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大阪・東天満「CAN BASHI」サッカー好きも、家族連れも、みんなが集まる街のスペイン料理店!
大阪・東天満「CAN BASHI」サッカー好きも、家族連れも、みんなが集まる街のスペイン料理店!

大阪・東天満「CAN BASHI」サッカー好きも、家族連れも、みんなが集まる街のスペイン料理店!

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大阪・東天満エリアの大川沿いに突如現れる小さな赤いスペイン料理店「CAN BASHI」。店主の石橋篤さんはパートナーのスサーナさんとともに2015年から同店を営んでいます。現地そのままの料理と親しみやすい雰囲気を求めて、近隣の家族連れはもちろん、大阪をホームタウンとするガンバ大阪の監督まで来店されるそうです。
9年の歴史のなか、現地スペインでも修業経験のある石橋さんの目に東天満という町はどのように映っているのでしょうか。意外と知らないスペイン料理のこととともに、お店と町についてお話を伺いました。

スペイン料理の世界とバルセロナでの修行時代

入店時にすぐ目に飛び込んでくるのは天井に貼られたTシャツ。石橋さんとスサーナさんがスペインで買い集めたもの
入店時にすぐ目に飛び込んでくるのは天井に貼られたTシャツ。石橋さんとスサーナさんがスペインで買い集めたもの

―イタリアンやフレンチに比べると、スペイン料理店は意外と見かけない印象です。石橋さんはどのような経緯でこの世界に入られたのでしょうか?

石橋さん:「地元山口の高校を卒業してから大阪に出てきて料理の専門学校に通っていたんですけど、僕らの時代は和食でなければイタリアンの道に進む人がたくさんいました。あまりにみんなが行くところは嫌だなと思って、試しにスペイン料理を食べてみたら美味しいし、お酒にもよく合う。これはいいなと思ったのがきっかけです」

―専門学校を出られてからスペイン料理の道に?

石橋さん:「そうです。でも僕が20歳のときは大阪でも5、6軒くらいしかなかったと記憶しています。職場を探すのには苦労しましたが幸いなことに見つかって、より本格的に現場で学ぶことができました」

赤いチェックのテーブルクロスはスペインらしい明るい印象
赤いチェックのテーブルクロスはスペインらしい明るい印象
「カンバッシー」の“カン”はスペインでよく屋号として用いられる「~家」の意。“バッシー”はもちろん石橋さんの“橋”
「カンバッシー」の“カン”はスペインでよく屋号として用いられる「~家」の意。“バッシー”はもちろん石橋さんの“橋”

―現地バルセロナにも行かれていたとか。

石橋さん:「『ハモンハモン』という老舗のスペイン料理店にいたのですが、そのときの師匠がバルセロナで7年間働いていて、話をよく聞かせてくれました。僕も行ってみたいなと思ったのと、現地に行ったことがないなんて格好つかないなと思って、26歳から30歳まで向こうで過ごしています」

―バルセロナは実際どんな地域なのでしょうか?サッカーのイメージが強すぎる分、実は町についてあまり知らないかもしれません。

石橋さん:「僕がいたのは市内ではなく郊外の田舎でした。バルセロナは中心地だけが都会で、少し山の方に行けばかなり田舎が残っているんですよ。そこは馬小屋がふつうにあるような地域なのですが、立ち位置を大阪で喩えるなら高槻市のようなところでした」

―そうなんですね!現地ではレストランで働かれていたんですか?

石橋さん:「レストランと食堂の間くらいのお店です。200人は入れるくらい広い店内で、地元のお客さんが連日集まってくるので大忙しでした。印象的だったのは、田舎にある地元民御用達のお店でも、住んでいる場所に関係なく色んな人が食べに来ることです。向こうの人たちはバカンスや休日でなくても100キロくらいの距離ならふつうの感覚で食事に行きます。だからこそ田舎でも商売が成り立つんです。ちなみに僕の働いていたお店にはFCバルセロナの選手もよく来ていました(笑)」

石橋さんは毎試合欠かさずチェックするほど大のバルセロナファン
石橋さんは毎試合欠かさずチェックするほど大のバルセロナファン
よく見ると、キングカズとイニエスタに挟まれた石橋さんの写真が……
よく見ると、キングカズとイニエスタに挟まれた石橋さんの写真が……

―どうしよう、とっても羨ましいです(笑)。

石橋さん:「当時中心メンバーだったシャビ・エルナンデスがお店のオーナーと知り合いで、2008-9シーズンに3冠を達成したときの祝勝会もそこでやったみたいです。ちょうどその年に日本に帰って来ていたので立ち会えなかったのですが、監督のグアルディオラなども来ていたとか」

本場バルセロナの味をそのまま大阪で

ちょっとした晩酌からお腹いっぱい食べたい時まで、いろんなシーンで重宝するラインナップ
ちょっとした晩酌からお腹いっぱい食べたい時まで、いろんなシーンで重宝するラインナップ
ドリンクメニューも大充実!普段あまり見かけないスペインのお酒も
ドリンクメニューも大充実!普段あまり見かけないスペインのお酒も

―スペインで3年間を過ごしてからはまた大阪に戻ってこられたんですか?

石橋さん:「そうですね。知人が京橋でスペイン料理店を開店させるというので声がかかりました。『リンコンカタルーニャ』というお店で、“リンコン”は“隅っこ”、カタルーニャはバルセロナのある地域のことなので、“京橋の商店街の隅っこにあるカタルーニャ”という意味です。5年ほど働いて、2015年に独立しました」

―「CAN BASHI」さんは大川が目の前に流れている気持ちの良いエリアに立地しています。

石橋さん:「スペイン人の妻が決めてくれました。周りには『天神橋商店街から続いていない立地なのになんでそこにしたの?』と聞かれますが、スペインには川沿いのお店が流行るという言い伝えがあるんです(笑)」

―へえ!パートナーのスサーナさんは主に接客を担当されているんですよね?

石橋さん:「サービス精神に溢れているのでホールのことは任せて、僕は料理に集中させてもらっています。あと、僕と妻はバルセロナの同じレストランで働いていたのですが、当時彼女はデザートを担当していたのでうちでもお願いしています」

―本日はデザートもご用意いただけたとのことで、楽しみにしています!それではお料理について伺ってもいいですか?

石橋さん:「うちの料理は7割がカタルーニャ地方のもの、3割がスペイン全土のものという割合で作っています」

横から見ると焼けたパスタの突起が見える。スペインでは、それが上手なフィデウアの証と言われているらしい
横から見ると焼けたパスタの突起が見える。スペインでは、それが上手なフィデウアの証と言われているらしい

―スペイン料理と一口にいっても地域色があるんですか?

石橋さん:「強くあります。お出ししたパスタのパエリア『フィデウア』はバルセロナの郷土料理です。パエリアと聞くとお米を思い浮かべる方が多いと思いますが、それはバルセロナよりずっと南の米どころバレンシアの料理なんですよ。バルセロナは海も山も近いのでそれぞれの食材をミックスしたり、フランスと隣接しているのでフランス料理の要素が入っているのが特徴です。お米のパエリアもありますがもっと汁気が強いですね。ほかにも例えば、南のアンダルシアは揚げ物、北のガリシアはオーブン料理と、主となる調理法も地域によってさまざまです」

―魚介の旨味がとても立っています。

石橋さん:「魚のあらとオマール海老の頭で出汁を取って、イカをくたくたになるまで煮たソースとあわせてから焼き上げました」

―デザートでご用意いただいた「タルタ・デ・サンティアゴ」には十字架のマークがついていますね。

スサーナさん手作りのデザート。程よい甘みの「タルタ・デ・サンティアゴ」とドラゴンフルーツのアイスの相性は抜群
スサーナさん手作りのデザート。程よい甘みの「タルタ・デ・サンティアゴ」とドラゴンフルーツのアイスの相性は抜群

石橋さん:「日本語に訳せば“聖ヤコブのケーキ”なのですが、その名の通り、聖ヤコブの十字架をつけるのが習わしになっています。巡礼の旅の最終地点サンティアゴ・デ・コンポステーラで食べるアーモンドのケーキです。同地が目的地とされているのはキリスト教の十二使徒のひとりであるサンペドロの遺骨が納められているからだと言われています」

―さっぱりとした甘さでとても美味しいです!大雑把な質問になってしまうのですが、お料理全体としてこだわっている部分はありますか?

石橋さんに言わせれば、スペインで一番美味しいのは生ハム。作り方こそ同じなれど、風土が違いを生むらしい。「生ハム食べ比べセット」でぜひ
石橋さんに言わせれば、スペインで一番美味しいのは生ハム。作り方こそ同じなれど、風土が違いを生むらしい。「生ハム食べ比べセット」でぜひ

石橋さん:「ジャパナイズせず、現地の味をそのまま出すことですかね。先ほどおっしゃっていたように、イタリアンやフレンチに比べたらスペイン料理はまだまだ日本で浸透していません。だからこそ日本らしさと混ぜてしまってはいけないと思うんです」

家族連れも監督も大歓迎!親しみやすい専門店

―お客さんはどんな方が来店されますか?

石橋さん:「家族連れが多い印象です。特に週末はテーブルが家族連れで埋まってしまうこともあります。9年間営業していて、客層はとても良いと感じています。変に酔っぱらう人もいないし、丁寧なお客さんばかりです」

―東天満エリアだからこそなんでしょうか?

石橋さん:「それはとても大きいと思います。いやらしい話ですが、この辺りは治安も良くて暮らしやすい地域なだけに、ある程度お金に余裕がある層が住んでいます。だから食にも気を遣われているんだけれども、レストランは子どもがいるから入りづらい、でもいわゆるファミリーレストランは気が向かない。そういうときにうちに来てくれているのかな」

―たしかに、この大川の北側のエリアはびしっと洗練されたお店も多いなか、「CAN BASHI」さんは力が抜けていて入りやすいように思います。

石橋さん:「僕自身、きっちりやりたくないんです。こっちもお客さんもしんどいだろうと思うので。その代わり多少のことは許してねって(笑)」

寡黙に料理を作られているのでちょっぴり恐い印象の石橋さんだが、話せばとてもフレンドリーでチャーミング
寡黙に料理を作られているのでちょっぴり恐い印象の石橋さんだが、話せばとてもフレンドリーでチャーミング

―オープンな雰囲気でもチープにならず、お料理も妥協なく現地の味にこだわっていらっしゃっていて、とても丁度良いバランス感覚のお店だと感じました。印象的なお客さんはいらっしゃいますか?

石橋さん:「2、3週間に一度、ガンバ大阪のダニエル・ポヤトス監督が来てくれます。家族で来られるのでいまでは家族ぐるみで仲良くなりました」

―すごい!ちなみに監督がよく頼むお料理は何ですか?

石橋さん:「もつ煮、バルセロナ名物のカネロニ、それと今日お出ししたフィデウアもよく頼んでくれます」

―石橋さんご自身はガンバサポーターなのですか?

石橋さん:「もちろん応援はしていますけど、FCバルセロナ以上に熱量を注げるチームはほかにありません(笑)。でも監督のおかげでガンバサポーターも来てくれたり、SNSをフォローしてくれたりとありがたい限りです」

―素晴らしいお料理とお話をありがとうございました!最後に今後の展望を教えてください。

石橋さん:「先のことはあまり考えていなくて、今後も謙虚に頑張るだけかなと思っています。素晴らしいお客さんに来ていただいているので、妻とできるだけ長くお店を続けていきたいです」


◆今回取材したお店
「CAN BASHI」
住所:大阪府大阪市北区天神橋1丁目3-4 清州中之島プラザ1F リアライズ中之島
電話:06-6360-4859
営業時間:18:00-23:00
定休日:水曜日、不定休
Instagram:@can_bashi

子育ても安心。落ち着いた大人の街・東天満

今回紹介した「CAN BASHI」は京阪本線、京阪中之島線、Osaka Metro谷町線の3路線が走る天満橋駅から徒歩10分ほど。大川の北側に立地します。また、南森町駅や北浜駅からも同じく徒歩10分圏内です。大阪天満宮をシンボルとする東天満エリアは、「日本一長い商店街」として有名な天神橋筋商店街あり、上方落語唯一の寄席「天満天神繁昌亭」あり、そして昨今は落ち着いた大人のための飲食店も増えており、生活と伝統と新しさが混じり合う様子が見られる地域です。
ファミリー層に人気の間取り2LDKの平均家賃は17.8万円。石橋さんは「女性店主がひとりで切り盛りする飲食店なども多く、それは治安がいいことの証拠だ」とも教えてくれました。普段は同エリアで落ち着いた生活を送りながら、少しだけ特別な日の食事として「CAN BASHI」で家族でスペイン料理を頬張ってみてはいかがでしょうか。

取材・文:石川宝 写真:貞雄大

IN/SECTS編集部

プロフィール:大阪という物理的なローカリティと、感性や共感といった同時代性的ローカリティを軸に、ローカル・カルチャーマガジン「IN/SECTS」を発行。現在、大阪の京町堀を拠点に、「IN/SECTS」のほか、書籍の出版も行う。年に一度、イラストレーターや飲食店、作家、アーティストと、アジアの出版社を集めたイベント「KITAKAGAYA FLEA & ASIA BOOK MARKET」を、北加賀屋にて開催。LIFE LISTでは、個の視点を通して見えてくる街や人の姿を紹介する。

※掲載内容の実施に関してはご自身で最新の情報をご確認ください

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