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大阪・門真「巣本温泉」。寄席、漫才、プロレスなどイベントを機にお風呂への関心を広げる
大阪・門真「巣本温泉」。寄席、漫才、プロレスなどイベントを機にお風呂への関心を広げる

大阪・門真「巣本温泉」。寄席、漫才、プロレスなどイベントを機にお風呂への関心を広げる

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京阪本線萱島駅から車で5分、煙突を目印に向かった先には、軟水の湯で有名な「巣本温泉」があります。2020年以降、新型コロナウイルスの感染拡大や銭湯の重要部品が故障して廃業間近となった状況を乗り越えた。そんな同店を支えるのは、お客さんのために孤軍奮闘する2代目店主・鈴木淳司さんだ。今回は街と店づくりについてお聞きした。

前職を辞めて温泉の世界へ

―巣本温泉の開業はいつ頃でしょうか。
鈴木さん:1965年頃になります。僕の親父が創業しました。

―ということは、鈴木さんは2代目になるんですね。
当時からお店はここ巣本町にあったのでしょうか。
鈴木さん:そうですね。私もここで生まれ育ちました。

―当時のお店や街の様子を覚えてらっしゃいますか?
鈴木さん:当時のことは写真で見たことがあるくらいで、店周辺には家がそんなになかったらしいです。煙突に登ると大阪城が見えるほど建物がなく、見晴らしが良かったといいます。そんな何もなかった場所にお風呂屋をつくったんです。

―当時はどんなお客さんがいらっしゃったのでしょうか?
鈴木さん:ほとんどの人は家にお風呂がなかったので、みんなお風呂屋に来ていました。親からは「芋の子を洗うような勢いで次々とお客さんが入ってきていた」と聞いています。今となっては99%の家にお風呂があります。その中でお風呂屋に来てもらうために何ができるかを考えなければいけなくなりました。

―そんなお風呂屋さんの転換期に、鈴木さんはお店を継がれることになったんですか?
鈴木さん:両親が亡くなったのが15年前。母親が亡くなって1年も経たずに親父が亡くなりました。ほんまはお風呂屋をやるには厳しい状況だったので、廃業を考えていたんです。しかしお風呂屋を営む家に生まれたことと、両親の意思を引き継ぎたいと思い直し、それまで働いていた仕事を辞めてお店を継ぐことに決めました。

―なるほど。ちなみに前職ではどんなお仕事をされていたのですか。
鈴木さん:ペットショップの店長と乗馬のインストラクターです。

―異業種!そもそもお店を継がれることは、想定されていたのでしょうか?
鈴木さん:可能性としては、半々だと思っていましたね。両親が亡くなったら誰がやるんやろうっていう思いと、自分の好きなペットショップをやりたいなあという思いもあって。でも廃業するのが悔しくなって、どんどん風呂屋をしたいという気持ちに変化していきました。

―ご両親の死がきっかけでもあったんですね。実際お風呂屋さんを運営されてからは、いかがでしょうか?
鈴木さん:そうですね。子どもの頃からお風呂掃除や、薪を運ぶ仕事は手伝っていたので仕事の内容は頭ではわかっているつもりでした。僕以外やる人がいなくて、僕しかいないと思いました。実際始めると、すべてが大変でした。コロナ禍でお客さんは来ないし、設備が故障するというトラブルも起きて。直す設備事業者もいなくて自分でなんとかしないといけない状況に追い込まれました。

―直す事業者がいないというのは?どんなトラブルが起きたんですか。
鈴木さん:直せる設備事業者はいるんだけど、お願いしたら高くつくからね。修理代が店の売り上げを超えてしまっては、なにしているのかわからなくなる。自分で設備を修理できるように独学で勉強をして、どうしても無理な時は事業者に頼る、というような感じになりました。ある時、釜といわれるお風呂屋の心臓部から水漏れをしてお湯が溜められない状態になりました。ちょうどコロナ禍に突入していたのでお客さんが少ないことと、機械が壊れるという致命的なトラブルが同時に起き、これ以上の地獄はないと思うくらい売り上げも気持ちも落ち込みました。けど、ここで諦めたら自分自身が許せない、と思って3年前にリニューアルをすることにしました。

2021年、思い切ってリニューアルへ

―低迷期を経て、リニューアルしたのはどのような思いからでしょう?
鈴木さん:お客さんも少ないし、そもそも釜が故障するということは廃業することとほぼ同じ。50歳の節目を前にもう一回チャンスはあるかなと思って。ちょっと負けず嫌いのところもあるから、自分に対しての賭けをしたいと思ったんです。街の人から見ると、このお店潰れるやろうなあという雰囲気は漂っていたと思うんですけど(笑)これを立て直すのは自分しかいないと思い、リニューアルを決意しました。

―少し話が戻るんですけど、釜が故障するっていうのは廃業になるほど致命的なトラブルなんですね。
鈴木さん:お風呂屋さんの廃業理由として多いですね。でっかい鉄のタンクが腐食して、穴が開く。一般的に釜の耐用年数は13年くらいらしいんですけど、僕のところは、鉄が温度の変化によって収縮して腐食することを防ぐために、休みの日でもお湯を沸かしてタンクの中の水の温度を80℃に保つようにしていました。鉄を収縮させないように温度を保つことが重要なんです。35年も持ってくれました。

―大往生ですね。丁寧に手入れ・維持をされていたからですね。
鈴木さん:設備事業者さんにもびっくりされました。釜一台を買うには500万円程かかるので、そこで諦めてしまうお店さんも多いです。借金をして、リニューアルに持ち込みました。

―どのような箇所をリニューアルされたのですか?
鈴木さん:浴槽以外すべてですね。主な客層が60〜70代の方だったんですけど、それを若い世代にスイッチしないと生き残っていけないと思いました。なので番台式をロビー式にすることによって若いお客さんを呼び込もうと思いました。お金はかかったけど、今となっては若い世代を中心に来てもらえるようになりました。

―どんなお店をイメージされていましたか?
鈴木さん:フロントロビー式にしてくつろげる空間にすることと、電気も白熱灯ではなく温かみのある電球色にしました。まだ少し光が強いので調光してやわらかくする予定です。あと一番こだわったのは、男湯と女湯の間にある壁をイベントの時だけ取り外せるようにしたこと。普段、脱衣所で落語や漫才、音楽系のイベントをするんですけど。片方だけでは手狭になってきたので、仕切りをなくすことでより広く場所を活用できるようにしました。

―催しをすることを前提に、リニューアルされたんですね。
鈴木さん:そうそう。僕の最終的な目標は、繁昌亭のようにここで「巣本温泉寄席」を週1ペースで開催できるようにしたい!

―おもしろそう。ちなみに鈴木さんは、落語がお好きなんですか。
鈴木さん:落語は好きです。ちなみに僕はマジックもするんですよ。それで営業先で一緒になった落語家や漫才師と仲良くなって「巣本温泉です」って紹介して、寄席をしたいので来てほしいとお願いして来てもらっています。

―今はどのくらいのペースで開催しているんですか?
鈴木さん:1年に4回くらいかな。ほかにもお客さんにラジコン関連のお仕事をしている人がいて、ここでミニ四駆大会もしたり、門真市長や市議会議員を呼んで、お客さんの悩み相談会をしたりしています。例えば、この前の米不足問題や、道路を広くしてほしいという要望など、市長と市民が直接対決するみたいな。意外と好評でした。ここで前向きな対話のぶつかり合いをすると市長はやらざるを得なくなりますしね(笑)

―市長さんが来られることになった経緯を教えてください!
鈴木さん:門真の市議会議員の新人の方がお客さんとして来てくれていて、こんなことをしたいってどんどん提案をしているなかで、「市長を呼んで市民とのぶつかり合いをしたい!」と言ったところ、日にちを決めて市長を呼んでくれたんです。人のつながりでそうなっていくんです。人とのつながりは大事にしたいと思っています。

―最初からイベントを積極的にするお店づくりを想定していたんですか?
鈴木さん:していました。なんならお風呂があかんかったら寄席小屋をしたいとまで思っていました。この前はね、プロレスをしましたよ。プロレスラーのお客さんがいて、じゃあここでしようよってなったんです。

―お客さんと普段から積極的に話をされているんですね。
鈴木さん:お客さんと会話することは心がけている。天気いいですね〜とか。こういう声かけや些細なコミュニケーションは、銭湯だからできることだと思っています。人と人との間に隔たりがある時代だけど、僕はそんな隔たりはなくしていきたい。

―では今後のお店づくりへの意気込みを教えてください。
鈴木さん:先ほどもお伝えしたように、最終的には、ここで寄席をしたい。それは自分が一番楽しむためでもあるんだけど(笑) 一度、地獄を味わったけど、お客さんも徐々に増えてきて、今すべてがプラスに回り始めていると実感しています。あと力を入れていきたいのは、マナーの向上ですかね。マナーの悪いお客さんには厳しくしていこうと思います。店の流れをよくすること。サウナに入るのにタオル巻いてねって言うてるのに巻かないで入る人とか、びちゃびちゃのまま走り回る人とか。お客さん同士で言うことが少なくなったので、店側が言わないといけない。人の教育もしなあかんかなって思ってます。お風呂(銭湯)を知らないお客さんにお風呂を知ってほしい。

お店の看板キャラにもなっているマルちゃん
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オリジナルマグカップ(1,500円)も販売中
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門真・巣本の街はどんな街?

―最後に鈴木さんが思う、門真・巣本の住みやすさについて聞かせてください。
鈴木さん:住みやすいんですけど、もっと元気になってほしいという印象です。古川橋は高層マンションが建設中だったり、イオンモール四條畷や三井アウトレットパーク大阪門真ができたことでどんどん発展していて、人の流れができていますね。だから「地下鉄長堀鶴見緑地線を門真南駅から巣本まで延ばして!」と門真市長にお願いしています(笑)

◆今回取材した銭湯
「巣本温泉」
住所:門真市巣本町5-20
電話:072-882-5301
営業時間:15:00〜23:30
定休日:火
HP:https://sumoto-onsen.net/

巣本温泉 日本、〒571-0001 大阪府門真市巣本町5−20
巣本温泉 〒571-0001 日本、〒571-0001 大阪府門真市巣本町5−20
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「巣本温泉」は、京阪本線萱島駅を出て南東に徒歩20分のところにあります。萱島駅は京阪本線が通る駅で、準急に乗れば10分で京橋駅にアクセスができ、京都へのお出かけにも便利です。また京阪電車門真駅で大阪モノレールにも連絡しているので、各地へのアクセスに困ることはないでしょう。
前述では、店主の鈴木さんより「街がもっと元気になってほしい」という話がありましたが、同店の活気ある店づくりが人の流れを促す要因になるのではないかと思います。

取材・文/葭谷うらら(インセクツ) 撮影/三宅愛子

IN/SECTS編集部

プロフィール:大阪という物理的なローカリティと、感性や共感といった同時代性的ローカリティを軸に、ローカル・カルチャーマガジン「IN/SECTS」を発行。現在、大阪の京町堀を拠点に、「IN/SECTS」のほか、書籍の出版も行う。年に一度、イラストレーターや飲食店、作家、アーティストと、アジアの出版社を集めたイベント「KITAKAGAYA FLEA & ASIA BOOK MARKET」を、北加賀屋にて開催。LIFE LISTでは、個の視点を通して見えてくる街や人の姿を紹介する。

※掲載内容の実施に関してはご自身で最新の情報をご確認ください

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