平屋は、スタイリッシュな外観デザインを実現しやすいのもひとつの魅力です。デザイン性を追求するうえでは、屋根の形状にも目を向けて適したものを選びましょう。
今回は屋根の形状のひとつである「片流れ屋根」について、基本的な特徴や平屋との相性、採用する際の注意点などを見ていきましょう。
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モダンな平屋にピッタリ! 片流れ屋根とは?

片流れ屋根とは、1枚の屋根が片側に傾くように設置された形状を指します。一般的な三角屋根と比べてシンプルな外観になるのが特徴で、モダンな住宅に合うとされています。
天井高を確保しやすいため平屋との相性がよく、後ほど紹介するさまざまなメリットも踏まえて、実際に採用されるケースは多いです。
片流れ屋根のメリット
片流れ屋根には、シンプルな外観デザイン以外にもさまざまなメリットがあります。ここでは、大きく3つに分けて解説します。
建築コストが安くなる
屋根は形状が複雑になればなるほど、建築コストが増えていきます。片流れ屋根は1枚屋根のシンプルなつくりなので、ほかの屋根と比べて施工の負担が少なく、建築費を安く抑えられるのが特徴です。
また、傾斜が一面しかないため、雨どいを設ける箇所が少なくなり、その点もコストを抑えやすい理由のひとつです。
具体的な費用は使用する素材によっても変わりますが、広く普及している切妻(きりづま)屋根や寄棟(よせむね)屋根と比べると、50万~60万円ほど安くなる場合もあります。
広々とした屋根裏空間・天井高を確保しやすい
片流れ屋根は傾斜を比較的自由に設計できるため、天井高を確保しやすいのが特徴です。特に高い方の面は開放感が生まれやすく、平屋ならではの魅力を十分に生かせるのがメリットです。
また、縦の空間の広さを生かして、通気性や採光性に優れた屋根裏空間を設けることもできます。片流れ屋根が平屋に適しているとされるのは、こうした理由も大きいといえるでしょう。
太陽光パネルを設置しやすい
片流れ屋根はほかの形状と比べて、総面積に対して特に広い面を確保できるのが特徴です。そのため、太陽光パネルを設置したときには、高い発電効率を発揮します。
平屋はそもそも2階建て以上と比べて屋根自体の面積が広くなりやすいため、片流れ屋根を採用することで十分な発電量を得られるようになるのは大きなメリットです。
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片流れ屋根のデメリット

片流れ屋根にはさまざまなメリットがある一方、注意しておきたいデメリットもいくつか存在します。
雨漏り対策が必要
片流れ屋根は屋根自体に継ぎ目がないため、一見すると雨漏りしにくいように思えます。しかし、固定される棟の部分には隙間があるため、そこから雨漏りしてしまうケースも少なくありません。
そのため、施工時に十分な雨仕舞(あまじまい:家の中に水が入らないようにすること)をしたうえで、「透湿ルーフィング」と呼ばれる下葺き材(屋根本体の下に敷かれる防水シートのこと)を用いて防水性を高める必要があります。
雨どいが壊れやすい
通常の屋根の場合、雨水は2方向あるいは4方向に流れていくため、ある程度雨どいの負荷は分散されます。
片流れ屋根の場合は、一方向にすべて流れていくため、雨どいに負荷がかかって壊れやすくなったり、詰まりやすくなったりしてしまいます。
そのため、雨どいのメンテナンス頻度は、通常の屋根よりも多くなります。
壁面の劣化が進みやすい
屋根がかからない方角の壁面については、日当たりや雨風の影響を直接受けてしまうため、通常よりも劣化が進みやすくなるケースもあります。
プランを立てる段階から、使用する建材を十分に考慮したうえで、メンテナンス時期の目安も設計士などの専門家に相談しましょう。
平屋で片流れ屋根を採用する際の注意点

平屋で片流れ屋根を選ぶ場合には、いくつか注意したいポイントがあります。ここでは、大きく3つの観点に分けて見ていきましょう。
勾配による違いを押さえておく
片流れ屋根は構造がシンプルな分、勾配をどのくらいつけるのかが重要なポイントとなります。
勾配が大きいと外観デザインが目立ちやすくなるとともに、屋根裏空間の広さを確保しやすくなるというメリットが生まれます。
それに対して、勾配を小さく設計した場合は自然な見た目になり、周囲の外観にも溶け込みやすくなります。
しかし、勾配を抑えると屋根裏に使える空間は小さくなるため、見た目の理想と利用したいスペースのバランスを慎重に考えましょう。
太陽光パネルは方角を慎重に考慮する
太陽光パネルを設置する場合は、日当たりの悪い北側に傾きを向けてしまうと、効果が極端に小さくなってしまうので注意が必要です。
片流れ屋根は設置する面が一方向に限られるため、通常以上に方角の調整を細かく行う必要があります。
屋根の方角は、建物全体の建築プランにも大きな影響を与えるので、なるべく早い段階で検討しましょう。
実績豊富な施工会社を選ぶ
片流れ屋根は平屋で用いられるケースも増えていますが、広く選ばれている切妻屋根や寄棟屋根と比べると、まだめずらしい形状といえます。
また、平屋自体も2階建てと比べて数が少ないため、十分な施工実績とノウハウを持った施工会社を見つけることが大切です。
太陽光パネルの方角や湿気対策など、細かな注意点もいくつかあるので、信頼できる施工会社を探して、じっくりと打ち合わせを行いましょう。
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屋根に使われる素材の種類も押さえておこう

屋根は形状だけでなく、素材によっても見た目や性能に違いが生まれます。ここでは、代表的な素材の種類と特徴を見ていきましょう。
瓦(粘土瓦)
粘土を焼き上げてつくる瓦は耐久性が高く、耐用年数が100年にもなるものもあり、長期にわたって風や雪の影響を防げるのが特徴です。
釉薬(ゆうやく)を用いることで防水性も高まり、一度施工をすれば基本的なメンテナンスは瓦を固定するしっくいの補修のみで十分とされています。また、厚さも十分なため、断熱性や遮音性も高いのもメリットです。
ただし、瓦自体に相当の重量があるため、地盤や建物にはそれなりに大きな荷重がかかります。
なお、瓦屋根の場合は、雨漏りを避けるために最低でも21.8度以上の勾配(4寸勾配)が必要とされており、ほかの素材に比べて大きな勾配が求められます。
片流れ屋根では比較的クリアしやすいので、素材としての相性はよいといえるでしょう。
スレート(コロニアル、カラーベスト)
スレートには天然スレートと化粧スレートの2種類があります。天然スレートは自然素材を用いるため価格が高く、一般的な住宅建築においてはあまり普及していません。
一方、セメントと繊維質を混ぜてつくる化粧スレートは、コロニアルやカラーベストとも呼ばれ、住宅用の屋根材として広く普及しています。
「重量が軽い」「価格が安い」「デザインやカラーリングの自由度が高い」といった特徴を持つため、予算やデザインに応じてプランを柔軟に決めやすいのが魅力です。
一方、経年劣化によってひび割れが発生するため、耐久性や防水性は和瓦に比べるとやや劣ります。
表面のひび割れは塗装のメンテナンスを行うことで対応できますが、それでも20~30年くらいで交換が必要となるケースも多いです。
ガルバリウム鋼板
ガルバリウム鋼板(こうはん)は、ガルバリウムでメッキ加工を施した鋼板(鉄)のことであり、金属屋根と呼ばれることもあります。
ガルバリウムとは、亜鉛にアルミ、シリコンを組み合わせた合金であり、サビにくく耐久性・耐熱性にも優れているのが特徴です。
「重量が軽い」点や「デザインやカラーリングが豊富」など、スレート材と共通する特徴を多く持ちますが、それに加えてメンテナンス頻度が少ないのがメリットです。
耐久性が高く、30~50年の品質保証が行われていることもあります。
ただし、金属製のため、海沿いの土地などでは塩害による影響を強く受けてしまう面もあります。また、ひっかき傷には弱いため、飛来物によるキズや剥がれなどがあると、そこからサビが発生してしまうリスクはあります。
そのため、まったくメンテナンスの必要がないというわけではなく、万が一キズがついたときにはすぐに塗装を行うことが大切です。
まとめ
- 片流れ屋根とは1枚の屋根で構成される屋根のことであり、傾斜が1面のみに限定されるのが特徴
- シンプルでスタイリッシュな外観を実現したいときに向いている形状
- 天井高を確保しやすいため平屋との相性にも優れている
- 雨どいが故障しやすいため、定期的なメンテナンスが重要
- 素材によっても性能が異なるため、それぞれの特徴を押さえておくことが大切
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