自分の理想や個性を反映できる「注文住宅」。住まいへの夢やこだわりを叶えたい人にとっては、建売住宅より魅力的なのが注文住宅です。しかし、注文住宅を建てるには、土地を先に購入したり、完成前(つまりローンが借りられる前)にかなりのまとまったお金が必要になるため、建売などよりもハードルが上がるのも事実。資金計画をきちんと立てる必要があります。注文住宅ではどれくらいの費用がどのタイミングで必要になるのかを今回は考えてみましょう。
土地を探す注文住宅を探す無料で住まいの窓口に相談する
前提条件(ハードルが高い)
住宅購入の際の税金や仲介手数料などの諸費用は、基本的に現金で用意することが望ましいとされています。これは、建売もマンション購入でも同じこと。しかし、注文住宅になると建売やマンション購入よりも諸費用がかかったり、段階的にまとまった支払いが発生するので、より一層しっかりとした資金計画が必要になります。
また、住宅ローンは基本的に、住宅が完成し登記登録が行われた段階でローンの本審査と融資が行われます。にもかかわらず注文住宅の場合は、完成までに「工事契約金」「着工金」……といったように通常3、4回に分けた支払いを行わなければなりません。
もちろん、途中で支払う工事費用などを自己資金だけで支払うのは難しく、そのために「つなぎ融資」といったローンを借りることもできます。その点は後述していきますので、まずは注文住宅を建てる際にはどのような諸費用がかかるのかを見ていきましょう。

数回に分けた支払いを行わなければなりません
諸費用
例えば、2500万円の土地を購入し、2000万円(建築工事費)の建物を建てたとすると、どれくらいの諸費用がかかってくるのでしょうか。土地の契約には仲介手数料や印紙代、登録免許料などで130万円前後がかかります。(詳細は図版を参照)。
さらに土地を購入する際には、通常「手付金」が必要となります。これは土地の販売価格の10%程度になるのが慣例で、2500万円の土地なら250万円ほどになります。最終的に支払う土地代金の総額から差し引かれますが、手付を行うタイミングでは住宅ローンの本審査を行っていることはないので、現金で用意しておく必要があります。このとき、手元に現金がないからといって住宅ローンを借りる金融機関以外で安易にローンを組んだりすると住宅ローンの本審査に通らなくなるので注意が必要です。
一方、建物の建設にかかる諸費用も登記や地鎮祭などの祭典費用、水道加入代など最低限で建築工事費の4%近くはかかります。例として2000万円の建築工事費の建物の場合で70万円弱。また建築士に設計を依頼した場合は建築工事費の10%~15%が設計料として計上されます。場合によっては、この設計料が銀行や商品によって住宅ローンに含められない場合もでてきます。それを含めると330万円前後が諸費用となります。
さらにここに、住宅ローンの諸費用も加わります。必要項目は図を参照いただきたいのですが、一番高額になるのがローン保証料。これは融資時に一括で支払う外枠方式と金利に含める形で支払う内枠方式があるので、自己資金が少ない場合には内枠方式を検討するのも一案です。火災保険料に関しては、2015年の秋以降、10年超の長期契約が廃止になりました。これまでローン契約時に長期契約で数十万円の一括金が必要でしたが、現在は1年単位での数万円のわずかな費用での契約も可能になっています。
諸費用は必要最低限を換算しても、かなりの額にのぼります。
【諸費用】
・土地購入の諸費用(手付金を除く)130万9800円
・建物の諸費用(設計料含む) 332万9000円
・住宅ローン諸費用(ローン保証料は内枠方式) 11万5000円
総額 475万3800円(土地代+建物工事費用 総額の4500万円の10.6%)
また、現金で用意しておきたい初期費用として、土地の手付金を入れると総額は700万円を超えます。
【初期費用】
・土地購入の諸費用(手付金を含む)380万9800円
・建物の諸費用(設計料含む) 332万9000円
・住宅ローン諸費用(ローン保証料は内枠方式) 11万5000円
総額 726万3800円(土地代+建物工事費用 総額の4500万円の16.1%)

注文住宅諸費用項目
土地を探す 注文住宅を探す 無料で住まいの窓口に相談する別途工事費
注文住宅の場合は、どこまでを住宅ローンで借りられる工事費用に含められるかといった問題もあります。例えば、よく問題になりがちなのは外構工事費。塀やカーポート、植木、敷石といった外構工事は工事請負契約書の中に見積もりがあるか、建物の引き渡し後に専門店で行うのかによって住宅ローンに含められるかどうかも変わってきます。
工事請負契約書内に事前に盛り込む場合は、工務店などが専門業者との間を取り持つ形になり、マージンが発生し割高になるケースが往々にしてみられます。しかし、これを別会社と契約を結んで行うとなると工事請負契約書の見積もりには反映されず、住宅ローンで借り入れできないケースが発生します。初めから住宅ローンに組み込むスキームを作るか、もしくは自己資金(現金)を用意しておくことを考えておきましょう。
また、注文住宅では、「坪単価の本体価格」という表記をよく見ますが、これには注意が必要です。建売の場合は価格に地盤調査費や冷暖房工事費などもすべて含まれていますが、注文住宅の場合、こうした費用は本体価格とは別に別途工事費になります。土地が持っているポテンシャルに呼応して地盤改良費や外構工事費、水道・ガスの給排水工事費なども別計上となりますので、どこまで建物工事費に含められるか、そのあたりを見積もり段階でシビアに精査する必要があります。見積もりに計上されていなかった場合、住宅ローンに組み込むことができず、予定外の出費となりがちです。以下図版では、通常坪単価の本体価格とは別の別途工事費項目を掲載しますので、参考にしてください。

別途工事費項目
つなぎ融資
このほか、注文住宅で注意が必要なのは、建売の一戸建てにはない工事費用などの支払いのスキームがあります。
建売の場合は、土地+建物代金が一括になっていて、その支払いを住宅ローンでどのようにまかなうかというシンプルなスキームになります。しかし、注文住宅の場合は、工事費用や設計料を「契約時」「工事発注時」「工事着工時」「中間」「引き渡し」と複数段階で支払うことになります。
基本的に住宅ローンは、建物が竣工しているものに融資されるのが原則です。新築マンションや建売一戸建てなどすでに建物が出来上がっているものについては問題ありませんが、注文住宅の場合、着工金や中間金に住宅ローンを活用できなくなります。
その場合、必要になってくるのが「つなぎ融資」。住宅ローンと違い、つなぎ融資は抵当なしで申請することができます。つまり、審査に通れば住宅が完成する前に融資を受けることができます。もちろん、抵当がない分、当然ながら金利は住宅ローンよりも割高になります。もしもつなぎ融資を行うのであれば、この費用も諸費用として計上しておく必要があります。つなぎ融資の金利は大体2~4%前後。例えば2000万円を2.8%の金利で半年間借りたとすると
2000万円×2.8%÷365×180(日間)=27万6164円
ばかにならない金額が利子で消えていきます。これも諸費用として考えておかなければならなくなります。
通常、つなぎ融資は住宅ローンを組むことが前提となるため、同一金融機関で組む必要があります。金融機関によっては、つなぎ融資などを行っていない場合があるので、スタートの土地の購入段階から全体の購入計画を見据えたうえでローンの提携先を選ぶ必要が出てきます。
今の低金利時代では、「つなぎ融資」などを必要とせずに、注文住宅の段階的な支払いにも対応する住宅ローンも登場しています。その点も含めてローンの提携先は幅広く検討する必要があります。

つなぎ融資を諸費用として考える必要も
その他費用
このほかにも、住宅ローンではまかなえない引っ越し費用や、家具や家電製品の費用も自己資金で準備しておかなければなりません。
最近では「自己資金ゼロでマイホーム」といった風潮もありますが、注文住宅の場合は諸費用がかかることや、住宅ローンに組み込めない工事費用などが発生しがちなことからも、自己資金は準備しておいた方が無難です。
最低でも土地価格+建設代金の20%は自己資金を準備しておきたいところ。余裕のある家づくりを進めるには25%~30%を考えておくのが安心ではないでしょうか。
土地を探す 注文住宅を探す 無料で住まいの窓口に相談する更新日: / 公開日:2017.02.03










