注文住宅を建てる際に、全体的な間取り配置は気に入っているものの、「収納場所が不足している」といった場合には、小屋裏(こやうら)収納の設置を検討してみるのもいいでしょう。
小屋裏収納には、通常の収納スペースとは違ったメリットがあるので、収納力を増やしたいときに有力な選択肢になり得ます。
今回は、注文住宅に小屋裏収納を設けるメリットと注意点について解説します。
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小屋裏収納とは? ロフトとは違う? 高さと面積に関するルール

小屋裏収納とは具体的にどのようなスペースを指すのでしょうか。ここではまず、小屋裏収納の基本的な特徴について見ていきましょう。
小屋裏収納とは
小屋裏収納とは、天井と屋根の間にある空間を活用したスペースのことであり、「グルニエ」とも呼ばれます。
具体的には、片流れ屋根や寄棟屋根、切妻屋根などの角度がついた屋根と、最上階の天井との間にできた空間を活用した収納スペースを指します。
小屋裏収納については、建築基準法で明確に定義が決められており、「床から天井までの高さが1.4m未満」「広さは下階の2分の1以下」に収めることとされています。
つまり、収納スペースといっても大人が立って歩けるような高さではなく、広さも一定以下であると考える必要があります。
また、自治体によっては、ほかにも開口部のサイズについて規定があったり、「下階または上階から利用する物置等であること(横から入る構造は不可)」といったルールが明確化されていたりすることもあります。
ロフトとの違い
小屋裏収納と似ているつくりを持つ設備にロフトがあります。どちらも屋根裏の空間を活用する点は同じですが、小屋裏収納が天井に隠れて下の階の居室から見えないのに対して、ロフトは下の階からでも見ることができます。
用途についても、ロフトは就寝場所や書斎などにも使えるのに対して、小屋裏収納は収納がメインといった違いがあります。
注文住宅に小屋裏収納を設けるメリット

それでは、注文住宅に小屋裏収納を設けるメリットには、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、4つに分けて詳しく解説します。
延床面積に含まれない
小屋裏収納のもっとも大きなメリットは、「延床面積に含まれない」という点にあります。延床面積とは、建物のすべての階における床面積の合計であり、居住スペースはもちろん、玄関や廊下、バス・トイレなどの水回りなども含めた広さを指します。
一方、小屋裏収納は先ほど紹介した「高さと面積の制限」を守って設置する場合、延床面積には含まれないという特徴があります。そのため、小屋裏部分には固定資産税がかからないというメリットがあります。
建物部分の固定資産税評価額は、広さによっても金額の評価が異なるため、同じ建物でも延床面積が小さく算出されたほうが減額になります。
押し入れやクローゼットなどの収納場所は延床面積に含まれるのに対し、小屋裏収納は加算対象から免除されるので、税負担を小さく抑えられる効果があるのです。
デッドスペースを有効活用できる
延床面積に関連するメリットのひとつに、「デッドスペースの有効活用ができる」といった点もあります。土地にはそれぞれ「容積率」と呼ばれる「敷地に対する延床面積の上限」が決められており、無制限に床面積を拡大することはできません。
そのため、建物を建てる際には、延床面積の上限を超えないように、それぞれの階数の広さを調整しなければならないのです。しかし、小屋裏収納は延床面積に含まれないため、デッドスペースになってしまう屋根裏空間を自由に活用できます。
大きなアイテムをしまえる
住宅のつくりによっても異なりますが、小屋裏収納は通常の収納スペースよりも広い空間を確保しやすいのが特徴です。そのため、家具やスポーツ用品など大きめのアイテムをしまっておくのに適した空間となります。
雨漏りなどの点検がしやすい
小屋裏収納では屋根裏を近くで目視できるので、万が一雨漏りがあったときに早期発見がしやすくなります。屋根の柱や梁の腐食は、通常の住宅だとなかなか表から観察することが難しいため、小屋裏収納を設けるメリットのひとつといえるでしょう。
注文住宅について住まいの窓口に相談する 収納の事例画像を探す 注文住宅を探す小屋裏収納のデメリットと対策

小屋裏収納には多くのメリットがある半面、設計時には気をつけなければならないポイントもいくつかあります。ここでは、主なデメリットを対策方法と併せて解説します。
建築コストがかかってしまう
小屋裏収納を設置する場合、通常よりも建築コストがかかってしまうので、予算と相談しながら検討する必要があります。そのうえで、なるべく予算を圧迫せずに設置するためのコツも押さえておきましょう。
予算を抑えるコツ…壁紙を貼らない、窓をつけない
ひとつめのポイントは、「壁紙を貼らない」ことです。小屋裏収納はあくまでも収納がメインのスペースなので、壁紙にこだわる優先度は低いといえます。
荷物の出し入れで壁紙が傷ついてしまうこともあるので、性能に問題がない範囲であれば、はじめから費用をかけずに簡素なつくりにしておくのがコツです。
また、小屋裏収納は基本的に居室としては使わないため、「窓をつけない」のも予算を節約するポイントです。
夏場は暑くなる
屋根裏は直射日光の影響を強く受けるため、夏場には室温が高くなってしまうのがデメリットです。断熱性を高めるなどの工夫である程度は軽減できるものの、天井裏という場所の問題から、設計上避けられない弱点でもあります。
そのため、無理に室温を保とうとするよりも、はじめから熱に弱いものは置かないほうが無難です。パソコンなどの電子機器や高温で溶けてしまうゴム製品、性質が変化してしまうカーボン製品などは置かないように注意しましょう。
荷物の出し入れに苦労してしまう
小屋裏収納は、はしごなどを使って出入りすることになるため、通常の収納スペースと比べて荷物の出し入れは負担になってしまいます。そのため、収納するものをきちんと見極めるのが上手に活用するコツです。
たとえば、屋根裏収納にはスキー用品やストーブ、扇風機などの季節ものなど、頻繁に出し入れをしないアイテムが向いています。
また、子どもの工作物や洋服など、「思い出として残してはおきたいけれど普段は使わないもの」などの収納場所にも適しています。
収納場所を増やすならほかの選択肢とも比較してみよう
収納を増やす方法としては、小屋裏収納以外の選択肢もあるので、目的に応じたものを選ぶことが大切です。ここでは、主な選択肢とそれぞれの特徴を見ていきましょう。
床下収納の特徴

床下収納は、キッチンなどの床下に設ける収納スペースであり、小屋裏収納と同じく「延床面積を圧迫せずに収納を確保できる」「見た目を目立たせずに収納スペースを設けられる」といったメリットがあります。
また、小屋裏収納と比べて熱がたまるリスクが少なく、荷物の出し入れもしやすいのが特徴です。ただ、あまり広いスペースは確保できないので、大型のものや大量のものを収納することはできません。
外部物置の特徴

庭にある程度の広さがあるなら、外部物置を後付けで設置するのもひとつの方法です。大きな特徴は、アウトドア用品やペット用品などの外で使用するものを収納しやすい点にあります。
ただ、物置の床面積が10平米以上、あるいは、防火地域や準防火地域に設置する場合には、建築確認申請が必要となる点に注意が必要です。また、基礎などで土地に固定してしまうと、固定資産税の対象になってしまうケースもあります。
ただし、固定資産税は地方税であり、自治体によってルールには若干の違いがあるので、あらかじめ確認しておくことが大切です。
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小屋裏収納を設ける際には、通常の居住スペースの配置やその他の収納スペースとのバランスも十分に考慮する必要があります。
また、せっかく小屋裏収納を設置しても、「はしごや階段が使いにくいため、結局は使わずに放置…」というケースも少なくありません。
そこで、プランに迷ったときには、専門家の視点から客観的なアドバイスをもらってみるのもひとつです。LIFULL HOME’S「住まいの窓口」では、理想の家づくりについてアドバイザーに無料で相談することができます。
住まいの条件整理を手伝ってもらったり、家づくりの流れや予算について教えてもらったり、プランや要望に応じて最適な施工会社を紹介してもらったりすることも可能です。無料で利用できるので、家づくりを検討中の人はぜひ活用してみてください。
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まとめ
- 小屋裏収納とは天井と屋根の間にある空間を利用した収納スペースのこと
- 高さは1.4m以下、面積は下階の2分の1以下などの決まりがある
- 規定内の大きさであれば、延床面積に算入されないのがメリット
- 収納スペースとしてはサイズが大きいので、収納力が高い
- 夏場は室温が上がりやすい、荷物の出し入れが面倒といったデメリットもある
更新日: / 公開日:2022.03.24










