住宅雑誌やインターネット上には、吹き抜けのある魅力的な住まいが多く紹介されています。それらに共通するのは、開放的な空間であることです。吹き抜けのあるリビングルームには憧れる方も多いのではないでしょうか。
しかし実際には、広さに余裕のある住まいばかりではありません。そのため合理的に吹き抜けを設ける方法を考える必要があります。
かつては玄関の上が吹き抜けていることが1つのステータスでしたが、現在ではリビングルームの吹き抜けが人気となっています。吹き抜けのある魅力的な住まいを計画するために、そのメリットとデメリット、注意するべきポイントなどお伝えします。
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吹き抜けのある間取りのメリット
開放的であること
面積が小さな部屋であっても、天井が高く上下に広がりがあるため視覚的に広く感じられます。それに加え、変化の乏しい平らな天井では得られない空間デザインが楽しめます。
明るさが取りやすいこと
隣家の状況にもよりますが、低いところにある窓のカーテンを閉めたとしても、視線の影響が少ない上部から光を十分に取り込めますので、明るさを確保しやすくなります。
家族のつながりを実感できること
吹き抜けを中心にそれぞれの部屋が配置される場合には、家族の気配を感じやすくなります。「一声かけると家族に伝わる」という実感が持てるのです。
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冷暖房の効率が悪くなること
空間のボリュームが増えることに加えて天井も高くなりますので、吹き抜け上下の温度差が大きくなります。冬は暖気が上部に溜まりますので暖房効果が悪く、特に足下が寒いままとなりがちです。対策としては、吹き抜け空間内での空気の循環を促すようにシーリングファンを天井に取り付ける方法や、足下から暖める床暖房が挙げられます。併せて建物の断熱性能を少しでも高くしたいものです。
ほかの部屋が小さくなること
吹き抜けにスペースを取られてしまいますので、階段兼用の吹き抜けを合理的につくり、廊下部分をなるべく省く間取りを心がけましょう。寝室や洗面所、トイレ、浴室、収納のほかはすべてワンルーム、と割り切った考えを持つことです。
構造上強度が弱くなること
地震や台風のとき、大きな力が横方向からかかります。その力に耐えるため外壁や間仕切りに耐力壁(筋交いや構造用合板)を設けますが、吹き抜けが大きくて床が分断されてしまうと十分に耐えることができません。床とのバランスも大切です。
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建築費用について
吹き抜けには床がないから費用が大幅に安くなる、ということはありません。吹き抜けまわりの造作(手すりや腰壁)はもちろんのこと、工事の難易度も高くなるため、それだけ割高になります。
ほかに、高性能なエアコンを設置したり照明を増やしたり床暖房を設けたりするなど、付帯工事もグレードアップしがちです。少なくとも一般部分の坪単価に対して床がある場合の50〜75%、またはそれ以上の費用を考慮しておきましょう。
固定資産税について
階段を除いて吹き抜け部分は登記上対象面積にカウントされません。そのため固定資産税も同様に考えることができます。しかし資産評価が上がる可能性もありますので、行政にあらかじめ相談しておいてもよいでしょう。
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家族が集まるリビングルームに
リビングルームに吹き抜けがあると家族の気配を感じられる空間として有効です。また階段が吹き抜けに取り込まれるとリビング内に子ども部屋への動線が生まれますので、子育て世代の家づくりにもおすすめです。
屋根勾配を利用する
2階にリビングを設ける場合には、1階の玄関や廊下とリビングとを吹き抜けでつなげる間取りも考えられますが、開放感を得るためには、屋根の勾配に合わせて天井を高くします。天窓を設けて、プライバシーを確保しながらも明るさを確保する方法です。屋根勾配を利用した吹き抜けの場合でも面積にカウントされず、構造上の制約も緩くなり、建築費用も2階の床に吹き抜けをつくるより安上がりです。
広いリビングダイ二ングのある新築一戸建てを探す吹き抜けをつくるのに必要な広さ
2階の床に吹き抜けをつくる場合、少なくとも階段に0.75〜1坪程度は必要です。ほかの部屋とのバランスを配慮しながらにはなりますが、実際の間取りは階段と玄関の位置で決まりますので、総合的に検討しましょう。
吹き抜けをつくるうえでの注意点
建物の構造
地震や台風の力に耐えられる構造にするには、吹き抜けと床のバランスが重要です。そのため、間口の小さな住宅(細長い間取り)の場合は特に注意が必要です。階段のために一定以上の吹き抜けが必須ですが、床とのバランスが悪い場合には耐力壁の工夫が必要で、吹き抜け周りに壁をつくるなど間取り上の制約が生じます。
温熱環境の問題
空気がきちんと循環する工夫と、上下温度差が小さくなるような断熱性能を確保しましょう。高断熱の家は吹き抜けととても相性がよいと言えます。
メンテナンスについて
駅の吹き抜けなどでときどき目にしますが、高いところの窓枠などに溜まった埃はストレスとなり、健康にも良くありません。また照明器具やエアコンが故障したときどうするか、メンテナンスも考えておきましょう。対処するときになるべく費用がかからない工夫も心がけたいものです。
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