ここ1年で外食の機会が減り、自宅で食事をする回数が増えた人も多いでしょう。
自炊のメリットは何といっても自分好みの味付けにできること。辛みを強くしたり味にパンチを加えたり、自分の食べたい味に調整することができます。
今回は、手軽に味のバリエーションを楽しめる「ナムル」の魅力についてご紹介します。私自身自炊の経験は多いわけではありませんが、それでも満足する味のものを作れています。
あまり知られていない? ナムルの魅力とは
手軽に作ることのできるナムルは、常備菜としても心強い味方です。作り置きをして冷蔵庫に入れておけば、朝食から夕食までどの食事にも加えられます。
1品でも作っておけば頼りになるナムルですが、そもそもナムルとはどんなものなのでしょうか?
ナムルとは
ナムルは、野菜や山菜などを茹でて味付けをしたものです。元をたどれば韓国語で「ナ(野)」と「ムル(物)」で「野菜」という意味からきています。
ナムルと一口にいっても、バリエーションは無限大です。茹でて食べられる野菜は、すべてナムルの食材候補になるからです。さらに本場の韓国では各家庭によって味付けもさまざまです。
日本でもなじみ深い三食ナムルは、ほうれん草・もやし・人参の彩りが見た目にも食欲をそそります。豆板醤で味にコクをプラスしたり、コショウをふって辛みを追加したり。シンプルな料理だからそこ、少しの違いでも完成したときの味に差が出てきます。
ナムルのすすめ
私が実感しているナムルの魅力を3つ紹介します。
ナムルの魅力1. 簡単!時短!
ナムルは包丁を使わずに作ることもできます。一人暮らしで仕事が忙しいと、料理をする時間がなかなか取れず外食やコンビニに頼りがちになってしまうでしょう。
しかしナムルは短時間で調理でき、洗い物もほとんど出ません。野菜をレンジで温め、調味料で和えるだけで完成してしまうからです。
まったく料理をしたことがないと調理方法はおろか火加減すら分かりません。以前の私は、レシピで紹介されている「中火」を、調節できる火力の真ん中くらいだと思っていました。ところが実際の中火は、ガスコンロであれば、鍋の底に炎の先端が当たるくらいが目安だったのです。
そんな私にとって、ナムルは短時間で完成し、手に入りやすい野菜と調味料で作れて、自分好みの味付けにできる。まさに「短時間に・手軽で・美味しい」と三拍子そろった簡単料理なのです
ナムルの魅力2. 副菜として使い勝手がいい
ナムルは夕食の副菜にぴったりです。味付けを調整できるので、夕食用は薄味にして、晩酌用は濃い味付けにするなど、応用が利くのもナムルの魅力といえるでしょう。
ナムルの魅力3. アレンジ次第で主役にも!
さらに野菜単品ではなく、他のものと一緒に調理することで、副菜から主菜へランクアップさせることもできます。冷蔵庫に何種類か常備しておくだけで、献立のバリエーションが一気に広がります。
定番のナムルがあれば、ビビンバやチヂミなどにアレンジできますし、ごはんと一緒にナムルをのりで巻けば、韓国風のりまきのキンパ(キムパ)の完成です。
キンパもナムルだけを入れたり、チーズを入れて「とろけるチーズキンパ」にしたりと、バリエーションを楽しめます。
料理初心者にこそ作ってほしい、ナムル
以前の私は「料理って面倒くさい」と思っていました。それが今では、友達と宅飲みをするときのおつまみや、仕事が終わって帰ってきてからの夕食として、ナムルを頻繁に作っています。ナムルを作ることで「料理て意外と簡単に始められる! 」と、料理への心理的なハードルが下がりました。料理初心者の私にとって、ナムルは料理を習慣づけてくれた存在といえます。
見た目も味付けもいろいろ! ナムルの時短7レシピ
料理初心者の私でも作ることができたナムルのレシピをご紹介します。火を使わずに調理できるものが多いので、ぜひ挑戦してみてくださいね。
1. 定番中の定番! もやしのナムル
まずは定番中の定番、もやしのナムルです。初めての調理でも5分ほどで完成するので、子どもと一緒に作るのもおすすめです。
<材料>
・もやし(1袋)
・醤油 (大さじ1杯)
・ごま油(大さじ1杯)
・鶏ガラスープの素(小さじ1杯)
・すりおろしにんにく(チューブで2cm)
・白すりごま(大さじ1杯)
<作り方>
1.もやしを水でさっと洗い、レンジで使えるボウルに移す。
2.600Wで3分間、加熱する。
3.加熱している間に、醤油・ごま油・鶏ガラスープの素・すりおろしにんにく・白すりごまを混ぜ合わせる。
4.加熱が終わったもやしは、一度ザルに移して水気を切る。
5.水気を切ったもやしを、再びボウルに移して、③で作ったタレをかける。
6.よく和えて、お皿に盛りつけたら完成。
※水気をしっかり切らないと味が薄くなり、傷みやすくなるので注意しましょう。
2. きゅうりのナムル
こちらのナムルは加熱の手間がありませんので、夏の暑い日にもさっぱり食べられます。
<材料>
・きゅうり(1本)
・醤油(大さじ1杯)
・ごま油(小さじ2杯)
・白すりごま(大さじ1杯)
・すりおろしにんにく(チューブで2cm)
・塩(ひとつまみ)
<作り方>
1.きゅうりを水で洗い、ヘタ(両端)を包丁で切る。
2.きゅうりを大きめの斜め輪切りにしてから、重ねて千切りにする。
3.千切りをしたきゅうりに塩をふって、軽くもむ。
4.5分ほどおいて、塩がなじんだら、さっと水で洗う。
5.醤油・ごま油・白すりごま・すりおろしにんにくを混ぜ合わせる。
6.⑤で作ったタレをきゅうりにかけて、よく和える。
7.お皿に盛りつけて完成。
3. 月末の相棒! 豆苗のナムル
続いて節約料理の相棒、豆苗を使ったナムルです。根の部分を残して水に浸けておけば、もう1回ナムルを作ることができます。1回分の費用で2回作れるので、お得すぎるナムルといえます。
<材料>
・豆苗(1袋)
・ごま油(小さじ2杯)
・すりおろしにんにく(チューブで2cm)
・塩(少々)
・鶏ガラスープの素(小さじ2杯)
<作り方>
1.袋から出した豆苗の根を包丁で切る。
(2~3cmほど根を残して切ることで、また豆苗が生えてきます)
2.豆苗を水で洗い、2等分に切る。
3.レンジで使えるボウルに入れ、ごま油・すりおろしにんにく・塩・鶏ガラスープの素をふりかける。
4.ラップを軽くかけ、600Wで1分間加熱する。
5.レンジから取り出したボウルの中で、全体をよく和えて、お皿に盛りつけて完成。
4. 油揚げと小松菜のナムル
油揚げと一緒に和えることで、満腹感のあるナムルを作れます。副菜ではなく、主菜として取り入れるのもおすすめです。
<材料>
・油揚げ(1枚)
・小松菜(1袋)
(1人分なら、1袋の半分がおすすめ)
・醤油(大さじ1杯)
・砂糖(小さじ1杯)
・白すりごま(大さじ1杯)
・ごま油(大さじ1杯)
<作り方>
1.小松菜は根本を切り落とし、水でしっかり洗う。
(根元に土が付いている場合があるので、注意)
2.3cmほどの幅で切っていく。
3.沸騰させたお湯で1分ほど茹でる
4.ザルにあけたら、冷たい水にひたす。
5.油揚げは、お湯をかけて油抜きをする。
6.油抜きが終わったら、2cm角に切っておく。
7.醤油・砂糖・白すりごま・ごま油を混ぜる。
8.ボウルに小松菜・油揚げ・7の調味料を入れて、しっかり混ぜる。
9.お皿に盛りつけて完成。
5. ほうれん草と人参の牛肉出汁ナムル
鶏ガラスープの素を使うナムルが多いですが、こちらは韓国でポピュラーな牛肉出汁を使ったナムルです。牛肉出汁を使うことでしっかりとした味のナムルに仕上がります。
<材料>
・ほうれん草(0.5束)
・人参(0.5本)
・ごま油(小さじ1杯)
・白すりごま(小さじ1杯)
・塩(少々)
・牛肉出汁の素(小さじ2杯)
<作り方>
1.ほうれん草は、洗ってから熱湯でさっと茹でて、冷水にひたす。
2.しっかりと搾って水気を絞り、3cmくらいの幅に切る。
3.人参を洗ったあと皮をむき、千切りにする。
4.千切りにした人参を熱湯で茹で、火が通ったらザルにあけて、水気を切る。
5.ほうれん草・人参をボウルに入れ、ごま油・白すりごま・牛肉出汁の素を入れて、しっかり和える。
6.味見をして、薄ければ塩を少しずつ入れて調節する。
7.お皿に盛りつけて完成。
6. 子どもが喜ぶコーンナムル
野菜嫌いな子どもにも人気のコーンを使ったナムルです。コーンの黄色は彩りもきれいなので、食卓に追加するだけで華やかな雰囲気になりますね。
<材料>
・コーン(缶詰の約半分)
・ごま油(大さじ1杯)
・塩(ひとつまみ)
・すりおろしにんにく(チューブで2cmほど)
<作り方>
1.コーンはザルにあけ、水気を切る。
2.ボウルにコーンとごま油・塩・すりおろしにんにくを入れて、混ぜ合わせる。
3.お皿に盛りつけて完成。
7. ナムルの使い切りレシピ、ビビンバ
こちらはナムルが余ってしまったときの使い切りレシピです。牛肉と冷蔵庫で余っているナムルを、ごはんの上に載せれば完成するので手軽に作れます。
<材料>
・牛肉 薄切り(150g)
・ごはん150g
・焼き肉のタレ(大さじ3杯)
・ごま油(大さじ1杯)
・生卵(1個)
・糸切り唐辛子(ひとつまみ)
・コチュジャン(お好みで)
・余ったナムル
・韓国のり(お好みで)
<作り方>
1.調理に入る2時間以上前に牛肉に焼き肉のタレをかけてもみ、漬け込む。
(ポリ袋などに牛肉とタレを一緒に入れると、しっかり漬け込めます)
2.フライパンにごま油を引き、牛肉を炒める。
3.加熱した牛肉を、丼にもったごはんの上にのせる。
4.さらに、余ったナムルもごはんの上に載せる。
5.最後に生卵の黄身だけをのせ、糸切り唐辛子を加えたら完成。
途中まで食べてから、韓国のりやコチュジャンを加えると、味の変化を楽しめます。
採れたて野菜でナムルを作ってみては?
不足しがちな野菜ですが、ナムルにすることで食卓に上がる機会が増えるでしょう。
さらにナムルを楽しむために野菜を作るところからスタートしてはいかがでしょうか?
ナムルによく使われる野菜は、育てやすく失敗しにくいものが多いです。家庭菜園で育ててみると料理をさらに楽しめますよ。
庭付き一戸建て物件で家庭菜園
家庭菜園をするには、一戸建ての住宅がおすすめです。庭の片隅でも美味しい野菜が収穫できます。
ただし、賃貸物件の場合は規約やルールの確認が必要です。大家さんによっては、芝生を耕して土をむき出しにすることをNGとしている場合もあります。トラブルを避けるためにも、事前に確認をしておきましょう。
もう少し手軽に始めたい場合は、プランターを使うのもおすすめです。大きな野菜を大量に収穫することは難しいですが、自分で食べる目的で育てる野菜なので、見た目よりも味や愛情が大切です。
最近では、畑付きの物件も増えています。畑付きの物件を借りることができれば、遠慮なく畑を耕して思う存分野菜を育てることができるでしょう。
マンションでも小さく家庭菜園を
もちろんマンションであっても、比較的ベランダの広い物件であればプランターを使って家庭菜園は楽しめます。
プランターでも枝豆・ナス・ピーマン・ゴーヤなど、栽培できる野菜の種類は想像以上に豊富です。環境の変化や病気にも比較的強く、家庭菜園初心者にもおすすめの野菜が多いので、ぜひ挑戦してみてくださいね。
マンションで家庭菜園をする場合、注意したいのが日当たりです。ベランダの日当たりを事前に確認しておかないと、プランターを置く予定の場所が、常に日陰になっていることもあります。一方で、栽培する野菜によっては直射日光が苦手な品種もあるので注意が必要です。
ナムルで食卓に彩りを
ナムルは簡単に調理できるうえに、いろいろな野菜を食べられる万能料理だと思います。
私のような料理初心者が作ったとしても、失敗しにくいところも魅力です。シンプルな料理ほど、調理する人の腕が問われるものですが、ナムルに限っては、たとえ失敗してもアレンジレシピでカバーしやすいので気が楽です。
ナムルの種類は無限にあるので、ぜひ気になった野菜があればナムル作りに挑戦してみてくださいね。