1級建築士の蔦田頼主です。注文住宅をハウスメーカーで検討するうえで、意外と大事になってくるのが「営業担当者に嫌われるお客さんにならない」ということ。

大前提として、お客さんを大切にするのは当たり前のことですが、営業担当者も人間です。よい接客や提案を受けたいのであれば、まずは自分自身が適切な相談者であることも大切なのではないでしょうか。

この記事では、実際に私自身がハウスメーカーに勤務していて感じた、ハウスメーカーにとって嫌なお客さんの特徴を紹介します。一例にはなりますが、参考にしていただけたらと思います。

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値引き交渉

 

決して、営業担当者の言いなりになれと言っているわけではありません。ただ、提示してくる金額には必ず裏付けとなる根拠があり、その金額にふさわしいサービスがあります。

 

家の購入では分かりづらいかもしれませんが、たとえば高級車を正規のメーカーから購入する際、提示される金額には、その金額にふさわしいサービスや車の性能、購入後のサポート、そしてブランドとしての価値が含まれます。

 

材料だけ見るならば、どのメーカーの車も、材料はほとんど同じです。しかし、フォルムや性能、座り心地、すべてにおいてさまざまな企業努力と研究があるからこそ、高級車は高級車としての価格を提示できるのです。

 

家に置き換えると、それぞれのハウスメーカーに、いいところも悪いところもあります。ただ、提示されている金額には根拠があるので、安くしたいという気持ちでだけで、膨大な値引きを交渉するのはあまりおすすめしません。

 

もちろん営業能力の個人差はありますが、「このお客さんは価値の分からない方なのだな」と判断され、その後の提案もあまりいいものではなくなってしまう可能性があるからです。

個人で手配した施工会社の使用

 

ハウスメーカーで家を建てる際、部材の施工会社や卸の会社に知人がいるので、その会社を使わせてほしいと言ってくるお客さんがたまにいます。

 

絶対にNGというわけではありませんが、ハウスメーカーで家を建てるのであれば、基本的にすべての工事を任せることをおすすめします。

 

家の工事は、さまざまな工事が連続された工程で組みあがってくるので、電気工事屋さん、内装工事屋さん、設備工事屋さん、外装工事屋さん、さまざまな会社との連携が必要不可欠です。

 

ハウスメーカーではゼネコンや工務店などと違い、大抵の場合そのハウスメーカーの施工に特化した特定の会社と長く連携していることが多くあります。

 

そういった会社は、ハウスメーカーの特徴をよく熟知しているのでスピーディかつ正確に、手戻りが少なく工事できるのですが、そこに別の施工会社が入ることにより不具合が生じてしまうことがあります。

 

プロフェッショナルなので、家が完成しないという事態になるということはありませんが、たとえば、工事中にどこかの会社が家に傷をつけてしまったとします。

 

その場合、すべてハウスメーカーが依頼している会社が担当していれば、ハウスメーカーの責任で補修をお願いできます。

 

しかし、別で依頼した施工会社が入っている場合は、誰が傷をつけてしまったのか、責任の所在が分からなくなってしまうケースがあります。そういった場合は、どの会社が家に傷をつけてしまったのかで金銭トラブルになる可能性があります。

 

こういったリスクがあるにも関わらず、結局はその施工会社も含めて統括する工事管理費用がかかってくるので、期待するほどの値下げ効果にはならないケースがほとんどです。

 

また、家が完成した後の保証も、ハウスメーカーが施工した箇所しか保証してくれないケースもありますので、工事はすべてお任せすることをおすすめします。

構造的な難題

 

「同じ鉄骨造なのにB社ではできて、なんでこちらではできないんだ」という質問をする方がいらっしゃいます。

 

それぞれのメーカーによって大切にしている事や、重視している点が違うので、どうしてもできるできないがあり、それがメーカーの特色でもあります。各ハウスメーカーの担当者は、そういった質問に対して誠実にお答えするべきだと思います。

 

しかし、『では、こちらで決めるから、B社みたいなことをやってくれ』と無理難題を押し付けるのは、嫌がられることがあります。

 

一般の工務店やゼネコンと違い、メーカーによっては構造の自由度をあえて制限することで、構造の丈夫さや安全を保証しているメーカーもあるので、できないことはできないと割り切るのもまた大切です。

 

車で例えるなら、この車の走行性能は気に入ったから燃費性能はB社みたいにしてくれ、と言っているようなものです。

ネット情報のうのみ

 

SNSの普及により、さまざまな情報がネットから入手できるようになりました。近年では、ピンタレストやインスタグラムの写真を持ってきて、こんな家にしたいとイメージを伝えてくださるお客さんも増えています。

 

ネット情報は無料ですぐに入手できる便利なものですが、いい情報も悪い情報も混在しているのが事実です。中には、匿名で誹謗中傷を書かれる方や、実名で買った家のレビューを書かれる方もいらっしゃいます。

 

結論から言うと、ネットの情報をうのみにするのはおすすめしません。なぜなら、すべてのネット情報には書いた人の主観が存在しているからです。

 

メーカーが正式に発行しているパンフレットもありますし、メーカーによっては直接構造の説明を現場でしたり、実際に建てた人の声を聞かせてくれたりするところもあります。

 

気に入ってこれと決めたメーカーがあるのであれば、直接自分の目で確かめて決めることをおすすめします。

遅刻

 

お客さんとして、というより人として嫌がられることかもしれませんが、契約前も契約後も遅刻やドタキャンは本当にNGです。

 

大きな買い物ゆえ、営業担当も毎回真剣勝負ですから着工までのスケジュールをバチッと決めて、打ち合わせの日程を計画していることがほとんどです。

 

ですので最悪の場合、決められた日程までに詳細が決まらず、着工までに仕様決定が間に合わないことがあります。

 

そうなると、手戻りや着工中の不備が発生するケースが増え、住宅に不具合が生じてしまうこともあります。

 

自分が大切にしていることがあるように、ハウスメーカーや営業担当者にとっても、お客さんに最高の家を提案するために大切にしていることがあります。

 

家の購入に限った話ではありませんが、人生における大きな買い物を、気持ちのいい買い物とするために、相手の立場に立って考えてみることも大切です。

 

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更新日: / 公開日:2022.11.21