に仕事部屋として仕切る使い方もできるのでおすすめです。
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私は1年間という比較的長期間の育休を取得しましたが、本当に育休取得して良かったと思っています。育休期間中の収入は減りましたが、それ以上にメリットが多いと感じました。
私の育休取得に対しては妻からも「育休を取得してくれて感謝している」と言ってもらえています。今後、会社で昇進スピードなど、どう影響が出るのかは分かりませんが、1番大切な妻に理解してもらえているのであれば、ほかの人になんと言われようが問題ありません。育休取得が万人にとってベストな選択だとは言いませんが、育休を取得したい人が自由に取得できる社会になるといいなと思います。
男性の育休はまだまだ取得している人が少ないです。しかし、もし育休を取得してみたいと思ったなら、家族や自分のためにもぜひ取得を検討してみてください。長い人生の中でのたった1年間ですが、とても貴重な時間になること間違いなしです。