家を建てる前に知っておきたい50のトリビア (14)~(22) 知ってトクする編
前回に引き続き、家を建てる前に知っておきたい50のトリビアを紹介します。今回は【知ってトクする編】として、ちょっとした豆知識から命にかかわる情報まで、幅広い分野のトリビアをお届け。安心・快適に暮らしのために絶対に知っておきたい情報が満載です。ぜひご覧ください。 住まいの窓口で相談する
入浴中に亡くなる人は
交通事故よりも多い
東京都健康長寿医療センターの研究によると、2011年の1年間で入浴中に急死した人は全国で約1万7000人。これは交通事故の死亡者数4611人の4倍近くにあたります。
入浴中の急死は、温度の急激な変化によって血圧が大きく変動することにより失神したり、心筋梗塞や脳梗塞を起こすことが理由で、こうした状態をヒートショックと呼んでいます。寒い脱衣場から熱いお風呂に入るときに、心臓や血管の弱った高齢者に起こりやすいといわれています。
ヒートショックが起きるのは
吉田兼好のせいだった!?
吉田兼好は『徒然草』で「家のつくりやうは、夏をむねとすべし。冬はいかなる所にも住まる」と説いています。「多湿な日本ではまず夏の風通しを考えよう、冬は厚着や火をたけばなんとかなる」という意味ですが、この考え方はオイルショックで省エネを意識する1970年代まで続いたと言われています。家の中の温度差が引き起こすヒートショックで毎年多くの日本人が亡くなるのは、こうした断熱意識の低さが影響しているのかも!?
断熱の鍵を握るのは
「壁」ではなく「窓」
断熱というとまず断熱材を思い浮かべる人が多いかもしれないが、実はくせ者は窓やドアといった開口部。ここからの熱の出入りの方が大きいのです。
経済産業省の試算によると、夏は窓から熱の71%が入り、冬は窓から熱の48%が逃げているとのこと(1992年省エネ基準レベルの断熱性能の住宅での計算例)。つまり住宅の断熱性能を高めようとするなら、壁や床より、まずは窓の断熱性能を高めることが先決というわけです。


ひと言で「断熱」といっても
材料は主に3種類、工法は2つある
壁や天井、床などに断熱材を用いますが、工法としては柱と柱の間に断熱材を入れる充填断熱工法と、柱の外側に断熱材を張り付ける外張り断熱工法の2つがあります。一般的にコストは充填断熱工法の方が安いですが、断熱性能を高めるには断熱材の性能や施工の精度が重要です。また断熱材は下表のように大きく3種類に分けられます。依頼先の施工会社がどのような断熱方法を使うのか聞いておくとよいでしょう。
太陽光発電は夏よりも
5月の方が発電する
太陽光を使って発電するので、日照時間の長い夏場に最も発電するイメージがありますが、実は5月ごろが最も発電量が多いのです。その理由は、現在普及している太陽光パネルは高温になると発電力が落ち、夏よりも涼しい5月の方が効率よく発電できるから。ただし最近は高温になっても発電効率が落ちないよう工夫された太陽光パネルも開発されています。

電気自動車は非常時の電源に使える
電気自動車はエコであるだけでなく、実は家庭用蓄電池としても使える実用性を備えています。例えば約100万円の一般的な家庭用蓄電池の容量は5kWhですが、約320万円の電気自動車(例:日産リーフ)ならその6倍の30kWhです。どちらも補助金制度があります。電気自動車の方が価格は高いですが、乗り物でもあり、停電時には大容量のバックアップ電源として使える(一般家庭なら約2日分)と考えると価値があります。
外出先からお風呂を沸かすことができる
IoT(インターネット・オブ・シングス)という言葉をよく耳にするかもしれません。モノをインターネットにつなぐことで便利な暮らしを実現する技術のことが、実はすでに家の中に取り入れられている機能があるのをご存じでしょうか。
例えば外出先からお風呂を沸かしたり、子どもの帰宅を親のスマートフォンに通知したりする機能は、すでに実用化されています。そのほかインターホンに映った来訪者の姿を外出先のスマートフォンで確認できるサービスもあります。今後もさまざまな技術が登場しそうな分野です。
「ちゃぶ台で食事」スタイルは
公団の提案で廃れた
昭和の家庭では当たり前のようにあった居間のちゃぶ台。しかし1950年代に日本住宅公団(当時)が、食事室を意味する「ダイニングルーム」と台所を意味する「キッチン」を組み合わせた「ダイニングキッチン」という和製英語で、新しい間取りを提案。欧米への憧れと相まって一気に人気の間取りとなりました。キッチンのすぐそばのテーブルで食事をするというスタイルが次第に定着していき、ちゃぶ台はやがて姿を消すことになったのです。
子どもは外より
家の中で事故に遭う
2015年の14歳以下の死亡事故で比較してみると、交通事故で亡くなったのが102人に対して、浴槽内への転落や誤飲などによる家庭内での不慮の事故では158人が亡くなっています(※1)。つまり、子どもにとっては外より家の中に危険が潜んでいるというわけです。例えばベビーゲートを備えやすいキッチンの間取りにしたり、階段に踊り場を設けたりするなど、住宅の建て方の工夫でこうした危険を減らすことができます。子育て中のファミリーはぜひ対策を。※1 厚生労働省の平成27年度「人口動態調査」より
いかがでしたでしょうか。気候や暮らし方に合わせた家づくりの知識があれば、快適性だけでなく安全性にもこだわったマイホームを実現することができます。大切な家族を守るためにも、ぜひ確認しておきましょう。次回も引き続き【知ってトクする編】(23)~(31)をお送りします。どうぞお楽しみに!
- 出典:家を買Walker (KADOKAWA)
- 構成·取材・文:シラスタロウ
- イラスト:岡本倫幸
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更新日: / 公開日:2018.03.16










グラスウールやロックウールなどがある。木造住宅の充填断熱工法に使われることが多い
プラスチック系
種類によりボード状にして使う方法と、吹き付けて施工する方法がある