ローコスト住宅とは低予算で建てられる住宅のこと。木造なら35坪程度で1,000万円台の住宅を指すことが多いようです。では、ローコスト住宅の価格帯で、建築費が高いイメージのあるRC造は建てられるのでしょうか。RC造のローコスト住宅についての概要やメリット、デメリットなどを解説します。
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ローコスト住宅をRC造で建てることは可能?

鉄筋コンクリート(Reinforced Concrete)でつくられるRC住宅は、堅牢でデザイン性が高いなど魅力が多いものの、建築費が高いことで知られています。そのRC住宅も、実は工夫次第でコストを抑えて建てることができます。建築費用を抑えるためにどのような工夫をしているのかはメーカーによって異なりますが、ここでは主なものをご紹介しましょう。
資材の仕入れコストを抑える
大量発注などにより、資材の質は落とさず、仕入れコストを安くしています。大量に発注するためには、住宅のデザインをシンプルにして資材のグレードを統一するといった工夫が行われます。また、自社工場や独自の流通ルートを確保しているメーカーも珍しくありません。大量発注をベースにすれば、発注ロスの削減にもつなげられるので、さらなるコストカットが期待できるのです。
工期を短くし、人件費を抑える
一般的なRC住宅は、現場でコンクリートを流し込む工法が採用されています。一方、ローコスト住宅は、工場で製造された鉄筋コンクリートパネルを現場で組み立てる工法が主流です。これにより工期を圧倒的に短縮でき、場合によっては工期が一般的なRC住宅の3分の1程度になるので、人件費が大幅にカットできるのです。現場での作業がマニュアル化しやすく、比較的少人数で済むことも人件費を抑えることにつながります。
設計費をカットする
デザイン、間取りなどをある程度決めておく「規格型」にすることで、設計費を大幅にカットできます。凹凸の少ないシンプルな設計やデザインなら、現場での作業効率もよくなり、全体のコストをさらに抑えられます。
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コストを抑えたRC住宅にかかる費用の目安は?

コストを抑えたRC住宅の建築費用の目安について、一般的なRC住宅と比較してみましょう。
一般的なRC住宅との比較
一般的なRC住宅の坪単価は100万円台からといわれています。この表では、「工場生産のコンクリートを使うかどうか」をローコスト住宅の条件として表にしました。
※この記事では通常のRC住宅よりも安価な住宅を便宜的に「ローコストRC住宅」と呼びます。
RC住宅の建築コスト比較(坪単価)
坪単価目安 | 工法など | 備考 | |
|---|---|---|---|
一般的なRC住宅 | 100万円台~ | 構造体は現場でコンクリートを流し込んでつくる | コンクリートの品質、現場での組み立て技術、保証サービスなどは各社で異なる |
ローコストRC住宅 | 60万~100万円台 | 構造体は工場生産によるコンクリートパネルを用い、現場で組み立てる |
※坪単価の幅はいずれも地域による差を含みます
坪単価60万円であれば、35坪で2,000万円台のRC住宅を実現できます。ただし、ひと口に「工場生産の規格品」といっても、出来上がるコンクリートパネルの品質や現場での組み立て技術などはメーカーによってさまざまです。坪単価にはこうした違いや地域差などが影響しているので、メーカー選びの際には安さのみならず、内容をよく吟味することが大切です。
木造住宅との比較
木造を含むローコスト住宅の坪単価目安は30万~50万円。これがRC造となると上表のとおり、坪単価は60万円台からとやや高めなので、厳密にはローコスト住宅と言えないかもしれません。
ただし、法定耐用年数に注目するとRC住宅は47年で、木造住宅は22年とされています。建築費(イニシャルコスト)と維持費(ランニングコスト)で計算すれば、RC住宅は決して割高ではないといえるでしょう。法定耐用年数は建物の寿命を直接的に示すわけではありませんが、参考にしてみてはいかがでしょうか。
ローコストRC住宅のメリットは?

ローコストRC住宅で得られるメリットとしては、次のようなことが挙げられます。
通常のRC住宅よりも価格を抑えながら堅牢な住宅が建てられる
RC住宅は鉄筋コンクリートの壁、天井、床で構成され、地震に強い住宅です。これはローコストRC住宅であっても同様で、木造住宅に比べると高い耐震性が期待できます。
冷暖房費が節約できる
RC住宅は断熱性が高いことも魅力の一つです。空調で冷やしたり暖めたりした空気を外に逃がしにくいので、木造住宅よりも冷暖房費が節約できたという実績も報告されています。
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ローコストRC住宅のデメリットは?

ローコストRC住宅におけるデメリットについてもチェックしておきましょう。
間取りの自由度が低い
本来なら、RC造の住宅は強度の高さなどから、大空間や円形などさまざまなデザインが実現できます。しかし、ローコストのRC住宅となるとデザインや間取りは「規格型」のプランから選ぶことがほとんどです。「間取りは自由に考えたい」という場合は、ローコストRC住宅は向いていないかもしれません。
一般的なRC住宅よりも遮音・防音性能が低い
ローコストのRC住宅では、建設費用を抑えるため工法などにさまざまな工夫が施されます。その一つとして現場でパネルを組み合わせる工法が取られることがありますが、現場でコンクリートを流し込む工法で建てたRC住宅に比べると、遮音性や防音性が低くなることがあります。
そうはいっても、鉄骨造や木造に比べれば遮音性は高いため、求める性能によっては気にならない場合もあるでしょう。
ローコスト住宅でも、RC住宅の堅牢さなどは手に入る

一般的なRC住宅にはさまざまなメリットがあります。そのメリットのいくつかを諦めることで、ローコストでRC住宅を手に入れることができます。たとえば、「費用を抑えて、地震に強く、断熱性の高い家にしたい。デザインや間取りにはあまりこだわらない」と考えているなら、ローコストRC住宅は検討する価値が高いでしょう。ただし、工法やコンクリートの品質、アフターサービスなどはメーカーによって内容に大きな差があります。発注先をしっかりと見極めることが重要でしょう。
カタログをテーマから探す ローコスト住宅の住宅カタログを探す 家づくりについて無料で相談する記事のおさらい
RC住宅を低価格で建てられる?
通常のRC造の住宅よりもローコストな住宅を実現させることは可能です。そのためにローコスト住宅を手がけるハウスメーカー各社がさまざまな工夫を行っています。詳しくは「ローコスト住宅をRC造で建てることは可能?」をご覧ください。
ローコストRC住宅の建築費はどのくらい?
RC造の坪単価目安は100万円からといわれますが、ローコストRC住宅では坪単価60万~100万円台が相場です。詳しくは「コストを抑えたRC住宅にかかる費用の目安は?」をご覧ください。
ローコストRC住宅の魅力とは?
費用を抑えながら、RC住宅の高い耐震性、気密性などのメリットを享受できます。詳しくは「ローコストRC住宅のメリットは?」をご覧ください。
ローコストRC住宅の注意点は?
RC住宅は本来、自由度の高いデザイン性が魅力です。しかし、ローコストRC住宅となると間取りなどの制限が多くなります。詳しくは「ローコストRC住宅のデメリットは?」をご覧ください。
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更新日: / 公開日:2024.01.11










