ローコスト住宅とは、平均坪単価よりも安い金額で建てられる注文住宅のことです。

金額が安く収まることから、寿命や耐久性に対してマイナスイメージを持たれることもありますが、実際にはどのくらい長く住めるのでしょうか。

今回はローコスト住宅と寿命の関係性や、長く住むためにチェックしておきたいポイントについて解説します。

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ローコスト住宅イメージ

 

ここではまず、ローコスト住宅の仕組みと寿命について見ていきましょう。

 

ローコスト住宅について明確な定義はありませんが、一般的には坪単価30万~50万円台程度で建てられる住宅のことを指します。

 

国土交通省の2021年度「建築着工統計調査」(※)では、構造や建て方別に住居の工事費予定額に関するデータが公表されています。

 

そのデータを基に、1坪「3.3平米」と想定して換算すると、一戸建てにおける平均的な坪単価は以下のとおりです。

住宅の種類

平均坪単価

一戸建て住宅総計

60.7万円

木造

57.1万円

鉄骨造

94.1万円

鉄筋コンクリート造

99.7万円

小数点第2位で四捨五入

 

この表から分かるように、一戸建てにおける平均的な坪単価は60万円程度なので、平均水準よりもコストを抑えて注文住宅を建てられるのがローコスト住宅の魅力です。

 

具体的な仕組みとしては、建材の大量一括購入や標準設備の使用、工法の効率化などによって、なるべく性能を落とさずにコストダウンを実現する方法がとられています。

 

そのため、プランやデザインはある程度限定されており、いわゆる「規格型住宅」になるのが一般的です。

 

ローコスト住宅の詳しい特徴や仕組みについては、以下の記事で詳しく解説されているので、ぜひ参考にしてみてください。

※ 国土交通省「建築着工統計調査 住宅着工統計 2021年度 (新築住宅)利用関係別、構造別、建て方別(住宅の工事費)/戸数、床面積、工事費予定額、1戸当たり工事費予定額、1平米当たり工事費予定額

 

結論から言うと、ローコスト住宅だからといって、必ずしも寿命が短いわけではありません。そもそも、住宅の寿命はさまざまな要素が絡み合って決まるものです。

 

たとえば、そのうちの1つが建物の構造です。これも直接的な寿命を示す数字ではありませんが、建物は構造や用途によって次のように法定耐用年数が決められています。

構造

法定耐用年数

木造住宅

22年

鉄骨造住宅

19~34年

鉄筋コンクリート造住宅

47年

各構造の法定耐用年数については、ローコスト住宅でも変わりがありません。また、法定耐用年数はあくまで税制上の基準のため、寿命自体はさらに長くなり得ると考えることができます。

 

そして、住宅の寿命を大きく左右するもう1つのポイントとして、メンテナンスが挙げられます。

 

住宅は特にメンテナンスの有無や度合いの影響を受けやすく、どれほど品質に優れていても、まったく手入れが行われなければすぐに劣化してしまいます。

 

反対に、こまめに手入れを続けていれば、寿命を延ばすことも可能です。そのため、単に建築コストだけを見比べるのではなく、メーカーによるアフターサービスや保証などにも目を向けるようにしましょう。

 

ここまで解説したように、建物の寿命はさまざまな要因に左右されるため、「ローコスト=寿命が短い」というわけではありません。

 

それにもかかわらず、寿命が短いというイメージを持たれてしまうのは、かつてとあるローコスト住宅メーカーが起こした欠陥住宅問題が関係しているかもしれません。

 

行き過ぎた人員削減による管理不足が続いた結果、多数の欠陥住宅が出回る事態となり、ニュースなどでも広く報道されることとなりました。

 

その結果、ローコスト住宅全体に対する印象が悪くなり、耐久性や安全性に問題があると考えられるケースが増えてしまったようです。

 

しかし、あくまでも直接的な原因は、当時のメーカーによる過剰な人員削減と管理不足にあり、ローコストであることがそのまま寿命の低下につながるわけではありません。

ローコスト住宅メーカーの保証内容を比較してみよう

 

前述のように、住宅の寿命はメンテナンスによって左右される部分も大きいです。そこで、ハウスメーカーや工務店に施工を依頼する際には、アフターサービスの充実度にも目を向けておくことが大切です。

 

ここでは2023年3月時点での、ローコスト住宅を主に取扱うメーカーの特徴とアフターサービスについて見ていきましょう。

 

全国約250社の幅広いネットワークによる資材の一括購入で、品質を安定させながらもローコストを実現しているハウスメーカーです。

 

ローコストな価格帯でありながら、完全自由設計を実現しており、プランの柔軟性が高いのも大きな魅力といえるでしょう。

 

アキュラホームでは、次のような保証内容が実現されています。

一例

  • 初期保証:基本構造・雨漏り20年
  • 35年の長期保証プログラム
  • 保証延長条件:有償点検、有償メンテナンス実施
  • その他:10年目まで無料点検を実施(計5回)

そのほかにも、耐震性や劣化対策、省エネルギー性はそれぞれ標準仕様でも最高等級を満たしており、長く安心して住み続けられる住宅づくりに力を入れています。

 

タマホームは、平均よりもやや低めの価格帯を取扱いながら、高品質な住宅づくりを実現する大手ハウスメーカーです。最長60年という長い保証期間が設けられているのが特徴であり、地盤保証も行っています。

 

また、シロアリに強い家づくりにも力を入れており、独自に長期の保証システムを設けているのも魅力です。

一例

  • 初期保証:基本構造・雨漏り10年
  • 最長保証期間:30年(長期優良住宅なら60年)
  • 保証延長条件:必要な有償定期点検と有償補修
  • その他:地盤保証10年、最長60年のシロアリ保証

 

取扱い地域を絞り込むことで、低コストながら手厚いサービスの提供を実現している会社もあります。

 

リバティーホームは、会社から半径15km圏内(東京都江戸川区・葛飾区・墨田区・江東区、千葉県市川市)を中心に住宅の施工を行う地域密着型の中小ハウスメーカーです。

 

リバティーホームでは、次のような保証内容が実現されています。

一例

  • 専属社員による施工後30年目までの定期訪問
  • 60年間にわたる長期の定期点検
  • 災害時の迅速な対応
  • 顧客からの連絡に対する速やかな応答
  • 快適に過ごすためのお手入れ教室の実施

このように、アフターサービスの内容や範囲は会社によっても異なるため、気になる企業の情報は積極的にリサーチしておきましょう。

 

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ローコスト住宅を長持ちさせるコツ

 

住宅の寿命は、細かな建て方や設計プランによっても左右されます。ここでは、長持ちする住宅を建てるためのポイントを見ていきましょう。

 

外壁や屋根、基礎といった主要な構造部については、ローコスト住宅であってもコストを削らないように意識することが大切です。

 

たとえば、外壁は使用する建材や塗料によって耐久度に差が出る場合があるので、プランを決める段階で確認しておくといいでしょう。

 

湿度の高い日本では、風雨や湿気への対策が耐久性を左右します。湿気はカビの発生や木材の劣化を引き起こす重大な原因となるため、こもらないように風通しや日当たりに優れた住宅設計が求められます。

 

日当たりや風通しは、建て方だけでなく立地にも左右される部分があるので、土地選びから意識しておくことも大切です。

 

住宅のメンテナンスは、形状がシンプルであるほど負担が軽くなります。複雑な形状は外壁や屋根の表面積が広がり、メンテナンスコストがかかってしまうため、コストを抑えたい場合には避ける方がいいでしょう。

 

設備の適切な交換は、住宅全体の寿命を延ばすためにも重要なポイントとなります。特に水回りのパーツや設備は、水漏れによる建材への影響を防ぐためにも、不具合を感じたら耐用年数を迎える前に点検することが大切です。

ローコスト住宅は20年後も住める?

 

ローコスト住宅=寿命が短いというわけではないため、適切な施工とメンテナンスが行われていれば、20年後も十分住み続けられると考えられます。

ローコスト住宅のハウスメーカーは何を基準に選ぶ?

 

施工内容やデザイン、得意分野なども重要ですが、長く住むことを考えればアフターサービスと保証の仕組みも大切です。ローコスト住宅メーカーであっても、保証が充実している企業はあるため、事前に調べておくのがおすすめです。

 

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更新日: / 公開日:2023.03.20