二世帯住宅を建てるうえでは、最初に建物のおおまかなプランを立ててから、細部に目を向けることが大切です。

ある程度の土地の広さがあるなら、2階建てや3階建てではなく、平屋を検討してみるのもひとつの選択肢です。

今回は、平屋の二世帯住宅を建てるうえで押さえておきたい間取りの考え方と、注意点やアイデアについて見ていきましょう。

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平屋

 

まずは、平屋の基本的な特徴について紹介します。

 

前提として、平屋は2階建てと比べて「延床面積を確保しにくい」という特徴があります。

 

複数のフロアを設けられる2階建てや3階建てと比べると、平屋で広い居住空間を確保するためには、広い土地が必要です。

 

一方、二世帯住宅は単世帯住宅と比べて広い面積が必要となります。そのため、特にこだわりがないようであれば、基本的には平屋より2階建て以上の方が二世帯住宅を実現しやすいです。

 

また、二世帯住宅で課題となる「プライバシー」確保のしやすさも、ワンフロアの平屋より2階建ての方が優れているといえます。

 

しかし、平屋には複数階建ての住宅にない特別な魅力があるのも確かです。平屋にこだわるのであれば、特徴を把握したうえで「平屋ならではのメリットを生かせるかどうか」を十分に検討しましょう。

 

平屋のメリットには以下のようなものがあります。

平屋のメリット

  • バリアフリー性が高い
  • 庭との接点を持ちやすい
  • 天井を高くとりやすい
  • 構造上の安定度が高い
  • メンテナンスしやすい

バリアフリー性が高い

平屋のメリットとしてまず挙げられるのは、バリアフリー性の高さです。

 

階段がなく、生活に必要な設備がワンフロアに集約されるため、小さな子どもや高齢者でも安心して暮らせる点は、二世帯住宅にも向いている特性といえます。

庭との接点を持ちやすい

平屋では多くの居住スペースが庭との接点を持てるため、草花や庭木を通じて四季の変化を楽しめるのも特徴です。

天井を高くとりやすい

土地はエリアによって建物の「高さ制限」があるため、2階建てや3階建てでは天井高に制限がかかることもあります。平屋の場合は、そうした土地でも十分な天井高を確保しやすいです。

構造上の安定度が高い

平屋は構造上の安定感に優れ、耐震性も高くなるのが特徴です。

 

コの字型などの変わった形状でも実現しやすいため、二世帯住宅で各世帯の生活スペースを分離したい場合にも、間取りの選択肢が広がりやすいといえます。

メンテナンスしやすい

平屋は足場を組まずに屋根や外壁の修理ができるケースがあり、比較的メンテナンスしやすいのも特徴です。

 

続いて、平屋のデメリットも見ていきましょう。

平屋のデメリット

  • 2階建てより広い土地が必要
  • 建築コストが割高になる
  • 太陽熱の影響を受けやすい

2階建てより広い土地が必要

冒頭でも触れましたが、平屋は2階建てよりも広い土地が必要となるため、都心部などでは実現が難しい面もあります。

 

それ以外のエリアでも、2世帯住宅を建てられる土地を探すうえでは、土地の購入代金にある程度大きな予算を見込んでおく必要があります。

建築コストが割高になる

平屋は同じ延床面積の2階建てと比べると、基礎や屋根の面積が広くなります。その分だけ建築工事にかかる費用が割高になるケースも多いので、予算配分には注意が必要です。

太陽熱の影響を受けやすい

屋根が広い平屋では、太陽熱の影響を受けやすいため、性能のいい断熱材が必要となります。ただし、太陽光発電を利用する際など、屋根の広さがメリットになることもあります。

 

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二世帯住宅

 

結論からいうと、平屋であっても二世帯住宅は実現可能です。ただ、二世帯住宅のタイプによっては工夫が必要になるケースもあるため、パターンごとに特徴を理解しておきましょう。

二世帯住宅のタイプ

 

二世帯住宅は、大きく3種類に分類することができます。

二世帯住宅のタイプ

  • 完全同居型:1つの住宅に二世帯が同居するプラン
  • 部分共用型:玄関や水回りなど、一部の設備を二世帯で共用するプラン
  • 完全分離型:すべての生活空間を分離するプラン

■完全同居型

完全同居型は、二世帯住宅であってもそれほど広さを必要とせず、単世帯型とつくりは大きく変わりません。そのため、基本的に平屋に適しているのは完全同居型とされています。

 

完全同居型は、二世帯の接点が多くなるため、家事や子育ての協力を得やすいのがメリットです。

 

一方、世帯同士のプライバシーは確保しづらく、間取り設計の段階からさまざまな配慮が求められます。

■部分共用型

部分共用型は、玄関や水回りといったパブリックスペースを共用し、居室やリビングはそれぞれの世帯に用意するスタイルです。

 

平屋の場合は建物をコの字型やHの字型にして、中央部分に玄関や水回りを設けると、左右それぞれでしっかりとプライベート空間を分けられるのでおすすめです。

 

ただ、どの部分までを共用スペースにするかは、世帯ごとの判断によっても異なるので、じっくりと検討する必要があります。

■完全分離型

3つのうち、もっともプライバシーの確保がしやすいのは完全分離型です。

 

世帯それぞれの生活環境を確保できるので、お互いにストレスを感じにくく、必要なときのみ支え合えるような関係を築きやすいのが特徴です。

 

ただし、平屋で完全分離型を目指すのは、1階と2階でフロアを分けられる2階建て以上と比べてクリアすべきことが多いといえます。

 

また、土地に十分なゆとりがあるなら、同じ敷地内に2棟を建てる「別棟型」も選択肢に入れて考えてみましょう。

話し合う

 

平屋で二世帯住宅を建てるときには、何よりもまず、プライベートスペースの分け方を慎重に考えることが大切です。プライベートスペースに対する考え方は、世帯はもちろん、家族それぞれでも異なります。

 

まずは、どのくらいの距離感が必要になるのか、それぞれの意見をくみ取りましょう。また、世帯ごとに譲れない条件を確認し合うことも重要となります。

 

たとえば「完全同居型でもキッチンは各世帯にほしい」「寝室は共同スペースから離したい」といった意見が出ることもあります。

 

また、親世帯が高齢になったときのことを考えて、寝室のそばにトイレを設置するなど、年齢に合わせた配慮も行いましょう。

 

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家の間取り

 

平屋の二世帯住宅では、具体的にどのようなポイントに目を向ければいいのでしょうか。ここでは、工夫したいポイントやアイデアを見ていきましょう。

 

平屋の魅力のひとつは、庭とのつながりを感じられやすい点にあります。

 

土地の広さにゆとりがあるなら、中庭を設けることで各部屋と庭との接点が増え、採光性や風通しも確保しやすくなるのでおすすめです。

 

また、中庭を挟む形でそれぞれの世帯の居住スペースを設ければ、自然とお互いのプライベート空間を分離しやすくなります。

 

寝室などのプライベート空間は、騒音などのトラブルを避けるためにも、なるべく隣接させない方が安心です。

 

特に世帯ごとの生活サイクルが異なる場合は、それぞれの居室をもっとも遠いエリアに配置することを意識しましょう。

 

意外に見落としてしまいがちなポイントとして「窓の配置」が挙げられます。

 

居室同士の窓が向かい合っている場合、お互いの視線が気になってしまうことがあるので、異なる方角に設置するか、高さを工夫するのがポイントです。

 

また、洗濯物を干す場所が気になる場合は、バルコニーの向きも設計時に意識しておく必要があります。

 

高齢になる両親世帯と二世帯住宅に住むなら、バリアフリーを意識することも大切です。

 

平屋はもともと段差の問題は解消されやすいですが、それでも土間やロフト、スキップフロアを採用する際には注意が必要です。

 

また、将来的に介護を行うケースも想定して、トイレやお風呂の広さ、バスタブの高さ、廊下の幅なども十分に考慮する必要があります。

 

車いすを使ったり、介助者と一緒に利用したりすることを考えると、各スペースにはある程度の余裕がほしいところです。

二世帯住宅

 

  • 平屋のメリット・デメリットを正しく把握しておこう
  • 二世帯住宅には3つのパターンがあり、それぞれ住み心地や実現しやすさは異なる
  • 土地に十分な広さがあるなら、別棟型を考えてみるのもひとつの方法
  • 世帯ごとに譲れない条件を確認し合う
  • 中庭を設けるとプライベート空間を分離しやすく、採光性・風通しも確保しやすくなる

 

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更新日: / 公開日:2022.11.25