自宅にピアノを設置するのであれば、防音対策にしっかりと気を配ることが大切です。騒音トラブルを予防するためには、集合住宅であるマンションはもちろん、一戸建てであっても十分な防音対策が必要となります。
今回は一戸建てでピアノを置くときにどのような防音対策を行えばいいのか、音漏れの主な原因と対策にかかる費用の目安も併せて見ていきましょう。
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一戸建て住宅におけるピアノの防音対策

楽器の防音対策について考えるうえでは、「音がどのように伝わっていくのか」を正しく理解しておくことが大切です。まずは、ピアノから出る音がどのような性質を持っているのかを確認しておきましょう。
空気伝搬音と固体伝搬音
音の伝わり方には、大きく分けて「空気伝搬音」と「固体伝搬音」の2種類があります。空気伝搬音とは、その名のとおり空気を通じて伝わる音のことであり、ピアノから鳴る音色を指しています。
空気を通じて伝わる性質を持っているので、窓やドアに隙間があればそこから抜けていってしまうとともに、壁の防音性が低ければそのまま隣室へ通り抜けていってしまうこともあります。一方、固体伝搬音とは壁や床、天井を通して伝わる振動のことであり、ピアノでは打鍵音やペダリング音などが該当します。
ピアノは弦楽器や管楽器などと異なり、床面に楽器本体が接触しているため、固体伝搬音にも気を配らなければならないのが特徴です。ピアノを設置するのであれば、この2つの音の性質を理解したうえで、それぞれについて対策を行う必要があるのです。
ピアノの種類と必要な対策
一口にピアノといっても、タイプによって必要な防音対策は異なります。電子ピアノは手元で自在に音量調節ができるのに加えて、遅い時間帯はヘッドホンで演奏をすることもできるので、基本的に空気伝搬音についてはあまり神経質に考える必要はありません。打鍵などで発生する固体伝搬音について対策を行えば、騒音トラブルにつながる可能性は十分に軽減できるといえます。
一方、音量の大きなグランドピアノを設置するときには、十分な対策と配慮が求められます。
グランドピアノは楽器そのものが音を増幅させる構造になっているため、基本的にはふたを閉じておき、音がなるべく響かないように抑えることが大切です。また、響きを抑制する「ピアノマスク」と呼ばれる板や、ピアノの音をヘッドホンでも聞けるようにする「消音ユニット」を導入するのも有効です。
アップライトピアノも、グランドピアノと同じようにふたは閉じておき、必要に応じて消音ユニットなどを導入するのが効果的です。また、「設置場所をなるべく隣家から遠ざける」「壁に直接つかないように設置する」「マフラーペダルを使用する」など、工夫次第では特殊な防音施工をせずに騒音問題を解消できるケースもあります。
一戸建てで行うべき防音対策の基本
まずは、空気伝搬音が外へ漏れてしまうのを防ぐために、住宅の気密性を保てるつくりを実現することが大切です。また、ドアや窓などの開口部、換気扇などに隙間があれば、そこから音が漏れ出てしまうので、防音対策を重点的に行う必要があります。
特に換気扇からは音がそのまま抜けてしまうことも多いため、通気口部分に「防音チャンバー」などを導入して、音漏れを予防すると効果的です。また、「カーテンを防音カーテンに変える」「防音素材を天井や壁に張る」など、入居してから実践できる防音対策も多いので、状況に応じて試してみましょう。
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床の防音対策にかかる費用相場

ピアノを設置するときには、固体伝搬音が伝わるのを防ぐために、床の防音対策を行うことが大切です。床の振動を抑えるには、ピアノを床から離す必要があり、もっとも手軽でシンプルなのは専用の「防音マット」を導入する方法です。
市販の防音マットの費用は、6畳程度の広さで「5万~7万円」程度が目安であり、比較的安価で入手できます。そのうえで、振動を抑制するための「防振マット」をピアノの下に敷けば、高い防音性が発揮されます。
防振マットの値段は厚さや大きさによって異なりますが、ピアノの周辺のみであれば1万円以下で購入することも可能です。また、さらに本格的な防音対策を行うのであれば、ピアノの下に「防振ベース」と呼ばれる専用の敷材を導入する方法もあります。
防振ベースは1枚当たり2万円程度であり、アップライトピアノサイズで2枚、グランドピアノサイズで4枚が目安です。
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外への音漏れは開口部が原因

空気伝搬音が伝わるのを防ぐためには、窓の防音対策にも力を入れることが大切です。窓については、サッシとの隙間がないか確認することが基本の対策であり、必要に応じてガラスの材質を防音性の高いものに替えるのも有効です。
また、十分な防音性を確保するためには、「二重窓」の導入を検討してみるのもいいでしょう。二重窓は隙間が生まれるのを防ぐ効果があり、部屋の気密性を高めてくれます。
さらに、外から入ってくる騒音もシャットアウトできるため、防音対策においては積極的に取り入れたい設備です。なお、窓の防音工事の費用は、導入するガラスの材質などによっても異なりますが、20万~30万円程度が目安とされています。
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本格的に対策を行うときは防音室も検討してみよう

これまでご紹介したように、一戸建ては比較的自由に防音対策施工を行えるため、窓やドア、床など個別に防音対策を施すことは十分に可能です。しかし、音はそもそも目に見えるものではなく、人によって感じ方が異なる面もあるため、完全に遮断するのは難しい部分もあります。
音漏れを気にせずにピアノを弾きたいという場合は、防音室の設置も検討してみるといいでしょう。防音室にはボーカル用の簡易的なものから、グランドピアノを設置するための本格的なものまで、幅広い種類やグレードがあります。
グランドピアノを設置できるような防音室は、施工に200万円程度のコストがかかり、広さも通常の居室と同程度になります。コストがかかる分、防音性能には優れているため、安心して演奏できるのが大きなメリットです。
しっかりと施工を行えば、深夜でも問題なく練習できるレベルにまで性能を高めることもできるので、予算と相談をしながら検討してみてください。
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防音性の高い家づくりを目指そう

せっかくピアノを設置するなら、近隣への迷惑を気にせず、安心して演奏できる環境を整えたいものです。これから一戸建ての新築を検討しているのであれば、プランニングの段階から防音性の高い家づくりを意識しておきましょう。
LIFULL HOME’Sの「住まいの窓口」なら、専任のハウジングアドバイザーが住まいに関するあらゆる相談に無料で応じてくれます。「住まいの条件整理を手伝ってもらいたい」「家づくりの進め方や注意点を知りたい」など、さまざまな悩みについて専門的な視点からアドバイスをもらうことが可能です。
特に、グランドピアノを設置したいなどの特殊な要望がある場合には、希望に合った施工会社を見つけることが何よりも大切です。住まいの窓口では、要望に合った施工会社選びもサポートしてもらえるので、ぜひご活用ください。

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まとめ

- ピアノの音には「空気伝搬音」と「固体伝搬音」があり、それぞれについて対策が必要
- ピアノの種類によっても必要な対策は異なる
- 床の防音対策は防音シートや防振マットなどの各種アイテムを組み合わせると効果的
- 窓や換気扇などの開口部の対策も怠らないように注意する
- 本格的な練習環境を整えるなら防音室の導入を検討してみるのもひとつの方法
更新日: / 公開日:2022.07.28










