欧米住宅では一般的な「サンルーム」。くつろぎ空間として憧れをいだく方も少なくないかと思います。欧米と日本の住宅環境には、違いがあります。
日本において、サンルームを計画する上で知っておきたい特徴(メリット・デメリット)や間取りなどのポイントをご紹介します。
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「サンルーム」って何?
サンルームとは、具体的にどんなスペースを指すのでしょうか?
そもそもサンルームは、ガーデンスペースを有効活用するために生まれました。リビングをはじめとした居室の前に広がる庭やデッキなどをガラスで囲った「半屋内(半屋外)スペース」です。
しかし、現代日本では、もっと広い意味を持って“サンルーム”という言葉が使われています。
具体的には以下をサンルームと呼んでいます。
- 居室前:リビング前の四方をガラスなどで囲んだくつろぎスペース
- ベランダサンルーム: 2階(上階)のベランダをガラスなどで囲んだ物干しスペース
- ランドリースペース:脱衣室との動線を重視した洗濯専用スペース
サンルームを計画する上でのメリット・デメリット
ここでは、リビングなど居室前や庭に設置するサンルームの特徴(メリット・デメリット)について、お話します。
サンルームのデメリット(計画上の課題点)
欧米と日本の住宅環境における最も大きな違いが「土地の広さ」です。
欧米の一戸建て住宅の場合、敷地いっぱいに住宅を建てることは、ほとんどありません。隣接住宅との距離も離れており、基本的に住宅周辺には、外構にゆとりの空間があります。
対して日本の住宅環境では、建てられる範囲の敷地目いっぱいに住宅を建設せざるをえず、隣地との空きスペースがほとんどない状況です。
それゆえに、サンルームとして必要不可欠な「採光(太陽の日差し)」が確保しにくい環境となりやすいのです。
2つ目の課題が「結露」です。
日本には四季があり、夏は高温多湿となりやすく、冬は低温乾燥傾向になります。
そのため、サンルームの使い方によっては、サンルーム内部のガラス面に結露が生じてしまうことがあるのです。結露を防ぐには、定期的なメンテナンスと換気などのお手入れが必要です。
サンルームのメリット
サンルームには、「日差しあふれるくつろぎ空間を創出する」という生活品質上のメリットのほかにも、機能的な利点があります。それは、冬にリビングの暖房効率を高めてくれるということです。
リビング前に設置すれば、サンルームが緩衝空間となることから、外部の冷気がリビング内に直接伝わりにくくなるのです。リビングが寒くないのはうれしいですよね。
さらに、日中サンルーム内で暖められた空気によって、リビングが暖められる効果も期待できます。
夏も、サンルームの屋根を上手に活用することで、リビングへの直射日光を減らすことができます。リビングの冷房効率を高めてくれるのです。
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サンルームを計画する上での間取りなどのポイント

前述のとおり、日本の住宅環境では敷地にゆとりがないため、サンルームを設置する場合「リビング前のサンルーム」もしくは「ベランダサンルーム」となることが多くあります。
設置場所を検討する際に必要不可欠な要素となるのが「方位」の問題です。太陽光が当たる「南東・南・南西」方向の居室もしくはベランダに設置することが基本となります。
また、間取りを考える上で重要な要素となるサンルームのデザイン(納まり)。
サンルームのデザインは下記3タイプに分けることができます。
- 床納まりデザイン
- 土間納まりデザイン
- バルコニー納まりデザイン
それぞれ詳しく説明します。
床納まりデザイン
サンルームの床を、隣接する居室の床レベル(高さ)と揃えた納まりとするのが「床納まりデザイン」です。
リビングなどからそのままサンルームに出入りできるのが特徴で、部屋の延長空間として利用できます。
土間納まりデザイン
サンルームの床を、外構(ガーデンエリア)とほぼ同じ高さの「土間仕様」とするのが「土間納まりデザイン」です。
隣接する居室(リビングなど)とは床レベル差(居室のほうが高い)があり、基本的に土足で利用するサンルーム空間です。
バルコニー納まりデザイン
文字通り、バルコニー(ベランダ)に設置するのが「バルコニー納まりデザイン」です。
既存住宅に設置する場合、バルコニーの手すりが「格子手すり」などではなく「躯体の手すり」となっている場合に計画可能なサンルームとなります。
もしくは、もともとバルコニーがない窓に対して、壁・窓の改修も含め、新たにバルコニー&サンルームを新設することも可能です。
理想的な場所に計画できない場合の工夫

理想的な場所に計画できない場合、無理にサンルームを導入することは、あまりおすすめできません。
不適切な場所にサンルームをつくると、サンルームのデメリットばかりが目立つ使いにくい空間となってしまうからです。
ただし、ひとつの工夫としては、サンルームの利用目的を「物干しスペース」に限定して計画することがあげられます。
日当たりがあまり良くない場合は、“除湿器利用”を前提とした仕様の「物干しスペース(サンルーム)」をつくることで、利便性の高い空間とすることが可能です。
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まとめ
欧米と比較して、日本は土地が狭く多くの法規制(建築、防火など)が存在するため、サンルームを計画しにくい環境となっています。
土地環境条件によってサンルームの建設費用にも大きな差があるとともに、換気や掃除などのお手入れに案外手間がかかることに。
サンルームの導入にあたっては、一般的な情報に捉われることなく、個別環境に応じた事前の下調べが大切です。
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更新日: / 公開日:2019.12.20










