九州圏版

「買って住みたい街」ランキング　総評

「藤崎」が前回2位から初の1位に　ららぽーと効果で「竹下」が3位に急上昇

九州圏（福岡県）の「買って住みたい街」ランキングは、前回2位だった地下鉄空港線「藤崎」が1位となりました。2020年から9位→2位と順位を上げて今回初めてのトップです。地下鉄空港線の沿線ではマンション開発用地が全体的に不足していることもあって福岡市中心部からやや離れた西側一帯の開発が活性化し、「藤崎」から5位の「西新」に至るエリアでの開発が継続していることによって1位を獲得したものと考えられます。また、人気住宅地の百道（ももち）の最寄り駅でもあり、百道エリアの人気に加えて2022年には総戸数200戸超の新規分譲も開始される予定で、開発余力も相応にあることから今後も引き続き関心が集まる可能性があります。

前回1位の「唐人町」は14位に後退し、2位には西鉄天神大牟田線「西鉄平尾」が3位から浮上。同駅は2020年の1位で、前回3位、今回2位とベスト3を外さない根強い人気を誇ります。福岡市中心部の「西鉄福岡（天神）」まで2駅と交通至便ながら、隣接する浄水エリアと並ぶ閑静な住宅地で、前回に続いて4位の「大濠公園」と並ぶ福岡市内屈指の高級住宅地とされています。

3位は「竹下」で、前回の52位から一気にベスト3に入りました。JR鹿児島本線の「博多」の隣駅ながらこれまでほとんど開発がなかった同駅ですが、2022年春に福岡市の中央卸売市場跡地に大規模商業施設「ららぽーと福岡」「キッザニア」が開業することが決まっており、この開業に合わせて周辺エリアでマンション開発が始まっていることが順位急上昇の要因です。

以下、5位には「西新」（前回7位）、6位「高宮」（同6位）、7位「薬院大通」（同11位）、8位「六本松」（同9位）、9位「呉服町」（同14位）、10位「姪浜」（同8位）と続きます。前回同様、ベスト10には地下鉄空港線の駅が4駅ランクインし、「福岡空港」（74位）から九州最大の事業集積地である「博多」（15位）および商業の中心である「天神」（32位）を経由し、高級住宅地の「大濠公園」や「唐人町」を通って新興住宅地として人気が高まっている「姪浜」から唐津方面に延伸するという福岡市内の主要エリアを結ぶ地下鉄線の人気の高さをうかがうことができます。これは、居住に関する利便性だけでなく、将来の資産性も含めて検討するなら地下鉄空港線の駅を最寄りとするエリアに住みたいというニーズが顕在化しているものと考えられます。コロナ禍においても福岡市中心部への一極集中という状況には変化がなく、首都圏のようにコロナ感染拡大の影響による居住ニーズの変化は認められませんでした。

11位以降にも地下鉄空港線の駅ほか、福岡市中心部に位置している駅で占められており、福岡県内での購入希望者のニーズは、ほぼ福岡市内に集中している状況です。エリアがコンパクトにまとまっていることで職住エリアが近接もしくは混在していて、短時間で効率的な往来が可能な福岡市の特性をよく表しています。