外断熱・内断熱の仕組み

 

断熱の基本的な仕組みとしては、建物の内部に断熱材を入れることによって、外からの熱の出入りをコントロールする点が挙げられます。

 

断熱材をどこに入れるかで、外断熱・内断熱が決まります。それぞれの特徴について見ていきましょう。

外断熱の基本的な特徴

 

外断熱は、建物の外壁の内側（柱の外側）に断熱材を入れて、断熱層をつくる工法を指します。断熱層ができることで冷気や暖気を遮断でき、室内を一定の温度や湿度に保てます。

 

断熱材としては、耐水性に優れたプラスチック素材や発泡素材が多く使われており、建物全体を囲むように入れていくのが特徴です。

内断熱の基本的な特徴

 

内断熱は、柱の間に断熱材を入れて、断熱層をつくる工法を指します。外断熱の工事よりも手軽に行えるので、予算を抑えられる特徴があります。

 

断熱材としては、プラスチック素材や天然素材が多く使われ、柱の隙間に断熱材を入れる工法です。

外断熱のメリット・デメリット

 

外断熱のメリットとデメリットについてまとめると、以下のとおりです。

 

外断熱のメリット	外断熱のデメリット
・建物全体を覆うので気密性が高い ・防湿性に優れ、結露ができにくい ・柱の部材が保護される ・建物の劣化を抑え、寿命を延ばせる ・省エネにつながる	・大がかりな工事となるため、費用がかさむ ・工事によって建物の幅が広がるので敷地に余裕が必要 ・発泡素材の場合はシロアリ対策も必要 ・気密性が高いので、換気をどのように行うかを考える必要がある ・断熱材の上に外壁を置くので、耐震性に懸念がある

 

外断熱の工法としては「湿式（しっしき）工法」と「乾式（かんしき）工法」の2種類があります。

 

湿式工法は、断熱材をコンクリートに密着させる工法であり、建物が軽量化できる特徴があります。

 

また、乾式工法は外装材を支える金具を設置する工法であり、外壁と断熱材の間に水蒸気の通り道をつくるのが特徴です。これによって湿気から部材を守り、建物の寿命を延ばすことができます。

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内断熱のメリット・デメリット

 

内断熱のメリットとデメリットについてまとめると、以下のとおりです。

 

内断熱のメリット	内断熱のデメリット
・外断熱と比べて工事費が抑えられる ・ほとんどの断熱材を使えるので、コストダウンを図れる ・短時間のエアコン使用でも適温に保てるので、電気代を節約できる ・外壁に影響が出ないので、住宅のデザイン性が損なわれない ・多くの施工会社があり、技術面が確立されている	・湿気がたまりやすい ・断熱材がない部分では熱損失が生まれる ・結露が起きやすい ・配線や配管の場所を変更するのが難しい ・部材を傷めやすい

 

内断熱は気密性が低いので、建物の寿命を縮めてしまう結露が発生しやすい点を押さえておく必要があります。

 

建物の構造によって異なるものの、木造より鉄筋コンクリート造のほうが結露は起こりやすいので、劣化が激しくなってしまう傾向が見られます。

どちらを選ぶべき？ 断熱工法を決める際の判断基準

 

外断熱と内断熱のそれぞれにメリット・デメリットが存在します。どちらの断熱工法を選ぶべきかを判断するポイントとして、まずは「住んでいる地域」から捉えてみましょう。

住んでいる地域

 

寒い地域に住んでいる場合は、外気の影響を受けやすいので、気密性に優れた外断熱がいいといえます。

 

外気によって室内が寒くなることを防げるので、暖房器具の使用を抑えられて電気代が節約できます。

住宅構造

 

また「住宅構造」の視点から見たときには、木造であれば通気性に優れているので内断熱でも問題は少ないでしょう。

 

ただ、施工が悪いと部材を傷めやすくなってしまうため、住宅の寿命を縮めてしまう恐れがあります。

 

内断熱で防湿性を高めたいときは、断熱材に「セルロースファイバー＋透湿シート」を選んでみるのがおすすめです。

 

セルロースファイバーはホウ酸を染み込ませた新聞紙を原料としているので耐火性に問題はなく、工事が比較的簡単に済ませられるのが特徴です。

予算面

 

そして、「予算面」からも考える必要があります。

 

一般的に内断熱のほうが外断熱よりも工事費用は安く抑えられますが、住宅の劣化や空調設備の利用頻度といった観点から見たときのトータルコストを計算しておくことも大事です。

 

年単位で見れば内断熱が費用面で有利であっても、数十年単位でかかるコストを考えるならば、外断熱のほうが割安となるケースもあります。

 

どの程度の寒暖差を暑い・寒いと感じるかは人それぞれなので、自分なりの基準を明確にしておくことが重要です。

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外断熱と内断熱は併用もできる？ 付加断熱の仕組み

 

断熱工法の中には、外断熱と内断熱と組み合わせた「付加断熱」という方法もあります。

 

付加断熱は、外断熱・内断熱のいい部分をそれぞれうまく取り入れた工法であり、断熱性能がとても高いのが特徴です。

 

もともとは寒冷地で多く採用されていた工法ですが、省エネ需要の高まりや環境への配慮といった面などから、温暖地でも利用されるようになった経緯があります。

 

付加断熱は施工会社によって、ダブル断熱やハイブリッド工法などと呼ばれますが、基本的な仕組みに違いはありません。

特徴

 

付加断熱は外断熱と内断熱を組み合わせた工法であるため、必然的に断熱材が厚くなります。断熱性能は、断熱材の厚さが影響するので、厚みが増すほど断熱性能は高まります。

 

一方で、付加断熱は高い技術力が求められる工法であるため、設計会社や施工会社をきちんと選ぶ必要があります。

 

工事がうまくいかなければ壁内に結露が生じたり、外壁がズレて耐震性に問題が出てきたりします。

コストパフォーマンスが高い

 

コスト面から見ると、付加断熱は外断熱と内断熱を併用しているので高くなると思われがちですが、実際にはコストパフォーマンスが優れています。

 

外断熱で工事を行う場合と比べて、内断熱の特徴もうまく取り入れて工事を行うので、結果的にコストを下げられるのです。

 

高い断熱性能を得られて、工事費用も抑えられる付加断熱は魅力的です。実際に工事を依頼するときは、複数の会社から見積もりをとって、予算や技術力を比較してみましょう。

外断熱と内断熱の特徴を押さえて快適な住空間を手に入れよう

 

• 断熱は熱の流れを遮断することであり、室内の温度や湿度に大きな影響を与える
• 外断熱と内断熱のそれぞれにメリット・デメリットがある
• どのような断熱工法が適しているかは、住宅の構造や地域の特性などが関係する
• 付加断熱とは、外断熱と内断熱を組み合わせた工法
• 予算に合わせて適した断熱工法を選んでみよう

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