燻製を自宅で楽しもう！ 身近な道具でできる燻製レシピと注意点まとめ

わが家は今、「おうち燻製」がブームです。もともとキャンプが大好きで、週末の気分転換に「おうちキャンプ」を始めたところ、キャンプ料理、さらには「おうち燻製」に挑戦するようになりました。

おうち燻製は手軽にチャレンジできるうえ、味わい深い料理です。今回は、キャンプとお酒をこよなく愛する私が、おうち燻製でキャンプ気分を満喫する暮らしをお届けします。

わが家の燻製生活

燻製は自宅でもできる

燻製とは、古くから伝わる食材を長く保存するための調理法です。煙で燻すことにより長期保存が可能となり、煙の香りで虫を寄せつけにくくなります。燻製の歴史は古く、なんと石器時代から利用されていたともいわれています。

冷蔵庫などの食品保存方法が発達した現代では、燻製は長期保存のためというよりも風味を味わう目的でよく行われています。

燻製といえばキャンプやBBQなど野外で行うイメージですが、自宅でも手軽に楽しめます。自宅で行う燻製としてベーシックなのは、「熱燻（ねっくん）」という方法です。スモークチップを使用して80度以上の高温で短時間燻します。それでは「熱燻」の詳しい方法を紹介していきます。

燻製の基本ステップ

野外・自宅ともに、「熱燻」で行う燻製の基本ステップは以下の3つです。

1. 下味をつける
燻製にしたい食品を準備します。もともと味がついている食材はそのままでOK。燻製が初めての方は、まずはチーズやナッツ、ソーセージなど味がついているものがおすすめです。ゆで卵は味付け卵にしておくといいですね。

2. 乾燥させる
キッチンペーパーなどでよく水分をふき取ります。これは水分が煙に反応すると食材にえぐみが出てしまい、おいしく仕上がらないためです。水分が多い食品は、1～2時間くらい風通しのいい場所で乾燥させておきましょう。

3. 燻製する
いよいよ燻製です。スモークチップを加熱して、食材に煙をかけて燻製にしていきます。おうち燻製では、できるだけ燻製時間が短いものから始めましょう。肉や魚のように短い時間で中まで火がとおりにくい食材は、ある程度焼いてから燻製するのがおすすめです。

おうち燻製を始めたきっかけ

コロナ禍の今、キャンプに行けない日々が続き、週末の気分転換として「おうちでキャンプっぽいことしてみよう！」と始めたのが燻製料理のきっかけでした。

わが家はマンション住まいなので、煙には気を使っています。火災報知器が反応しないか、おそるおそる燻製していましたが、いろいろ試していく中で換気をしていれば問題ないことが分かりました。今では気軽に楽しんでいます。（※換気能力はお住まいによりますので、各ご家庭で注意は必要です）

燻製料理の楽しみ方

わが家では夫と一緒に燻製を楽しんでいます。

私の夫は、私以上にアウトドア派です。自分で海水から塩を作ることもあるので、燻製の際も自家製塩を使って、試行錯誤を繰り返しています。

私の燻製の楽しみ方は、ずばりお酒のおつまみづくりです。プロセスチーズやナッツ、ときにはシシャモやイカなどを燻製しながら、「今日はワインにしようかな？ やっぱりビールかな？ 」と、思案する時間を楽しんでいます。

燻製をしている時間は、まるでキャンプ場にいるような、非日常を感じられるところがたまりません。スモークチップの香りがそうさせるのでしょうか。サクラ・リンゴ・クルミなど、気分や食材によって使いわけるスモークチップの香りは、特別な食卓を演出してくれます。キャンプに行けない日々が続いていますが、おうち燻製でいい気分転換になっているといえますね。
うっかりチップを入れすぎて何日かリビングが煙たくなってしまったり、新たな食材にチャレンジして大失敗に終わったりもします。しかし、それこそがおうち燻製の醍醐味といえるので、存分に楽しんでいます。

おうち燻製を楽しむアイテムと選び方

ここからは、おうち燻製を楽しむためのアイテムや手順を紹介します。

おうち燻製のアイテムと選び方

まずは、おうちで燻製を楽しむためのアイテムについて。おうち燻製には特別なアイテムは必要ありません。100円ショップでもそろえることができるので、気軽にチャレンジできますよ。

鉄製のフライパンか、中華鍋
必ず鉄製のものを使用しましょう。少し深さがあるものがおすすめです。ホームセンターなどで売っている「燻製鍋」を準備してもいいですね。ダッチオーブンや土鍋でも代用できますが、燻製の汚れや匂いは取れにくいので、燻製専用にするほうがいいでしょう。焦げにくいようフッ素樹脂加工などでコーティングされているフライパンは、コーティングが剥がれる恐れがあるので、燻製には不向きといえます。

不要になったフタ
一度使うと燻製の煙の成分であるタールがついて、他の料理には使えなくなります。使用するフライパンや中華鍋に合う、要らないフタを燻製専用として使用しましょう。大きさが合えば、ステンレスボウルでも代用できますよ。

カセットコンロ
熱センサーが働くコンロの場合は、続けて加熱することができません。カセットコンロを使用しましょう。

焼き網
使用するフライパンや中華鍋に合う焼き網を準備しましょう。底から3～5cmの高さになるくらいのサイズがベストです。100円ショップでも販売していますので、燻製用に購入するとよいでしょう。

スモークチップ
最初はクセの少ないクルミやリンゴのスモークチップがおすすめです。こちらも100円ショップで販売しています。

おうち燻製の手順

続いては、おうち燻製の手順を紹介します。鉄製フライパンにアルミホイルを敷き、その上にウッドチップをひと握り入れ、網を被せましょう。ウッドチップを入れすぎると煙の量が増えるので、わが家では6g程度に抑えています。

溶けたり、網目から落ちたりしそうな食材は、アルミホイルをお皿にしてその上に並べてください。

フタをして中火で加熱、煙が出だしたら弱火にします。食材が燻製できたら完成です！

手軽なおうち燻製レシピ3選

おうち燻製は、手軽に楽しむところから始めましょう！ ここからは、簡単にできるおうち燻製レシピを3つ紹介します。どれもわが家のお気に入りです。

1. ミックスナッツとプロセスチーズの燻製

下味・乾燥の工程不要！ いきなり燻製から始められる、ミックスナッツとプロセスチーズにチャレンジしてみましょう。

＜材料＞
ミックスナッツ（有塩・無塩、どちらでも可）
プロセスチーズ
スモークチップ　ひと握り（6g程度）

＜作り方＞
① おうち燻製の手順に従い、フライパンにスモークチップと焼き網をセットし、食材が落ちないようにアルミホイルのお皿をふたつ作ります。
② アルミホイルのお皿に、それぞれミックスナッツとプロセスチーズを並べていきましょう。
③ フタをしめ、中火で加熱する。煙が出だしたら火を弱め、弱～中火で10分加熱します。10分加熱が終わったら火をとめ、煙が落ち着いたらフタをあけます。

2. プチプチ食感を楽しむ！ 明太子の燻製

続いては下味の工程不要、乾燥と燻製で楽しめる明太子の燻製です。一本そのまま燻製する場合は、破裂防止のため爪楊枝などで明太子の皮に穴をあけておきましょう。

＜材料＞
明太子
スモークチップ　6g程度（クルミがおすすめです）

＜作り方＞
① 明太子の水分をよくふき取り、斜め半分に切ります。気温的に可能なら、キッチンペーパーの上にのせて、1～2時間程度乾燥させておきましょう。
② おうち燻製の手順に従い、フライパンにスモークチップと焼き網をセットし、食材が落ちないようにアルミホイルのお皿を作ります。
③ アルミホイルのお皿の上に明太子を置き、上からアルミホイルを軽く被せます。（フタから落ちる水滴が明太子にかからないようにするため）
④ フタをしめ、中火で加熱していきましょう。煙が出だしたら火を弱め、弱～中火で10分加熱し、10分加熱が終わったら火をとめ、煙が落ち着いたらフタをあけると完成です。

3. くんたま（味付けゆで卵の燻製）

最後はくんたま（燻製卵）です。レシピでは焼肉のたれで味付け卵にしていますが、めんつゆなどのお好みの味付けで楽しんでくださいね。

＜材料＞
卵
焼肉のたれ
スモークチップ　6g程度

＜作り方＞
① お好みの固さのゆで卵を作り、殻をむいておきます。
② ポリ袋などにゆで卵を入れ、焼肉のたれをゆで卵が浸るくらい入れ、冷蔵庫で半日～1日程度おいて味付け卵をつくります。
③ 味付け卵が完成したら卵を取り出し、水分をよくふき取りましょう。気温的に可能なら、キッチンペーパーの上にのせて、1～2時間程度乾燥させておくとよいでしょう。
④ おうち燻製の手順に従い、フライパンにスモークチップと焼き網セットし、網の上に味付け卵を並べていきます。乾燥できていない場合は、上からアルミホイルを軽く被せます。（フタから落ちる水滴が、卵にかからないようにするため）
⑤ フタをしめて中火で加熱し、煙が出だしたら火を弱め、弱～中火で10分加熱します。10分加熱が終わったら火をとめ、煙が落ち着いたら完成です。

おうち燻製を楽しむときの注意点

おうち燻製をするときは、キャンプとは異なる注意点があります。

換気扇の近くでしっかり換気

燻製中に煙の量に気をつけていても、多少は煙が出ます。換気扇の近くで行うようにして、一番強い速度で換気扇を回しておきましょう。マンションなどでは、火災報知器が反応してしまうと大変です。おうち燻製を行う際は、スモークチップを少なめに、煙の量をよく確認しながら行うように注意してください。

匂いの行き先・時間帯に気をつけて

換気扇から排出される、燻製の匂いの行き先をチェックしましょう。お隣さんの洗濯物に匂いがついてしまい、思わぬトラブルにつながる可能性もあります。おうち燻製を行う際は、洗濯物を干している時間帯を避け、短い燻製時間で完成する食材を選ぶなど、周囲への気遣いが大切です。

使用後のスモークチップの消火

おうち燻製を楽しんだ後は、スモークチップに水をかけてきちんと消火しましょう。使用後のスモークチップは炭化しています。熱を持っていないように見えても、水をかけてしっかり消火してから処分するようにしておくと安心です。

おうちで燻製を楽しむ住まい

ここからはおうち燻製を楽しみたいあなたに、おすすめの住宅設備を紹介します。

換気設備が整った住まい

おうち燻製を楽しむためには、換気設備、とくにキッチンの換気扇は最重要の設備です。燻製に夢中になって部屋中煙だらけという事態を避けるためには、換気設備が整った住まいでしっかり換気をしましょう。また、燻製を行うと換気扇のフィルターがハイスピードで汚れます。フィルターのお手入れは定期的に行うようにしたいですね。

広いシステムキッチンの住まい

換気扇の近くで燻製をするときは、十分な作業スペースを確保できる広いシステムキッチンがあるとスムーズです。燻製をするとき以外でも、広いシステムキッチンは便利です。料理は毎日するものなので、広く快適なシステムキッチンであれば、毎日の暮らしが充実しますね。

パントリーがある住まい

おうち燻製にハマると、ついスモークチップにこだわりだしてしまうものです。リンゴ・クルミ・サクラ・ナラ・ヒッコリーなど、チップの種類によって香りが異なります。パントリーがある住まいであればスモークチップの保管場所を確保できるので、食材やその日の気分で使い分けながら燻製を楽しめますよ。

おうち燻製で楽しむリッチな時間

手軽にキャンプ気分を味わえるのが、おうち燻製の魅力です。プロセスチーズやベーコン、ナッツなど、おうちで燻製をするだけでリッチなおつまみに大変身します。
おうちの中でもランタンやろうそくに灯りをともし、ワイングラスと自家製スモークのおつまみを並べたら、特別な日を演出できます。しっかりと換気をしつつ、おうち燻製を楽しんでみてくださいね。