中部圏版

「買って住みたい街」ランキング　総評

中部圏でも買って住みたい街が都心回帰　利便性優先の合理的選択が増加傾向

中部圏「買って住みたい街」ランキングは、前回49位から急激に順位を上げた「名古屋」が1位になりました。「名古屋」周辺は事業集積地でこれまで分譲住宅はほとんど建設されてきませんでしたが、2020年には総戸数が500戸前後のマンションが2物件分譲されたことで注目が集まり、一気に順位を押し上げました。前回1位の「久屋大通」（今回10位）も同様のケースでトップとなっており、話題性のある新築分譲物件の開発の有無が引き続きランキングの結果に大きく影響を与えています。

2位は前回と同じく「伏見」で、前々回は1位で3年続けて高い人気を維持しています。伏見から丸の内～栄周辺にかけてはコンスタントに新築マンション分譲が継続しており、大型物件やタワーマンションもあることから注目度が高いまま推移しているものと考えられます。

3位には前回4位の「茶屋ヶ坂」が1ランク上昇。トップ3は名古屋市中心部と東側の人気住宅地が占めました。名古屋市内ではこれまで東側に位置する「茶屋ヶ坂」「本山」「八事」「覚王山」などが良好な住宅地として知られており、「名古屋」周辺は専ら商業地として開発されて理想的な“職住近接”を構成していました。しかし近年では「名古屋」周辺でのマンション開発が活性化し、コロナ禍の影響を受けることなく“職住同一”＝名古屋市中心部への都心回帰の現象が継続しています。5位の「丸の内」、10位の「久屋大通」、14位の「高岳」も同様に名古屋市中心部の駅であり、これらのエリアでのマンション開発の有無によって順位が入れ替わる状況が続いています。

対照的に、従来の人気住宅地である名古屋市東側エリアは「茶屋ヶ坂」が3位に浮上したものの、「藤が丘」が18位、「本山」21位、「星ヶ丘」22位、「自由が丘」24位、「八事」も27位とやや順位が低迷しています。名古屋市東側エリアの住宅地は依然根強い人気を維持していますが、年々名古屋市中心部にオフィスとマンションが集中する傾向が強まっており、購入ユーザーの名古屋市東川エリアへの関心はやや薄らぎつつあるようです。

さらに、前回6位の「岐阜」が4位に上昇し、「名鉄岐阜」も引き続き8位と健闘しています。「岐阜」は10位、6位、4位と順調に順位を上げており、トップ3入り目前まで人気を高めています。「名古屋」まで快速で20分とアクセスが良いベッドタウンとしての“岐阜人気”はここ数年で定着したと考えてよいでしょう。「豊橋」、「岡崎」もそれぞれ9位と10位にランクインしており、16位の「刈谷市」や25位の「豊田市」などと同じく名古屋市以遠での落ち着いた住宅環境を求める購入希望者からの支持もあって、安定した順位を保っています。