わが家は料理に、夫が作った「自家製の塩」を使っています。
最初に塩作りにハマったのは夫の友人で、気がつけば夫も塩作りにハマっていました。「無人島でも役に立つ!」と話を聞いたときは笑ってしまいましたが、出来上がった自家製塩を味わうと、そのおいしさに驚きました。
今回は、「自家製塩」の作り方とワイルドな魅力についてお伝えします。
自家製塩を楽しむ暮らし
そもそも「塩って作れるの?」と疑問に感じた方は多いのではないでしょうか。まずは、そこからお伝えします。
塩は自分で作れる!
塩は、作れます。やり方も意外と簡単で、海水をろ過して、ひたすら煮詰めるだけです。
海水に含まれる塩。水と塩分の沸点が異なることを利用し、水分だけを蒸発させると、海水に含まれる塩分だけが残ります。子どもの頃に、理科の実験として行った方もいらっしゃるかもしれません。
やり方は簡単ですが、あなどってはいけません。自家製塩を日常的に使おうと思うと、ある程度の海水が必要になります。大量の海水を煮詰める作業は、なかなか過酷なものでした。
空調が効かない野外で行う塩作りは、真夏の炎天下でもどんどん薪をくべて、大鍋で海水を煮詰めていきます。夫も夫の友人も、汗だくになって作業をしていました。
スーパーで塩を買えば早いのは、彼らも分かっています。古き時代の塩作りに思いを馳せているのでしょうか。目を輝かせ、あえて海水から塩を作っている姿を見ると、そこには男のロマンが詰まっているのだろうと想像しています。
かの上杉謙信が、宿敵の武田信玄に塩を送ったエピソードは有名です。そのくらい塩は人間にとって重要で、男のロマンが詰まっている調味料なのでしょう。
塩は暮らしに欠かせない調味料
おいしい料理を作るうえで、塩は欠かせない調味料です。塩は毎日使うものだといっても過言ではないでしょう。
料理の味付けはもちろん、食材を塩漬けにすると脱水効果や、菌の増殖を抑える効果があります。塩によって保存効果がアップすることは、よく知られていますね。
また、塩には発酵を助ける作用もあり、味噌やしょうゆ作りなどにも欠かせません。パンやうどん作りの際には、グルテンの形成にも塩は大きく関わっています。
さらには人間の体をつくるうえでも、塩は欠かせないものです。とくに夏場は激しいスポーツで大量の汗をかき、体内の塩分が急激に減少すると、熱中症などの症状が表れることが知られています。
そう考えると、塩は調味料としてだけではなく、人間が生きるうえで欠かせない存在だといえるでしょう。
わが家が塩を作り始めたきっかけ
わが家が塩を作り始めたきっかけは、パンを作りたい娘に便乗して、「自給自足の材料でパンを作れないか」と考えたことです。
私の夫の実家は、和歌山県南部にある棚田で農業を行っています。その棚田を借りて、パン用の小麦を栽培し、砂糖代わりに養蜂箱で蜂蜜をとり、栽培しているブルーベリーを天然酵母にする。そして海水から塩を作れば、パン作りに必要な材料すべてをまかなえるのではないか、という話になりました。
なかなかに無謀なお話で、今でも前途多難の様相を見せています。養蜂箱は蜂を集めることさえも難しく、ブルーベリーはうまく酵母として発酵しませんでした。これについては、またリベンジをしたいと思っています。
その中でも、本州での栽培が難しいといわれるパン用小麦は、クセが強いものの栽培に成功しました。塩については、塩作りに詳しい夫の友人の助けもあり、しっかりとしたものが出来上がったのです。
その塩が、驚きのおいしさでした。
塩の味の違いなんて分からないだろう、と思う方も多いのではないでしょうか。かくいう私もそう思っていました。しかし夫が作った塩は荒い見た目ではあるものの、とても柔らかい手触りをしており、しょっぱさも弱めで使い勝手がよかったのです。
作り方由来なのか、海水がよいのか理由は分かりません。自家製塩で作った料理は、旨みが強く感じられ、まろやかで素晴らしい味わいでした。何事もやってみないと、と目からウロコが落ちた瞬間でした。それからというもの、わが家の料理には、夫の作る自家製塩が欠かせないものになっています。
自家製塩の作り方
ここからは、わが家の自家製塩の作り方を紹介しましょう。私たちの住まいは京都ですが、夫の実家が海に近い和歌山県南部にあるため、帰省した際に塩作りをしています。
敷地内の畑で塩作りを行っていますが、作業自体はキッチンのガスコンロでも問題ありません。野外で行う場合は、焚き火をしても大丈夫な場所で行ってくださいね。
海水から作る自家製塩の作り方
<材料>
●海水 鍋1杯分
2Lの海水で、計算上約50gの塩が出来上がります。
※参考:一般社団法人日本埋立浚渫協会https://www.umeshunkyo.or.jp/207/259/index.html
<道具>
●ガスコンロやカセットコンロ(野外で行う場合は焚き火台と薪)
●鍋
●木ベラ
●お玉
●コーヒーフィルターやキッチンペーパー(ろ過3回分)
●ボウル
●ザル
●ポリタンク(海水採取用)
<作り方>
1. ザルとコーヒーフィルターやキッチンペーパーを使い、海水をろ過して不純物を取り除く。
2. 鍋にろ過した海水を注ぎ、木ベラでかき混ぜながら強火で煮詰める。
3. ある程度煮詰まって海水が白っぽくなってきたら、お玉で鍋の海水をすくう。ザルとコーヒーフィルターやキッチンペーパーなどを使って、海水をろ過しボウルに移す。このときにフィルター内に残る白いものは、海水に含まれる石こう分なので捨てる。
4. 鍋を一度きれいにして、ろ過した海水をさらに加熱し煮詰める。
5. 海水が白くなってきたら、水分が残っているうちに火から下ろす。
6. お玉を使い、ザルとコーヒーフィルターやキッチンペーパーなどでボウルへとろ過する。フィルターに残るのが塩、ボウルに落ちた水分がにがりになる。
7. フィルター内に残った塩を広げて、天日干しで乾燥させる。天日干しが難しいときは、フライパンなどで乾煎りする。
8. 自家製塩の完成。
自家製塩作りの注意点
きれいな海水を使用するようにしましょう。わが家では和歌山県南部、熊野灘の海水を採取して自家製塩を作っています。
海水採取の際は、うっかり足を滑らせないよう注意が必要です。大雨や強風の日は、海水も濁っているうえに危険なので、避けるようにしています。
加熱中は鍋と海水が高温になりますので、やけどをしないように注意してください。また、煮立った海水が飛び散ることもありますから、長袖や軍手などをして皮膚にかからないように作業をしましょう。
おすすめ自家製アレンジ塩レシピ
せっかく作った自家製塩を、アレンジして楽しんでみませんか? メニュー別のおすすめアレンジ塩レシピをご紹介します。
天ぷらには、やっぱり抹茶塩
抹茶の香りが食欲をそそる抹茶塩。お気に入りの抹茶と自家製塩で楽しんでみてくださいね。
<材料>作りやすい分量
●抹茶粉末 小さじ1
●自家製塩 小さじ1
(お好みで)
<作り方>
1. 自家製塩をすりこぎですり、粒を細かく砕く。
2. 1.と抹茶粉末をよく混ぜ合わせる。
刺し身やステーキに、燻製塩
自家製塩にさらにひと手間をかけ、塩の燻製をすると香り豊かに食材の味を彩ってくれます。
スモークチップや焼き網は100円ショップなどでも販売していますので、気軽に挑戦できます。塩の量が少ないと焦げつきやすいので、様子を見ながら行いましょう。燻製中は煙が出るため、換気扇の下で行うことが大切です。
<材料>作りやすい分量
●自家製塩 大さじ2
●お好みのスモークチップ 6g
<道具>
●鉄製フライパン
●フライパンに合う蓋
●フライパンに合う焼き網
(上記道具は燻煙がついてとれなくなります。燻製専用になってもよいものを使いましょう。)
●アルミホイル
●カセットコンロ
<作り方>
1. 鉄製フライパンの底にアルミホイルを敷き、スモークチップを入れる。
2. その上に焼き網を置き、アルミホイルで皿を作って塩を入れる。
3. 蓋をしめ、カセットコンロで中火にかける。
4. 煙が出だしたら弱火にし、5~10分ほど燻製をする。
5. 塩が薄茶色になったら完成。
唐揚げなどの料理に、カレー塩
子どもたちにも人気のカレー塩。カレー粉ならではのスパイシーな味わいと、自家製塩の旨みが、唐揚げやフライドポテトの味を際立てます。
<材料>作りやすい分量
●カレー粉 小さじ1
●自家製塩 小さじ1/2
(お好みで)
<作り方>
1. 自家製塩をすりこぎですり、粒を細かく砕く。
2. 1.とカレー粉をよく混ぜ合わせる。
自家製塩があると食卓が変わる
自家製塩を使うようになってから、わが家の食卓に変化がありました。子どもたちにとっても、よい影響であったと感じています。
自家製塩はおいしい
しょっぱいだけのイメージだった塩。作り方がよいのか、海水の成分がそう感じさせるのか、はたまた身内贔屓かもしれませんが、自家製塩には旨みを感じます。やはりこれは、食べてみないと分からないおいしさといえます。
大事に使うので、結果的に減塩に
夫が一生懸命作ってくれた自家製塩。その苦労を考えると、大切に使うようになり、結果的に減塩につながっています。
しょっぱさが弱いので子どもにも これも作り方や成分に起因しているのか分かりませんが、わが家の自家製塩は市販の塩よりもしょっぱさが弱いようです。 食育のきっかけに 子どもたちに、「お父さんが海水から塩を作ったんだよ」と伝えてみたところ、「なぜ海水が塩になるの?」「だから海水はしょっぱいのか!」と、自分たちで考えていました。自家製塩作りは、子どもたちの食育のきっかけにもなったのです。
自家製塩や小麦栽培、こういった食べるものを作る作業は、子どもたちと一緒にこれからも続けていきたいです。
自家製塩作りにおすすめの住まい
自家製塩を作りたい方に向けて、おすすめの住まいをご紹介します。
海が近い住まい
塩を作るためには、海に近い住まいがおすすめです。自家製塩作りに使う海水は、きれいな海で採取したいですよね。自然が豊かできれいな海が近い住まいなら、自家製塩作り以外にも、釣りや磯遊びと楽しい毎日が送れることでしょう。
日当たりのよい南向きの住まい
煮詰めた後の塩を天日干しするために、日当たりのよい南向きのバルコニーがある住まいは便利だと感じています。豊かな自然の海水を材料に、太陽の光をいっぱい浴びて完成した塩は、想像しただけで旨みをたっぷり含んでいそうですよね。
日当たりのよい住まいでの生活は、自家製塩作りはもちろんのこと、気持ちのよい毎日にもつながります。明るいすてきな住まいを探してみてくださいね。
パントリーがある住まい
自家製塩作りには、鍋や木ベラなどの道具が必要です。なにかとかさばる塩作りの道具類は、収納場所に苦労することもありますよね。そんなときパントリーがあれば、道具の保管場所としても便利に使用できます。また、アレンジ塩に使う材料の保管にも、パントリーがあれば快適に保管できますよ。
野外で塩作りをしたい方は、焚き火台などが片づけられる大型収納がある住まいがおすすめです。せっかくなので、塩作りに挑戦してみてはいかがでしょうか。
自家製塩で料理の幅を広げよう
自給自足の材料を使ったパン作りをしたいと始まった、わが家の自家製塩作り。夫は友人と楽しく塩を作り、私や子どもたちも、おいしい塩を食べられてうれしく感じています。子どもたちにも「海水で塩が作れるんだよ!」と話すことで、よい食育の機会にもなりました。
夫は自家製塩を作る過程で出る「にがり」を使って、次は豆腐を作りたいと企んでいるようです。私も自家製塩を使って、さらに料理の幅を広げるべく腕を磨きたいと思います。
ご自身で作った塩の味わいは格別ですので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。