九州圏版

「借りて住みたい街」ランキング　総評

「博多」が6年連続1位で2冠達成！ 西鉄天神大牟田線の沿線が上位を占める

九州圏（福岡県）の「借りて住みたい街」ランキングは、「博多」が6年連続の1位を獲得しました。しかも2位とは大きく得点が開いており、「買って住みたい街」と併せて2冠も達成する圧倒的な人気と賃貸ニーズを誇っています。2位は2年連続で「西鉄平尾」、3位と4位は西鉄天神大牟田線で隣り合う「大橋」と「高宮」が前回から入れ替えとなりました。

1位の「博多」は、事業集積性と交通利便性が福岡県内にとどまらず、大阪以西の西日本でも群を抜いて高いため、今後も「借りて住みたい街」の1位の座を譲ることはほぼないといえるほど2位との得点差が開いています。「博多」は鹿児島本線ほかJR各線、地下鉄空港線に加え、山陽新幹線や九州新幹線の起点・終点でもあり、バスも遠距離・近距離を問わず多数乗り入れていて交通利便性に優れています。また、九州に本支社を置く企業の多くは「博多」周辺にオフィスを設置しており、周辺に就業者向けの賃貸物件が常に開発され続けていることも6年を通じて変わっていません。

「博多」は、これまで駅周辺がオフィスやテナントビル、ホテルなどが立ち並ぶ大規模商業地で、駅近くに分譲マンション開発の計画もありませんでした。しかし、2022年には相次いでマンション開発が始まり、「買って住みたい街」でも1位に急上昇したことで、九州圏での賃貸と購入の2冠を達成しました。福岡空港に近い「博多」周辺は、航空法によって建物の高さが60m前後に規制されているため、タワーマンションの建設はハードルが高いですが、20階以下程度のマンションであれば開発可能です。

このように、福岡県内での賃貸ニーズは圧倒的に「博多」に集中していますが、2～4位を占める「西鉄平尾」「大橋」「高宮」、8位の「井尻」、12位の「薬院」、18位の「雑餉隈（ざっしょのくま）」、30位の「西鉄久留米」など西鉄天神大牟田線の各駅も上位に多数ランクインしています。これは福岡市南区から大牟田方面へ南下するエリアの賃料水準が福岡市中心部よりも圧倒的に値ごろ感があること、バスでも福岡市中心部にダイレクトアクセス可能なことなど、コストパフォーマンスおよびタイムパフォーマンスに優れていることによるものです。

また、地下鉄空港線の各駅も、1位の「博多」を筆頭に、5位の「東比恵」、7位の「姪浜」、10位「西新」、15位「大濠公園」、16位「赤坂」など多数が上位にランクインしており、地下鉄空港線沿線は多くの賃貸ユーザーから支持されていることが明らかです。また、2023年3月に予定通り地下鉄七隈線の「博多」乗り入れが開始されると、交通利便性のさらなる向上が期待されるため、今後「渡辺通」や「六本松」「福大前」なども地下鉄空港線の各駅同様にランキング上位に登場する可能性が高まります。 なお、前回10位にランクされた「竹下」は、大規模商業施設である「ららぽーと福岡」「キッザニア」の開業効果で駅周辺の関連開発に注目が集まっており、今回も11位と健闘しています。

コロナの影響や物価高騰などを背景とする首都圏「借りて住みたい街」で、その傾向が明らかな“意向の郊外化”については、九州圏（福岡県）ではランキングのとおり福岡市中心部に賃貸ニーズがほぼ集中しており、郊外化が発生する兆しはうかがえませんでした。賃貸ニーズは今後も「博多」を中心とした地下鉄空港線沿線および各地下鉄線、または「西鉄平尾」「大橋」「高宮」など西鉄天神大牟田線沿線に集中し続ける可能性が高いといえます。