平屋とは、ワンフロアのみで構成された1階建て住宅のことをいいます。2階建て住宅よりも構造が安定しているので、老後の住まいにも適しています。
今回は、女性の一人暮らしに適した平屋の間取りや注意点について、森住宅コンサルタント株式会社代表取締役の森雅樹さんにお話を伺います。
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平屋は女性の一人暮らしに向いている?

一人暮らしの女性にとって平屋は向いているのでしょうか。平屋は1階建てのため防犯面が気になるところですが、森さんによると、逆に1階建てだからこそ女性にはおすすめな点もあるのだそう。
「2階建て住宅の場合、一般的に2階に寝室をつくります。その場合、もし1階から誰かが侵入しても、侵入自体に気づかない可能性があります。また、もし何かあったとしても、2階では飛び降りないと逃げられません。1階であれば気づいたときに四方八方から逃げやすいので、一人暮らしの女性だからこそ、実は平屋はおすすめなんです。また、体力がなかったり、体調を崩したりした際に意外と障害になるのが階段です。女性の一人暮らしでは、この階段が意外とネックになることがあります」と森さん。
身体的負担が少なく、いざとなれば周囲に助けを求めやすいメリットが平屋にはあるのだそう。
平屋のメリット・デメリットは?
平屋には2階建てにはない魅力がありますが、下記のようにメリットもあればデメリットもあります。
平屋のメリット
- 家事動線が楽で身体的な負担が少ない
- 2階建てよりも構造的に安定し、耐震性が高い
- 天井を高くしたり、コの字形やロの字形にしたりするなど間取りに柔軟性がある
平屋のデメリット
- 2階建てよりも広い敷地が必要になるため、土地代が高くなる可能性がある
- 浸水被害を受けやすいエリアや狭小地には不向き
- 周辺環境の影響を受けやすく、日当たりや通風などを工夫する必要がある
平屋はワンフロアで生活がしやすい点が魅力ですが、建物が密接している都市部では不向きかもしれません。あらかじめ特徴を理解したうえで、住まいづくりを進める必要があります。
女性の一人暮らしに適した平屋の坪数・価格は?

平屋で快適に暮らすためには、ゆとりのある居住スペースの確保がポイントになります。具体的には、どれくらいの広さがあればいいのでしょうか。
「最低でも20坪(66平米)あれば、生活するスペースとしては問題ないかと思います。浴室や脱衣洗面所、トイレ、寝室の広さは一人暮らしを想定すると、さほど広いスペースは必要ないでしょう。ただ、広さを決めるときに大事なのは、リビングと収納スペースです。最低限必要な広さはリビングが7~9坪(13~16畳程度)、収納スペースは2~4坪が目安です。この広さに残りの広さを足していくと、最低20坪程度ということになります」(森さん)
20坪というと、賃貸マンションであれば一人暮らし用としては十分な広さです。間取りも広めのリビングにプラスして居室2つ設けることも可能でしょう。
平屋を建てる場合の価格目安は?
仮に、建物面積が20坪の平屋を建てるとなると、費用はどれくらいになるのでしょうか。
「20坪程度の平屋を建てた場合、一般的な仕様(ローコストメーカーではない)の場合で1,500万~1,800万円が目安となります。坪単価はハウスメーカーによって計算方法が異なり、住宅の構造や規模によっても費用が変わってきますので、複数のメーカーに見積もりを依頼して比較しましょう」(森さん)
大手ハウスメーカーであれば坪単価目安は最低でも60万円以上、ローコスト住宅であれば30万~50万円程度が目安となります。
平屋は同規模の2階建てよりも建築費用が高くなりがちですので、見積もりを比較するときはトータルコストを見ながら判断するようにしましょう。
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女性の一人暮らしに適した平屋の間取りのポイント

森さんによると、女性の一人暮らし用に平屋を建てる場合、「主寝室+書斎もしくは趣味の部屋」の2部屋が多いとのこと。
「女性の一人暮らしということを考えると、リビングと寝室、玄関などに防犯スイッチがあると安心です。また、脱衣洗面所の照明は、低い照度や照明の位置によって顔が暗くなりやすいので、お化粧をする場合には意識しておきましょう」(森さん)
それでは、具体的に間取り図を見ながら間取りのポイントについて解説していきます。
建物面積約16坪、2LDKの間取り

上記は、ほぼ正方形タイプの2LDKの平屋の間取りです。
「この間取りは、水回りがまとまっているので、水回りの動線を重視する人におすすめです。寝室とその他の部屋が完全に独立しているので、まったく違う壁紙を使うなど、内装に遊び心を取り入れたい人にも向いているでしょう。注意点としては、風呂・トイレの窓が道路側に面していると、夜に使用すると光が通りから見えやすくなります。目隠しの木などを設置するなど、プライバシー面に配慮しましょう」(森さん)
建物面積約23坪、テラス付き2LDKの間取り

「こちらは一般的な間取りと違い、LDKから廊下に出ずにトイレや洗面所に行くことができるので、感覚としては豪華なワンルームに近いです。生活スタイルが合う人であれば、しっくりくる間取りでしょう。あえて対面キッチンにしないことでLDKスペースを広くし、リビングから玄関、トイレ、浴室、寝室まで、最短距離で移動できるシンプルな動線です」(森さん)
平屋は室内と室外が一体化しやすく、庭や外の景色を楽しみたい人にも人気があります。この間取りにはリビングと居室に隣接したテラスがあるため、自宅でリフレッシュしたい人にもおすすめの間取りです。
「街中のカフェでゆっくりすることが好きな女性にとっては、このテラスの存在価値は重要だと感じます。このスペースを利用してロッキングチェアやハンモックをつるすことも可能ですので、室内にこもりきりなることに抵抗のある人は、テラスやウッドデッキの設置を検討してみるのもいいでしょう」(森さん)
女性が一人暮らし用の平屋を建てる際の注意点

平屋は生活動線がシンプルで暮らしやすいですが、女性の一人暮らしというと、やはり防犯面が心配です。
窓からの侵入や玄関の施錠をこじ開けて侵入するといったケースを防ぐために、雨戸や防犯シャッター、防犯ガラスの設置を検討するようにしましょう。
また、勝手口はあえてつくらず、高い塀などはなく、適度に敷地内が見えやすくするのもおすすめです。
「人や車が近づいたら音が鳴る防犯アラームを複数設置する以外にも、建物周辺に踏んだときに大きな音が鳴る防犯砂利を敷き詰めるという方法があります。窓やドア付近の防犯砂利は、足音が聞こえやすいので効果的です。また、土地選びの際は、周囲から見えやすいような立地は避けたほうがいいでしょう。2階建てと違って平屋では常に1階で生活するので、冷え性の人は建物の断熱性についても確認するようにしましょう。床が冷えると睡眠の質にも影響します」(森さん)
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