新しく家を建てるときに注意したいのが、収納スペースです。特にリビングは家族が集まる場所ですので、収納の広さ・場所・使い勝手などはしっかりとシミュレーションすることが大切です。

今回は、マイホーム購入の専門家である草野芳史さんにお話を伺い、リビング収納の間取りの考え方や注意点について解説します。

リビング

 

リビングは過ごす時間が長い場所ですが、実は収納スペースについては失敗が多いといわれています。

 

「最近の間取りは個室よりも共有空間を重視し、リビング・ダイニング・キッチンは1つの空間として広く一体感を持ってつくる傾向が強くなっています。リビングで過ごす時間ややることが増えている一方、収納計画をしっかり立てないと、リビングが物であふれてしまう恐れがあります」と草野さん。

 

リビングはソファセットや大画面テレビを置くなど、広さを確保することに目がいってしまい、キッチンや寝室などと比べて収納量が少ない傾向があるといいます。物があふれてしまっては、せっかくのリビングも快適な空間ではなくなってしまいます。パントリーや床下収納など、スペースを有効に使うことでリビングの収納を確保することが大切です。

住まい全体の床面積に対して、収納スペースがどれくらいかを表すときに目安となるのが、“収納率”です。一戸建て住宅の場合、この収納率が10~12%確保できれば、住む人の満足度が高いといわれています。

 

リビングは家事用品や掃除道具、さらには子どものおもちゃまで、さまざまな物が集まります。部屋のあちこちに物が置いてあったり、片付けたくても放置されてしまうといった問題は、収納スペースを確保することで解決することができます。

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収納スペースが多いことのメリット

 

リビングに収納スペースが適切に配置されている間取りであれば、室内をすっきりと見せることができます。

 

「リビング収納の最大のメリットは、リビングで使うさまざまな物をきれいに収納できることです。また、特にリビング収納の場合、インテリアとして“見せる収納”も生活にいろどりを与える要素になるでしょう」と草野さん。

 

リビング収納があれば、収納用に家具などを購入する必要はないので、たとえば大きな地震が起こっても家具が倒れてくる心配はありません。また、リビング横にユーティリティスペース(多目的スペース)を設ければ、収納だけでなく子どもが勉強するスペースなどとしても活用できます。

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リビングの収納スペースを考える際のポイントと注意点

 

リビングの収納スペースは多ければいいというわけではありません。「リビング収納のデメリットは、スペースを取られてしまうことです。リビングの広さや収納量を優先しすぎると、他の部屋の物までリビングに収納することになってしまいます」と草野さん。

 

リビング収納の間取りについて考えるときは、収納をどのように使うかをシミュレーションすることで、失敗を防ぐことができます。

 

「リビング収納で重要なのが、何をどこに収納し、リビングでどのように過ごすのかという点です。たとえば、映画を見たりゲームをするのであれば、それぞれの機材を収納するスペースが必要になるでしょう。物をすべてリビング収納に入れようとすると、いくら収納があっても足りなくなってしまいます。使う頻度も考えるようにしましょう」

 

また、リビング収納は隠す収納であればすっきりと見せることができますが、インテリアにこだわりたいという人は、あえて見せる収納にするのもおすすめです。

 

「インテリアとして楽しみたい場合は、“見せる収納”も意識したいところですね。お気に入りの本や道具など、あえて見せることも暮らしを楽しむ秘訣です」

リビング収納のおすすめの間取り

それでは最後に、リビング収納のおすすめ間取りについて紹介します。

壁面収納

 

「リビングの壁面収納は、収納量を確保しやすく物の出し入れもしやすいので、物が多くて片付けが得意でない方に向いています。また、扉をつけずにオープンな棚にすれば、見せる収納にできるので、インテリア好きな方にも向いているでしょう」と草野さん。

 

壁面収納は、室内のデザインを統一することですっきりとおしゃれな空間に見せることが可能です。テレビボードなどと組み合わせて間取りに取り入れるのもいいでしょう。ただし、壁面収納は収納できる物が限られるため、こまごまとした小物を収納する引き出しタイプの収納など、複数の収納と組み合わせるようにしましょう。

小上がりスペースの収納

 

「小上がりの畳コーナーなら、その下に引き出しなどの収納を設けることができます。収納量を確保しやすくて部屋の広さも確保でき、一石二鳥の収納方法です」と草野さん。

 

小上がりのほかにも、スキップフロアを利用してリビングの床を下げたり、階段の踊り場などの下に天井高を抑えた空間を設け、収納にするという方法もあります。その際は、天井高を1.4メートル以下にすれば延床面積から除外でき、コストを抑えることができます。

 

また、草野さんによると、段差を利用した収納は狭い土地に家を建てる場合は有効的な方法だといいます。「平面だけでなく高低差を有効利用できるので、敷地が狭い人やより多くの収納を設けたい人に向いている収納方法です。空間を立体的に使えるので、視界が変わるなど、暮らしに変化が出せるメリットもありますよ」

パントリー・床下収納

 

パントリーは見た目を気にせず収納できるので、物が多い人や整理整頓が苦手な人に向いています。ただし、何でも収納できてしまうため、パントリー内に物をため込まないよう注意する必要があるでしょう。

 

そのほかにも、リビングの床下収納は、床下点検口と兼用して設けるケースが多いです。

「床下に物を収めるため、保存食などを収納するのに向いています。味噌や漬物などをつくる人にも向いているでしょう。ただし、このスペースは取り出すのが大変なので、頻繁に出し入れする物を収納するのには向いていません」

 

大きな荷物を収納する場合、ウォークインクローゼットをリビングに設ける方法もあります。最近はテレワーク用の書斎スペースとしても検討する方が多くなっているので、間取りを考える際は検討してみるのもおすすめです。

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リビング

 

リビング収納は間取りを考えるうえで大切なポイントです。リビングの広さだけでなく、どうやって収納スペースを設けるべきかなど、収納のタイプ別にそれぞれ検討してみましょう。また、収納は将来暮らし方が変わったりしたときに使いづらくなることも考えられます。ライフプランを考慮しながら収納スペースについて考えましょう。

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