みなさんは夏至と聞いて何を思い浮かべますか?
夏至の対となる冬至には、「かぼちゃを食べてゆず湯につかる」という全国的な風習があります。一方で、夏至には全国的な風習はありません。
ただ、私が住んでいる京都をはじめ大阪や奈良などの関西の一部地域では、夏至の期間中にあるものを食べる風習があります。京都出身の私は、他県で暮らして初めて「当たり前だと思っていた夏至の風習」が地域的なものだと知りました。
今回は、地域の歴史や文化を身近に感じられる、関西ならではの「夏至の食べ物」についてご紹介します。
夏至の風習や歴史。関西の食文化とは
そもそも夏至とは、どんな日を指すのかご存じですか。まずは、夏至の風習や歴史、関西の夏至の食文化をご紹介します。
夏至とは
夏至とは「1年で昼の時間がもっとも長い日」を指します。 夏至は、二十四節気のうちのひとつ。二十四節気は1年を春夏秋冬の4つの季節に分け、さらにその季節を6つに細分化したものです。
日本では古くから暦に取り入れられ、季節の移り変わりの目安とされてきました。夏至以外には立春や秋分などの節気名があり、ニュース番組などでも耳にしたことがあるのではないでしょうか。
夏至は、太陽の動きに基づいているため、その年によって日付が異なります。6月21日もしくは6月22日になることが多く、2021年の夏至は6月21日です。
夏至の日付は1日ですが、期間としては二十四節気の次の暦にあたる小暑(しょうしょ)までの約15日間を指します。2021年なら、6月21日から7月5日までの15日間が夏至の期間です。
関西で夏至に食べる食べ物
夏至の対となる、1年の中で昼がもっとも短い日である冬至には、かぼちゃを食べる風習があります。夏至には、冬至のように全国的に食される食べ物はありません。しかし関西には、夏至にまつわる食べ物を食べる風習が残っています。
日本では、夏至の日を目安に田植えが行われてきた歴史があります。冒頭でお伝えした二十四節気とともに、日本では雑節と呼ばれる暦も使われていました。そして、夏至から11日目にあたる雑節の半夏生(はんげしょう)までの間に田植えをしなければならない、といわれてきました。
田植えには、「チュウ(夏至)ははずせ、ハンゲ(半夏生)は待つな」と、いうことわざがあります。つまり、古くから農家は夏至から半夏生の間に田植えを終わらせるべく、農作業を行っていたのです。
このような歴史から、夏至の食べ物の風習は、豊作を祈るものが多く残っています。関西では、夏至の食べ物として次のものを食べています。
タコ
タコを食べる風習のある地域は、大阪や関西の一部地域です。タコの足のように作物がしっかり根付くようにという願いを込めて、タコを食べます。
関西はタコとの関わりが深く、弥生時代の遺跡からタコ漁に使われる「たこつぼ」が出土されました。このことからも、タコが古くから馴染みのある食材だったことがわかります。
小麦餅(小夏生餅、さなぶり餅)
奈良や大阪、和歌山の一部地域では、小麦の収穫と田植えが無事に終わったことを神に感謝し、小麦餅を供える風習があります。日本の農業というとお米のイメージが強いですが、奈良県は小麦栽培の歴史があり、現在もそうめんの名産地として有名です。
このように田植えや豊作を祈る夏至の食べ物がある中、私の住む京都には一風変わった夏至に関わる食べ物があります。
夏至の食べ物、 京都の「水無月(みなづき)」
夏至の期間中、京都の和菓子屋にならぶのが「水無月」という和菓子です。水無月は氷を模した三角形のういろうに、邪気払いの意味のある小豆をのせた和菓子です。
京都では夏至の期間中であり、1年の折り返しでもある6月30日に「夏越しの祓」という行事があり、水無月を食べる風習があります。夏越しの祓は、半年の間の厄を祓い残り半年の無病息災を祈る、夏を迎えるための大切な行事です。
京都で暮らす私は、この水無月が大好きです。もちもちでしっとりとした舌ざわりに、小豆の優しい甘味がたまりません。夏至が近くなり、この水無月が店頭にならぶと夏の訪れを感じます。京都のお祭りとして有名な祇園祭も、間近です。うだるような京都の暑さを想像して少し辟易しながらも、お祭りムードに心を躍らせながら食べるのが、この水無月でした。
実は水無月が京都独自の和菓子だと知ったのは、夫の転勤により他県で暮らすようになってからです。「ういろうはあるけれど、水無月がない」と、不思議に思ったのがきっかけでした。他県で生活してみると、出身地域の風習を知ることができるので新鮮です。
関西の夏至レシピ <タコ飯・水無月・小麦餅>
大阪の一部地域で、夏至に食べられるタコ。大阪といえば、たこ焼きのイメージが強いかもしれません。今回は田植えなどの農作業中食べやすい、おにぎりにもおすすめの「タコ飯」をご紹介します。
<材料>作りやすい分量
・ゆでだこ 150g
・米 2合
・しょうが 1片~お好みで
☆顆粒だし 小さじ2
☆しょうゆ 大さじ1と1/2
☆みりん 大さじ1
☆酒 大さじ1
※お好みで刻みネギや大葉
<作り方>
1:米を洗い、ザルにあげておく。
2:ゆでだこは食べやすい大きさに切る。
3:しょうがを千切りにする。
4:炊飯器に1.の米と☆の調味料を入れ、2合の線まで水を入れる。
5:軽くかき混ぜ、2.のゆでだこと3.のしょうがをのせて炊く。
6:炊きあがったら、全体を軽くかき混ぜて完成。
京都の夏至レシピ:「水無月」
何十年も昔になりますが、学校の調理実習で習った牛乳パックを使った作り方をご紹介します。夏至に涼やかな水無月を食べて、夏を元気に乗り越えましょう。
<材料>牛乳パック(1,000ml)1本分
・小麦粉 80g
・上新粉(米粉) 10g
・片栗粉 10g
・砂糖(上白糖もしくはグラニュー糖) 60g
・水 300ml
・甘納豆(小豆) 100g
※砂糖をまぶした甘納豆の場合は、軽く洗ってから使用しましょう。
※もちもち食感が好きな方は、片栗粉を減らして上新粉(米粉)を増やしてください。
<作り方>
牛乳パックの注ぎ口部分が上にくるように、横に倒す。上になる面をハサミで切りとる。
1:注ぎ口部分が大きく開いている場合は、ガムテープなどで閉じる。
2:小麦粉、上新粉、片栗粉、砂糖をボウルに入れる。
3:水を少量ずつ入れ、だまができないようにかき混ぜる。
4:3.を大さじ2ほど残し、ザルでこしながら静かに牛乳パックにそそぐ。泡立たないように注意する。
5:牛乳パックにラップをふんわりかけて、レンジ600Wで5分程度加熱する。
6:レンジから取り出し、手早く上面に甘納豆をちらして、4.で残した大さじ3の液を薄くまんべんなくかける。
7:再度ラップをふんわりかけて、600Wで1分30秒程度加熱する。
8:レンジから取り出し、粗熱が取れたら冷蔵庫で冷やす。
9:冷えてから牛乳パックを切って取り出し、三角形に切り分ける。
奈良の夏至レシピ:「小麦餅」
夏至から半夏生にかけて、小麦の収穫と田植えが無事に終わったこの時期に、お供えとして作るのが小麦餅(半夏生餅)です。つぶし小麦の食感と香りを楽しめる、味わい深いお餅となっています。
<材料>
・つぶし小麦 5カップ
・もち米 5カップ
※餅つき機の容量に合わせてつぶし小麦ともち米を1:1の量で準備する。
☆きな粉 適量
☆砂糖 適量
☆塩 少々
※☆はあらかじめ混ぜておく。
1:前日の晩にもち米を洗い、水につけておく。
2:当日、つぶし小麦は軽く洗って、ザルにあげておく。
3:蒸し器(もしくは蒸し機能つき餅つき機)で、水を切ったもち米を蒸す。
4:もち米が大方蒸しあがったら、その上に水気を切ったつぶし小麦を広げて蒸す。
5:もち米とつぶし小麦が蒸しあがったら、餅つき機でつく。
6:つきあがったお餅を、熱いうちに丸め、☆をまぶす。
参考:http://www.pref.nara.jp/secure/118270/ikaruganosato.pdf
関西の夏至の食文化を楽しむ
最後に伝統ある食文化を楽しめる関西のおすすめエリアをご紹介します。ぜひ、夏至の風習を身近に感じてみてくださいね。
大阪府南部の暮らし
大阪には、大阪府が“大阪産(おおさかもん)”と認定している農林水産物がいくつかあり、ここにタコも含まれています。
泉佐野市などの泉州沖で水揚げされたタコは泉たこと呼ばれ、地元の方に愛されていますよ。大阪産の新鮮な泉たこを、泉佐野市の住まいで味わってみてください。
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水無月を身近に、京都府の暮らし
京都には水無月をはじめ、暮らさなければ味わえない和菓子がたくさんあります。京都に住めば、季節に合わせて彩り豊かに作られる和菓子を堪能できることでしょう。
身近に老舗の和菓子屋が多くあるのも、京都住まいのいいところです。水無月もお店によって味わいが異なるので、食べ比べても楽しいですね。京都の住まいで、ぜひお気に入りの水無月を見つけてください。
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奈良県葛城市・橿原市で小麦餅を味わう暮らし
奈良県で小麦餅が食べられるエリアは、歴史深い中和地域に多いです。たとえば、葛城市や橿原市では小麦餅(半夏生餅)を味わえる和菓子屋や、地域で小麦餅を作るイベントなども開催されています。
また大阪へのアクセスも便利で、都心での仕事を継続しながらも、歴史も深く自然も豊かな場所で暮らせるところも魅力です。奈良県の葛城市や橿原市の住まいで、小麦餅とともに歴史も感じる暮らしを楽しんでみてくださいね。
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夏至の食べ物で知る地域の風習
関西の夏至の食べ物には、その地域独自の風習が色濃く残っています。
大阪は古くからタコの漁が盛んで、奈良には小麦栽培の歴史があり、京都は和菓子で厄払いをして涼を感じる文化があります。このように、三者三様の歴史と文化を感じ取れるのが、夏至の食べ物の魅力といえるでしょう。
夏至以外にも、お盆やお正月などの節目に、地域独自の風習が残っていることもあります。ぜひ、お住まいの地域の風習に触れ、その地域ならではの暮らしを楽しんでみてくださいね。