「うなぎの寝床」という言葉を耳にしたことがあっても、実際にどんな特徴のある物件なのかよく知らないという方も多いのではないでしょうか。今回は、うなぎの寝床の語源や特徴、うなぎの寝床にしかないメリットと注意点を紹介します。
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うなぎイメージ

うなぎは岩の隙間など狭く細いところを好みます。うなぎ漁の一種としても、竹筒を仕掛けて住みかとして利用させる方法があるように、”うなぎの寝床”という言葉はうなぎが好むような、間口が狭く細長い間取りの部屋を表現する言葉として使われています。

 

うなぎの寝床がどんな物件なのかは、カウンター式の飲食店を想像するとさらに分かりやすいでしょう。たとえば寿司店のように、入り口をくぐると細長いカウンターが奥に向かって延びている間取りの場合、うなぎの寝床といわれます。

 

うなぎの寝床は、京都や大阪に多く見られるという特徴があります。その理由は、江戸時代まで京都では独自の賦課金システムが採用されていたことに起因しているという説があります。この賦課金の金額は間口、つまり玄関の広さに応じて決められており、少しでも賦課金を減らしたいと考えた庶民は間口が狭く、その代わりに奥行きがある建物を建てるようになりました。つまり、現代でいう税金対策の結果として、うなぎの寝床が誕生したといわれているのです。

 

間口の大きさによって税額が決まるというシステムは、隣の大阪でも採用されていました。さらにこの時代の大阪は、天下の台所と評されるほど商売が盛んに行われており、商人は人が集まりやすく商いがしやすい路面に家を構えようと集まりました。このことも、大阪にうなぎの寝床が増えた要因の1つとして考えられています。

土地の形が限定されたうなぎの寝床は、立地や間口の向き、何階建てかなどの要素によって間取りが変わってきます。人が住みにくそうなイメージがありますが、アイデア次第では多種多様で個性的な間取りを実現させられるため、意外にも人気です。

 

インターネットで物件情報を調べてみると、2LDKや3DK、3LDKといった間取りの中にも、うなぎの寝床のような物件が見つかることが多く、家族で暮らしてもゆとりある生活を送れる物件は少なくありません。特殊な土地の形を逆手に取った、デザイン性の高い物件を見つけられる場合もあります。

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町家イメージ

それでは、うなぎの寝床に住むメリットは具体的にどのようなものなのでしょうか。今回はうなぎの寝床の長所を2つ紹介します。

狭い飲食店などでは、店内を少しでも広く見せるために、店の奥の壁に鏡を設置して奥行きがあるように錯覚させるという手法を使うことがあります。うなぎの寝床はこのような工夫をしなくても最初から奥行きが深い物件なので、扉を開いた瞬間に遠くまで見通すことができ、空間全体が広く見えるというメリットを持っています。

 

特に京都のうなぎの寝床で見られる”通り庭”というものがあります。これは奥行きのある土地の一部を中間部分で一度分割し、庭としてのスペースを設けたうえで家屋につなげ直すという形の設計です。このような設計は一般的な土地を使った住宅ではまず見ることができず、うなぎの寝床ならではの風情ある空間として楽しめます。

うなぎの寝床には、玄関から通路を進むようにして順番に部屋を移動できるという特徴があります。一般的な住宅の場合、玄関をくぐると左右や正面に部屋があるというケースが多いのですが、うなぎの寝床の場合は土地の形の都合上そのような設計にならず、1つひとつの部屋を順番に通ることが原則です。間口の狭い特殊な形の土地にうなぎの寝床のような家を建てることになった場合、その特徴的な形状を生かすことにより、生活動線を意識した家になります。

 

たとえば帰宅してなるべく早くキッチンに足を運びたいという場合には、玄関・キッチン・リビング・居室という並びで間取りをつくれますし、リビングからすぐ外に出られる家を持ちたいなら、玄関・リビング・キッチン・居室という並びで間取りをつくればよいのです。

 

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個性的であり、設計次第では意外に利便性も高いうなぎの寝床ですが、住む前に注意点として知っておくべきポイントもあります。どういった問題を想定すべきなのか、具体的に把握しておきましょう。

うなぎの寝床は奥行きがあるため、部屋の奥にまで太陽光を取り入れることが困難です。同じ理由で風通しが悪い部屋も生まれやすく、通風の確保にも工夫が必要になります。風通しが悪くなるとカビなどの問題も発生しやすくなりますので、対策が求められます。

うなぎの寝床は、左右のどちらかに部屋を設けることが事実上不可能であり、部屋を奥行き方向にしかつなげないというデメリットも生まれてしまいます。幅が非常に狭い物件の場合は、広いトイレや浴室を設置することもままならなくなる恐れがあります。

 

2階建て・3階建てにして部屋数を増やすことは可能ですが、そうなれば階段を設置する必要があり、バリアフリーに対応しにくいこともデメリットの1つです。

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うなぎの寝床は、間口が狭い代わりに奥行きが深いという特徴を持つ物件であり、京都や大阪では特に多いことでも有名です。空間が広く見えたり、動線を意識した間取りにできたりするメリットがありますが、採光や通風で苦労することや部屋を奥行き方向にしかつなげないことはデメリットといえます。「うなぎの寝床」の新築や購入、賃貸を検討する際は、契約を結ぶ前に熟考してみることが重要です。

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更新日: / 公開日:2020.03.12