注文住宅を建てるうえでは、さまざまな条件を考慮してプランニングを行うことが大切です。プランニングによって、同じ予算でも完成する建物には大きな差が生まれるため、納得がいくまでこだわることが重要です。

今回は注文住宅におけるプランニングの進め方やポイント、間取りを考える際の注意点などを詳しく見ていきましょう。
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注文住宅におけるプランニングとは、間取りや外観、設備、配置計画、外構などの住宅の概要計画を立てるプロセスを指します。注文住宅は一から家づくりを行っていくものであるため、プランニング次第で多様な可能性が広がります。

 

おおまかなプランは依頼者が中心となって固めていきますが、安全性や法令に関するポイントなどを考えるには、どうしても専門的な視点が必要です。そこで、ハウスメーカーには建築の専門家であるプランナーが在籍しており、依頼者と一緒にプランニングを進めてくれる仕組みとなっています。

 

プランナーの役割は、施主の要望に応じて間取りやデザイン、住宅設備などを取り入れて図面を作成したり、アドバイスを行ったりすることです。家づくりに関する疑問や悩みがあれば、相談相手にもなってもらえるため、プランナーとの相性も重要な観点といえるでしょう。

 

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ここでは、プランニングの基本的な進め方を4つのステップに分けて見ていきましょう。

まずは敷地の形状、状態や周辺状況を調べ、「どのような制約が存在しているのか」を確認する必要があります。注文住宅は自由に要望をかなえられるのが魅力ですが、法令による規制などはきちんと守らなければなりません。

 

そこで、まずは敷地にかかる法規制について、容積率や建ぺい率、高さ制限、隣地との境界などを細かくチェックすることが重要です。これらは、「どのくらいの広さ・高さまで建物を建てられるのか」を決める重要項目なので、プランニングを始める前に必ず調べておきましょう。

 

また、地盤の強度と電気や水道などの配管の有無も確かめる必要があります。不具合が生じている場合は、地盤改良や配管工事などのプロセスが増えるため、予算に大きな影響が生まれます。

 

周辺状況については、「隣の家との関係性」「接面した道路との関係性」「交通量」「騒音」「日当たり」などを確認することが大切です。これらは、玄関の向きやリビングの方角、窓の設置箇所などを決めるうえで、重要な判断材料となります。

敷地の制約や条件を把握したら、家づくりに関する希望条件の整理を進めていきます。住まいの条件については、モデルハウスに足を運んだり施工事例を集めたりしながら、お手本となるプランを探してみるのが近道です。

また、現在住んでいる家の気に入っているポイントと改善したいポイントを洗い出してみるのもよいでしょう。

 

ただし、注文住宅では自由度が高い分、すべての要望をかなえようとすると、予算オーバーになってしまう可能性が高くなります。

後から減額調整(予算オーバーした場合に費用を削るプロセス)を行う可能性に備えて、希望条件の優先順位を決めておくとよいでしょう。

敷地調査と要望の整理が済んだら、簡単な設計図を作成してもらい、概算見積もりを出してもらいます。設計図の種類としては、敷地に対して建物がどのように配置されるかを示した「配置図」、建物の外観を東西南北から見た様子を示した「立面図」、間取りを示した「平面図」の3つが挙げられます。

 

この段階の設計図は、依頼者がおおまかな間取りや配置関係を確かめるためにつくられるものであるため、それほど詳細には書かれていません。分からないポイントがあれば、遠慮せずにプランナーや担当者に質問をするとよいでしょう。

基本設計が完了し、プランや予算に問題がないことが明らかになったら、本格的な実施設計に移ります。実施設計は現場の施工をスムーズに行うことを目的としたプロセスであり、基本設計を基に詳細部分までをアウトプットします。

 

実施設計の設計図は専門的な内容になるため、すべてを理解するのは難しい面もありますが、念のために基本設計と外観や間取りが大きく変わっていないかを確かめておくとよいでしょう。

満足できるプランニングを行うためには、要望を整理する際のコツを押さえておく必要があります。的確にポイントを押さえておけば、プランナーや担当者に要望を伝えるうえでも話し合いがスムーズに進みやすくなります。

 

ここでは、具体的なコツを5つに分けて見ていきましょう。

適切な広さや間取りを決めるためには、将来的な家族構成の変化を想定する必要があります。子どもの誕生や成長はもちろん、独立してからの生活を考え、老後を迎えてからも十分に管理できるかどうかを検討することが大切です。

将来的に住み替えを行うかどうかによっても、住宅のプランニングは大きく変わってきます。たとえば、老後を迎える前に建て替えや住み替えを行うのであれば、建築費の予算はなるべく抑える必要があります。

 

あるいは、売却がしやすいように過度に特殊なこだわりを盛り込むのは避け、誰でも快適に使えるような間取り・設備を考えるのも一つの方法です。

先にも述べたように、注文住宅では見積もり段階で予算オーバーすることも珍しくないため、あらかじめ希望条件の優先順位を決めておくのも重要です。間取りやデザイン、設備などに関するこだわりを一つずつ洗い出し、3~5段階で優先度をジャッジしておくとよいでしょう。

住まいの条件のなかでも、特に費用への影響が大きな項目については、早い段階で予算とのバランスを考慮する必要があります。たとえば、鉄骨造や鉄筋コンクリート造は、木造と比べて坪単価が大きく跳ね上がる傾向にあるため、予算によってはそもそも実現が難しいケースもあるでしょう。

 

この場合は、本格的なプランニングを始める前に予算とのバランスを見て、実現可能かどうかを判断する方が合理的です。

設置したい家具や家電がある場合は、あらかじめサイズとレイアウトを考えておくのもポイントです。特にリビングやキッチン回りは家具・家電が多くなるため、希望どおりの配置が可能かどうかを考えながら間取りを決めていく必要があります。

 

また、収納については、将来的な家族構成を踏まえて必要なスペースを検討することが大切です。基本的には収納スペースが広い・大きいほど使い勝手は向上しますが、その分だけリビングや居室のスペースを圧迫してしまいます。

 

必要な量をある程度まで把握しておくことで、家全体のスペースをより有効に振り分けやすくなるでしょう。

 

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注文住宅のプランニングではデザインや設備にこだわるだけでなく、実際に入居した後の暮らしやすさを考えて、効率的な設計を行うことが大切です。快適な生活空間を実現するうえで、特に重視しておきたいのが次のポイントです。

ポイント

  • 生活動線
  • 収納スペース
  • 採光や風通し
  • コンセントの位置
  • 音の問題
  • プライバシー性

■生活動線

家族が動くルートや家事をする際に通るルート、来客があったときのルートなどを想定し、効率的な生活動線を実現することが大切です。ある程度の間取りが固まったら、実際に生活する様子をイメージして、家族の動きを書き込んでみるのもよいでしょう。

 

■収納スペース

収納スペースについては、前述したように広さや大きさが重要なポイントとなりますが、意外に見落としがちな点として「扉の種類と開閉方向」が挙げられます。扉のタイプによって、開けるのに必要なスペースが変わってくるため、事前にプランナーや担当者の意見を聞いてみるのがおすすめです。

 

■採光や風通し

採光・風通しは、快適な生活空間を保つうえで欠かせない要素です。基本的には窓の方角や位置、大きさが重要なポイントとなりますが、周辺環境によっても最適な配置は異なります。

 

■コンセントの位置

家電を設置するうえでは、コンセントの位置や数にも注意しておきたいところです。先述したようにキッチン、リビングは特に家電が多くなるため、家具・家電のレイアウトとコンセントの配置をセットで考えてみましょう。

 

■音の問題

周辺の交通量や環境によって、騒音が気になる可能性がある場合は、間取りの配置にも工夫が必要です。たとえば、目の前の道路の交通量が多い場合は、寝室は通りから離れた方角に配置するのがセオリーです。

 

■プライバシー性

隣家との距離が近い場合や接面道路の人通りが多い場合は、室内のプライバシー性も意識しておく必要があります。「外構に目隠しフェンスを建てる」「人通りがない方角に洗濯物干し場を設ける」など、周囲からの視線も意識した間取り配置が重要です。

 

このように、家づくりでは意識すべきポイントが数多くあるため、プランナーと相談しながら、気になる点はそのままにせず、一つひとつ解消していくことが大切となります。家づくりについて分からない点があり、まだハウスメーカーなどに依頼ができていない場合は、LIFULL HOME’Sの「住まいの窓口」を利用してみるのもおすすめです。

 

住まいの窓口では、ハウジングアドバイザーに、資金計画から住まいの条件整理、ハウスメーカー・工務店選びまで幅広く無料で相談できます。理想の注文住宅を実現させるためにも、ぜひご利用を検討してみてください。

 

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最後に、今回の内容をQ&Aで確認しておきましょう。

Q:注文住宅のプランニングの手順は?

A:まずは敷地と周辺状況の確認をし、そこから条件の整理をしていきます。おおまかな要望が固まったら、ハウスメーカーの担当者やプランナーと一緒に基本設計を行い、その内容に問題がなければ実施設計へと進んでいきます。

Q:家づくりで納得のいくプランニングをするコツは?

A:将来的な家族構成を踏まえ、必要な広さや部屋数を検討しましょう。また、希望条件を洗い出したら、各項目の優先順位をつけておくことも大切です。希望条件については、予算とのバランスも踏まえながら丁寧に考えていく必要があります。

 

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