春に釣れる魚は美味しい魚が多く、釣るだけでなく食べる楽しみもあります。しかし、魚をさばいたり、下処理を行うのは難しいと考える方もいらっしゃるでしょう。
私も釣りを始めた当初は、自分で釣った魚であっても調理することが難しく避けていた時期もありました。しかし、せっかく自分で釣った魚です。最後まで美味しく食べたいとさばき方をマスターし、今ではさまざまな魚を調理して楽しんでいます。
今回は釣り人でもあり、調理師でもある私が春に釣れる魚と、さばき方やおすすめの料理を紹介したいと思います。魚料理を本格的な一品にする一手間もお伝えしているので、ぜひご参考にしてみてくださいね。
春に釣ることができる魚
春は、寒さが和らぎ釣りをするのにぴったりな季節。私は、年間300回以上釣りに出ていますが、特に春は美味しい魚が旬を迎える時期でもあるため、頻繁に釣りに出ています。
ここでは、春に釣ることができて、釣り人にも人気の高い魚をご紹介します。
春に堤防や漁港で釣れる「メバル」
3~5月に旬をむかえ、春告魚とも表されるメバル。堤防や漁港といった場所で狙うことができます。
20センチ前後がメインサイズとなるメバルは、小型魚ながら鋭い引きを見せる点が釣り人にとって魅力的です。基本的にはウキ釣りや胴付き仕掛けを用いたエサ釣りで狙いますが、近年ではルアーでメバルを狙う「メバリング」という釣り方をする人も増えています。
ルアーフィッシングで狙う場合の仕掛けはジグヘッドとワームのみと非常にシンプルです。またルアーの操作方法も基本的な巻き方で問題ないので、釣り入門者でも楽しめます。ジグヘッドとワームでのメバリングに慣れたら、より難易度が高いハードルアーのメバリングにもチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
メバルは淡白な白身魚のため、シンプルな料理で身の美味しさを楽しむ料理が相性ぴったり。特に煮付けや酒蒸しはとても美味しいです。また身を食べるのはもちろんですが、骨からとっただし汁を料理に使うのもおすすめ。
春に船釣りで狙える「真鯛」
桜が咲く3月頃に旬を迎え、よく釣れるのが真鯛です。桜鯛とも呼ばれ、入学式や新生活のお祝いの席で目にすることが多い魚ではないでしょうか。真鯛は主に船釣りで狙うことができます。
春に釣れる真鯛はイワシをメインに捕食しており、3kgを超えることも! これほど大きなサイズの真鯛を狙うことができるのも春釣の魅力。
真鯛釣りでは、餌にオキアミを使用した「コマセ釣り」、オモリと針が一体になった「一つテンヤ」と呼ばれる仕掛けが使用されています。近年では真鯛狙いに特化したルアーとなるタイラバでの真鯛釣りも人気。タイラバを使うことで、餌の必要がなくなるため、手を汚さずに釣りを楽しむことができます。
春に釣れる真鯛は脂が乗っていて、刺身や塩焼き、あら炊きとの相性がよいです。真鯛の脂は上品でくどくなく、スッキリとした味わいで箸が進みます。また、真鯛は日本酒との相性もよく、お酒好きな方にもおすすめの魚です。
春に海の広範囲で狙える「真鯵」
真鯵は6月頃が旬の魚です。海釣りの中でも、比較的場所を選ばず釣ることができるため、こちらも釣り人に人気があります。
船釣りはもちろんですが、気軽に行ける堤防でも釣果が期待できるでしょう。釣り方としては、エサ釣りかルアーフィッシングが基本。エサ釣りではアミコマセといったエサを使用するサビキ釣り、ルアーフィッシングではジグヘッドとワームといった餌を使用した「アジング」という方法で狙います。
アジングは道具がシンプルではありますが、釣るためには少しテクニックが必要な部分もあります。しかし、1度釣ることができると、はまってしまう方も多く、アジングは釣り人に人気です。
真鯵は、刺身やたたき、なめろうといった料理におすすめ。また、数が多く釣れたときには干物にしておくと長期保存も可能です。
その他の春に釣れる魚
・トラウト
釣れる場所:湖、渓流
時期:3月または4月から釣り解禁される場所が多い
釣り方:ルアー、エサ釣り
・ブラックバス
釣れる場所:ダム、野池、川
時期:4月に最盛期を迎える
釣り方:ルアー
・シロギス
釣れる場所:堤防、サーフ、船
時期:5月ごろから釣れ始める
釣り方:投げ釣り、船釣り
・アオリイカ
釣れる場所:堤防、漁港、磯
時期:4月ごろに大型サイズが狙える
釣り方:エギング、ヤエン
・シーバス(スズキ)
釣れる場所:河川、港湾部
時期:3月〜5月にバチ抜けパターンやハクパターンで狙える
釣り方:ルアー、ウキ釣り
春に釣れる魚、真鯵とメバルのさばき方とおすすめの調理法
春に釣れる代表的な魚、真鯵とメバルのさばき方と調理方法をご紹介します。自分で釣った魚を調理して食べると、さらに美味しく感じられるもの。ぜひ春の魚を楽しんでくださいね。
真鯵のさばき方とおすすめの調理法
真鯵のさばき方
真鯵のさばき方をご紹介します。この方法は、基本的な魚のさばき方になるので、真鯵以外の魚にも応用可能です。釣った魚を自分で調理したいという場合は、覚えておくと便利です。
(1)ウロコを取る
ウロコ取りを尾ビレから頭の方向に動かし、ウロコを取ります。水を流しながらウロコを取ると飛び散りにくく、キッチンが汚れにくいです。
(2)ゼイゴを取る
ゼイゴは、尾ひれに近い部分の尖ったうろこのこと。とげのような見た目をしています。
包丁でゼイゴを削ぎ取ります。身を削ぎ取りすぎないように注意して包丁を当てるようにしましょう。ただし、さばいた真鯵を冷蔵庫で数日保存する場合はゼイゴを取らない方がよいです。ゼイゴを取ると身が空気に触れて劣化を早めてしまいます。
(3)頭を落とす
真鯵を頭が左になるようにまな板に置き、胸ビレの下に包丁を通し、頭側にカマをつけた角度で背骨に当たるまで包丁を入れます。裏側に返し、同じ角度に包丁を入れて骨を断ち切ります。
(4)内臓を取り出す
肛門から包丁を入れ、腹を割きます。包丁で内臓を掻き出し、血合いに切り込みを入れておきます。
(5)水で血を流し、水気を拭き取る
水で汚れや血を流します。このタイミングでキッチンペーパーも使用して水気を完全に拭き取っておきましょう。水気がついたまま三枚おろしをすると身が水を吸い、食感、味が落ちます。また水分が残っていると魚がまな板の上で滑り、手を切る危険が増します。
三枚おろしの仕方
続いて、三枚おろしの方法もご紹介します。
(1)真鯵の頭側を利き手側になるようにまな板に置く
(2)腹側から包丁を入れて背骨まで切る
まずは腹側の皮に切れ目を入れて、ガイドラインを作りましょう。ガイドラインに沿って背骨まで包丁を入れます。
(3)ひっくり返して、反対側も切る
背骨まで包丁が達したら背側を手前にし、同じように背骨まで包丁を入れて身と中骨を切り離します。
片身をおろしたら裏返し、反対の身は背→腹の順に包丁を入れて三枚におろしましょう。
中骨にコツコツとあたるように包丁を入れるのがうまく三枚におろすコツです。
(4)腹骨をすきとる
三枚におろした身から腹骨をすきとります。身を削ぎ取りすぎないように注意しながら包丁を入れ、骨だけを取るように切りましょう。腹骨をすいたら三枚おろしの完成です。
真鯵のおすすめの調理法(1)真鯵の胡麻和え
材料(2人分)
・真鯵(小) 3匹
・大葉 5枚
・小ネギ 20g
・白胡麻半ずり 10g
・胡麻油 小1
・醤油 小1
・砂糖 小1/2
作り方
(1)真鯵の下処理をする
真鯵を三枚におろし、中骨を抜きます。包丁の背を使い、皮を取り除きましょう。
(2)真鯵を1mmほどの細切りにする
皮を取り除いた真鯵を1mmほどの細切りにします。大きさをそろえるように切ると食感が均一になります。
(3)大葉を千切りに、小ネギを小口切りにする
大葉は茎を切りとり、極細の千切りに、小ネギも極薄の小口切りにします。時間に余裕があるときは切った大葉と小ネギをザルにあげ、3時間ほど干すと水っぽさがなくなり風味が上がります。
(4)全ての材料を混ぜ合わせ仕上げる
最初に半ずりの白胡麻と砂糖をよく混ぜます。胡麻と砂糖を混ぜる前に水分が加わると、混ざりにくくなるので注意しましょう。次に胡麻油、醤油、大葉、小ネギを入れ、よく混ぜます。全てよく混ざったら、食べる直前に切った真鯵を入れて和えましょう。真鯵と和え衣がよく混ざったら、真鯵の胡麻和えの完成です。
真鯵のおすすめの調理法(2)真鯵の干物
材料(2人分)
・真鯵 2尾
・水 500cc
・塩 35g
作り方
(1)真鯵の下処理をする
真鯵のウロコと内臓、エラを取り除き、流水で汚れを流します。汚れが取れたらキッチンペーパーで水気を拭き取っておきましょう。
(2)真鯵を腹開きにする
真鯵の腹側から包丁を入れ、腹開きにします。背側は皮1枚残すイメージで、切りすぎないように注意しましょう。
(3)腹開きにした真鯵を塩水に漬ける
バットに水500ccと塩35gを入れてよくかき混ぜ、塩分濃度7%の塩水を作ります。腹開きにした真鯵を塩水に入れ、50分待ちます。
(4)真鯵を冷蔵庫で干す
塩水に漬けた真鯵の水分を拭き取ります。バットに網を乗せて、上に水分を拭き取った真鯵を乗せます。真鯵を乗せたバットを冷蔵庫に入れ、2〜3日干したら真鯵の干物の完成です。冷蔵庫で干すと家が魚臭くならず、また冷蔵庫内も臭くなりません。真鯵の干物は冷凍庫でも保存が効くので便利です。
春の魚メバルのさばき方とおすすめの調理法
続いては、メバルのさばき方とおすすめの調理方法をご紹介します。
メバルのさばき方
メバルのさばき方ですが、基本的には先ほど紹介した鯵のさばき方と同じ手順になります。ただ、メバルの場合は、ゼイゴの処理は必要ありません。
さばき方の手順
(1)うろこをとる
(2)頭を落とす
(3)内臓を取り出す
(4) 水で血を流し、水気を拭き取る
メバルのおすすめの調理法「酒蒸し」
材料(2人分)
・メバル 2匹
・昆布 5センチ角1枚
・酒 大2
・ポン酢 適量
・塩 少々
作り方
(1)メバルのウロコ、内臓、エラを取り除き、流水で洗う。
(2)メバルをバットに入れて両面に塩をふり、30分おく。
(3)30分後、80度の湯に入れて霜降りをして、冷水に入れて汚れを落とす。
(4)蒸し器のお皿に昆布を敷き、下処理したメバルを入れる。
(5)メバルの上から酒を振りかけ、ラップをする
(6)15分間蒸す。
身をほぐし、ポン酢をつけて食べるのがおすすめです。
釣りを楽しめる住まい
釣り人は釣りの道具にこだわるのと同様に、住まいにもこだわりたくなるものです。私もその一人で、釣りを楽しみやすい環境かどうかを考えて住まい選びをしました。
どのような点をチェックすれば釣りや釣った魚の調理を楽しめるのか、住まいの条件についてご紹介していきます。
キッチン設備が充実している住まい
釣った魚をさばいて食べたいという場合は、自宅のキッチン設備が充実しているとよいでしょう。特に、水を使う下処理が多くなるためシンクは広い方が使いやすいです。
また、真鯛やブリのような大型の魚を調理する場合は、は大きなまな板を置ける作業スペースも必要になります。魚焼きグリルがついたキッチンであれば、焼き魚も美味しく調理できるでしょう。
釣具を収納できる住まい
釣具には細々とした小物から長い竿までさまざまなアイテムがあります。釣具の収納には専用の竿置きや収納ケースを設置するスペースが確保できる広さが必要です。
家の間取りに余裕がある場合は一部屋を釣り部屋として使用する方法もおすすめ。または、納戸やロフトのある住まいであれば、一角を釣り具収納として活用できるでしょう。
釣り場までのアクセスがよい住まい
釣りに頻繁に行きたい人にとって、住まいから釣り場までのアクセスも重要です。もちろん釣り場の近くに住むのがベストではありますが、難しい場合は自宅周辺のアクセスのよさを基準に考えるとよいでしょう。
例えば、電車で釣りに行くことが多い方は、乗り換えなくても釣り場まで行ける沿線の駅周辺に住むのがおすすめです。乗り換えがないと電車の時間を細かく調べなくてもよく、気軽に釣りに行くことができます。
車で釣りに行くことが多い人は高速の出入り口に近い家に住むのがおすすめです。一般道を走る距離を少しでも短くするとより時間短縮になり、地方への遠征も行きやすくなります。また車を利用する場合は、駐車場付きの住まいだと便利ですね。
春の釣りを楽しもう
人生をより豊かにしてくれる趣味である釣り。特に春は美味しい魚が釣れる魅力のある季節で、多くの釣り人が待ち望む季節です。春に釣れる魚の中でもメバル、真鯛、真鯵は釣って楽しく、食べて美味しい魅力高い魚。初心者でも比較的釣りやすい魚なので、ぜひ狙ってみてくださいね。
住まいを釣り中心に選ぶと、より釣りに行きやすくなり、かつ美味しい魚料理を頻繁に味わえます。魚をさばきやすいキッチン設備が充実した住まいで釣った魚を美味しく調理してみましょう。