注文住宅を建てようと考えている人の中には、つなぎ融資の利用を検討している人も多いでしょう。「つなぎ融資はもったいない」という声を聞くこともありますが、なぜなのでしょうか。

この記事では、つなぎ融資の概要やメリット・デメリットのほか、利用方法や利用する際の注意点を解説します。「もったいない」といわれる理由についても解説していますので、参考にしてみてください。

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つなぎ融資とは、そもそもどんな融資なのでしょうか? まずは、その概要を見ていきましょう。

 

「つなぎ融資」とは、住宅ローンの融資が行われるまでの期間、必要な資金を一時的に借りられる融資のことです。

 

住宅ローンの融資は、家の引き渡しが完了してから実行されます。しかし、注文住宅の建築には、一般的に土地購入の手付金や工事の手付金、着手金、上棟時に支払う中間金などの支払いがその都度必要です。

 

そうした代金の支払いが難しいときに、つなぎとしてお金を借り、住宅ローンの融資が実行されたあとに返済できる仕組みをつなぎ融資といいます。

 

つなぎ融資は、自己資金が少なく、土地購入や工事の手付金などが工面できない場合に必要になります。

 

注文住宅の場合、住宅ローン融資が実行されるまでの間にかかる費用の目安は、工事費全体の約7割です。単純計算すると、工事費が3,000万円の場合は、2,100万円ほどを先に支払うことになります。

 

このように注文住宅では、工事中にも多額の費用がかかるため、自己資金が少ない場合、つなぎ融資が必要になるケースも珍しくありません。

 

一般的に、つなぎ融資を利用できる期間は最長1年程度です。担保は必要ありませんが、住宅ローンより金利が高めに設定されています。

 

借入期間が短いため、トータルの利息はそれほど高くなりませんが、家の完成が遅れた場合は、その分利息が増えてしまいます。また、別途手数料などもかかるため、利用については慎重に検討することが大切です。

 

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「つなぎ融資はもったいない」という声もあるようですが、具体的にはどのような点がもったいないといわれているのでしょうか? つなぎ融資のメリット・デメリットをそれぞれ詳しく見ていきましょう。

 

つなぎ融資の一番のメリットは、自己資金が少なくても、注文住宅を建てられることです。

 

注文住宅を建てる際は、住宅ローンの融資が実行される前に工事の手付金や着手金などを支払う必要がありますが、つなぎ融資を利用すれば、そうした支払いが容易になります。

 

利用する際に担保が必要ないのも、つなぎ融資のメリットのひとつです。

 

また、家を持っている場合、家を売却して費用を賄おうと考えている人もいるかもしれません。その場合も、つなぎ融資を受ければ、その必要がなくなるので、都合のいいタイミングで売却できます。

 

新居が完成するまで前の家に住むこともできるので、仮住まいを借りる費用や引越し費用を抑えられるのも利点です。

 

つなぎ融資のデメリットとしては、無担保融資のため、住宅ローンよりも金利が割高に設定されている点が挙げられます。

 

2024年12月時点では、住宅ローンの金利(10年固定・フラット35)は年率1~1.9%程度に設定されていますが、つなぎ融資の金利の相場は2~4%程度です。

 

加えて、つなぎ融資は住宅ローン控除の対象外になっています。年末時点でつなぎ融資の残高が残っていても、控除を受けることができません。住宅ローンとは別に手数料などの諸費用もかかります。

 

こうした理由から「つなぎ融資はもったいない」と感じる人が多いようです。こうしたデメリットが気になる場合は、ある程度自己資金をためておいた方がいいかもしれません。

 

注文住宅を建てる際につなぎ融資を利用するには、どのような手続きが必要なのでしょうか。ここでは、つなぎ融資に申し込むタイミングと申し込み方法について解説します。

 

一般的に、つなぎ融資は住宅ローンとセットになっているため、住宅ローンの審査に通らなければ受けられません。そのため、つなぎ融資の申し込みは、住宅ローンの申し込みと一緒に、同じ金融機関で行うのが一般的です。

 

つなぎ融資の審査は、住宅ローンの審査と同様に「事前審査」と「本審査」の2段階に分かれており、基本的には住宅ローンの審査と同時に進められます。

 

具体的な手順としては、まず建築を依頼する会社を決め、費用の見積もりをもらったら、住宅ローンとつなぎ融資の事前審査を金融機関に申し込みます。事前審査に通ったら、工事請負契約を結び、そのコピーを提出することで本審査に申し込みます。

 

つなぎ融資が実行されるタイミングは、事前審査に通った段階、本審査に通った段階など、金融機関ごとに異なるため、事前に確認するようにしましょう。

 

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注文住宅の支払いにおいて力強い味方になってくれるつなぎ融資ですが、利用する際はいくつか考慮すべきポイントがあります。最後に、つなぎ融資を利用する際の注意点を整理しておきましょう。

 

前述したように、つなぎ融資は利息が高いのが特徴です。工事期間が長引くと借入期間が延びてしまい、その分、利息も膨らんでしまいます。

 

利息を支払うタイミングは、金融機関によって異なるため注意が必要です。つなぎ融資を受けている間に支払う場合もあれば、住宅ローンの融資実行時に一括で支払う場合もあります。

 

前者の場合、利息が膨らめば、それだけ家計が厳しくなることもあるでしょう。そのため、工期が延びた場合のことや利息の支払いのタイミングを考慮したうえで利用することが大切です。

 

つなぎ融資は無担保の短期融資です。そのため、多くの金融機関は、融資の金額や回数、期間などに上限を設けています。

 

金額の上限の定め方については、合計の限度額や1回あたりの限度額、項目ごとの限度額など、金融機関によってさまざまです。融資の回数も、金融機関によって異なりますが、最大3回までが目安になります。

 

条件を確認しないまま契約すると、資金が不足して支払いに困る場合もあるため、事前の確認が必要です。

 

つなぎ融資は住宅ローンとセットで利用するのが一般的です。しかし、すべての金融機関がつなぎ融資を取り扱っているわけではありません。

 

つなぎ融資の利用を検討している場合は、住宅ローンを組もうとしている金融機関でつなぎ融資を受けられるか確認するようにしましょう。

 

つなぎ融資のみ別の金融機関から受けられる場合もありますが、同じ金融機関から融資を受けるケースが一般的です。つなぎ融資の金利や条件なども踏まえて、どこの金融機関から融資を受けるのか検討するようにしましょう。

 

前述したように、つなぎ融資を利用するには、住宅ローンと同様に諸費用がかかります。金融機関によって具体的な金額は異なりますが、10万~20万円程度かかるのが一般的です。

 

土地代や建築費用のみを考慮していると、想像以上に費用がかさんでしまう可能性もあります。諸費用などの細かい費用も考慮しながら、資金計画を立てるようにしましょう。

 

住宅ローン控除は、住宅ローンを利用して住まいを購入した場合、所得税や住民税の控除が受けられる減税制度です。つなぎ融資は住宅取得のための融資商品ではないため、住宅ローンの控除対象となりません。

 

また、住宅ローン控除は、借入期間10年以上で適用されるため、借入期間が通常1年間であるつなぎ融資は控除の対象外になります。

 

住宅ローンについては省エネ性能などの基準を満たせば、控除を受けられるので、控除の対象から外れるのは、あくまでつなぎ融資の利用分についてのみです。

つなぎ融資と住宅ローンの違いは?

住宅ローンは、住宅の引き渡しの際に融資が実行されます。つなぎ融資は、住宅ローンの融資が実行されるまで、一時的につなぎとして融資を受けられる制度です。

つなぎ融資のメリットには何がある?

つなぎ融資の一番のメリットは、自己資金が少なくても、注文住宅を建てられることです。また、持ち家などがある場合は、自分のタイミングで売却しやすくなるという利点もあります。

つなぎ融資を利用するタイミングは?

つなぎ融資は、工事費用の見積もり後、住宅ローンの仮審査に申し込む際に一緒に行います。

つなぎ融資を利用するときに気をつけることは?

つなぎ融資は金利が高く、工事期間が長引いた場合は利息負担が増えることもあります。また、借入金額や回数に上限があったり、金融機関によってはそもそも取り扱っていなかったりするので、事前の確認が必要です。

 

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