ローコスト住宅ではデザインの優先順位が下がるケースが多く、こだわりの外観を実現するのは難しいと考える人もいるでしょう。しかし、ポイントを押さえておけば、ローコスト住宅でも外観にこだわった家づくりは可能です。

今回は、ローコスト住宅で外観にこだわるコツや、おしゃれに仕上げるためのポイントなどを解説します。

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ローコスト住宅とは、建材や設備の一括発注、設備や仕様の規格化、設計・施工の合理化など、あらゆる面でコストを抑える工夫を施し、リーズナブルな価格で建てられる家のことです。

 

ただ、近年は資源価格の高騰や円安の影響で建築コストが上昇しており、ローコスト住宅といえども価格は上昇傾向にあります。

 

コスト削減を重視するため、デザインの優先度が下がりやすいローコスト住宅ですが、コツを押さえれば外観にこだわることが可能です。

 

ローコスト住宅で理想の外観を実現させるコツについて見ていきましょう。

 

1つ目のコツは、施工を依頼する会社にあらかじめ予算を開示しておくことです。

 

最初から予算が限られている旨を伝えておけば、予算の範囲内でよりよい住まいづくりを提案してくれます。内装や設備にコストをかけすぎて外装にこだわれなくなる、といった事態を防げます。

 

2つ目のコツは、こだわるポイントを絞ることです。ローコスト住宅は限られた予算で建てるため、こだわりをすべてかなえるのは難しいものです。

 

外観を構成するものとしては外壁、門柱・門塀、門扉、カーポート、照明、植栽などがあり、すべてにこだわろうとすると予算オーバーになる可能性があります。

 

優先度の高いこだわりポイントに注力することで、ローコスト住宅でも自分たちらしい外観にできるでしょう。

 

ローコスト住宅の場合、外観デザインはどのようなものになるのでしょうか。外観デザインの種類やデザイン選びのポイントを解説します。

 

住宅の外観デザインには、さまざまな種類があります。

 

代表的なデザインは以下のとおりです。

外観デザインの種類

外観の特徴

モダン

直線と少ない色数により都会的でスタイリッシュな外観

和風

(ジャパニーズスタイル)

瓦屋根や塗り壁などを組み合わせた重厚感のある外観

和モダン

瓦や木材などの和テイストを盛り込んだスタイリッシュな外観

シンプルモダン

建物や屋根の形状がシンプル、モノトーンでまとめたクールな外観

ナチュラル

白を基調として木やボタニカルなテイストをあしらった、温かみやかわいさを感じる外観

アジアン

石や木・竹などを用いた、東南アジアの住宅をほうふつとさせるエスニックな外観

プロバンス

南フランスの地中海沿岸・プロバンス地方で見られる白い漆喰と茶系の瓦を組み合わせた外観

北欧風

木の質感とシックな色合いを組み合わせたシンプルな外観

インダストリアル

工場や倉庫を思わせるアイアンやコンクリートを組み合わせた武骨でワイルドな外観

 

家づくりは予算の上限がなければ、外観デザインも含めてあらゆる箇所に費用をかけられます。

 

しかし、予算に限りがあるローコスト住宅では、外観デザインにお金をかけすぎると機能性や居住性に影響を及ぼすかもしれません。

 

使いやすい間取りや設備、耐震性、断熱性といった住宅性能を優先し、予算の許す範囲で外観デザインにこだわると、内と外のバランスが取りやすくなります。

 

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外観デザインを大きく左右するのが外壁です。住宅で使用される外壁素材には、さまざまな種類があり、ここでは代表的な5種類の外壁材を紹介します。

 

なお、ローコスト住宅の外壁材は窯業系(ようぎょうけい)サイディングや金属サイディング、塗り壁などが主流とされています。

 

多くの新築住宅で採用されている外壁材がサイディングです。

 

パネル状になっており、外壁面積に合わせて張っていきます。サイディングは使われる素材によっていくつかの種類があります。

窯業系サイディング

 

日本の新築住宅の多くで使用されている窯業系サイディングは、セメント・繊維などを原料とする外壁材です。

 

石目柄、木目柄、タイル柄、レンガ調などカラーやデザインが豊富で、あらゆる外観デザインに対応できるのが魅力です。高い耐火性や耐震性、コストパフォーマンスの高さも評価されています。

金属サイディング

 

金属サイディングは、断熱性のある芯材にアルミニウムやガルバリウム鋼板を張り付けた外壁材です。窯業系サイディングと比較して圧倒的に軽く、建物躯体への負担が小さいのが特徴です。

 

その軽さゆえ、耐震性も優れています。メタリックな質感がスタイリッシュな印象を与え、シンプルモダンな外観にマッチします。

木質系サイディング

 

木質系サイディングは天然木の無垢材などを原料とし、表面に耐火性をプラスする塗装を施した外壁材です。

 

天然木の質感がもたらす深い味わいが魅力ですが、コストがかかるためローコスト住宅での採用は難しいかもしれません。

ラップサイディング

 

ラップサイディングは細い板状のパネルを1枚ずつ重ね張りするタイプの外壁材です。窯業系サイディングと同じ素材を使用しているので、耐火性や耐震性に優れています。

 

ただ、施工に手間がかかり費用も高くなりがちなため、ローコスト住宅ではあまり用いられません。

 

ALC(軽量気泡コンクリート)は主にオフィスビルの外壁などに使われますが、住宅で使用されることもあります。

 

中に気泡のある特殊なコンクリートからなり、とても軽量であることから耐震性が高いのが特徴です。気泡によってできる空気の層が高い断熱性を発揮するほか、窯業系サイディングを上回る耐火性・耐久性も備えています。

 

ただ、単価の高さや施工の難しさから、ローコスト住宅で採用されることはまれです。

 

粘土や砕石といった原料を成形して焼き固めた外壁材がタイルです。耐久性や耐候性に優れており、高級感のある質感が特徴です。

 

しかし、窯業系サイディングなどに比べて初期費用が高いことから、住宅の外壁に使用される割合は高くありません。

 

モルタルや塗装、土壁、漆喰、左官仕上げのものなど、職人が塗ったり吹き付けたりして仕上げるのが塗り壁です。なかでも、モルタル外壁はかつて外壁材の主流でした。

 

手作業ならではの意匠性の高さとつなぎ目のない仕上がりが魅力ですが、クラック(ひび割れ)が生じやすく、メンテナンスの手間がかかる点はデメリットといえます。

 

無垢材の羽目板を一枚ずつ張り上げていくのが板張りです。日本の伝統建築に用いられてきた外壁で、木が持っている断熱性や調湿性をそのまま発揮するのが魅力です。

 

一方で、防火面やシロアリによる食害などのリスクがあり、小まめなメンテナンスが必要なため、新築住宅にはあまり用いられません。

 

外壁と並んで外観の印象を左右するのが屋根です。ここでは、住宅で主に用いられる屋根材の種類と特徴を紹介します。

 

ローコスト住宅では、スレートやアスファルトシングルを採用するケースが多いとされています。

スレート

 

住宅の屋根材でよく知られているのがスレートです。スレートには天然と人工の2種類があり、天然スレートは高級材であるため、人工スレートが用いられることがほとんどです。

 

人工スレートは安価でバリエーションが豊富なうえ、耐火性や断熱性、耐震性にも優れています。一方で耐久性はあまり高くないので、定期的なメンテナンスが欠かせません。

 アスファルトシングル

 

スレートと同じく、比較的安価に施工できるのがアスファルトシングルです。もともとアメリカ生まれの屋根材であり、洋風やモダンテイストの外観によく合います。

 

薄く柔らかいシート状の屋根材のため、軽量で加工しやすく、雨漏りしにくい点が特徴です。一方、シート状なので強風に弱い点には注意しましょう。

ガルバリウム鋼板

 

ガルバリウム鋼板は亜鉛やアルミニウムなどからなる金属製の屋根材で、耐火性や耐久性に優れているのが特徴です。

 

スタイリッシュな見た目から外壁材としても人気があり、適切にメンテナンスを行えば25~35年もの間、交換不要といわれています。ただし、施工費用が上記2種類に比べて高いため、ローコスト住宅での採用は難しいかもしれません。

 

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ローコスト住宅をおしゃれな外観に仕上げるには、どのような点を意識すればよいのでしょうか。3つのポイントに絞って紹介します。

 

おしゃれな外観に仕上げるためには、デザインのテイストをそろえることが大切です。

 

たとえば、クールでスタイリッシュなデザインの外壁に、ポップでかわいらしいデザインの窓を合わせるとチグハグな印象になってしまいます。

 

スタイリッシュ、シンプル、ポップなどデザインの方向性を決めたら、そのテイストに合わせて各箇所のデザインを決めていきましょう。

 

使う色が多すぎると乱雑な印象を与えてしまいます。外観に使う色は3色程度までに抑えましょう。

 

そのうえで、色の黄金比率「ベースカラー70:メインカラー25:アクセントカラー5」を参考にして配色を決めるのがおすすめです。ベースカラーは落ち着いた色にすること、アクセントカラーは使いすぎないことがポイントです。

 

テイストをそろえるとおしゃれな外観に仕上げやすくなりますが、単調な印象になってしまうこともあります。デザインに幅を持たせたいときは、あえて異なる素材を組み合わせるのもおすすめです。

 

たとえば、コストを考えてメインの外壁材を窯業系サイディングにし、一部にタイルやガルバリウム鋼板を採用してメリハリを持たせるといった具合です。

 

素材を組み合わせてオリジナリティーを適度に演出することで、ローコスト住宅でもおしゃれな外観を実現できます。

 

住み心地を確保しつつおしゃれな外観のローコスト住宅を実現するには、外壁材や屋根材の種類を吟味するとともに、デザインにおけるポイントを押さえておきましょう。

 

近年は建築コスト高騰により、ローコスト住宅の価格も1~2割程度上昇しているとされています。さらに、国土交通省は2025年4月以降に着工する住宅に関して「省エネ基準」への適合を義務付けることを明らかにしており、コスト水準の上昇も予想されます。

 

ここで紹介した内容はあくまでも2023年時点での情報であり、今後状況が変化する可能性があります。常に最新の情報を確認しながら、後悔のない家づくりを目指しましょう。

 

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