子育ては大変かもしれませんが、やがて巣立っていくことを考えると、子どもと家で多くの時間を一緒に過ごせる期間はそれほど長くありません。そのため一緒にいられるうちに、なるべく多くの時間を共有して親子の絆を深めたいものです。しかし、家をせっかく建てたものの、子どもが成長して自室にこもるようになり、家族で一緒に過ごす時間がとれないといったケースもあります。それでは住まいの造りを工夫することで、子どもとの時間を増やす方法はないのでしょうか。
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子どもが大きくなるのはあっという間かもしれません。

子どもが大きくなるのはあっという間かもしれません。

 

少し古い統計になりますが、1995年に総務省が日本とアメリカ、韓国の0歳~15歳までの子どもを持つ父親、または母親に「子どもと家族に関する国際比較調査」を実施しています。親子の接触時間は、アメリカは「6~10時間くらい」が19.5%と最も多く、「3時間くらい」が15.0%で続いたのに対して、日本は「1時間くらい」が22.4%、「30分くらい」が19.3%でした。韓国は「1時間くらい」が20.3%、ついで「2時間くらい」が19.4%であったのに対しても、低い水準です。日本の親子は一緒に過ごす時間をあまりとれていないという実態がありました。

 

しかし、昨今ではリビングで勉強や仕事をして、多くの時間を過ごす暮らし方が注目されてきています。

 

出典:内閣府「子供と家族に関する国際比較調査の概要」 1995年12月

同居している家族と一緒に過ごす時間が減っているといわれていますが、住まいでの家族の過ごし方は間取りにも左右されます。リビングを通って子ども部屋に行く、親のスペースと子どものスペースが近い間取りは子どもと一緒の時間を過ごしやすいです。家族が自然に集い、寄り添える住まいづくりのアイデアを紹介します。

 

間仕切り代わりにスキップフロアで仕切る
間仕切り壁を設ける場所を水回りなどの最小限に抑えて、スキップフロアで空間を仕切ると、家族の気配が感じられる住まいになります。たとえば、リビングからから半階分の階段を上ったところにダイニングキッチン、ダイニングキッチンから半階分あがったリビングの上に子ども部屋、さらに半階分上がったところに主寝室といった間取りです。圧迫感がなく開放的な空間になることから、狭小住宅でも取り入れられている手法です。

 

多目的に使えるスタディコーナーをリビングに設置
「勉強や仕事をリビングダイニングで一緒に」と考えても、ダイニングテーブルを使うと、食事の時間などに片付ける必要があり、やりにくさを感じやすいものです。そこで、奥行が60cmほどの広めのカウンターをリビングに設置すると、勉強や仕事、さらに家計簿の記入やアイロンがけなどの家事スペースとしても活用できます。

 

共有の本棚をリビングに設けてファミリー図書館に
リビングに大きな共有の本棚を設置してファミリー図書館にすると、本を通じて自然に親子の会話が生まれやすいです。子どもが小学校低学年くらいまでは、一緒に本をみたり、読み聞かせをしたりしてあげましょう。高学年以降は、大人の本に子どもが興味を持ちシフトしていく流れをつくることができます。

 

リビングで一緒に勉強できる環境づくりも一つの手です。

リビングで一緒に勉強できる環境づくりも一つの手です。

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リビングでの勉強は、子どもに勉強する習慣がついて、学習を進めやすいことが期待できます。小学校低学年の子どもはなかなか集中して勉強ができなかったり、わからないことが出てきて一人で勉強を進めていくことが難しかったりします。しかし、子ども部屋で勉強していると、勉強をしているか、また、勉強で困っていることがないかを親が様子を見に行くことが疎かになりがちです。特に、共働きの家庭では、リビングで勉強していれば、家事の合間に勉強を見る時間を確保しやすいですが、子ども部屋で勉強をしている場合は、勉強を見るためだけの時間はとりにくいでしょう。

 

勉強や仕事、家事スペースなどとして活用できるカウンターがあると便利です

勉強や仕事、家事スペースなどとして活用できるカウンターがあると便利です

 

また、家族がリビングで過ごすことが多い家族は、それぞれが別なことをしていても、一体感を感じやすいです。親の世代が子どもの頃よりも、親と子の距離が近いフレンドリーな関係性が築かれやすい面もあります。家族がお互いに信頼しあえる関係をつくるためには、一緒に過ごす時間をつくることが大切なのです。

 

こうした親と子がどういう距離感だと信頼しあえる関係をつくれるのか、そういうことに焦点をあてたセミナーも各種団体で開催されていますので、足を運んでみましょう。親子で多くの時間を過ごす家づくりのヒントを得られるはずです。

ライフスタイルに合わせて、家族で共有できるスペースのある家づくりをすると、家族で一緒に過ごす時間が増えるはずです。たとえば、料理をするお母さんの近くで、小学生の子どもが勉強をし、お父さんはパソコンで仕事をするといった光景が浮かびます。高校生になっても、過ごしやすい共有スペースがあれば自室にこもらず、スマホを使うのもリビングといったケースもあるのです。

 

お父さんもお母さんも、同じ空間で作業ができるお部屋づくりもいいですね。

お父さんもお母さんも、同じ空間で作業ができるお部屋づくりもいいですね。

 

住まいの広さには限りがありますが、リビングなどの共有スペースを広くとり、寝室や子ども部屋などの個室は最小限のスペースにするという方法もあります。一方で、子どもが成長していくことを考えると、間仕切り壁を設けずにゆるやかにつながる間取りにした場合には、将来的には独立した部屋にできるようにしておくことも望ましいです。

 

リビングなどにおいて家族で一緒に過ごすことによって、家族の絆を強めることや教育効果も期待できますので、間取りにこだわった家づくりをしてみましょう。

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更新日: / 公開日:2017.08.17