3月20日は「サブレの日」。
「クッキーは作ったことあるけど、サブレはない」という方は多いのではないでしょうか。
私の焼き菓子作り歴はかれこれ40年。私は管理栄養士として働いていますが、焼き菓子作りは私にとって日常生活の一部になっています。
今回の記事では、おうちでできる「手作りサブレ」を紹介しつつ、焼き菓子作りを楽しむ魅力をご紹介します。
サブレ・クッキー・ビスケットの違いは?
ティータイムの定番焼き菓子といえば、サブレやクッキー、ビスケット。老若男女を問わず、人気の焼き菓子ですね。
見た目が似ているので「どれも同じでは?」と思う方もいることでしょう。確かに小麦粉や砂糖、バターを使うという点では同じですが、材料の配分の違いによって少しずつ違いがあります。
サブレ、クッキー、ビスケットの違い
・サブレ
サブレはバターたっぷりのクッキーの総称で、フランス発祥のお菓子です。さくさくした口当たりが特徴です。通常は丸く薄い形に焼きますが、とくに形に決まりはありません。
サブレという名前は、フランス語で「砂」を意味するsabler(サブレ)から派生した言葉です。粉とバターを指や手のひらですり合わせるように混ぜ、さらさらにする作業は、サブラージュ(砂状にする)と呼ばれています。この作業により、砂のように口の中で細かく崩れるような食感を出せます。
・クッキー クッキーはアメリカ発祥のお菓子。アメリカではサクッとした焼き菓子をクッキーと呼びます。サブレとはほとんど違いはありません。日本では“糖分と脂肪分が全体の40%以上のもの”をクッキーと呼びます。
・ビスケット ビスケットはイギリス発祥のお菓子。クッキーやサブレに比べると硬い食感です。
イギリスのビスケットは古い歴史を持ちます。かつて食物が豊富ではなかった時代に、保存用に2度焼きした硬いパンが作られ、それが起源といわれています。イギリス人にはみな、家庭の味のビスケットがあるのだそうです。
私が焼き菓子作りを始めたきっかけ
私が焼き菓子作りを始めたのは、いまから約40年前の小学生のときです。工作や手芸、そして食べることがもともと好きだったので、自分で作ったお菓子を食べてみたいという思いから始めました。
中学・高校時代は好きな人に食べてもらいたくて作ったこともありました。「どんな味に仕上がるかな?」「喜んでもらえるかな?」と思いながら作る過程は楽しいですよね。その後も食への関心を抱き続け、管理栄養士の道に進みました。
サブレ作りに挑戦!
サブレというと「難しそう」「洋菓子屋さんで買うもの」というイメージがあるかもしれません。しかし、おうち時間のティータイムに焼きたての手作りさくさくサブレが食べられたら、とても贅沢なことだと思いませんか。
そこでここでは、私が実際に作った「正統派プレーンサブレ」と、「お手軽抹茶サブレ」の2つのレシピを紹介します。
サブレ作りに必要なもの
レシピをご紹介する前に、焼き菓子作りに必要なものをお伝えします。製菓グッズをすべてそろえるとお値段が張ってしまうので、最初は100円ショップなどを利用すると費用を抑えられますよ。
■サブレ作りにそろえておきたいもの
・大きめのボウル
大きめのほうが粉を混ぜやすいです。
・ゴムベラ
焼き菓子作り以外でも使える便利アイテム。生地を切るように混ぜるときに使います。
・ハンドミキサー
焼き菓子作りをするならおすすめ。時間も労力も少なくてすみます。
・泡立て器
100円ショップにあります。ワイヤーの数が多いものがおすすめ。
・計量カップ
100円ショップにあります。
・デジタルスケール
正確な計量が焼き菓子作り成功の第一歩。最小表示1gのデジタルのものが便利。
・こし器
粉をふるうときに必要。100円ショップの製菓グッズコーナーにあります。
・大きめのまな板
サブレの生地を棒状にするときに使います。
・網(ケーキクーラー)
焼き上がったお菓子をのせて、粗熱をとるために使います。
・ラップ
・クッキングシート
・オーブンレンジ
■基本的なサブレの材料
無塩バター・卵・アーモンドパウダー・粉糖(なければグラニュー糖)・牛乳・薄力粉・塩など
正統派プレーンサブレの作り方
正統派プレーンサブレの作り方をご紹介します。さくさくサブレを作るには、3つのポイントがあります。
【サブレ作りを成功させる3つのポイント】
・無塩バターを室温でやわらかくする目安は、指がすっと抵抗なく入るくらいにする。
・焼き上がりがサクッと口どけのよいものにするなら、粉糖を使用する。
・粉をふるっておく。
【所要時間】
・生地を作るのに30~40分
・生地を寝かせるのに1時間以上
・オーブンで焼くのに15~18分
【正統派プレーンサブレの材料】約30枚分
・薄力粉…160g
・アーモンドプードル…40g
・無塩バター…100g(焼き菓子作りには無塩バターがおすすめ)
・粉糖…70g(なければグラニュー糖)
・卵黄…1個
・塩…少々
・グラニュー糖…適量(サブレの生地のまわりにつけるためのもの)
【準備】
・バターは室温に戻しておく。
バターはあらかじめ1~2cm角に切って、ボウルに広げて入れておくとやわらかくなりやすい。溶かしすぎないように注意しましょう。
・卵黄も室温に戻しておく。
・薄力粉とアーモンドプードルは一緒にふるっておく。
・サブレの生地を焼く前に、オーブンは170℃に予熱する。
【作り方】
① ボウルに入れてやわらかくしたバターを、ゴムベラでクリーム状にし、塩と粉糖を加えて混ぜ合わせる。ある程度混ざったら、ハンドミキサーで白っぽく、ふんわりするまで攪拌する。
② ①に卵黄を入れ、ハンドミキサーで攪拌し、クリーム状にする。
③ ふるっておいた粉を入れ(2回に分けて入れるとよい)、ゴムベラで切るように混ぜ合わせる。ある程度まとまったら、手で混ぜる。
④ 直径3cmの棒状にし(2~3本)ラップで包み、冷蔵庫で1時間以上休ませる。
⑤ ④のまわりにグラニュー糖をまぶし、1cm幅にカットする。
⑥ 天板に並べ、170℃、15~18分に設定をしてオーブンで焼く。
裏面にうっすら焼き色がついていれば出来上がりです。
⑦ 焼いたサブレは、網にのせて粗熱をとる。
サブレは意外と簡単です。面倒でも下ごしらえをきちんとしておけば誰でも簡単にできますし、さくさく感があり、甘さは控えめです。冷凍保存しておけば、食べたいときに少しずつ食べられますよ。
ホットケーキミックスでお手軽抹茶サブレ
サブレのレシピをもう一つご紹介します。ホットケーキミックスを使って作る、抹茶サブレです。
正統派プレーンサブレの材料が手に入りにくいときは、手軽なホットケーキミックスで作ってみてくださいね。
【ホットケーキミックスで抹茶サブレの材料】約20枚分
・ホットケーキミックス…1袋(200g)
・無塩バター…50g
・卵…1/2~1個
・粉糖…50g(なければグラニュー糖)
・抹茶…8g
・グラニュー糖…適量(サブレの生地のまわりにつけるためのもの)
・牛乳…大さじ2(生地がまとまらないときに入れる)
【準備】
・バターは室温に戻しておく。バターはあらかじめ1~2cm角に切って、ボウルに広げて入れておくとやわらかくなりやすい。溶かしすぎないように注意をする。
・卵も室温に戻しておく。
・ホットケーキミックスと抹茶は一緒にふるっておく。
・サブレの生地を焼く前に、オーブンは170℃に予熱する。
【作り方】
① ボウルに入れてやわらかくしたバターを、ゴムベラでクリーム状にし、粉糖を加えて混ぜ合わせる。ある程度混ざったら、ハンドミキサーで白っぽく、ふんわりするまで攪拌する。
② ①に卵を入れハンドミキサーで攪拌し、クリーム状にする。
③ ふるっておいた粉を入れ(2回に分けて入れるとよい)、ゴムベラで切るように混ぜ合わせる。ある程度まとまったら、手で混ぜる。生地がまとまりにくかったら、牛乳を入れて調整する。
④ 直径3cmの棒状にし(2~3本)ラップで包み、冷蔵庫で1時間以上休ませる。
⑤ ④のまわりにグラニュー糖をまぶし、1cm幅にカットする。
⑥ 天板に並べ、170℃、12~15分に設定をしてオーブンで焼く。
裏面にうっすら焼き色が付けば出来上がりです。
⑦ 焼いたサブレは網にのせて粗熱をとる。
正統派プレーンサブレに比べるとさくさく感は少ないですが、抹茶風味がお口に広がり、美味しい抹茶サブレができました。正統派プレーンサブレに比べると、やわらかい仕上がりになります。
ホットケーキミックスにベーキングパウダーが含まれているため、焼くと膨らみます。間隔を開けて並べるようにしましょう。
また、作る手間は正統派プレーンサブレと変わりません。正統派プレーンサブレを抹茶味にしたい場合は、抹茶8gを生地に混ぜることで、抹茶サブレを作ることができますよ。
サブレなど焼き菓子作りを楽しめる住まいとは
焼き菓子作りを楽しみやすい住まいのポイントは、広いキッチンと収納スペースがあることです。
広いキッチンのある物件
焼き菓子作りを楽しむためには、広いキッチンのある物件をおすすめします。焼き菓子作りは、粉をふるったり、出来上がったものを冷ましておいたりする工程で、広いスペースが必要です。
また、オーブンと作業スペースの動線がスムーズであることもポイントですね。オーブンから焼き上がったアツアツの天板を運ぶとき、すぐ置けるほうがやけどすることなく、安全に作業ができます。とくに小さいお子さんがいる家庭では、広いキッチンだと一緒に焼き菓子作りを楽しめるのでよいですね。
収納スペースが広い物件
焼き菓子作りを楽しむためには、収納スペースが広い物件もおすすめしたいです。焼き菓子作りの道具は意外とスペースをとるもの。いざ作ろうと思っても、道具が見つからなかったらモチベーションが一気に下がってしまいます。
作りたいときに、さっと取り出すことができると、焼き菓子作りをより楽しめますね。焼き菓子の材料を一緒に置いておけば「あの材料、買ったはずだったのに」と探すことなく、スムーズに作れます。
おうちで焼き菓子作りを楽しもう
栄養士の卵時代に教わったことで、今も覚えていることがあります。「調理は科学である」という言葉です。とくに焼き菓子は材料をただ混ぜるだけでなく、材料の特性を生かしたもので、科学の一つです。
粉の混ぜ方一つにしても、切るようにして混ぜないとふっくらと焼けません。作り方どおりに作っても、同じようにできないこともあり、奥が深いです。
同じレシピでも100人いたら100通りのものができるため、出来上がりを見ると個性が出て面白いです。手作り焼き菓子の魅力は、形が多少悪くても、味がイマイチでも、作り手の愛情を感じられるところでしょう。この記事が、焼き菓子作りを通して豊かなおうち時間を過ごすきっかけになればとてもうれしいです。