芯まで火が通ったほくほくの焼き芋や、皮がパリッと身はジューシーな焼き魚、カリっとした表面とふんわりもちもち食感が美味しいトースト…。
これらはすべて、「魚焼きグリル」で調理することができます。
私は食べることが大好きで、好きなものはもっと自分なりの味付けで楽しみたいと思っています。
特に、飲食店ではあまり見かけない料理を食べたいときこそ、魚焼きグリルの出番です。
今回は、「使うのがちょっと面倒」というイメージから日陰者の存在になりがちな魚焼きグリルにスポットを当て、秋の味覚を楽しむ暮らしを紹介します。
魚焼きグリルとは
コンロ付きの賃貸物件であれば、最初から付いていることが多い魚焼きグリル。
コンロに内蔵式という構造から、食材のサイズに制限があったり、掃除が面倒そうだったり。同じ加熱する調理器具でも、電子レンジと比べると使うのが大変そうですよね。
しかし、魚焼きグリルには多少の手間をかけても使うべき、大きなメリットがあると思っています。
魚焼きグリルは魚専用?
コンロに付属しているグリル機能のことで、魚を焼くための専用設備ではありません。しかし、もともとグリルとは網焼きのことで、その形から魚を焼くことに向いています。そのため、一般的に「魚焼きグリル」と呼ばれることが多くなっています。
他の調理器具と比べて「直火」で、食材を加熱できることが魚焼きグリルの大きな特徴です。最近はアウトドア人気もあり、大手ガス機器メーカーから魚焼きグリル用の調理器具も発売されています。
料理のきっかけをくれた魚焼きグリルの魅力
私は、地元の岐阜県から就職をきっかけに、東京に引越してきました。
引越し当初は自炊することを考えていなかったので、フライパンや鍋がなかった上に、仕事が忙しいこともあり、調理器具を買いそろえることができませんでした。
しかし、幸いなことにアパートには魚焼きグリル付きのコンロがあったので、それで家飲みのおつまみや、簡単な料理をはじめることができたのです。
火力調整など、細かい調節はそれほど必要ないことも初心者にはありがたいポイントでした。基本的に黒焦げになるほど放置しなければ、焼くだけで完成するのが魚焼きグリルの魅力の一つです。
そこから、趣味の食べ歩きを重ねて、自分なりに食べてみたい料理を自分で作れるように。
生活に余裕ができれば、ノンフライヤーやオーブンレンジを使うこともできるかもしれませんが、一人暮らしを始めたばかりのときにすべてをそろえることはできません。
そんな一人暮らし初心者でも、魚焼きグリルを使うことで、いろいろな種類の料理にチャレンジすることができたのです。たった1台あるだけで、複数の種類の料理に対応できることが、魚焼きグリルの大きなメリットだと実感しています。
家庭用調理器具で最強クラスの火力
直火で食材を加熱する魚焼きグリルは、実は家庭用の調理器具としては最強レベルの火力。魚焼きグリルの種類にもよりますが、上下方向から火が出るタイプで、庫内温度は約400度になることも。電子レンジのオーブン機能が250度くらいであることを考えると、1.5倍ほどの温度を出すことができます。
さらに、余熱がほぼ不要なこともグリルの魅力。狭い空間を直火で熱するため、短時間で高温になります。すると、調理の前に余熱をする時間が必要なくなるので、テンポよく料理を進めることが可能に。
また、一気に高温にすることでうま味を閉じ込めたり、表面のみをパリッと焼いたりすることも可能です。そのため、魚焼きグリルを使うだけで簡単に料理をワンランク上の仕上がりにできます。
野菜から肉まで美味しくヘルシーに
実は魚焼きグリルで調理すると、余分な脂が網の下に落ちていくので、肉料理などにもおすすめ。
さらに、フライパンで調理するときと違い、油を敷く必要がありません。そのため、二つの意味で油分をカットした、ヘルシーな仕上がりの料理を作ることができます。
肉や魚ばかりではありません。野菜を焼くにも、魚焼きグリルは大活躍です。ここでも、一気に高温になるグリルの特徴が強みに。
野菜に含まれているビタミンCは水溶性なので、煮たり茹でたりすることで、お湯の中に溶け出してしまいます。
しかし、高温で加熱するグリルであれば、その心配はありません。それどころか、野菜に含まれる水分を適度に飛ばすことで旨味成分が凝縮し、生で食べるよりも美味しく感じられます。
秋の定番! 焼き芋を魚焼きグリルで
魚焼きグリルは、強い火力で、色々な食材をヘルシーに焼き上げてくれます。秋の味覚の代表格、焼き芋も美味しく焼くことができます。
魚焼きグリルで焼き芋を焼くには
さつまいもをスーパーで見かけると、つい作りたくなるレシピです。調理自体は簡単で片付けも楽に終わる上に、焼くだけで美味しくなります。
材料
・さつまいも 1本~
・竹串
・キッチンペーパー
・アルミホイル(包む用)
作り方
1.さつまいも水で洗って、濡らしたキッチンペーパーに包む
2.アルミホイルで全体をしっかり包む(キッチンペーパーが外に出ないよう注意)
3.魚焼きグリルが片面焼きなら15分ごとにひっくり返す(両面焼きなら20分ほど)
4.火を消して10分ほど、余熱で蒸らす
5.竹串を刺して、すっと刺さるようになれば完成
焼き芋用アルミホイルとは?
魚焼きグリルを使えば、簡単に焼き芋は作れますが、さらにワンランク上の焼き芋を目指すなら、ぜひ「焼き芋用アルミホイル」を使ってみてください。
スーパで売られている「焼き芋用」の黒いアルミホイルで、通常のアルミホイルより熱の吸収率が高いものになります。このため、同じ魚焼きグリルでも、より高熱でしっかりとさつまいもを焼くことができます。
実際に私も、通常のアルミホイルと焼き芋用のアルミホイルの2種類を使って調理してみました。
並べてみると違いは一目瞭然。通常のアルミホイルと違い、焼き芋用アルミホイルで焼いたさつまいもにはしっかりと焼き目がついています。また、食感もわずかな焦げの風味や、しっかりと火が入ったほくほくとした仕上がりが特徴です。
アルミホイルで焼いたさつまいもも十分美味しいですが、より「焼き芋感」を楽しみたいなら、ぜひ焼き芋用アルミホイルを使ってみてください。
焼き芋のちょい足しレシピ
焼きたてをそのまま食べても止まらなくなる焼き芋ですが、「ちょい足し」を行うことで、さらに美味しくなります。飽きるほど食べる機会は少ないかもしれませんが、ぜひいろいろな焼き芋の味わいを楽しんでみてください。
・バター…バターのコクと塩の味が焼き芋の風味にプラスされ、「じゃがバター」の感覚で食べられます。
・チーズ…同じ乳製品でもバターとは違い、こちらはチーズのコクとわずかな酸味が感じられるのが特徴。お好みでブラックペッパーをかけると、おつまみとして楽しめます。
・きなこ…乳製品以外では、きなこがおすすめ。ふりかけるだけですが、焼き芋の甘さにきなこの風味が合わさり、食べる手が止まらなくなります。
魚焼きグリルでできる! 簡単レシピ3選
秋の味覚は、焼き芋だけではありません。魚焼きグリルでできる秋の簡単レシピを紹介します。
まいたけと手羽先のグリル焼き
メインと副菜が同時に作れる簡単レシピです。素材の味を活かすなら味付けはシンプルに、お好みで調節してみてください。
材料
・まいたけ 1パック
・手羽先 8本
・塩・こしょう 適量
・しょうゆ・バター 適量
・焼き肉のタレ 適量
・アルミホイル(包む用)
作り方
1.手羽先と焼き肉のタレをポリ袋に入れて、しっかりと揉む(1時間ほど置くと、味がよくなじみますが、すぐに焼いても大丈夫です)
2.まいたけを一口大の大きさに割って、水で軽く洗う
3.お皿状にしたアルミホイルに、1.2.の食材を入れてグリルを点火する
4.手羽先・まいたけを適度にひっくりかえし、焼き目がついたら取り出す(手羽先の方が、多少焼けていなければ、まいたけを出してもう少し焼いてください)
5.熱いうちに、まいたけにバターとしょうゆ、塩、こしょうをお好みでかけて完成
秋野菜とミートソースのホットドッグ
使い勝手のいい、秋野菜を使ったミートソースとボリュームのあるホットドッグのレシピ。ミートソースは冷凍保存しておけば、ほかの料理にも使うことができる便利アイテムです。
材料
・にんじん・たまねぎ・ごぼう・しいたけなど 各1/2個(体)
・トマト缶 1缶
・ひき肉 150g
・しょうゆ・塩・こしょう・オリーブオイル・ケチャップ 適量
・コンソメキューブ 1個
・ホットドッグ用パン 1個
・ソーセージ1本
・チーズ 適量
・アルミホイル(包む用)
作り方
1.にんじん・たまねぎなどの野菜をみじん切りにする
2.大きめのフライパンでオリーブオイルを熱して、野菜・ひき肉を炒める
3.火が通ったらトマト缶としょうゆ・塩・こしょう・ケチャップ・コンソメキューブを入れる
4.汁気がなくなるまで煮たら、ミートソースが完成
5.ミートソースの粗熱が取れたら、ソーセージをパンに挟む
6.ミートソースをかけ、その上にチーズにのせて魚焼きグリルへ
7.上のチーズが溶け、パンに焼き目がついたら完成
クルミとチーズたっぷりのピザ
秋の雰囲気を感じられるクルミをアクセントに、チーズをたっぷりと使ったピザ。チーズを複数使うことで、コクが出て飽きのこない風味になります。
材料
・ピザ用生地 1枚
・カットチーズ・ブルーチーズ・クリームチーズ 適量
・はちみつ 適量
・油 少量
・アルミホイル(包む用)
作り方
1.ピザ生地にクリームチーズを塗る
2.その上に、カットチーズをのせる(ふちギリギリまでのせると、溶けて流れてしまうので、控えめに)
3.さらにその上にブルーチーズの乗せる(ブルーチーズは量が多いと、匂いが強くなるので控えめがおすすめです)
4.アルミホイルに少量の油を敷いたら、ピザをのせて魚焼きグリルへ
5.ピザ生地の端や上にのせたチーズに焼き目がついたら魚焼きグリルから取り出す
6.はちみつをお好みでかけて完成
※「グリル」を物件詳細情報に含むLIFULL HOME`S 掲載賃貸物件を集めました。
魚焼きグリルを選ぶポイント
魚焼きグリルが1台あれば色々な料理が作れます。しかし、そんな魚焼きグリルにも種類があるのをご存知ですか。
一人暮らしをする際、魚焼きグリルの種類まで気にすることは少ないかもしれませんが、魚焼きグリルはそれぞれの種類に応じた使い方があります。間違った使い方をすると火事の原因になることも。
続いては、魚焼きグリルの種類や、簡単な掃除方法を紹介します。
ガスとIHの違い
魚焼きグリルといえばガスコンロのイメージがあるかもしれませんが、IHコンロにも魚焼きグリル付属の機種はあります。IHクッキングヒーターのグリル部分の特徴は、比較的さまざまな機能があることです。
例えば魚を焼く際に、本物の七輪で焼いたような仕上がりにする機能や、加熱水蒸気を使うことで余分な脂や塩分などを溶かし出す機能もあります。また、ガスと違って温度を細かく設定できることも、IHならではの特徴です。
ガスを使った魚焼きグリルのメリットは、何といっても直火で加熱すること。強力な火力で一気に熱することで、調理時間の短縮やうまみ成分をギュッと閉じ込めることができます。
水を入れるタイプと入れないタイプ
魚焼きグリルの種類には、魚焼きグリルの下に水を入れるタイプと、入れないタイプがあります。
水を入れるタイプは、魚や肉などを焼く際に出る油などが引火するのを防ぐために、水を入れる仕様になっています。
水を入れ忘れると最悪の場合、食材の油に引火して火事の原因になってしまうことも。そうならないためにも、魚焼きグリルに水を入れるか入れないかしっかりと確認が必要です。
水を入れないタイプの魚焼きグリルは、水を入れる必要はありませんが、片面だけから炎が出るタイプと両面から炎が出るタイプがあります。
機能的には両面から炎が出るタイプの方が優れているため、ガスコンロ自体の値段も高くなります。たとえ家賃が同じだったとしても、魚焼きグリルの性能が少しでもよい方に住んでみたいですよね。
魚焼きグリルを楽に掃除するポイント
どうしても「面倒くさい」というイメージが先に浮かんでしまう魚焼きグリル。しかし、こまめに掃除さえすれば、大きな手間はかかりません。
特に知っておきたいポイントが2つあります。
1つ目はガスコンロの取扱説明書を必ず読むこと。取扱説明書には、魚焼きグリルの分解方法や掃除方法などが書いてあるので、それを読むことが掃除の第一歩です。
意外に魚焼きグリルは細かく分解することができますが、取扱説明書がないと組み立てられないことも。しっかりと説明書には目を通しておきましょう。
2つ目のポイントは、使ったらすぐに掃除すること。魚焼きグリルの汚れの原因は、焦げや油です。この汚れは時間がたてばたつほど、こびりついてしまうので、魚焼きグリルを使ったらすぐに洗うのがベスト。
魚焼きグリルを使い終わって冷めた後であれば、分解して洗剤に漬け込めば、スポンジで楽に掃除することができます。ただし、洗剤は取扱説明書に書かれている種類のものを指定された濃度に薄めて使うようにしましょう。
魚焼きグリルは一人でも使いこなせる
掃除が面倒くさい、というイメージが強い魚焼きグリルですが、実際に使ってみると料理が短時間でできあがる便利さの方を強く感じます。特に複数の料理を作るときに、テンポよく焼けていくのは嬉しい限り。
掃除の手間も、調理が終わったときに包丁やまな板を洗う感覚と同じです。
ぜひ魚焼きグリルのメリットを活かした美味しい料理を楽しむ方が増えてくれたらと思います。