人生100年時代といわれ、長寿が当たり前になってきた現代。長い人生の中で、家族とたくさん過ごしたいと考える方も少なくないでしょう。家族と長く過ごせる注文住宅を考える際、間取りはとても大切です。特に、リビングの位置は簡単にリフォームで変更できないので、設計時の検討が重要になります。
現代人のライフスタイルは実にさまざまですが、注文住宅を考えている方で、以下の「家での過ごし方」に1つでも当てはまる場合は、2階にリビングを設計するのがおすすめです。
1. お年寄りもしくは小さな子どもがいて、日中の在宅時間が長い
2. リビングの天井高を高くしたい、もしくはロフトや屋根裏部屋が欲しい
3. 休日はインドア派で家にいることが多い
4. 家族または夫婦そろってテレビを見ることが多い
5. リビングにピアノなど楽器を置いて演奏したい
では、それぞれの理由となる、2階リビングのメリット・デメリットを見ていきましょう。
注文住宅の事例を探す広いリビングダイ二ングのある新築一戸建てを探す自由設計対応の土地を探す
2階リビングの間取りのメリット

日当たりが良い
在宅時間が長い家族がいる場合、2階にリビングがあると景色や日当たりが良く、長時間でも過ごしやすくなります。
天井高を屋根レベルまで上げることが可能
1階にリビングがある場合、階段の段数との絡みや階の高さによって、天井高に制限が生じます。しかし、2階リビングの場合は、屋根断熱にすることで天井高を屋根レベルまで上げることも可能ですし、ロフト階や屋根裏部屋を設けることもできます。2階リビングからなら、すぐにロフトや屋根裏部屋にアクセスが可能です。
近隣の騒音や影響を受けにくい
自動車や人が通行する付近の1階リビングより2階リビングのほうが視線を感じることが少なく、騒音の影響も受けにくいもの。テレビや音楽鑑賞にも適しており、リラックスした時間を得られます。
構造的に安定する
2階にリビングを設けると、通常1階に複数の居室が配置されます。そのため、1階にリビングを設けるより壁や柱の数が増え、重量物を支えることができます。そのうえ、2階の空間の壁や柱が少なくなると2階部分が軽量化され、構造的に安定します。
2階リビングの間取りのデメリットと対処法

玄関の様子が把握しにくい
2階にリビングがあることで、来客時の対応が大変になるほか、家族の帰宅が分かりにくいことがあります。
玄関ドアの施錠は、2階からも遠隔で操作できるユニット(電気錠システム)を導入したり、今後必須となるであろう住宅用宅配ボックスを設置したりすることで、1階へ下りる回数を減らすことができます。また、玄関ドアにセンサーを設けることでリビングに居ても開閉が分かるようにすると安心です。
キッチンに行くために階段の上り下りが必要
2階リビングにダイニングとキッチンを配置した場合、買い物をした食材などを1階から運ぶことが大変になります。
エレベーターの導入に抵抗がある方は、小荷物専用昇降機を設置するのも1つの手です。人の乗降はできませんが、2階キッチンから下ろすゴミなどの昇降に便利です。
水回りがすべて2階に集まる間取りになる
キッチンが2階に設置されると、家事動線から考えて洗濯機も2階に必要になります。そのため、洗濯物を干すバルコニーが必要です。また、洗濯機は洗面脱衣室への設置が適しているため、浴室も2階にする必要が出てきます。
水回りをすべて2階に集めてしまい、1階を居室のみとする割り切りも必要です。その際にも、1階のトイレは必要です。
介護が必要な場合に階段の上り下りが発生する
たとえば介護が必要になった場合、1階にLDK(リビング・ダイニング・キッチン)や水回り(お風呂・トイレ)、リビング内にベッドを設置すればワンフロアで生活ができます。しかし、2階にLDKや水回りを集めると、介護の際に「昇降」の問題が生じます。
2階リビングにする場合、階段を緩やかな勾配で設置したり、階段昇降機の設置を念頭にスペースを設けたりしておくといいでしょう。また、ホームエレベーターを後付けできるよう、床下全体の基礎をエレベーター仕様にすることや、2階の床が抜けるような、構造変更がない設計にしておくのも1つの方法です。
トイレは各階に設け、居室に近い1階のトイレは車椅子が使用できる仕様にしましょう。
周辺環境によっては日当たりが不十分なことも
都心部の狭小地において2階リビングにしても、近隣住宅に囲まれ日当たりを十分に望めないケースが多々あります。
2階天井高を上げ、採光窓を天井近くの壁面に設けたり、トップライトを設けたりすることで近隣環境に影響されることなく採光を取り入れられます。
リビングが暑くなりやすい
暖かい空気は、上階に溜まりやすいので、夏は2階リビングが暑くなりがちです。
住宅全体の断熱性・気密性を上げ、全館冷暖房システムを取り入れるのも1つの対策です。
2階は通気性が良いので、窓換気により熱気を逃がすことができます。開閉可能なトップライトがあれば上部に熱を逃がすことも可能です。
庭との一体感が得られない
敷地が広く庭もつくれる環境の場合は、1階リビングだとすぐに庭に出られ、一体感が味わえますが、2階リビングではそういった一体感は得られません。
しかし2階リビングでも、庭を駐車スペースなどにして上部を広めのバルコニーにすると、1階リビングの場合と同じ効果が得られます。
注文住宅の事例を探す 広いリビングダイ二ングのある新築一戸建てを探す 自由設計対応の土地を探す2階にリビングをつくる場合、費用はどうなる?
2階リビングで、キッチンや浴室など水回りも2階に設けると、床下の排水経路や勾配が必要になり、階高を高くしなければならないケースがあります。これによって、構造材や給排水施工の費用が上がります。
また、天井高を上げたりロフトをつくったりすると通常の2階建てより断熱層が広がったり、ロフトの床などの材料費がかかり、3階建てに近い費用がかかる場合があります。
緩やかな階段を設置する場合は面積が必要になる分、建築面積が大きくなり、エレベーターを将来設置する場合にはそのための予備工事費などもかかります。
2階リビングをつくるうえでの注意点
1階の玄関・トイレ・納戸・廊下などの共用ゾーンと居室ゾーンを、2階のリビングや水回りのゾーンとの上下関係においてどの位置に合わせるかがポイントになります。
水回りの下に共用部があれば、1階の天井高は低めにすることで2階の床排水が収まり、階高を無理に上げる必要がなくなります。
2階リビングは南向きが理想ですが、ほかの方角でもトップライトを採用することで採光は望めます。子育て世代から介護世代まで、2階リビングはメリットが多いですし、都心部などの狭小地に注文住宅をご検討されている方はぜひ2階リビングを導入されてはいかがでしょうか。
注文住宅の事例を探す 広いリビングダイ二ングのある新築一戸建てを探す 自由設計対応の土地を探す更新日: / 公開日:2020.01.29









